#6「千里の道も一歩から、塵を積まねば山できぬ（後編）」

登場人物

ハピた

運動しようと心に決めたのも束の間、３日と持たずに頭は食べ物のことでいっぱいに。煩悩を振り切り、健康的な生活を手に入れることはできるのでしょうか。

コラエーヌ

アイドル界の頂点を目指すコラエーヌからすれば、煩悩にまみれたハピたは許されざる存在。しかし、そこは面倒見の良いコラエーヌ。今日も元気に愛のあるダメ出しをしてくれています。

原先生

今回も”偶然”現場に出くわした、コラエーヌとハピたの担任の先生。ブチ切れるコラエーヌをなだめながら、目標設定についてのお話をしてくれています。

前回のあらすじ

食べること大好きのハピた、コラエーヌの「あんた太ったんじゃない？」という言葉に一念発起。

気持ちも新たに「運動」をはじめる…予定だったのですが、年末年始は美味しいもが目白押し。熱い紅茶に落とした角砂糖の如く、ハピたの決意は脆くも崩れさったのでした。

キレるコラエーヌに平謝りするハピた。そこに現れたのはまたも原先生。二人に「目標はその性質によって２種類に分けられる」と話をします。

はたしてハピたは苦手な運動を習慣づけることができるのでしょうか？

お待たせしました、後編のスタートです。

解決編

「ねえ、先生！２種類の目標ってどんなの？」

「まずひとつが結果目標。これは、最終的に目指したい状態のことを言うよ。」

「普段からアタシ達が言っている、いわゆる目標ってやつね。もう１つは何なの？」

「これが重要で、行動目標というんだ。」

「行動目標？どこが違うのぉ？」

「行動目標は、結果目標を達成するために必要な、具体的な行動のことを言うんだ。」

「なんだか難しそうねぇ…」

「大丈夫、一度覚えてしまえばそんなに難しくないよ。二人が分かりやすい形で説明しようか。二人とも、ゲームは好きかい？」

「大好きー！」

「アタシも好きね。最近はもっぱらスマホだけど。」

「そんな二人に質問です。ゲームをクリアするためには、何をすればいいでしょう？」

「何を…って、ラスボスを倒す…とか？」

※ラスボスとは

「お、その通り。じゃあ、そのボスを倒すためには何が必要かな？」

「う～ん…レベルを上げて、仲間を集めて…あと、強い武器も！」

「よくできました！それが行動目標の正体なんだ。」

「え！？どういうことよ？」

「二人が挙げてくれたものをまとめてみようか。」

・結果目標と行動目標

ゲームをクリアするためにすべきこと、それは「ラスボスを倒す」ことである。
それが最終的に目指すべき状態であり、「結果目標」となる。

それを達成するための手段としては「レベルを上げる」「強い武器を手に入れる」「仲間を集める」などが挙げられる。
これらは「結果目標を達成するために必要な、具体的な行動」であり「行動目標」と呼ばれる。

「…こんな感じだね」

「なるほど…結果目標を達成するための手段・方法が行動目標ってわけね！」

「これは日常のいろいろな場面で使えるから、覚えておいて損はないよ。」

「すごーい！ボク、もっと詳しく知りたい！」

「じゃあ、行動目標をもっと細かく設定してみようか！」

・行動目標を具体化する

①レベルを上げる　その方法は？

「敵を倒して経験値を稼ぐ」
「クエストを受ける」など

②強い武器をGETする　その手段は？

「ダンジョンを探索する」
「敵からのドロップを狙う」※ドロップとは
「お金を貯めて買う」など

③仲間を集める　何をすればいい？
「ストーリーを進める」
「加入条件を達成する」など

「…こうすると、やるべきことがより具体的になるだろう？」

「わかりやす～い！」

「そうね！…でも、こんなにいっぱいあると、どれから手をつければいいのか悩んじゃいそうね。」

「手段がある程度出揃ったら、現実性と有効性の視点から、今やるべきことを絞っていこう！」

・優先順位を決めよう

①レベルアップの方法は？

「敵を倒して経験値を稼ごう」
・強敵と戦って、沢山の経験値をもらう➡現時点では現実的ではない
・弱い敵から、地道に倒していく➡現実的であり有効である

「クエストクリアで経験値を稼ごう」
・高難易度のクエストを受注する➡現時点では現実的ではない
・クリアできる範囲のクエストを受ける➡現実的である

②強い武器を手に入れる方法は？

「ダンジョンを探索しよう」
・レア武器が手に入る難しいダンジョンに挑む➡現時点では現実的ではない

「敵からのドロップを狙おう」
・いきなり強敵に戦いを挑む➡現時点では現実的ではない

「お金を貯めて買おう」
・強いけどメチャ高い武器を買う➡不可能ではないが、効率的ではない
・現時点で狙える金額の武器を買う➡現実的かつ効率的

③仲間を集める
「ストーリーを進めよう」
・進行に必要な敵を倒すためにレベルを上げる➡現実的である

「加入条件に必要なイベントをこなす」
・現時点で出来るイベントを順番にこなしていく➡現実的である

「さぁこれで、今やるべきことが見えてきたね。」

「すごーい！」

「頭の中だけでグルグル考えるよりも、一度紙に書いたりして整理した方がいいってことね。」

「その通り。視覚的な情報のほうがスッと入ってくるし、今すぐやるべきこと、後でもいいことが明確になるんだ。」

ハピた肉体改造計画

「じゃあ、これにハピたの場合を当てはめて考えればいいわけね！早速やりましょう！」

「うん！えっと…」

結果目標：体重を今よりも減らす

行動目標：①運動する②食生活の見直し③規則正しい生活④おやつを我慢する　

「・・・」

「・・・」

「こ、これは…全てがラスボス級だね…。と、とりあえず行動目標を具体的に考えてみよ…」

「やっぱり無理ィ～！！」

はぴたは、にげだした！

「ごるあぁぁ！！はぴたぁ！逃がさないわよ！！」

こらえーぬは、いかりでわれをうしなっている！

「ボク、今のままでいいよ～！」

「アンタのそのスイーツな根性、今日という今日は、叩き直してあげるわ！待ちなさーい！」

「ひえ～！！」

「やれやれ…これもある意味、運動（？）かな。」

ハピたのダイエット計画はまだ始まったばかり…いや始まってすらいない。

彼のこれからの頑張りに期待しましょう。

#6「千里の道も一歩から、塵を積まねば山できぬ（後編）」　完

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