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苦手なのに得意なふり?仕事を辞めがちな発達障害のある方が、就職活動や職場でやりがちなこと


できないのにできると言ってしまう。感情のままに行動してしまう。遅刻、早退、欠勤を繰り返す。

仕事を辞めがちな方がやりがちなことです。

これらのことが信頼関係を失うきっかけになり、人間関係の悪化につながる場合があります。

信頼関係のない状態で仕事を続けることは、かなり難しいのではないかと思います。

では、そうならないためにどうすればよいのか。
 

今回は「できないのにできると言ってしまう」に焦点を当てて紹介いたします。

苦手なのに問題なくできると言ってしまう。

別の言い方をすると「自分を大きく見せる」ということです。

できないのに「できる」、苦手なのに「得意」、知らないのに「知っている」、分かっていないのに「分かりました」と言ってしまう。

「自分を大きく見せる」ということは、時に必要なこともあるのかもしれませんが、場合によっては、後の落胆や失望を生む原因となり、信頼関係を壊してしまうこともあります。

自分にとっては「多少の演出」かもしれませんが、他人には「嘘」に見えることもありますので、注意が必要です。

一旦、具体的な例を見ていきましょう。



【具体的な例】

事務職を目指した発達障害のある方。電話応対が苦手なのに、「電話応対ができます」と言ってしまう。


【どんな状況になった?】

入社後、当然のように電話応対を任されます。しかし、この方は電話に出てもすぐに名乗ることができず、反応が遅く、同僚からも取引先からも応対に不安の声がありました。

メモを取りながら用件の聞くというマルチタスクも難しく、電話の取り次ぎもうまくいでいませんでした。

また、電話が鳴ると急に別の仕事に取り組みはじめて、電話に出れないと思わせるような動きが徐々に目立ち始め、結果的に「できる」と言っていた電話応対が「できない」人、電話応対を避けている人、と見られている状況になってしまいました。

元々、対人コミュニケーションに緊張を感じやすい方でしたが、いくつかの職場で仕事の経験もあり、電話応対、来客応対もしてきた方ということもあり、採用した企業でも問題なくできるだろうと判断し、採用されたという経緯があります。


本人の自覚の有無は置いておいて、客観的に見た場合、
・本人には強いストレス・負荷が掛かっている可能性
・会社としてはイメージ低下、お客様の安心感の低下の可能性
・職場内での信頼関係の揺らいでいる可能性
などが考えられます。


【会社はどう考えるか?】

・職務経歴書を見る限り、本人からの話を聞く限り、電話応対の経験があり、対応できていた、と本人から聞いていたが、できていない現状を考えると安心して仕事を任せることができない。

・職務経歴書に書いてあった経験は本当だったのだろうか?という疑問。

・苦手な業務を担当していただくよりも他の仕事を任せた方が良いのではないか?というように配慮を検討し、本人に伝える。


本人が「電話応対ができている」と考えている場合は、自分が思うように評価されていないと感じるでしょう。

本人に電話応対が苦手だという自覚があり、指摘を素直に受け入れることができれば、多少の挽回は可能なのかもしれませんが、信頼関係の再構築には時間がかかるでしょう。


【このような事態を避けるための対策の例】

 過去分析、自己理解が必要になります。具体的は方法を紹介します。

・これまでのキャリアを振り返って自己分析をする。
  極端に緊張したり、苦手意識のある業務はなかったか?
  ミスが多くなる状況はなかったか?など


・就労移行支援を利用して、自分の得意・不得意を知る。(自己理解を深める)
  訓練を通じて、自分の得意・不得意を知る。
  支援員の客観的分析を参考にする。 


その他にも、徹底的に練習して対策するということもできますが、一人での練習は難しいですし、客観的な意見を得にくいという難点もあります。

今回の最後に

求職者の方の中には自己理解が進まないまま、就職活動を始めてしまう方がいらっしゃいます。


なぜ、そこまで自己理解が大事なのかというと、発達障害は障害がわかりにくく多様だからです。
しかし、発達障害のある方はその特性によって、自己理解、自己分析が難しい場合があります。


ASDのある方には、一般的な職場で必要とされている知識やスキルに対しての興味が持てない、こだわりによって他者視点からの客観的な自己分析が難しい、という場合があります。


ADHDのある方には、順序だてて課題分析をおこなうことが苦手、精神的努力の持続が必要な課題に苦手意識がある、という場合があります。


自分の強み・弱み、得意・不得意を知り、自分が周囲と仕事に必要な人間関係を維持しつつ、スキルを発揮し、成果を上げていくために、自己分析・自己理解は障害の有無に関係なく、誰にでも必要です。

過去を振り返ることに抵抗感があったり、つらく感じることもあるかもしれませんが、少しずつ時間をかけてやっていくことが、結果として、自分にとっての望ましい将来につながっていく可能性を高めてくれるのではないかと思います。


よろしければ、前回のブログもご覧くださいませ。
就職・転職・復職を目指す発達障害(ASDやADHDなど)のある方の就職活動と就労移行支援事業所に通う意味
https://dd-career.com/blog/koriyama_20230309/

自己理解を深めるためのツールとして、厚生労働省の就労パスポートも役立ちます。


就労パスポートは、障害のある方が、働く上での自分の特徴やアピールポイント、希望する配慮などについて、支援機関と一緒に整理し、事業主などにわかりやすく伝えるためのツールです。

厚生労働省 就労パスポートhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/06d_00003.html


ディーキャリア郡山オフィスは「大人の発達障害」の方を中心に障害のある方の就職・復職を支援をしている「就労移行支援事業所」です。

無料ご相談・見学を随時承っていますので、お気軽にお問合せください(^^)
企業のご担当者様からの障害者雇用についての相談も随時承っております。

お読みいただき、ありがとうございました。


就労移行支援事業所 ディーキャリア郡山オフィス
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