【発達凸凹×就職活動】短時間雇用の促進に向けて ~週20時間未満労働~
こんにちは!ディーキャリア川崎オフィス 職業指導員の吉村です。
就労移行支援では、就職後6か月間の職場定着支援をおこなっているのですが、
今日は月に1回の職場訪問の日でした。
ご卒業された方が、活き活きと働いているご様子を見ると、本当に嬉しくなります。
支援者の最大の喜びと言っても、過言ではないほど。
頑張って訓練をされてきた日々を思うと、胸が熱くなってしまいます。
週20時間の壁
実はその方は体調に波があり疲れやすく、長時間の活動が難しいという課題がありました。
就労意欲は高いものの、いわゆる「週20時間」の壁を越えられないかもしれないという悩みがあったのです。
障害者雇用促進法で定められている法定雇用率。
常時雇用する従業員が43.5人以上の民間企業は、障害のある方を2.3%以上雇用することが義務付けられています。
ただし、法定雇用率の算定対象となるのは、1週間の所定労働時間が30時間以上であることが前提となります。
週20時間以上30時間未満の労働者については「0.5人」と算定されるのですが、
2023年3月末日までの特例措置として、精神障害のある方に限り「1人」と算定されます。
精神障害のある方の職場定着を促進する観点からの特例措置ではありますが、
実はこの制度自体が「高い障壁」となってしまう場合もあるのです。
週20時間の労働というと、4時間勤務を5日間、もしくは5時間勤務を4日間が一般的です。
しかし精神障害のある方や、重度の障害がある方は、この1日4~5時間働くことが難しい方もおられます。
しかし企業側からすると、20時間以上働けない方を何人雇用しても、法定雇用率的には「0人」。
当然、20時間以上の求人しか出しませんよね。
もっと短時間であれば安定的に働くことができるのに、障害者雇用の枠組みの中では働くことができない。
障害のある方の雇用を促進するための制度のはずが、逆に就労を阻むことになってしまう。
なんだか本末転倒の話ですよね。
そのような状況を打破する施策が、ディーキャリア川崎オフィスのある川崎市ではおこなわれているのです。
『 短時間雇用プロジェクト』
川崎市では、法定雇用率の対象にならない「短時間の雇用・就労」の実現に向けた取り組みを、
東京大学先端科学技術研究センター、NPO法人ピープルデザイン研究所と協同で開始しました。
この取り組みは、自治体として初めて2016年から始まりました。
(参考:川崎市「短時間雇用プロジェクト」https://www.city.kawasaki.jp/350/page/0000093182.html)
続いて神戸市が『超短時間雇用創出プロジェクト』を開始。
その他、岐阜市、東京都では渋谷区・世田谷区などが、週20時間未満の短時間雇用創出の動きを見せています。
本日、職場訪問をさせていただいた方も、このプロジェクトを利用して就職されました。
先ずは無理のないペースで初めて、働くことへの自信がついてきたら、
少しずつ勤務時間や日数を増やしていきたいですねとお話しています。
職場の方も大変理解があり、温かく長い目で見守ってくださっているので、
ご本人も安心して働くことができているご様子です。
企業主体でおこなわれている短時間雇用の取り組みとしては、
ソフトバンク株式会社が2016年から導入している『ショートタイムワーク制度』が有名です。
こちらも週20時間未満から働くことができる場を提供する制度になります。
有名企業が実施していることもあり、こちらの求人は人気が高く、いつも応募者が多数とのこと。
それだけのニーズがあるということですね。
障害者雇用促進法の改定へ
こういった取り組みが進んできたためか、厚生労働省は今年4月、法定雇用率の算定方法を見直し、
週10時間以上週20時間未満で働く人も、算定対象に加える方針を固めました。
すでに6月には意見書がまとめられ、今秋以降、障害者雇用促進法の改定案を提出する見込みです。
今回の見直しにより、今まで働くことを諦めてしまった人にも、沢山のチャンスが生まれるはずです。
多様で柔軟な働き方が拡大することで、誰にでも就労機会が与えられ、
誰もが働くことの喜びを感じられる社会になることを、心から期待します。
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