【発達障害のある方が持つ悩み】睡眠に関わるセルフケアを実践して感じたこと
こんにちは!
ディーキャリア川崎オフィス、生活支援員の伊藤です。
今回は睡眠についてのお話と、実際に私が睡眠に関係するセルフケアを試したことによる変化についてお伝えしたいと思います。ディーキャリア川崎オフィスの方の悩みで多い睡眠に関する問題。発達障害の特性や薬など要因はさまざまですが、人生の3分の1を占める睡眠に悩みがあるのは、それだけでも問題です。
「よく眠れない」「眠りが浅くて、疲れが取れた気がしない」「日中眠くて仕方がない」といった方は、是非最後までご覧ください!
では、実際にどのようなことをおこなったのか、順にみていきましょう。
発達障害のある方が抱える睡眠の悩みとは?
発達障害のある方は、ご自身のメンタルの状態や、特性、飲んでいる薬の作用によって、睡眠に関する悩みを持つことがあります。
例えば、ADHD(注意欠如・多動性障害)のある方は、不注意・多動性・衝動性 ※1 といった特性を持っています。これらの特性は脳の神経伝達物質が少なかったり、神経伝達の異常によって、行動や思考のブレーキの役割を果たしている前頭前野が、低活性状態になっていることによって生じています。
結果、いろいろなことに気を取られてしまうなど、疲労につながる行動が増えて、その疲労を取るために睡眠時間が長くなると言われています。また、好きなことや関心のあることに没頭してしまうような過集中の特性によって、食事や睡眠をおろそかにしてしまうことがあります。結果、寝すぎたり、逆に寝ないことが繰り返し発生して、生活リズムが乱れてしまうといったことになります。
他にもASDのある方であれば、感覚過敏によって疲労が蓄積してしまったり、ADHDのある方と同じように好きなことや関心のあることに没頭してしまうような過集中の特性が睡眠の悩みにつながっていると考えられます。
感覚過敏では、特に光や音によって眠れないことが多く、ちょっとした刺激によって目が覚めてしまい、不眠などの症状が出てくることが考えられます。
また、過集中は、何かに没頭するあまり徹夜をして睡眠リズムが崩れたり、集中が切れて我に返った時に、どっと疲労を感じて睡眠による回復に時間がかかるようになります。
このように、発達障害の特性は睡眠の悩みと密接に結びついています。そのため、特性に合わせた対策をプラスしてセルフケアをおこなうことが大切です。
今回実践したセルフケア
今回実践したセルフケアは全部で2つになります。
私自身も睡眠時間が乱れがちなので、セルフケア2つを試してみて、心身の状態をセルフモニタリングしてみました。
起床後1時間以内に散歩を15分程度おこない、食事をとる
まず一つ目は、起きた後、1時間以内に散歩を15分程度おこない、食事をとることです。
普段は特に散歩などおこなわず、用事のない日はぐっすり眠っているので、生活リズムを変えるのに苦労したセルフケアです。
このセルフケアが目的としているのは、「体内時計 ※1 のリセット」と「セロトニン ※2 を分泌させること」です。これらの目的を達成するために、共通でできることは「太陽の光を浴びること」と「食事をとること」です。
そのため、「太陽の光を浴びるために散歩をおこなった後、朝食をとるリズムを作る」ことがベストな方法になります。とはいえ、やり方に固執しすぎなくても問題ありません。
散歩は「起床後1時間以内」に「15分程度」おこなうと良いでしょう。
とはいえ、いきなり次の日からやろうとしても、さまざまな理由から無理な方もいるでしょう。
始めの内は、起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴びることから始めて、休日など、やりやすい日から、徐々に散歩をする時間を作っていくと良いでしょう。私もこの方法でおこなっています。
食事は、セロトニンの原料となる栄養素(トリプトファン、ビタミンB6)を摂取するためにも、それらを多く含む食品を意識して食べることが大切です。特にビタミンB6は熱に弱い栄養素であるため、赤身肉など火を通す必要のある食べ物は、焼く、ゆでるなど、短時間で加熱ができる調理方法がおすすめです。朝から栄養バランスの取れた食事を心がけてみましょう。
<セロトニンの原料が含まれる食べ物>
・乳製品(牛乳やチーズなど)
・バナナ
・赤身魚(マグロやカツオなど)
・赤身肉
・大豆製品 など
※1 体内時計とは
1日の流れを自然に過ごすために身体に備わっている機能のこと。人の体内時計は約25時間周期となっている。体の様々な臓器にそれぞれ固有の時計が備わっていて、これらを効率的にリセットするためには太陽の光を浴びたり、栄養バランスの整った、朝食による刺激が良いとされている。
参考サイト:厚生労働省、e-ヘルスネット
※2 セロトニンとは
脳内の神経伝達物質のひとつ。ドーパミン(楽しいことをしたときなどに分泌)やノルアドレナリン(集中が必要な時などに分泌)などの他の神経伝達物質を制御し、精神状態を安定させる働きがある。
また、自然な眠りへと誘導するホルモンである「メラトニン」の基となるため、睡眠の質にも関係がある。
太陽の光を受けて分泌される他、一部の食物からセロトニンの原料となる栄養素を摂取することで量を増やすことができる。
参考サイト:厚生労働省、e-ヘルスネット
寝る前のテレビ、スマホを止める
次におこなったのは、寝る前のテレビやスマホを止めることです。
普段の生活では、テレビでユーチューブやドラマを見ながら、スマホでSNSを見るなどしていますが、こういった行動も眠りづらくなる要因になります。電子機器の発する光にはブルーライトというものが含まれていて、この光によって眠くなるタイミングがずれて、睡眠リズムの乱れにつながります。
実は、ブルーライト自体は太陽にも含まれていて、体内時計をリセットするために重要な役割を果たしています。
つまり、夜に眠れないのは、テレビやスマホなどからブルーライトを浴びたことにより、体がまだ日中だと勘違いすることによって引き起こされているのです。生活リズムを整えるためにも、太陽光を浴び、夜はブルーライトを浴びる機会を減らしていけるようにすることが大切だというのが分かりますね。
いかにして実践したのか?
では、以上二つのセルフケアを具体的にどのように実践したのかご紹介したいと思います。
セルフケアを実践する際に準備したのは、アラーム設定です。私が設定した時間は以下の通りです。
起床時間 6時00分
起床後50分後の時間 6時50分
就寝前に電子機器を見る・触るのを止める時間 23時30分
就寝時間 0時00分
起床時間は、基本6時00分になるようにアラームを設定しています。
この時、アラームのスヌーズ機能は使用しないようにしています。理由は、以前使用していた時に起きた後にだるさが残る感覚が続いたためです。私自身の感覚にはなりますが、もし、スヌーズ機能を使用していて、起きた後にだるさを感じる方はスヌーズ機能を切ってみてもいいかもしれません。
起きた後は、陽の光を浴びるためにカーテンを開けていました。また、目を覚ますためにベランダに出ることもあり、陽の光からのじんわりとした暖かさを感じながらゆったりとしていました。もちろん、徐々に散歩にシフトしていきましたが、なかなか平日に散歩することを習慣化していくのは難しかったです・・・。
就寝時間は、帰るのが遅くならない限りはこの時間を守って眠るようにして、ずれてしまっても1時00分までには就寝するようにしました。
ポイントは、「予定通りにしなきゃ!」ではなく、「予定通りにすると無理が生じるから、無理なくできるようにするにはどうすれば良いか?」という視点で、その後の行動を変えたことです。
「そうでなくてはならない」とルールで縛ってしまうと、自身にとって苦しいだけです。プライベートの時間は、その日の自分をいたわることのできる時間です。次の日も気持ちよく過ごすために、どう過ごすか?ということを考えてみることをお勧めします。
また、仕事から帰宅した後の行動を分けて、各行動でかかる時間に目星をつけるのも良いでしょう。
私の場合、「夕飯」「入浴」「歯磨き」「明日の準備」「余暇時間」「就寝」の6つに分け、各行動でかかる時間に目星をつけて実際に動いています。ここも「その通りの時間で動く」ではなく「大体この位の時間なら問題ない」と考えるのがポイントです。時間に合わせようとするあまり、逆に緊張状態が続いてしまうと眠れなくなるので、ある程度力を抜いて取り組んでみると良いかもしれません。
セルフケアを実践して感じる変化
今回、二つのセルフケアを実践したことで感じたのは、大きく分けて3つあります。
①寝付きがよくなった(睡眠の質が良くなった)
元々、私自身は睡眠時間が5~6時間程度と短い方で、中途覚醒もあります。夜中の時間に起きてしまうためか、睡眠の質もそこまで良いものではありませんでした。今回はそうした私の悩みがかなり軽減されました。
私自身、夕飯や入浴など、夜にやることを終えた後はテレビやゲーム、スマホでのネットサーフィンなど、ブルーライトのオンパレードの中で生活をしていたため、これらを見ていた時間が一部睡眠時間に置き変わりました。結果、睡眠時間の短さが改善し、睡眠の質が上がったことを実感しました。
②実践した日から調子が上がったように感じられた
休日から始めたことでそう感じやすかったのかもしれませんが、起きた直後の身体の動きやすさ、モチベーションの上がり方がグッと変わりました。セルフケア実践時は、寒暖差がある中だったのですが、すぐに起きられたり、ゴロゴロしても10分以内には起きることができました。普段であれば「布団から出たくない」と考えて、そのまま二度寝してしまうことがあったのですが、その回数も少なく感じました。
また、平日中もできるだけセルフケアを実践することを念頭に置いたことで、結果的に生活リズムが徐々に整っていきました。
③睡眠時間が長くなったので、朝すっきりと起きられるようになった
普段の睡眠時間の平均が5時間前後のころと比べると、1時間ほど長く眠るようになったので、その結果、次の日にすっきり起きられるようになりました。
身体のだるさ、頭の重さなどもほとんどなく、メリットだらけのように感じました。また、起き抜けは気持ちが落ちてしまうことが多かったのですが、それも少なくなったように感じています。
まとめ
睡眠の悩みを解消・軽減するためには、以下の2点をおこなってみましょう。
・起床後1時間以内に散歩を15分程度おこない、食事をとる
(ただし、無理のないように土日などから始める)
・寝る前のテレビ、スマホを止める
今回は、睡眠に関するセルフケアを実際におこなってみたことについて書かせていただきました。
実際におこなってみるまで、案外分からないことも多く、やはり試すことは非常に大切だと感じました。(特に散歩!リズムを作るまでが大変でした・・・)
他にも体調やメンタルの崩れに対するセルフケアを紹介していますが、皆さんも見るだけではなく、試すところまで持っておこなっていただければと思います。
<日々の疲れ、メンタルの崩れが気になる方はこちら>
【発達障害のある方必見!!】セルフケア方法をご紹介~まずは心身の回復から~
<土曜開所ではこんなこともやってます!>
事業所でおこなっている土曜開所のご紹介~フェイストラッキングを試そう!~
事業所でおこなっている土曜開所のご紹介~運動プログラムやってます!~
個別相談のお申込みはこちら
https://forms.gle/egiq9kpt8zyStUzF6
「ディーキャリア 川崎オフィス」のイベント案内はこちら
https://forms.gle/jBDkjqADH8GmSsRz9
川崎オフィスのブログ一覧
オフィス情報
川崎オフィス
- アクセス
- JR「川崎駅」東口より徒歩13分
- 電話番号
- 044-245-5590