障害者雇用の就職活動について ~準備編~ 【卒業生(元利用者)ブログ】
おはようございます。ディーキャリア所沢オフィスです。
今回は初の試みとなりますが、ディーキャリア所沢オフィスを卒業してから2年ほどお仕事を継続されている元利用者のTさんのブログ記事をご紹介します。
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皆さま、お疲れさまです。
2023年1月にディーキャリア所沢オフィスを卒業後、現在に至るまで障害者雇用で勤務しているTと申します。
本日は、ディーキャリア所沢オフィスを卒業した私から就職活動を控える皆さまへ、障害者雇用の就職活動に関するお話をさせていただきます。
本記事では就職活動の事前準備についてお話をさせていたただきますので、皆さまの就職活動のちょっとした手助けになれば嬉しいです。
まず、本題に入る前に私がディーキャリア所沢オフィスへ通所するなかで、非常に為になったお話を1つさせていただきます。
皆さまは「Want-Can-Needの法則」というものをご存じでしょうか?
それぞれ・・・
Want⇒~がしたい、~をやりたい(希望すること)
Can⇒~することができる(可能であること)
Need⇒必要である(求められていること)
という意味なのですが、就職活動ではこの法則が要になります。
これを就職活動に置き換えると・・・
Want⇒自分がやりたいこと
Can⇒自分ができること
Need⇒企業から求められていること
という意味合いになります。
私はWant(自分がやりたいこと)ばかりを重視し、就職に失敗した過去があるのですが、就職活動では「自分ができて(Can)、企業から求められていること(Need)」を企業は重視しているというお話を伺い、当時の私は目から鱗でした。
自分がやりたいことを仕事にできることはもちろん理想なのですが、障害者雇用では配慮をもらいながら働く立場のため、自分の希望を全て通すというのはなかなか難しいのが現状です・・・。
現在、障害者雇用で働く私は「自分ができて(Can)、企業から求められていること(Need)」を軸に就職活動を行い、今の会社で働くなかで「自分がやりたいこと(Want)」を見つけることができました。
この経験から皆さまにお伝えしたいことは・・・
「自分がやりたいこと(Want)」を軸に就職活動を進めるのではなく、「自分ができて(Can)、企業から求められていること(Need)」をもとに仕事を探し、そのなかで「自分がやりたいこと(Want)」を見つけることで、企業も自分自身も納得して仕事ができるため、
長期安定就労につながりやすいということです。
さて、雑談はここまでにして、早速本題に入りたいと思います。
本日は、就職活動の準備編について下記のような流れでお話をさせていただきます。
- 自己分析について
- 譲れない条件のピックアップ
- 業界研究・職種研究・企業研究
- 想定質問集の作成
- 面接練習
- エージェントの活用
先ほどお話させていただいた「Want-Can-Needの法則」も登場します。長くなりますが、皆さまの就職活動に微力ながらお力添えしたいと思いますので、最後まで読んでいただけると嬉しいです。
- 自己分析について
就職活動において欠かせないもの、それは「自己分析」です。
簡単に言うと「自分を知ること」なのですが、ここでは自分の強み・弱み(Can)と自分の軸(Want)を知ることがカギとなります。
まずは自分の強み・弱み(Can)について、ここでよく耳にするのが「自分の強みが分からない」というご意見なのですが、ここで登場するのが「リフレーミング」です。リフレーミングとは簡単に言うと「言い換え」なのですが、この手法は弱みだと思っている要素を強みに言い換えることができるのです。
例えば・・・
「作業が遅い」⇒慎重に作業を進めることができる
「おせっかい」⇒世話好きである
「周りを気にする」⇒心配りができる
「自分の意見が言えない」⇒協調性がある
といったように、一見弱みにつながるような要素でも、見方をほんの少し変えるだけであっという間に強みに変わります。
また、こちらは応用編になるのですが、自己分析で自分の強みを複数挙げられた場合、会社が求める人材にあった強みをアピールすることができ、面接官の方に納得していただきやすいと個人的には感じました。
この手法は強みを弱みに言い換えることもできますので、「自分の強みが分からない」「強みはわかるけど、弱みが見つからない」という皆さま、ぜひ一度試してみてください。
次に、自分の軸(Want)についてですが、こちらは自分のなかで揺るがない基準、選択の軸となることを見つけるという内容になります。といっても、やり方が分からない方も多いかと思いますので、私が実際に行った方法について説明させていただきます。
まず私は自分の過去、特に何かしらの選択をしたときについて振り返りを行いました。「自分がなぜそのような選択をしたのか」ということについて、「なぜ」の深掘りを行った結果、選択のきっかけの多くに「人に魅力を感じるか」という共通点があったことに気づくことができました。
自分の「人に魅力を感じるか」という軸に気づけたことで、私は企業実習、もしくは職場見学が選考フローにあり、実際に働いている人に会うことができる会社を選んで、就職活動を行いました。
軸というのは普段は気づきづらいかと思いますが、過去の印象的な出来事や感情を振り返ったときに共通する内容、それこそがその人の軸なのです。なお、過去の出来事を振り返ることは心身に負担がかかる作業のため、無理はしないように自分のペースで行っていただければと思います。
- 譲れない条件のピックアップ
冒頭で、自分の希望ばかり通すことは難しいというお話をしたかと思いますが、そんなことは言っても皆さま、自分のなかで譲れない条件(Want)はあるかと思います。
就職活動では、膨大な求人から自分に合った就職先を見つける必要があるため、ある程度の条件を絞ることで、求人を探す際の手間を省くことができます。
ちなみに、私の場合は・・・
・完全週休2日制
・正社員もしくは契約社員(正社員登用制度あり)
・年間休日120日以上
・通勤時間が90分以内
という条件をもとに、就職先を探しました。
なお、条件によっては求人が見つからないこともありますので、条件をピックアップした後に優先順位を決めると、より求人が探しやすいかと思います。
インターネット上で求人を検索することが多いかと思いますが、そのような場合はサイトごとに条件を選択できるページがあるかと思いますので、自分が譲れない条件を入力して、求人を探してみてください。
- 業界研究・職種研究・企業研究
過去に新卒で就職活動をしたことのある方は聞き馴染みのある単語かと思います。これはあくまでも個人的な経験談ですが、特に企業研究を入念に行ったことで就職活動がスムーズに進みました。
まず、業界研究・職種研究(Need)についてですが、長く安定して働くためにも業界や職種の今後の動向を知るため、ある程度は業界・職種のことを知っておくと良いかと思います。また、履歴書の志望動機や面接での回答に深みを持たせることができ、スムーズな就職活動にも繋がりますので、お時間があるときにぜひやってみてください。
参考サイト
https://job.mynavi.jp/conts/2026/zukan/
https://job.mynavi.jp/conts/2026/complete_guide/
次に、企業研究(Need)についてですが、こちらは実際の就職活動が始まってからも、役に立つ内容となっております。
選考を受けようとしている会社が自分に合っているか知るためには、まずはその会社のことを知る必要があります。自己分析で挙げた自分の強み・弱み、自分の軸にその会社がマッチしているか知るためにも、企業研究は欠かせません。
また、面接は「会社が自分のことを知る機会」であると同時に「会社のことを理解していることをアピールできる機会」でもあります。面接でよく聞かれる「うちの会社を選んだ理由を教えてください」という質問について、事前に企業研究をしておくことで「○○という企業理念を魅力に感じたためです」「△△という仕事に、自分の強みを活かせると考えたからです」など、「その会社でなくてはならない理由」を面接官にお伝えすることができるのです。
参考サイト
https://job.rikunabi.com/contents/company/2536/
想定質問集の作成
さて、ここからは実際の面接に備えた準備となります。
面接ではよく聞かれる質問から、企業独自の質問など、皆さまのことをより深く知るために、面接官の方からは数多くの質問が飛んできます。その質問に対応するために必要なのが「想定質問集」です。
詳しくは活動編の記事でお話させていただきますが、私の場合は会社問わずよく聞かれる質問についてはテンプレートを準備し、実際に面接で聞かれた質問については必ず振り返りを行い、自分の回答と理想の回答を記録に残していました。
特に障害者雇用では「長く安定して働くことができるのか」ということが重視されるため、質問の傾向が一般雇用とは異なります。
そこで、実際に障害者雇用で受けた質問と私の回答を一部記載させていただきます。
- ご自身の障害について教えてください
⇒私の障害は注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)です。ADHDについては脳内の過活動という特性があり、頭のなかが混乱しやすいという特性があります。次にASDについては、環境変化への苦手さがございます。特に初めて行く場所や初めて会う人など、自分が経験したことがない事象に対して強い不安感を覚えます。
- 会社に配慮してほしいことがあれば教えてください
⇒配慮していただきたい内容は全部で3点ございます。まず1点目は月に1回、面談のお時間を10分間いただけますと幸いです。次に2点目は、まれに会話のなかで言葉が出づらい時がございますので、そういった場合は考えをまとめるお時間を30秒ほどいただけますと幸いです。最後に3点目ですが、ごくまれに思考が停止してしまうことがございます。そういった場合は、10分ほど離席して休憩を取らせていただけますと幸いです。
- 休日の過ごし方について教えてください
⇒外出する場合は図書館や美術館に行き息抜きをすることが多く、自宅で過ごす場合は読書や動画鑑賞をして過ごすことが多いです。そのときの体調に合わせて過ごし方を決めており、勤務日の前日は自宅で心身を休ませることを優先しております。
私が特に意識した箇所について下線を引きましたが、面接で重要なのは「誰にとっても分かりやすい内容で伝えられているか」「内容は具体的か」といった点になるかと思います。
特に、障害特性については「障害のことを詳しく知らない人にも分かりやすいか」、配慮事項については「内容が具体的で、実現可否を想像しやすいか」を重視し、想定質問を作成していました。
このように、しっかりと自己分析を行い、その内容をもとに質問への回答を準備しておくことで、面接本番も落ち着いて対処することができますので、参考にしてみてください。
- 面接練習
想定質問集の作成を終えたら、面接練習を行います。
私が通所していたときも多くの利用者さんが面接練習を行っており、就職活動には欠かせないものだと感じました。
私の場合は、初めて行く環境や初めてお会いする方に対して必要以上に緊張や不安感を覚えるため、面接に苦手意識がございました。そこで「とにかく回数をこなして、面接というものに慣れよう!」と意気込み、スタッフの方々に繰り返し面接練習をお願いしていました。
面接練習をこなし、実際に面接を受けて感じたことは「面接は慣れ」「意外と完璧でなくても大丈夫」ということです。
面接練習を繰り返していくと人前で話すことに慣れていくため、とにかく回数をこなすことが大事だと私は感じました。また、言葉が詰まってしまったり、たどたどしくなってしまっても、面接官の方への回答内容に問題がなければ「それだけで落ちてしまう」ということはありません。ただ、想定外の質問については自己分析がしっかりとできていることが大前提となりますので、面接練習を通して自己分析をより深めていただければと思います。
ディーキャリア所沢オフィスのスタッフの方はもちろん、この後にお話するエージェントの方も面接練習を行ってくださいますので、自分1人で何とかしようとはせず、周りの方々のサポートを受けながら就職活動を進めていただければと思います。
- エージェントの活用
こちらは就職活動に必須ではないのですが、私はエージェントを活用することでスムーズに就職活動を進めることができたため、エージェントを活用するメリットについて簡単にお伝えさせていただきます。
まず、エージェントとは簡単に言うと「企業との仲介業者」になります。本来、自分で行うべき企業とのメールのやり取りや、面接の日程調整などの事務作業を代わりに行ってくださるのです。
というのも、就職活動は上記で挙げた事務作業が多いのはもちろん、面接準備や選考の進捗確認など、事務作業よりも優先すべきタスクが多く発生します。エージェントの方々に事務作業を代わりに行っていただくことで、選考そのものに集中することができるという点が最大のメリットだと私は感じました。
エージェントの活用は必須ではありませんが、マルチタスクが得意ではない方や就職活動を進めることに不安を感じる方はぜひ検討してみてください。
まずは、ここまで読んでいただきありがとうございました。
本記事では、私の障害者雇用における就職活動の経験をもとに、事前準備についてお話をさせていただきましたが、いかがだったでしょうか?
実際に、就職活動を経験してみた感想としては「就職活動は縁であり戦略だ」ということです。
どれだけ面接の内容が完璧だったとしても「会社とマッチしているか」ということが要になるため、選考に通過しなかったことを悲観しすぎる必要はないと思います。人の縁と同じで、就職活動にも縁というのは存在すると思いますし、皆さまにもっと合った会社が他にあるというだけのことなのです。
だからこそ、自分に合った会社と出会ったときにその縁をものにするため、事前準備や選考過程の戦略がカギとなります。本記事がその戦略の手助けになれば幸いです。
もちろん、自分1人で進める必要はなく、周りの方々のサポートを受けながら、無理のないペースで、より実りのある就職活動にしていただければと思います。
以上、長くなりましたが最後まで読んでいただきありがとうございました。準備編は以上となりますが、実際の活動編も更新予定ですので、あわせて読んでいただけますと幸いです。
貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。
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■この記事を書いた人は?■
ディーキャリア立川オフイス・所沢オフィス編集部
普段は、ディーキャリア立川オフィス、ディーキャリア所沢オフィスでそれぞれ支援員として勤務。主にオフィスの日常やイベント情報、発達障害、注意欠如・多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、限局性学習障害(SLD)、精神障害、特性への工夫、障害者雇用、セルフケア、ライフハック、日々の支援員の気づきなど、さまざまな情報を発信しています。 凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹Tweet
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