不安を飼いならす②:なぜ、発達障害は不安を抱えやすいのか
こんにちは!ディーキャリア川崎オフィス 職業指導員の吉村です。
発達障害のある方のお悩みとして、日常的に「不安」な気持ちを抱えている、というご相談を受けることが多くあります。
不安は、さまざまな形として現れますが、
・人前で話すことを考えるだけで、緊張して冷や汗が出る、震える
・日常のあらゆる場面で、自分の言動ひとつひとつに不安を持つ
・見通しの立たない未来に対して、ポジティブな感情を持てない
・突如として強い不安が襲ってくる
などが、お話のなかで多く出てきますね。
実際に定型・非定型関係なく、多くの人がなんらかの不安を、日常的に抱えていると言われています。
「日本人の不安に関する意識調査」によると、9年連続で7割以上が「不安を感じている」と回答しているほど、不安という感情は、私たちのいちばん身近にあるものなのかもしれないですね。
不安な状態にいるときは、そのことしか考えられなくなります。
これは私たちの「頭」が、もともと「ひとつのことしかできない」ように作られているから、なんだそうです。
ある意味、本来人間が持つ特性なんですね。
しかし多くの人は不安を感じても、気持ちを切り替えることができたり、時間とともに緩和されていきます。
発達障害特性のこまりごとは、その範疇を超えていることにあります。
発達障害のある方が、不安への耐性が低くなる要因のひとつは、幼少期からの体験によるもと考えられます。
多くの人は成長の過程で、「行動を変える」ことで、「意識を切り替えられる」ことを、自然に学んでいきます。
不安な気持ちになると、ドキドキと動悸がしたり、眠れなくなったり、身体にも影響が現れますよね。
すると、不安を持ち続けることは「自分にとって良くないこと」と考え、不安を追い出そうと行動を始めます。
誰かに相談したり、気晴らしに旅行したり、不安に対するアプローチはさまざまですが、「こうすると不安が軽減した」という経験を積み重ねることで、安心している状態こそが「自分にとって良いこと」=「自分らしい姿」と認識できるようになる訳です。
しかし、発達障害の代表的な特性である「切り替えの難しさ」が、上記のような経験の積み重ねの邪魔をします。
日常的にあらゆる場面で困難さが生じる発達障害特性は、不安や緊張などネガティブな感情の影響を受けやすいです。
ネガティブな感情は非常に強烈な感情なので、ベッタリと、頭と心にこびりつきます。
気持ちや活動の切り替えが苦手な発達障害のある方は、不安な気持ちから目をそらすことができず、どんどん不安の感情を増幅させてしまうのです。
身近な人に相談をしても、当事者でなければ、その困難さをリアルに感じ取れる人は少ないでしょう。
成長過程において、適切なアドバイスを受けられなかった方は、不安を持ち続けていることが当たり前となり、それこそが「自分らしい姿」と考えてしまうようになります。
今までの自分の生き方が、例えそれがネガティブな方法だったとしても、なかなかそれを手放せないものです。
不安とともに生きていくことが、一つの「価値観」であるかのように。
でも、その価値観って、本当に正しいと思えるのでしょうか?
不安を感じる場面は、かならず過去の経験に紐づかれています。
不安のもとになる経験が重なり、ある種のフラッシュバックがおきている状態だと考えられます。
過去の失敗体験を、克服する機会がないまま時が過ぎ、その結果、おなじミスを繰り返してしまい、さらに不安になる。
もし、そんな不安を持ち続けている方が読んでくださっていたら、決して、あなたが悪いのではないとお伝えしたいです。
これまでの、環境が整っていなかったことが問題なのです。
今回は、「なぜ、発達障害は不安を抱えやすいのか」についてお話しました。
次回は、実際に不安が高まってきた時にやってみて、効果があった対処方法をお話したいと思います。
不安とは、誰しも身を守るために備えている自己防衛本能で、完全になくすことはできません。
上手に飼いならすことで、少しでも気楽な人生を送りたいものですね。
ディーキャリア川崎オフィスでは、発達障害特性がありながらも、工夫や環境を調整することで「自分らしい生き方の実現」を目指して、就職をサポートしています。
ひとりではできないことも、ほんの少しのサポートがあればできるかもしれません。
ひとりで悩まず、まずはご相談ください。
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