ADHDの特性:ワーキングメモリ
おはようございます。ディーキャリア所沢オフィスのピア支援員のKです。
ADHDの特性のひとつにワーキングメモリが低いということがあります。ワーキングメモリとは記憶した内容を脳内で処理することができるキャパシティを指します。しかし、ワーキングメモリが低い一方で、長期的な記憶力や学力などは高い場合も存在します。どうして記憶力や学力が高いのにワーキングメモリだけが低いのか、そもそも両者の違いはいったい何なのでしょうか。今回はADHDの特性のひとつであるワーキングメモリについてお伝えしていきます。
ワーキングメモリとは
ワーキングメモリとは記憶した内容をもとに何かしらの作業または処理をおこなうために必要な能力です。短期記憶能力と同じように思うかもしれませんが、短期記憶能力はただ単に暗記するだけに留まるという点で異なります。例えば、電話番号の数字を覚えるといった行為は短期記憶ですが、その数字を四則演算してみるといった作業に派生するのがワーキングメモリになります。したがって、頭の中では数字を覚えるといった行為と四則演算するといった行為の両方をおこなっている、いわばマルチタスクの状態です。ADHDの方はその特性上、マルチタスクが苦手な傾向にあるため、ワーキングメモリが低いことが多いです。
記憶力や学力は高いのにワーキングメモリだけが低い
ワーキングメモリは必ずしも記憶力や学力と結びつくとは限りません。これは机に例えると分かりやすいです。机のサイズの大きさがワーキングメモリ、引き出しの多さが記憶力だとイメージしてみてください。机が大きければ大きいほどいろいろなことを同時並行して処理することができ、引き出しが多ければ多いほどたくさんのことを記憶できます。記憶力は良いがワーキングメモリだけが低いという場合、引き出しの数は多いけれど、机のサイズだけが小さいといった状況になります。どんなに多くのことを記憶できたとしても、それを取り出して作業するスペースが小さければできることは限られてしまいます。これがワーキングメモリと記憶力が必ずしも結びつくとは限らない理由です。
では、学力はどうでしょうか。学力というと学校での勉強を指すと思います。学校の勉強ではワーキングメモリよりもアウトプットする力が必要とされています。例えば学校のテストでは、新しく覚えた公式や漢字などが出題されますが、記憶力自体に問題が無ければ多少思い出すまでに時間がかかったとしても答えにたどり着くことができます。そのため、テスト結果だけ見ればワーキングメモリが低かったとしても学力自体には何ら問題はありません。ADHDは集中力が高いケースもあるため、むしろ勉強は得意だという人も珍しくはありません。
ワーキングメモリが低いことによる影響
ワーキングメモリが低いことによる影響は大人になってから感じる人も多く存在し、私もそのうちの一人です。学生時代は勉強面において問題はなかったとしても生活面では問題があることが多いです。特に顕著なのが忘れ物です。先ほどのテストはアウトプットの力を試すのに対して、日々の生活ではワーキングメモリが問われる場面が多く存在するからです。例えば宿題を忘れてしまうケースでは、宿題があるということ自体はしっかりと記憶できています。しかし、その記憶は記憶の引き出しの中にある状態なので、瞬間的に忘れてしまっています。そのため、次の日になってから学校で宿題をやっていなかったことに気が付くのです。宿題以外にも、放課後に委員会や部活の集まりがあることを忘れてしまっていたり、頼まれていた事を忘れてしまうなど生活のいたるところで見受けられます。学力が高いのにこういったミスが多いのは、生活面では自ら物事を引き出しから引っ張り出さないといけないからです。テストであれば「これの答えは何ですか?」と直接問いかけてくるため、時間をかけて思い出すことができれば正解できます。しかし、日々の生活においてはいちいち問いかけてくれる問題も人も存在しないため、誰からも問われなくても自発的に思い出さなければなりません。
学生時代であれば先生や親に叱られるだけで済みますが、社会に出てからはさらに苦労します。上司への報連相漏れ、電話応対のミス、スケジュールを忘れてしまうといったミスが多発し、信頼関係を築くことが難しくなってしまいます。こういったことが積み重なると会社に居づらくなってしまい、最終的に退職してしまうといったケースも珍しくはありません。
対策
ワーキングメモリの低さをカバーするということは、記憶の引き出しから引っ張るトリガーを増やすことと同じ意味になります。そのため、自分が最も目にする場所にタスクをメモしておくことが効果的です。決まったメモ帳にタスクを記載しておき、目につく場所に置いておくと良いでしょう。私の場合、仕事でよく利用するチャットツールにタスクをピン留めできる機能があるのでそれを使ってタスク管理をおこなっています。どんなに些細なことであっても、振られた仕事は即座にメモし、抜け漏れがないように意識することが重要です。
また、メモを見る頻度も大事です。いくら事細かにメモしても見る頻度が少なければ意味はありません。業務に集中するあまり、メモを見るのを忘れてしまうということもADHDのある方にはよくある話です。これの対策としては、時間を決めて定期的にタスクを確認したり、業務がひと段落したタイミングでメモを見返したりなどの一定のルールを定めておくと効果的です。
いかがだったでしょうか。
学校と仕事では求められるスキルが異なるため、大人になってから仕事で苦労をするといったケースは珍しくありません。しかし、しっかりと対策をおこなうことである程度の抜け漏れを防止することができます。今回紹介した対策は一例にすぎませんので、自身にあった対策方法を探してみましょう。
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■この記事を書いた人は?■
ディーキャリア立川オフイス・所沢オフィス編集部
普段は、ディーキャリア立川オフィス、ディーキャリア所沢オフィスでそれぞれ支援員として勤務。主にオフィスの日常やイベント情報、発達障害、注意欠如・多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、限局性学習障害(SLD)、精神障害、特性への工夫、障害者雇用、セルフケア、ライフハック、日々の支援員の気づきなど、さまざまな情報を発信しています。 凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凸凹凸凹凸凹凸凹Tweet
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