【発達障害】ADHDって?ASDって?どう違うの?
みなさんこんにちは。ディーキャリア府中オフィスの支援員・宗形です。
最近、「イヤリングカラー」と「インナーカラー」の違いをはじめて知りました。イヤリングカラーは、耳の後ろの毛だけを染めること、インナーカラーは、全体的に内側の髪の毛を染めること、だそうです。おそらく美容師さんの間では常識的な知識だと思うのですが、私はなんとなくで認識をしていました。
そんなことがあってふと、「そういえば、発達障害の違いも曖昧な人って多いよな」と思い至りました。家族と話していると、発達障害を学習障害と言っていたり、友達もASDをADHDと言っていたり、種類がごちゃごちゃになっているなーと思うことがありました。
そこで今回は、字面が似ていて分かりづらい「ADHD」と「ASD」の違いについて書いていきたいと思います。
目次
1.ADHDとASDって何?併存する場合もあるの?
ADHDとASD。AとかDとか、なんとなく字面が似ていますよね。でも、この呼び方は略称で、本当の名前はもっと長いです。
ADHDは、<Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder>といいます。直訳すると、<注意ー欠如/多動 障害>です。日本語では、「注意欠如/多動性障害」と呼ばれています。ちなみに、「Hyperactivity(多動性)」が見られない場合は、「ADD(注意欠如障害)」と呼ばれます。
ASDは、<Autism Spectrum Disorder>です。こちらも直訳してみると、<自閉症 曖昧な境界を持ちながら連続している 障害>となりました。ASDは、「自閉症スペクトラム障害」と呼ばれています。(かつてはアスペルガー症候群・広汎性発達障害などさまざまな診断名がつけられていましたが、いまは「自閉症スペクトラム障害」に統合されています)
正式名称を見ると、その特徴の違いがなんとなくお判りいただけるのではないでしょうか。
ASDとADHD、それぞれの症状の違いを説明していきます。
1-1.ASDはコミュニケーションの障害である
かなりざっくりとしたタイトルをつけてしまいました。
ADHDとASDの違いが曖昧という方は、まずは「ASDはコミュニケーションの障害」と覚えると分かりやすいと思います。私も、この仕事を始めたころは全くの無知だったので、そんな風に覚えました。
ざっくり把握とは言いましたが、あながち芯を捉えていないとも言えないのではないかと思います。というのも、ASDの特性のひとつひとつは細かく複雑ですが、それがどんな困りごとにつながるかというと、やはりコミュニケーション面で課題が発生することが多いと日々の支援で実感しているからです。
少し話が変わりますが、ASDの「A」である「Autism」は、オートマティックなどと語源が同じようです。
Autism はギリシャ語の「自己(autós)」が語源となっており、外部の力や操作によらず、自律的、自己完結的に動く、といった意味になります。オートマ(AT)車の「オートマティック」や、自動化を意味する「オートメーション」などに含まれる「オート」も同じ語源から来ています。
学校法人武蔵野東学園 武蔵野東教育センター
他者と関わることを避けて、自分の世界で完結しようとする姿は、ASD(自閉症スペクトラム障害)の方の特性として見られるものです。例えば、次のような形で現れます。
- 自分のルーティンがはっきり決まっていてこだわりが強く、それを崩すことが難しい
- 相手に伝わりやすい伝え方が分からず認識の相違が生じやすい
- 周りの人が笑っている中で笑わずにいる
- 一度こうだと思った考えを変えることが難しい
- 自分の論理に反していることは受け入れづらい
- 他者に質問をせず自分の話を多くする
- 興味のない話を聴くことが難しい
このような行動が生活の中で現れると、対人トラブルなどの困りごと(障害)につながる可能性があります。
1-2.ADHDは注意力・行動力の障害である
ADHDを知る時には、まず全体像として、「注意力」と「行動力」に大きな特性があるんだなと捉えると良いです。この他に細かな特性はいろいろありますが、まずはここをおさえて、ASDとADHDの違いを明確にしておきましょう。
ところで、注意力には、「集中力」「注意を切り替える力」「ピンポイントに注目する力」「複数のものに同時に注意を向ける力」があります。「行動力」は、「話す力」「話を止める力」「足を動かす力」「足の動きを止める力」など、いろいろあります。ADHDの特性を生まれつき持っていると、このさまざまな力のコントロールが難しくなります。これが、ADHDの障害です。
ADHDの特性を持っていて力のコントロールが難しい人は、例えば次のような行動を取ることがあります。
- 同じ作業を繰り返しすることが極端に苦手ですぐに投げ出したくなる
- だれかに止められるまでずっと話し続ける
- ひとつの場所にいることが苦手
- 貧乏ゆすりや頭や目をさわったりなど、常にどこかが動いている
- 作業に集中していると話しかけられても全く気付かない
- 目線が滑って文章の読み飛ばしをよくする
- 不注意で忘れ物をよくする
- 衝動性が高く衝動的な買い物をしてしまう
1-3.ADHDとASDが併存する場合もある
上で書いたようなASDやADHDの行動が現れているからと言って絶対にADHDというわけではなく、その行動の背景によってはASDの特性に当てはまることもあれば、特性ではない可能性だってあります。
ADHDとASDは併存する場合もあり、どれがどの診断名の特性なのかがはっきりとしないことも多いです。
また、「ADHD」と診断されていても、ASDの特性が見られるケースもあります。
ドクターによっては、強くみられる特性が当てはまるものを診断名とするという話も聞いたことがあるので、一概に【診断名=その人の特性のすべて】だとは言えません。
診断された障害について知ることもとても大切ですが、基本的な知識を得た後はひとりひとりの特性に目を向けて、どんなことが得意で苦手なのかを知ることが発達障害当事者の方も、その周りの方も生きやすくなるためのポイントなのではないかと思います。
2.ASDとADHD、他の障害が併存しているケース
2‐1.ADHDと診断されたけれどASDの特性が見られるケース
クリニックでは医師からADHDと診断を受けているけれど、ASDの特性として挙げられるものも当てはまると感じる、周りの人が客観的に見るとどちらの特性もあるように見えるというケースです。当オフィスにも、こういう特性を持った方が通われていたことがあります。
実際に私が接したことのある方の特性を一例としてご紹介します。(個人情報が特定されない範囲で書きますので、ご安心ください(^_-)-☆)
【基本情報】
- 診断名:ADHD
- 特性:・集中力が続きづらく、単純作業が苦手・よく空想にふけるため忘れものが多い・常に手足を動かしている・論理的でないことは受け入れづらい・物の配置にこだわりがあり違う配置になっていると極端に落ち着かない
「集中力が続きづらい」「単純作業が苦手」「忘れ物が多い」「手足を動かしている」
これらは、ADHDの特性として挙げられることの多いものです。
一方、「論理的であることへの欲求」や「物の配置へのこだわり」は、ASDの特性に当てはまります。
このように、ADHDと診断を受けていても、ASDの特性が併存していることがあります。
2‐2.ASDと診断されたけどADHDの特性が見られるケース
今度は反対に、ASDと診断をされたけれど、ADHDのような特性が見られるケースです。こちらも実例をご紹介します。
【基本情報】
- 診断名:ASD
- 特性:人の気持ちを直感的に理解することが難しくコミュニケーションが苦手、細かいことによく気が付くため誤字脱字チェックが得意、スケジュール管理が苦手
「人の気持ちを直感的に理解しづらい」「細かいことに良く気が付く」は、ASDの特性として挙げられることの多いものですが、「スケジュール管理が苦手」はADHDの特性に当てはまります。
もちろん、これらの言動の背景を知らなければ、それがASDっぽい特性なのか、ADHDっぽい特性なのか判断することは難しいです。例えば、「スケジュール管理が苦手」な背景には、「細かいことを気にしすぎて進みづらい」があるかもしれませんし、「今の利益を優先しちゃうから先々のことを考えられない」のかもしれません。(ちなみに、前者はASD的特性、後者はADHD的特性として語られることが多いです。)
2-3.発達障害と精神疾患が併存しているケース
ADHDとASDの特性が併存している以外にも、ADHDやASD、SLDといった発達障害と精神疾患が併存しているケースもあります。発達障害の特性が理由で社会への適応が難しかったときに、大きなストレスがかかり疲弊し、二次障害として精神疾患が発症することが多くあります。
発達障害と発達障害、精神疾患と発達障害いろいろな組み合わせで併存していることがあります。
診断名に沿って適切な治療を受けることがまず大切なことですが、そのうえで個別の特性に合わせて理解をしたり、訓練を受けたりすることも大事です。
診断名にとらわれすぎずに、いろんな可能性があることを念頭に置いて自分や周りの人の特性に向き合っていくことが、自分とは違う他者を受け入れることのできる多様性の社会の実現につながるのではないでしょうか。
3.まとめ
ADHDとASDの違いについて解説をしていきました!
端的にいうと、「ADHDは注意力・行動力の特性、ASDはコミュニケーションの特性」です。
※もちろん、細かく見ていくとそれ以外の特性もたくさんあります!
それぞれの特性には違いがありますが、ADHDとASDの特性が併存していることもよくあります。
また、精神疾患と発達障害が併存していることも少なくありません。
診断名にとらわれすぎずに、個々人に向き合っていくことでより自己理解・他者理解が進み、お互い助け合える社会につながると信じています。
診断名と自覚している特性が違うという方の参考になっていれば幸いです!(^^)!
↓↓↓↓ADHD/ASDの特性についてはコチラの記事で解説しています↓↓↓↓
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