発達障害と薬物療法
こんにちは!ディーキャリア川崎オフィス 職業指導員の吉村です。
発達障害は先天的な脳や神経系の障害なので、特性そのものを治療することは困難です。
そのため、発達障害の治療は、当事者本人がご自身の特性と向き合い、社会に適応していくためのスキルを身に付けることを目指します。
例)認知行動療法を用いて感情のコントロールをする
また、発達障害があるとどんな困りごとがあるのか周囲の理解を促し、環境面を調整することで社会に適応することも大切です。
例)合理的配慮の提供
発達障害の主な治療としては、このような心理社会的アプローチを行いますが、これらの対策を講じても、生活や仕事に支障をきたす場合には、薬物治療が用いられることがあります。
ASD(自閉スペクトラム症)とSLD(限局性学習障害)の中核症状への治療薬は、残念ながら現時点ではありませんが、ADHD(注意欠如・多動性障害)には効果が承認されている薬があります。
<日本におけるADHDの承認薬>
・コンサータ:メチルフェニデート塩酸塩除放錠
コンサータは除放剤で、薬の有効成分が少しずつ溶け出すように作られています。
ドーパミンやノルアドレナリンといった神経伝達物質に作用し、脳を覚醒し集中力を高める効果があります。
即効性があり、効果は約12時間持続しますが、依存性が高いことでも知られています。
そのため流通規制があり、登録された医師しか処方することができません。
また、チック症状がある場合、症状を悪化または誘発させることがあるため、禁忌とされています。
・ストラテラ:アトモキチセン塩酸塩
コンサータと同じく神経伝達物質に作用し、不安症状を軽減させる効果があります。
効果が表れるまで約1か月程度かかりますが、服薬を継続することで24時間効果が持続します。
依存性が低く穏やかな効き目ですが、効果が表れるまで、吐き気や食欲減退といった副作用が出る方もいます。
内用液があるため、錠剤が苦手な方やお子様が服用しやすいです。
ジェネリック医薬品も開発されており、低価格で購入できます。
・インチュニブ:グアンファシン塩酸塩徐放性製剤
2017年に承認を受けた国内3番目のADHD治療薬です。
コンサータ・ストラテラと作用する仕組みが異なるため、新たな選択肢として期待されています。
即効性はありませんが、服薬開始から1~2週間で効果が表れます。
1日1回の服薬で24時間効果が持続、多動性・衝動性が抑えられます。
コンサータと同じく除法剤のため、割ったりかみ砕いたりせず、そのまま服薬します。
また、チック症状の改善の可能性が高いと言われています。
・ビバンセ:リスデキサンフェタミンメシル酸塩
6~18歳の小児を対象に2019年に承認を受けた新薬です。大人には処方されません。
コンサータと同じく依存性があり、流通規制があります。
他のADHD治療薬での効果が不十分な場合のみ使用されます。
上記以外にも、不安感やパニックをやわらげる目的で、リスパダールやロラゼパムが処方されることもあります。
繰り返しになりますが、発達障害は生まれもった脳や神経の特性で、治療をすれば完治するというものではありません。
これらの薬は症状を根治させるものではなく、一時的に症状を抑えるものです。
服薬管理はとても大切ですが、心理社会的アプローチと併用することで、症状を緩和させていく仕組み作りが重要となります。
ディーキャリア川崎オフィスでは、発達障害特性に応じたカリキュラムで就労支援を行っています。
認知行動療法をベースとした感情のコントロールや、ソーシャルスキルトレーニングなど、様々なアプローチで特性による困りごとの対策をしています。
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