このような「働きづらさ」や「生きづらさ」の背景に、大人の発達障害(神経発達症)があるケースがあります。
人一倍努力をしても解決できずに自己嫌悪になる…無理して頑張りすぎて体調を崩してしまった…どうしてもやる気が起きない…そんな悩みを抱えていませんか?
発達障害は、見えにくく、分かりにくい障害と言われており、周りからだけではなく、自分自身でも「苦手」を理解しづらいことがあります。発達障害の特性とうまく付き合っていくためには、自身の障害への理解を深めることが必要不可欠です。
この記事では、発達障害の中でも主にASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如・多動症)にフォーカスし、大人の発達障害の基本的な知識から、特性によって起こる困りごとの原因と具体的な対処法、そして相談先や利用できる支援制度まで、分かりやすく解説します。
大人の発達障害(神経発達症)とは?
発達障害は、生まれながらの脳機能・神経系の障害であり、後天的に発症することはありません。一方で、通常低年齢(乳幼児期・小児期)から症状が現れるとされているものの、大人になるまで気づかないケースがあります。
近年「“大人”の発達障害」という表現が使われることが増えていますが、大人になってから症状がみられるようになり、大人になってはじめて診断されるケースが増えていることが背景にあります。
大人になってから「発達障害が発症する」わけではないということです。
発達障害は、脳機能の特性と周囲の環境とがうまく嚙み合わないときに、日常生活や社会生活に困難が生じることから、「社会性の障害」と呼ばれることがあります。
子どもの頃と大人になってからとでは、環境に大きな違いがあります。例えば、学生時代までは、先生や保護者の方などのサポートがありますが、社会人になってからは「一人でやらなければならないこと」が増え、さらに「社会人としてのスキル」が求められるようになります。
この環境の変化によって、もともと持っている特性が「困難」や「苦手」としてあらわれることがあるということです。
国際的な診断基準の改定にあわせ、発達障害の新たな呼び方として「神経発達症」という名称が使われることが増えてきていますが、この記事では、多くの方に聞き馴染みのある従来の呼び方「発達障害」と表記します。
発達障害(神経発達症)定義は?
発達障害は、原因や発症のメカニズムなど解明されていない部分が多く、医学的な研究が進むごとに定義が書き換えられることがあります。
現在は、診断・治療などをおこなうための医学的な定義と福祉的な支援をおこなうための法律的な定義が用いられることが多いです。
発達障害と神経発達症の違いは?
発達障害は、DSM-5やICD-11の改訂にあわせて「神経発達症(Neurodevelopmental Disorders)」という呼び方に変更されつつあります。生まれつきの脳機能・神経系の特性であることから「障害」ではなく「症」が適切であるという考え方によるものですが、日本の法律では「発達障害」という表現が引き続き使われています。
神経発達症は発達障害よりも広い範囲を指しており、定義が若干異なりますが、今回紹介するASD・ADHD・SLDに関して言えば、呼び方が変わったと捉えたほうが分かりやすいです。
参考:神経発達症の7つの分類(DSM-5)
自閉スペクトラム症(ASD)
注意欠如・多動症(ADHD)
限局性学習症(SLD)
知的能力障害群(ID)
コミュニケーション症群
運動症群(発達性協調運動症=DCD、チック症など)
その他の神経発達症群
参考:DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版)
発達障害の原因は?
発達障害の根本的な原因は、まだ完全には解明されていませんが、生まれつきの脳機能・神経系の障害と言われています。
発達障害と神経発達症
まだ現時点では明確にはなっていないものの、脳や神経系のどこに障害が生じているのかについてある程度分かっていることがあります。
脳の特異性によって特性があらわれ、その特性によって困難が生じるのが「発達障害」ですが、一人ひとり特性は異なります。「
発達障害の種類と特徴
」で詳しく紹介します。
主な要因は?
現在の研究では、特定の原因一つで決まるのではなく、「遺伝的要因」と「環境要因」が複雑に相互作用して、脳の発達に影響を与えることで、発達障害の特性が現れると考えられています。
親の育て方やしつけ、本人の努力不足が原因でないことは、医学的にはっきりと分かっています。
なぜ大人になってから気づくのか?
先ほど、発達障害は生まれつきの障害であるものの、大人になってから発達障害に気づく人が増えていると紹介しましたが、詳しく解説します。
きっかけはさまざまですが、特に多いケースについて紹介します。
子どもの頃に気づかない理由
子どもの頃は性格や個性として見過ごされたり、周囲からのサポートによって苦手をカバーできたりしていた、という方はとても多いです。発達障害に対して社会的な理解や支援体制の整備が進んできたのは2000年代に入ってからとされており、2026年の現在でも課題が残っているのが現状です。「気づかなかった・知らなかった」は珍しくありません。
とくに、学習に目立った遅れがなかったり、学校という枠組みの中では困難が生じなかったりする場合は特性が表面化しづらく、子ども時代には特性が目立たないことがあります。
大人になって気づく背景
就職・一人暮らしなどの自立
- 仕事をする中で「なぜかうまくいかない・ミスを繰り返す」ことが起こる(例:抜け漏れが多い、臨機応変な対応が苦手)
- 家事が苦手で生活や健康に支障が出ている(例:部屋の片づけができない、料理ができない)
大人になると、自分でやらなければならないことが増えますが、その一方で特性によってどうしても苦手なことがあります。努力しているのにできずに自己嫌悪に陥ることも少なくありません。
コミュニケーション・人間関係の複雑化
- 「暗黙のルール」や「一般常識・社会人マナー」の理解が苦手
- 仕事とプライベート、職場での立場など、場面に応じたコミュニケーションの使い分けが苦手
特に日本の社会においては、大人になると、言葉そのものの本来の意味と意図が異なる表現を使うことが増えます。言葉の裏にある意図を汲んだり、相手の表情や文脈を読み取ったりする必要があるのですが、特性上苦手な方は少なくありません。
さらに、社会に出るとさまざまな関係性の人と接する必要が出てきますが、それに応じた言葉遣い・立ち振る舞い・適切な距離感が求められます。
これらの大人としてのルールの理解が苦手なことで、周囲から「常識のない人・変わった人」と評価されたり、人間関係がうまくいかなかったりすることがあります。
こうした環境の変化によって、それまで隠れていた特性が「困難」として表面化してくるのです。
近年では、多くのメディアで発達障害が取り扱われていますが、それを見て「自分も発達障害かも?」と気づき、診断を受ける方が増えてきています。
一方で、障害によるものと分からずに、周囲から叱責されたり自己肯定感が下がったりすることで心身に支障をきたし、心療内科にかかったときに発達障害の可能性を医師から指摘される方も少なくありません。
click「発達障害かも?」診断の流れについて詳しくはこちら
大人の発達障害と二次障害
「二次障害」とは、発達障害(一次障害)の特性が、周囲の環境と合わずにストレスや失敗体験として積み重なり、心や身体にダメージを負うことで引き起こされる精神疾患(抑うつ・うつ病、不安障害、強迫性障害、依存症等)や行動上の問題のことを指します。
発達障害は「目に見えづらく、分かりづらい障害」であるために、周囲から理解されずにネガティブな経験をしたり、自分自身でも「なぜできないのか・うまくいかないのか」が分からずに自己嫌悪に陥ったりすることが少なくありません。
さらに、特性によって苦手なことに対して過度に頑張りすぎることで「過剰適応」を起こすこともあります。
生きづらさや働きづらさに対して、無理をし続けることで心身に支障をきたす方は少なくありません。
発達障害の診断をこれまで受けていなかった方・気づいていなかった方も、精神疾患で心療内科にかかったときに発達障害の特性による困難が原因であることが分かるケースもあります。
二次障害を予防するためには、自分の特性への理解を深め、自己対処を身につけ、周囲へ配慮を求めるなどの環境調整をおこなっていくことが大切です。
詳しく知りたい方は以下のコラムをお読みください。
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発達障害の症状は年齢によって変わることがある
近年の調査によって、発達障害の症状は年齢と共に「変化する」「目立つようになる/目立たなくなる」ことが分かってきました。研究が進む中で、発達障害の定義も書き換えられています。 発達障害に関するトレンド情報をお伝えします。
DSM-5-TR(精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版の改訂版、2022年刊行)では、発達障害の定義が追加されています。
症状は発達早期に存在していなければならないが、社会的な要求が能力の限界を超えるまでは、完全には明らかにならない場合がある
出典:American Psychiatric Association. DSM-5-TR
少し分かりづらい表現なので、かみ砕いて説明します。
- 発達障害の「特性」は生まれつきのもので、幼少期から存在する
- 年齢を重ねるにつれ、段階的に「適切な立ち振る舞い、マナー」や「勉強、仕事」など、求められることが増えたりレベルが高くなったりする
- 社会から求められる能力が本人の能力を超えることがある
- ここではじめて、隠れていた特性が「困難」として表面化することがある
子どものうちは特性が見えなかったが、大人になり社会に出てから困りごとが現れたことで特性が明らかになるケースがあるということです。
「大人なんだから~ができて当たり前」という表現が使われることがありますが、これが「社会的な要求」です。
大人になってから、症状が「目立つ」ようになる方もいれば、逆に「目立たなくなる」方もいます。 年齢による「変化」について、最新の研究情報をもとに解説します。
ASDの年齢による変化
ASDのコミュニケーションの困難さは生涯続くものの、コミュニケーションスキルや社会性の習得によって、障害による困難さが見えづらくなることがあると言われています。
英国の研究(Hull et al., 2017)では、この「カモフラージュ」という行動が大人のASDのある方の二次障害のリスクを高めていると指摘しています。環境に合わせようと自分を押し殺し、無理をしている状態を続けることによって、重度のストレスを抱えてしまうためです。
ADHDの年齢による変化
MTA研究(Multimodal Treatment Study of ADHD)の長期追跡調査によって、以下の傾向がみられることが分かっています。
多動・衝動性
年齢とともに減少・改善する人が多い
不注意
成人期になっても持続しやすい
とくに、「走り回る・しゃべり続ける」などの目に見えて分かる困りごとが軽減すると言われています。
大人になり「多動・衝動性」が落ち着き、障害があることが認識されづらく(障害が治った・困難がないように見える)なることで、子どもの頃とは異なる壁にぶつかることがあります。
特性は治るものではないため、目立たなくなったものの、本人にとってはどうしようもない困難さは継続しているために、周囲の認識とのギャップが生じ、「理解されない、生きづらさ・働きづらさ」になることが少なくないのです。
「発達障害になった」や「発達障害が治った」と感じている方は少なくありませんが、実際には生まれつきの脳・神経系の障害であるため、後天的に発症すること、障害自体が治ることはありません。
一方で、年齢や環境によって「症状の出方」が変わることから、そのように感じるケースがあるということです。
発達障害の種類と特徴
発達障害の代表的な3つについて紹介します。
診断名がいずれかであったとしても、複数の特性が併存することも珍しくありません(例:ASDの診断だが、ADHDの症状である不注意がある等)。
知りたい障害種別が決まっている場合には、以下のリンクから飛ぶことができます。
ASD(自閉スペクトラム症)とは
自閉スペクトラム症(ASD、以下ASDと表記)は、対人関係やコミュニケーションの苦手、強いこだわりや興味の偏りなどを特徴とする障害です。
スペクトラムとは「連続体」という意味で、境界線や範囲が明確でないことを指します。ASDは人によって強く現れる特性が一人ひとり異なることがあります。
ASDの脳の特性
ASDの本質は、「特定の処理のみが優先され、他の処理が抑制される」という脳機能の特異性によるものだと考えられています。
それぞれの特性について、イメージイラストを用いて詳しく解説します。分かりやすいようにあえてオーバーな表現を使っています。
シングルフォーカス特性
- 注意・興味・関心を向けられる対象が一度にひとつに限られる
- 一度に注意を向けられる範囲が狭くなる、興味関心の幅が狭くなるなどがみられる
目の前にいる「猫」にだけ意識が向き、「猫」以外の周囲の情報(ながら運転をしてぶつかってきそうな自転車、声をかけてくる人、吠えている犬)が入ってきていません。
周囲が見えていない・聞こえていないわけではないのですが、興味がある「猫」を見ることに強く集中しすぎているのです(実際には、大きな音や声がけには反応することも多々ありますが、目の前のことに集中しすぎて他の情報や全体の状況を把握できないというのはあるあるです)。
ハイコントラスト知覚
- 「白か黒か・0か100か」「絶対に○○に違いない」など極端な考え方・感じ方・思い込みをする
- 完璧主義、物事を柔軟にとらえられない、曖昧さの苦手、激しい思い込みなどがみられる
- 視覚や聴覚など、外部からの刺激を極端に強く感じ取る(逆に感じ取りづらい)こともある
最近の研究では、当初に立てた予測を状況に応じて修正ができないことが原因と言われています。
じゃんけんをするとき、特性がない人の場合には「相手はグー・チョキ・パーのどれを出すのだろう?」とさまざまな可能性を考えますが、ハイコントラスト知覚がある場合には「相手は絶対にチョキを出す!」と思い込みます。さらに、自分の想定と違うことが起こる(相手がチョキ以外を出す)ことで混乱することがあります。
シングルレイヤー思考
- 一度に複数の情報を処理することが難しく、「言葉通り・見たまま」など一つの層だけで受け取る
- 場の空気や明文化されていないルールの読み取り、言葉の裏側にある意図(お世辞や冗談、嫌味など)の理解、物事の優先順位をつけるなどに苦手がみられる
泣きながらお腹を抱えている人を見て、特性がない人は「泣くほどにお腹が痛い」と察して、心配をしながら病院に行くことを提案しています。
一方でシングルレイヤー思考の人は「お腹をおさえる行動=胃痛?」と「泣いている表情=失恋?」をそれぞれひとつずつしか捉えられないため混乱しています。
ASDの主な症状
代表的な症状について具体的な例とあわせて分かりやすく紹介します。
人との関わりやコミュニケーションの困難
- 人間関係を築くことや深めていくことが苦手
- 会話のキャッチボールや空気を読むことが苦手
想像力、見通しの困難
- 抽象的・あいまいな表現が理解できない
- 予定を組む・優先順位をつけることが苦手
こだわりや反復的な行動
- 特定の対象・決まった手順やルールに過剰なまでにこだわる
- 儀式的な行動(ルーティン行動)をおこなわずにいられない
感覚の過敏さ、鈍感さ
- 特定の音や光、匂いが非常に苦手で苦痛を感じる
- 痛みや暑さ・寒さに気づきづらい
ADHD(注意欠如・多動症)とは
注意欠如・多動性障害(ADHD、以下ADHDと表記)は、不注意や多動、衝動性などを主な特徴とする障害です。
ADHDの脳の特性
行動の判断や欲求の制御(実行機能)をつかさどる脳の部位が、十分に機能できていない(低覚醒、低活性)ことが原因と考えられています。
それぞれの特性について、イメージイラストを用いて詳しく解説します。分かりやすいようにあえてオーバーな表現を使っています。
行動や思考を制御する機能の低下
- 判断や抑制をつかさどる脳の部位の機能低下により、行動や思考のブレーキが効きにくくなる
- 脳の特性と本人の性格の掛け合わせにより、行動のブレーキが効かない、過集中、行動の切り替えができないなど、個々の症状がみられる
これ以上食べると翌日体調を崩すことを分かっていながらも、「今、食べたい」という気持ちが抑制ができず、ついおかわりを注文してしまっています。後悔することを頭では理解しているものの、脳内のブレーキが効かない状態です。
ワーキングメモリーの弱み
- 脳の一時的な記憶の置き場であり、作業場でもあるワーキングメモリーの機能が低下により、忘れっぽさ、注意の逸れやすさ、複数タスクの同時進行、臨機応変な対応の苦手などがみられる
電話で取引先から発注を受けたあとに、上司に声を掛けられ、電話の内容を忘れてしまった…特性の有無を問わずあるあるかもしれませんが、ワーキングメモリーに弱みがある場合には「誰からの電話だったか」や「電話のメモをどこに書いたか」すら忘れてしまうことがあります。
別の情報が入ると、元持っていた情報(記憶)が消えてしまうのです。
ADHDの主な症状
ADHDには、不注意優性型、多動・衝動優位型、混合型の3つのタイプがあります。
代表的な症状について具体的な例とあわせて分かりやすく紹介します。
不注意
- 集中力が続かない、気が散りやすい
- 忘れ物や失くし物が多い、約束を忘れる
- ケアレスミスが多い
多動性
- 落ち着きがない
- じっとしていれられず、そわそわしたり貧乏ゆすりをしたりする
- 用もないのに立ち歩く
衝動性
- 自分の行動を制止することができない
- 思い付きで行動をしたり、不用意な発言をしたりする
- 感情をおさえきれずについ攻撃的になる
SLD(限局性学習症)とは
限局性学習症(SLD、以下SLDと表記)は、全体的な知的発達に大きな遅れはないが、読み・書き・計算などの特定の学習能力の習得に著しい困難を抱える障害です。
SLDの類型
DSM-5ではSLDを以下のカテゴリーに分類しています。代表的な症状について具体的な例とあわせて分かりやすく紹介します。
読みの障害/読字障害(ディスレクシア)
- 似ている字を判別することが難しい
- 文字を読み飛ばす
- 読み間違える、どこを読んでいるか分からなくなる
書きの障害/書字表出障害(ディスグラフィア)
- 正しい文字を書くことができない、漢字を覚えられない
- 誤字脱字が多い
- 文章をフォーマットにあわせて書くことができない
算数の障害/算数障害(ディスカリキュリア)
- 簡単な暗算(足し算・九九等)ができない
- お金の計算ができない
- 繰り上げ・繰り下げが理解できない
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発達障害の症状は年齢によって変わることがある
医学的な診断基準には当てはまらないものの、特性による「生きづらさ・働きづらさ」があることを「グレーゾーン」を呼ぶことがあります。医学的な正式名称ではないものの、耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。
発達障害と診断されない方の中にも、特性を抱える人は多くいます。一方で、診断は医師によってされるために、特性はあるが、障害(日常生活・社会生活への支障)がないと判断されることがあります。 診断がつかないために、福祉的な支援からこぼれ落ちてしまう…その結果、うつ病や適応障害などの精神疾患につながることは少なくありません。
診断がつかない場合でも、特性への対処法は同じです。
まずは、自身の特性を知り、特性との付き合い方を学んでいくようにしましょう。
発達障害は、特性と環境のミスマッチによって困難が生じます。逆に言えば、自身に合う環境を探すことで苦手が軽減できる可能性があると言えます。例えば、仕事内容や職場の環境などが合っていれば、困りごとなくパフォーマンスを発揮できるかもしれません。
環境だけでなく、自分の特性に応じた工夫を取り入れていくことも重要です。
診断がない「グレーゾーン」の方も参加できる「発達障害当事者会」というものがあります。
特性による困難を抱える方同士で情報交換をしたり、悩みを共有したりすることができます。
「自分だけではない!」と安心できるだけではなく、特性への対処法を学ぶきっかけになることも。
発達障害当事者座談会 デコボコノバ
デコボコノバでは、当事者同士での交流だけではなく、専門家との個別相談会も実施しています。
発達障害の診断がない方のご参加も大歓迎です!
大人の発達障害の困りごとの原因と対処法
大人の発達障害がある方の、日常生活・職業生活における困りごとの例を原因となる特性・対処法(自己対処・周囲に依頼する合理的配慮)とあわせて紹介します。 同じ診断名でも特性は一人ひとり異なるため、原因や自身に合う対処法はさまざまですが、代表的なものをお伝えします。
知りたい障害種別が決まっている場合には、以下のリンクから飛ぶことができます。
大人のASDのよくある困りごと
大人のASDのある方のお悩みあるあるの中でも、とくに「職場」で起こりやすい困りごとを紹介します。
CASE2:曖昧な表現が理解できない
ex.
「だいたい・なるべく早く」という指示が理解できず、業務のミスが生じるCASE3:こだわりが強く融通が効かない
ex.
自分の業務フロー(仕事の流れや手順)を変更されることに強い抵抗感があるCASE4:想定外のことが起こるとパニックになる
原因となる特性例
ハイコントラスト知覚
視点や考え方の切り替えが難しく、一度「こうだ」と思うと、それ以外の考え方が受け入れにくくなる
シングルフォーカス特性
今取り組んでいることから、別のことに注意を向けることが難しい
シングルレイヤー思考
現状(優先順位の変更)を把握しながら、対処法を同時に考えることが難しい
大人のADHDのよくある困りごと
大人のADHDのある方のお悩みあるあるの中でも、とくに「職場」で起こりやすい困りごとを紹介します。
CASE2:ケアレスミスが多い
原因となる特性例
ワーキングメモリーの弱み(不注意)
対象に注意を向け続けることが苦手、気が散りやすい
脳の機能低下(多動・衝動性)
確認せずに進めてしまう、作業に飽きてしまう
CASE3:ひとつの作業を継続することができない
ex.
人の話を聞き続けることや同じ資料を読み続けることが苦手日常生活に支障をきたすほどの眠気がある場合には、睡眠障害の可能性があるため睡眠外来をおこなっている医療機関にかかることがおすすめです。
大人のSLDのよくある困りごと
大人のSLDのある方のお悩みあるあるの中でも、とくに「職場」で起こりやすい困りごとを紹介します。
CASE1:文章を作成するのが苦手
原因例
- 似た文字を判別することが難しい
- 主語述語の関係が分からなくなる
- 情報を一つずつ順序立てて理解することが難しい
CASE2:口頭での情報処理が苦手
原因例
- 文字を言葉・音に変換して理解することが難しい
- 口頭で伝えられた情報を聞くこと・処理することが難しい
- 情報の順序を思い出すことが難しい
発達障害かも?と思ったら|相談先と診断方法
発達障害の症状やよくある困りごとに当てはまる、自分も発達障害があるかもしれない、と思っている方に向けて、相談先から診断までの流れについて紹介します。 発達障害の診断は医療機関でのみおこなうことができます。自己判断は禁物です。
とはいえ、病院に行くのはまだちょっと不安・抵抗がある…という方も多いと思います。まずはお住まいの地域にある「発達障害者支援センター」など公的機関の相談窓口に問い合わせるのもおすすめです。
相談先は?
発達障害の診断を受けたいが、どこに相談したらいい?という場合の問い合わせ先について紹介します。
公的機関
それぞれ地域によって名称が異なることがありますが、ほとんどの都道府県・市区町村に設置されています。
発達障害者支援センター
発達障害がある方のサポートに特化しており、発達障害がある方だけではなく、発達障害の疑いがある方も利用可能です。地域の医療機関や支援機関を紹介してもらうこともできます。
精神保健福祉センター
こころの健康に関する幅広い相談が可能です。
市区町村の障害福祉窓口
お住まいの地域の障害福祉サービスについて相談できます。
医療機関
精神科・心療内科(メンタルクリニック)
受診前に、Webサイトや電話で「大人の発達障害」の診断や治療をおこなっているかを確認するのがおすすめです。
診断の方法は?
診断は、国際的な診断基準(DSM-5、ICD-10等)に沿っておこなわれます。
検査内容は医療機関によって異なりますが、主に問診や検査結果とあわせて総合的に判断されることが一般的です。
近年、発達障害の認知度が高まったことで受診される方が増えており、なかなか予約ができなかったり、診断が出るまでに時間を要したりするケースが多いようです。
障害福祉サービスの利用を検討されている方は、お早めに受診をするのがおすすめです。
診断を受けるメリットとデメリットについて、気になる方も多いのではないでしょうか。
ぜひ以下のコラムもあわせてお読みください。
発達障害の診断後にやることは?|治療と支援制度
診断を受けた後は、生きづらさ・働きづらさの原因が分かって安心する方もいますが、「これからどうしよう…」と不安や戸惑いを感じる方も多くいると思います。
診断後にできることについて解説します。
この記事では、診断を受けたあとの行動ステップについて概要をまとめています。
詳しく知りたい方は、ぜひ以下のコラムもあわせてお読みください。
まずは担当医と相談
診断結果を踏まえ、今後の治療方針や生活・仕事上の対策について、担当医やカウンセラーに相談してみましょう。
主な治療方法
発達障害そのものを「治す」薬はありませんが、症状を和らげるための対症療法として薬が用いられることがあります。
服薬以外の治療法としては、特性との付き合い方を学び、社会に適応するためのスキルを習得する心理社会的治療などがあります。
いずれも、特性による困りごとを軽減するためのサポートが中心です。
発達障害の二次障害(うつ病や不安障害など)に対する治療がおこなわれるケースもあります。
利用できる支援制度を知る
発達障害のある方をサポートする制度について紹介します。
対象となる制度は多岐に渡ります。条件に当てはまるもの・自分に必要なものを検討していくようにしましょう。
主な支援制度
精神障害者保健福祉手帳
障害者総合支援法の対象となり、さまざまな支援を受けることができます。具体的には、税金の控除、公共料金の割引、医療費の助成、就労に関する支援(障害者雇用枠での就労)などがあります。
障害年金
障害や病気によって日常生活や仕事に制限が生じた場合に支給される年金です。
訓練等給付
就労移行支援(働く準備のサポート)、自立訓練(自立した生活のサポート)などの障害福祉サービスを利用するための給付金制度です。
就労移行支援事業所ディーキャリアでは、大人の発達障害の「働きづらさ・生きづらさ」を抱える方に向けた無料相談会を開催しています。お近くのオフィスにお問い合わせください。
生きづらさ・働きづらさと付き合うためにできること
発達障害は、症状を「治す」ことはできませんが、自分の特性理解を深め、特性との付き合い方を学んでいくことで、困難を軽減することができます。
一人で抱えこまずに、障害福祉サービスなどの支援を受けることを検討するのもおすすめです。
①自分の特性への理解を深め、対策を講じる
「生きづらさ・働きづらさ」を感じた場面を振り返り、そのときの状況や困りごとの原因を客観的に分析していきます。
なかなか一人で原因を突き止めていくことは難しいものですが、発達障害の特性について紹介している記事や、発達障害当事者の方の体験談などの情報を得ることで、「自分もこれに当てはまりそう!」と見当をつけやすくなります。
同じ診断名であっても、個人の特性や性格によって適切な工夫が異なるため、実際に試してみながら自分にマッチする対策を見極めていきましょう。
特性理解や特性対策について詳しく知りたい方は以下のコラムをあわせてお読みください。
②必要な配慮について考える
特性による苦手の中でも、工夫をすることで自己対処できるものと、そうでないものがあります。職場における困難で、周囲のサポートが必要なことについては「合理的配慮」として勤務先に依頼をすることができます。
合理的配慮について詳しく知りたい方は以下のコラムをあわせてお読みください。
③向いている仕事について考える
発達障害のある方の「働きづらさ」の原因の多くは、自身の特性と職場環境・仕事内容のミスマッチによるものです。
長く働き続けるためには、自分の強み・弱み、得意・苦手を見極め、向いている仕事や自分に合った働き方を選ぶことも重要です。
向いている仕事について詳しく知りたい方は以下のコラムをお読みください。
就労移行支援事業所ディーキャリアでは、発達障害・精神障害のある方の「働く」をサポートするためのプログラムを用意しています。
ディーキャリアのプログラムで学べること
- 障害特性について学び、自己理解を深める
- 自分に合った特性対策を見極め、実践する
- 自分の障害についてまとめた「取扱説明書(ナビゲーションブック)」を作成する
- 自分に合った仕事内容・働き方を探り、就職活動をする
「一人では難しそう…」と感じている方は、ぜひ無料体験会にご参加ください! お近くにオフィスよりお問い合わせください。
オフィス一覧▶大人の発達障害のよくあるご質問
大人の発達障害がある方が気になる情報を、よくあるご質問形式でまとめました。
ご質問への回答とあわせて、詳しい情報をまとめたコラムを紹介します。ぜひ合わせてお読みください。
- 発達障害は治りますか?
- 発達障害の診断を受けた場合、会社に報告はしなければなりませんか?
- 発達障害がある場合、必ず障害者雇用枠で働かなければなりませんか?
- 職場における合理的配慮とは何ですか?
- 発達障害のある人に向いている/向いていない仕事はありますか?
- 発達障害の診断を受けた後、カミングアウトはすべきですか?
- 発達障害の診断を受けるメリットとデメリットを教えてください。
メリットは「公的な支援を受けられる」「障害への対策を立てられる」、デメリットは「民間保険への加入が難しくなる場合がある」「障害があることを自己受容しなければならない」です。
診断を受けたとしても、周りの人に伝えるか・福祉的なサポートを受けるかは本人次第なので、「生きづらさ・働きづらさ」を感じている場合には、まずは診断を受け、自己理解を深めることがおすすめです。
詳しくはこちら【当事者が解説】大人の発達障害の診断は受けるべき?メリットや注意点を紹介
一人で悩まず、まずは相談を
発達障害は、「見えにくく、分かりにくい障害」であり、同じ診断名であったとしてもその特徴は十人十色です。
自身の「障害特性」を理解することが、生きづらさ・働きづらさと付き合う上で最も大切なことです。 まずは「自己理解をする」ことからスタートし、「苦手への自己対処ができるようになる」、そして「周りに伝えられるようになる」ことで、生きやすさ・働きやすさを目指すことができます。
とはいえ、障害特性の理解をひとりで進めることは簡単ではありません。「自分だけで考えるのは難しい」「やり方がわからない」「アドバイスや意見がほしい」という方も多いと思います。
そんなときに頼れるのが「就労移行支援事業所」です。
就労移行支援事業所は、障害のある方の「働く」をサポートする障害福祉サービスで、一人ひとりの「働く」に関する悩みや課題にあわせた支援をおこないます。
就労移行支援でできること
- 障害特性との付き合い方を学ぶこと
- 働くための準備をすること
- 自分に合った職場を探し、就職活動をすること
ディーキャリアの特徴
- 就職“後”を見据えたサポート
- 発達障害の特性に応じたコンテンツ
- 発達障害のある方の退職理由に応じたプログラム
自分の特性を知り、長期的に安定して働きたい!という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。