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発達障害(ASDやADHDなど)のある方が、就職・転職の際に選択しなければならないことについて。障害者雇用?オープン?クローズ?

前回のブログ「障害者雇用で就職を目指す発達障害のある方が、障害者手帳を取得・申請をしようと思ったら」で、障害者雇用枠で雇用されるには障害者手帳(発達障害の方の場合は精神障害者保健福祉手帳)が必要になることをお伝えしました。

今回は前回のブログの復習もしながら、就職・転職を目指す発達障害(ASDやADHDなど)のある方が、いずれ選択しなければならないことをお伝えします。

先にまとめです。
・いずれ選択が必要なことは、障害を「開示する」か、「開示しない」か。
・開示して障害者雇用として就職した場合、事業主に過度な負担のない範囲で配慮を受けることができる。
・開示せず一般求人で就職した場合、障害の有無に関わらず、成果が求められる。
(※障害者雇用は成果が求められない、ということではありません。)
・どちらがよいかはご自身の判断。
・一度開示したからといって、次も開示しなければならないということはない。

ブログでは概要の紹介となりますが、事業所での訓練では細かく、繰り返しお伝えし、就職していただくだけでなく、働き続けることを目指していただけるような訓練提供に努めております。

もっと詳しく知りたい!と思っていただけましたら、是非、相談や体験をご検討くださいませ。
ご家族の方、支援者の方のお問い合わせやご相談も承ります。最後に相談会のリンクをご用意しておりますので、是非、最後までご覧ください。

事業主の方、人事関連業務についていらっしゃる方は以下の厚生労働省の情報が参考になると思います。

厚生労働省 ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 雇用・労働 > 雇用 > 事業主の方へ ~従業員を雇う場合のルールと支援策~ > 事業主の方へhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page10.html

では、本題です。

障害を開示するか?開示しないか?

まず、重要な方向性として、障害のある方が自身の障害を「開示する」か、「開示しない」か、です。
別の言い方をすると「伝える」か、「伝えない」か。

支援に携わる私たちは、以下のように言うこともあります。
・オープン(事業主に障害を開示する(伝える))
・クローズ(事業主に障害を開示しない(伝えない))

「開示する」、「開示しない」を決めることは当事者の方の自由です。強制されることもありませんし、他者が強制することもできません。
 
障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を取得したからといって、「開示しない」で就職活動ができないということではありません。
(障害者雇用枠に応募する際は開示、手帳の提出が必要です)

前回のブログでも書いた通り、障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を取得しても、使う、使わないは、その権利を持っている当事者の方次第です。

続いて、「開示する」と「開示しない」ではどのような違いがあるか、見ていきましょう。

オープン就労の場合(事業主に障害を開示する(伝える))

オープン就労の場合は、以下2つの可能性があります。

1つ目は、障害者雇用枠で就職。

採用された場合、企業にとって過度な負担ない範囲での「合理的配慮」を得られやすいです。
なぜかというと、障害のある方を雇うということに対して、企業としても準備・心構えをしている可能性が高いからです。

「合理的配慮」を一言で表すことは難しいのですが、入口としては以下のように認識いただければと思います。

障害のあるなしに関わらず誰もが平等に生きることができる社会を実現するために、障害によっておきる困難さを取り除いたり、周りの環境を整えたりするなどの支援などの合理的配慮の提供が、企業等の側には求められているのです。

ディーキャリア お役立ちコラム ハタらくナビ 合理的配慮とは?基礎知識をまとめました。より引用(2023年2月18日参照)https://dd-career.com/column_data/05/#box

以下は合理的配慮の一例です。(※得意・不得意は人それぞれです。すべての方に当てはまるわけではありません)

ASD(自閉症スペクトラム障害)のある方の場合
苦手:予想外のことや変化に混乱してしまうことがある。
自己対処:自分に与えられた仕事の期限をメモで把握し、変化やイレギュラーなことがあってもメモを確認して、考えを整理する。対応が難しい場合は相談されていただく。
配慮依頼:予定の変更や作業の変更は、なるべく事前に伝えていただく。

ADHD(注意欠如・多動性障害)のある方の場合
苦手:ケアレスミスや確認漏れが発生してしまうことがある。
自己対処:確認箇所を記したチェック表を使い、確認漏れを防ぐ。
配慮依頼:ダブルチェックをお願いする。

なんでもお願いすれば配慮をしていただけるわけでもありません。

配慮を得るためには、自己理解⇒セルフケア⇒配慮依頼という流れが重要です。
(流れの詳細は、別途説明が必要なため今回は割愛します。)

すごくシンプルにいうと、「自分でできることは自分で」ということです。

2つ目は、一般求人枠で障害を開示して就職。

ご自身の障害について、企業に開示して就職。開示した場合であっても、配慮を受けることが難しい可能性があります。障害のある方を雇用する前提の求人とは異なるからです。

クローズ就労の場合(事業主に障害を開示しない(伝えない))

「開示しない」場合は、他の方と同様に成果を求められます。仕事のスピード、正確性も求められます。複数の仕事を同時に進行すること(いわゆるマルチタスク)も求められます。

日本の会社では、とある仕事で良い成績を出すと、昇進することがあります。今までは一つのことで成果を出せばよかったので、特に困ることなく、むしろ他の人よりも成果を出していました。その成果が認められ、昇進したのはよいのですが、自分のことだけでなく、部下の管理、部下の仕事の進捗の管理、他部署との調整、対外的な業務の増加、社内の事務的書類の増加等などと、仕事が極端なマルチタスクに変わる場合があります。このような慣行も発達障害のある方の苦手が急に発生する要因でもあります。「大人の発達障害」といわれることを耳にすることも増えましたが、その一つです。

苦手があることは誰にでもありますが、発達障害のある方は特に、苦手に対しての対応が難しい場合があります。
理解者がいないことや、「言うべきか」、「言わないべきか」悩んだり、迷ったりすることはストレスを感じやすい状況です。

もしかすると苦手とはいっても、仕事に支障がないかもしれませんが、著しい影響があるかもしれません。
その影響も耐えられるかもしれませんが、耐えられずに二次障害(別の精神疾患など)につながってしまう可能性もあります。

結局はその環境に合うか、合わないか。対応できるか、できないか。というところではないでしょうか。

「開示する?」、「開示しない?」どちらがよいのか?

正直に言います。分かりません。
ただ、ディーキャリア郡山オフィスを利用して就職された方からは、障害者雇用枠で就職してよかったとお聞きします。
周りに理解していただき、他の方と一緒に働くことが嬉しいと言っていました。

ご相談いただいた方の中には、収入の面から一般求人で働くという方もいらっしゃいました。

どちらがよいかはご自身の判断です。それぞれの価値観です。

自分が何を基準に判断するか、何を目指すのか、どう生きていきたいのか。
いずれ選択する時が来るまでに、そういった自己理解が必要なのではないでしょうか。

特に発達障害や統合失調症など、見た目では分からない障害は特に自己理解が重要です。

その自己理解に役にたつのが、就労移行支援事業所だと考えております。就職の手段は他にもありますので、次回のブログで合わせて紹介したいと思います。

特に発達障害や統合失調症など、見た目では分からない障害は特に自己理解が重要です。

相談会のご案内

2月22日は相談会を開催します。開催日以外でも相談可能な場合がありますので、ご希望の方は電話またはメールでご連絡くださいませ。

お仕事のこと、就職活動のこと、学校卒業後の進路のこと、ご家族のこと。
統合失調症やうつ病の方、発達障害以外の障害をお持ちの方のご相談も可能です。

ご相談いただく内容は人それぞれ様々です。迷ったら中をちょっと見てみるだけでもOKです。

3月も相談会を行います。ご案内は準備中ですが、整い次第、ホームページやSNSでご案内いたします。

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就労移行支援事業所 ディーキャリア郡山オフィス
ワークスキルコース担当 石黒
ホームページ:https://dd-career.com/office_data/koriyama/
住所:福島県郡山市中町5-19 みづとくビル2F
電話:024-973-5305
メール:koriyama@dd-career.com
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