【ASDのこまりごと】こだわりが強い
こんにちは!ディーキャリア川崎オフィス 職業指導員の吉村です。
ASD(自閉スペクトラム症)の代表的な特性と言われるこだわりの強さ。
絶対に変えられない手順があったり、古くなっても捨てられない物があったり。
心の中に「譲れない何か」を持っている方、多いですよね。
ある意味、信念があるとも、一本筋の通った人とも言えるのですが、
なぜ、こだわりがあることで、生きづらさを感じてしまうのでしょうか。
こだわり行動のひとつひとつは当人にとって意味があるので、
こだわり自体に良いも悪いもありません。
(もちろん反社会的な行為は除きますよ!)
それでは、何が生きづらさを生み出しているのか。
こだわりがありすぎたことで物事が上手くいかなかった時のつまずき感が、
心身に非常に大きなダメージを与えてくるからです。
小さなこだわりが積み重なったことにより、社会と適応できない事象が現れたときに、
生きづらさを覚えるのです。
■ ケース:利用者Aさんの場合
要約が苦手なAさんは、スタッフがホワイトボードに板書した内容を、全てノートに記載します。
「ポイントだけ抜き出してメモを取る」ことが難しいからです。
そのため、ノートをまとめることに時間を取られ、スケジュール通りに進まないという課題がありました。
Aさんはタイピングができたので、PCを使用して時間が短縮できるか試してみることにしました。
その結果、AさんはPCでメモした内容を、改めてノートにまとめ直すことに時間がかかるようになりました。
このことから分かるのは、スケジュール通りに進まない要因は「要約」ができないことだけではなく、
「ノートに全てを記載するべき」という強いこだわりにあったのです。
頭ではPCで時間短縮できることは分かっていても、ノートを書きたい気持ちが優先されてしまうのです。
分かっているのに止められないのはなぜか。
その裏には不安があると言われています。
見通しが立たないことが苦手というのもASDの代表的な特徴ですが、
こだわり行動を止めるという行為自体が、その先の見通しが立たずに不安になるのです。
この事象への対処のひとつで、実績記録表をつけるという方法があります。
作業ごとに開始時間・終了時間・実際にかかった時間をすべて記録します。
自分がどこに時間をかけているのかを視覚化できるので、頭の整理ができます。
また、実績時間を把握することによって作業時間の見積りができ、見通しが立てやすくなります。
実績記録によってスケジュール通りにいかない原因を数値で理解されたAさんは、
自分には「ノートに時間をかけたいというこだわりがある」ということを認識されました。
その結果、「重複する内容は省略する」という選択ができるようになりました。
こだわりが強くて日常的にストレスを感じやすい方は、
それが自身のこだわりによるものだと気付いていないケースが多くあります。
確かにストレスの渦中にいるときは、自力で気が付くことは難しいかもしれません。
ですので、ご家族や支援者など身近な人からの助言も、時には必要なのかと思います。
それに、こだわりとは、自身の「譲れない何か」であるので、それは強みにもなり得るのです。
強みが充分に発揮できていないのならば、周囲の環境を調整していくことも重要な視点になります。
発達障害の特性がありながらも、それが障害にならずに済んでいる環境をイメージしていただくと分かりやすいでしょう。
ASDのこだわり行動は、完全にはなくならず持続するものです。
ですが、経験とともに合理的に判断しながら、形態や様式を変えていくことはできます。
目指すのは症状をなくすことではなく、特性がありながらも社会参加がうまくできるようになること。
そのために、私たちディーキャリア川崎オフィスは全力でサポートします。
ひとりではできないことも、ほんの少しのサポートがあればできるかもしれません。
ひとりで悩まず、まずはご相談ください。
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