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【発達障害】大人でも謝ることが苦手なのはどうして?理由と解決策

ディーキャリア府中オフィスの宗形です。
最近、発達障害の特性がある方と接する中で、「あれっ、謝罪の言葉がないなー」と思うことがありました。謝罪をした方が良いかもと伝えると、「絶対に謝りません!」と言われたこともあります。
私は支援員として接しているので「あ、特性かも」とすぐに思考が切り替わるのですが、
社会に出たときに謝罪の言葉がないとコミュニケーションがうまくいかない場面もあるよな~と思います。

というわけで、今回は発達障害の特性があると謝罪が苦手なのか?その理由と対策について書きます。
発達障害の特性と上手に付き合って良い対人関係を築くためには、特性の理解が大事です。
まずは謝ることが苦手な場面や理由を見ていきます。

目次

1.発達障害の特性があると「なんで謝らないといけないの?」と思うことが多い
 1-1.発達障害があって謝ることが苦手な人の例
 1-2.発達障害があって謝罪が苦手な理由

2.謝ることが苦手な時に取れる対策について
 2‐1.謝ることが苦手な時の対策
 2‐2.謝ることが苦手な人との接し方

3.まとめ

1.発達障害の特性があると「なんで謝らないといけないの?」と思うことが多い

発達障害の特性があって謝ることが苦手な人は、「空気の読めない人」と認定されることが多いです。
これは発達障害の教科書1ページ目に書いてあるような、代表的な特性。
特性である以上、それは仕方がないことでもあります。
ですが、謝らないことで怒られるのはつらいし、謝ってもらえないのもしんどいですよね。

どちらにしろ、どうしてそのような状態になるのか、背景を知ることで気持ちが落ち着くかもしれません。

みなさんの周りにこんな人、いませんか?

1-1.発達障害があって謝ることが苦手な人の例

  • 失礼なことを言って相手が怒っているのに謝らない
  • 指摘をされたことに対して謝罪せずに怒ってしまう
  • 直属の後輩がミスしたことについて先輩である自分が上司に謝る必要はないと思っている
  • 仕事で失敗しても謝らずに放っておいてしまう

「あ~いるいる…」「私のことだ」「えーありえない!」どんな感想を持ちましたか?
私はこの仕事を始める前までは「えーありえない!」派だったかなぁ…と思います。
何にせよ、なぜこのような状況になるのか、理由を考えてみましょう!

1-2.発達障害があって謝罪が苦手な理由

失礼なことを言って相手が怒っているのに謝らない

この人の場合、おそらく、「相手が怒っていることに気が付いていない」「謝る必要があると感じていない」特性が背景にあると考えます。

人は、言葉以外にも表情や声色から判断して、相手の感情を判断します。
(なんと、言葉から判断できる情報は2割だけなんですって!)
表情や視線の読み取りは、脳の「側頭葉」が担当しています。
発達障害の特性がある人は、この側頭葉の働きが弱く、表情から怒りを感じ取ることが難しいんです。

また、「謝る必要があると感じていない」場合もあります。
そもそも「謝る場面」って、その場その場で判断しないといけないあいまいなことですよね。
急にたたいたら誰でも怒るかもしれないけど、机の上にあるお菓子を勝手に食べても怒る人と怒らない人がいます。場面や関係値によっても違います。

このあいまいさを私たちは瞬時に判断してその場に合わせて謝罪をしているんです。
明文化されていない曖昧なことを直感的に理解するのも、発達障害(特にASD・自閉症スペクトラム障害)の特性がある人が苦手とする分野のひとつです。

指摘をされたことに対して謝罪せずに怒ってしまう

「感情のコントロールが苦手」「自分の考え以外は受け入れづらい」
こんな特性が背景にあるかもしれません。

感情は、大脳皮質によってコントロールされています。
大脳皮質が順調に働いていると、多少嫌なことを言われたとしても理性を保って対応できますが、
そうじゃないと感情の制御がむずかしく、すぐカッとなったり、シュンとなったり、ウキウキしたり、ワーイとなったりします。

今回のケースだと、指摘されたことによる怒りのコントロールが上手くいかなかった可能性がありますね。

また、「自分の考えとはちがう他人の意見を受け入れづらい」のも発達障害がある方のあるある特性のひとつです。私も出会ってきた方の中で、どんな指摘や助言をに対しても意見をしてくれる方がいました。(個人的には、自分の意見がしっかりしていて魅力的だなーと思いますが、働くとなると多少自分の意見を曲げてもらわないといけない場面もありますね…)
発達障害(自閉症スペクトラム障害)の特性がある人は、自閉(自分の世界に生きている)という言葉からも分かる通り、自分の中のルールや理論がしっかりしている場合が多いです。
そのため、自分の理論に外れたことを言われると、受け入れがたく、反抗的になってしまうことがあります。今回のケースでは、指摘が自分の理論からは外れている内容で、怒りにつながったのかもしれません。

直属の後輩がミスしたことについて先輩である自分が上司に謝る必要はないと思っている

この背景には、「独自の論理」が潜んでいるかもしれません。

発達障害、特にASD(自閉症スペクトラム障害)の特性がある人は、
自分の中で論理が成り立たないことに対して行動することに抵抗を感じる場合があります。

今回のケースの場合、「ミスに対して謝る」について、こんな論理を持っている可能性があります。

「ミスはミスした人が謝るべきだ。そうでないと根本的な解決にはつながらないし、その人も成長しない」

「部下のミスは上司の責任」という暗黙の了解が社会にはありますが、
これは上記の論理とは反しているものです。
発達障害の特性がある人は、もしかしたらこういう場面で、
「なんでミスをしたのは部下なのに自分が謝らないといけないんだろう?」と純粋に疑問に思っているのかもしれません。

自分の論理に当てはまらないことを強いられると、抵抗感を抱いて行動に移しづらいのも、ASD(自閉症スペクトラム障害)がある方の特性のひとつなのです。

仕事で失敗しても謝らずに放っておいてしまう

この人の場合、
「謝ることの重要度が分からずに別の作業を優先してしまっている」のかもしれません。

発達障害の特性がある人は、「やらなければならないこと」と「自分の気持ち(やりたい・やりたくない)」を比較した時に、自分の気持ちを取ってしまうことがあります。
今回のケースも、「失敗したことを謝らないといけない」ということは分かっているけれど、
それがどれだけ重要なことかは分からず、ついつい手元にある自分の作業を優先してしまっている可能性があります。

また、ADHD(注意欠如多動性障害)の特性がある人は、
先々にもらえる報酬よりも、すぐにもらえる報酬に飛びつく傾向があります。
謝罪は、後々の人間関係を円滑にするためにおこなう意味もありますが、ADHDの特性がある人には、このことはなかなか想像しづらく魅力にも感じづらいです。
反対に、目の前のやりがいのある作業はとても魅力的に感じるため、結果的に「謝罪」を後回しにしてしまうことがあるのかもしれません。

2.謝ることが苦手な人が取れる対策について

「謝ることが苦手な発達障害の特性がある人」の背景をお伝えしてきました。
本人なりの理由があって、結果的に「謝らない」という行動につながっていることを分かって頂けたのではないでしょうか。

ここからは、謝ることが苦手な当事者の方が取れる対策と、周りの人がサポートできることをお伝えしていきます。発達障害の特性を「障害」にさせず、「正確のひとつ」にするための方法を一緒に考えていきましょう。

2‐1.謝ることが苦手な時の対策

謝ることが苦手な人は、「自分がどうして謝罪が苦手なのか」を考えてみましょう。
対策を取るためには、何より自分を知ることが大事です。「なぜ?」を繰り返して、自分を深く掘り下げみることをオススメします。

その上で、掘り下げた先にある「理由」に応じて対策を考える必要があります。

例えば、上で取り上げた「仕事で失敗しても謝らず放っておいてしまう」のであれば、
何があっても「謝罪(挨拶)」は第一優先!と意識付けをしましょう。
意識付けの方法は何でも良いですが、本気でやるのであれば待ち受けにしてしまうことがおすすめです。さすがにそこまでは…という人は、職場のPCに付箋で貼っておいたり、ふとした時に思い出せるようリマインダーを設定することも試してみると良いかもしれません。

とにかく、自分の言動を「なんで?」で掘り下げて、自分自身で症状を説明できるようになってから、理由に対して対策を練る!この方法を地道に続けてトレーニングしていきましょう!

2‐2.謝ることが苦手な人との接し方

周りに謝罪することが苦手そうな人がいたときには、頭ごなしに否定したりダメな人だと決めつけたりせず、なぜ謝らないのか、その背景に思いをはせてみてください。発達障害がある人は、周りの配慮があることでイキイキと本人らしく、最高のパフォーマンスを発揮することができます。

「機嫌が悪いから謝らない」「常識がないから謝らない」以外にも、謝らない理由(ひょっとしたら謝れないのかもしれません)は無限にあります。その理由に合わせて、対応方法も変わってきます。
例えば、上で取り上げた「失礼なことを言って相手が怒っているのに謝らない人」の場合には、「謝る必要がある場面」をしっかり伝える必要があります。これは、「上座は一番奥」を知らない人に教えるのと同じことです。

他にも、「独自の論理」が強くて謝ることができない人には、本人の考えを聞いた上で、謝る必要のある理由を伝えて考え方を修正してもらう必要があるかもしれません。

このように、背景を考えてみるだけで、接し方が見えてきます。

謝らない人と一緒に働いていたり、謝罪が苦手な家族・友人・恋人がいる人は、なんとかしてその人と付き合っていきたい気持ちを持っているのだと思います。その人の行動の理由を考えるだけで、見方が変わったり、対応方法が分かったりしていくので、ぜひ!

3.まとめ

以上、発達障害の特性がある大人で謝罪が苦手な人の理由と解決策についてご紹介していきました。

「謝ることが苦手」と一言で言っても、その理由は人それぞれです。

それぞれの行動の背景に思いをはせて、「どうしてこの行動になっているんだろう?」と分析してみると、良い解決策が見つかるかもしれません。

発達障害の特性がある人の言動の背景を考えて理解している人が増えれば、
発達障害の特性がある人とない人が共生できる社会につながるのではないでしょうか。

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発達障害があるとコミュニケーションが苦手?接し方と工夫について

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