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大人の愛着障害について考える

大人の愛着障害とは

愛着障害は、発達障害、うつ、不安障害、アルコールや薬物、ギャンブルなどの依存症、境界線パーソナリティ障害や過食症などの現代社会の疾患といわれる精神的な問題に関係してるだけでなく、家庭の問題や虐待、社会へ出ることへの拒否などさまざまな問題の原因として注目されています。

特に大人の発達障害の問題の背景には、子どもの時の愛着の問題が関係していると言われています。

医学的な診断としてはアメリカ精神医学会の診断基準である「DSM-5」の反応性アタッチメント障害や反応性愛着障害が挙げられますが、その定義と診断基準に当てはまり医療機関で診断を受けるという大人の方は少ないのが現状です。

診断基準に当てはまらない程度である大人の愛着障害のある方は発達障害のグレーゾーンと診断されることや適応障害と診断されたりすることも多くみられます。

大人の愛着障害の症状

大人でも愛着障害を持っている方は愛着障害のグレーゾーンも含めれば一定数おられます。
大人の愛着障害の症状には「情緒面」「アイデンティティの確立」「対人関係」において問題となることが多いと思われます。

一つずつ見ていきましょう。

情緒面

・ちょっとしたことで傷つきやすい
・過去の失敗や恐怖をいつまでも引きずる
・白黒思考が強い(好きか嫌いか、良いか悪いかなど)
・怒りの感情が出ると建設的な話し合いをすることが難しい

このように「極端な考え方」や「怒ると冷静に話し合えない」など周囲からはコミュニケーションを取ることが難しい人という印象を持たれることが多いです。

アイデンティティの問題

大人になると多くのことを自分の意思で選択し行動していくことになります。
愛着形成がうまくいかなかった人の場合は積極性や自己肯定感が適切に育まれていないことが多く、進学や就職などの決断の際に苦労をすることがあります。またアイデンティティの確立ができていないので自分の存在価値について悩み、自己肯定感の低下に繋がることも多いです。

対人関係

・成育歴において養育者との関係性が悪い
・人との適切な距離感がわからない

対人関係では愛着形成がうまくいかなかった養育者との関係に症状がみられることがあります。
大人になってからも養育者の言いなりなるような態度を取ったり、反対に反抗的な態度を取ることもあります。人との距離感が分からないために関係作りに苦労することがあります。

大人が「愛着障害では」と感じた時の対処法

大人になって自分は愛着障害なのではないかと不安を感じた場合は次のような工夫をしてみましょう。

・こころの拠り所を作る

こころの拠り所を作っておくことが大切になります。ここでいうこころの拠り所は精神的なストレスが溜まってきた場合など安心して休める「環境」や「場所」のことを指します。
ありのままの自分でいられる「環境」であったり、何でも話せる「人」であったりということになります。また好みの本を読んだり、好きな音楽を聴いたりすることで自分の世界を持つことでこころが落ち着くこともあります。

・困りごとを整理し、相談する

困りごとに対処することも大切です。その為には過去の傷ついたできごとに関する共感や整理をおこない、それと併せて現在の状態や環境、どのような場面で困るのか、トラブルの背景にはどのような要因があるのかにも目を向けること。それを整理していく事が大切です。

・人との距離感を調整する

必要以上に他人の目が気になり疲れてしまう場合は、無理して他人と関わらないことも大切です。
「人と付き合うのが辛い」「距離感が掴めない」と感じたら、無理なく付き合っていく方法を検討していきましょう。
仕事上で程よい距離感で関わることで肩の力も抜けて楽になることもあります。

まとめ

愛着障害は子どもの頃の環境に大きく左右されるため、大人になってから愛着障害を疑うことは少ないですが、実際に愛着障害で悩んでいる大人も多くいらっしゃり、人間関係の形成が難しいと感じていたり、情緒が安定しないと感じる場合は、今回紹介した対処法を試してみてください。また愛着障害に対して豊富な知識を持っているカウンセラーにカウンセリングを依頼してみることもおすすめです。

カウンセリングを受けることで、自分では思っていなかった問題が浮き彫りになったり、聞いてもらえるという安心できる環境を作ることで人間関係の構築や情緒の不安定さについても改善することが多いです。

今回の記事で愛着障害について理解を深めるきっかけになれば幸いです。

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