コミュニケーションが苦手、それでも就職できるのか
おはようございます。ディーキャリア所沢オフィスです。
今回は、通所中の”コミュニケーションが苦手”のLさんに、どのような訓練をおこなっているのかや、通所してどのような変化が表れているのか、などを記事にしていただきました。
初めまして。
利用者のLと申します。
この度、スタッフの方から「ブログを書いてみたらどうか?」とお誘いを頂き、私がどうしてディーキャリアで就職することになったのか、自分自身のこれまでを振り返る意味も込めて書いてみようと思います。
よろしくお願いいたします。
①診断のきっかけ
私は元々人とのやり取りが得意でなく、昔から空気が読めないと言われることがありました。自分でも「人と違う」ことは何となく感じていたのですが、大学生の時にコミュニケーションの苦手さから辛さを感じていた時、大学の授業で「発達障害」なる障害があり、その一つにコミュニケーションの障害を主とする自閉症スペクトラム障害(ASD)というものがあるということを知りました。自分でも調べてみると自分に当てはまる話が多いと感じ、精神科を受診したところASDとの診断を受けました。
ASDの診断を受けたことで、自分の中では「人と違う」ということに納得がいったのですが、3年生になって就職活動を始める時になり、私はある不安を感じるようになってしまいました。
②不安から引きこもりへ
いざ就職活動となった時、何をすればよいのかわからずいろいろと資料を探したのですが、多くの就活サイトに「企業はコミュニケーション能力を求めている」との記載がありました。コミュニケーション能力が必要であることは分かっていましたが、自分が元々コミュニケーションが得意ではない自覚と、ASDの診断を受けているということから「自分は本当に就職できるのか?」「就職できたとして職場でやっていけるのか?」という就職に対する強い不安に襲われてしまいました。
3年生の秋まではなんとか授業に出席することができていたのですが、周囲の就活が本格化していくにつれて「頭ではわかっていても就活へ動けない」という状態が強くなってしまい、大学へ行けなくなってしまいました。
今考えると現実逃避的な側面が大きかったのかなと思いますが、当時は就職や自分の未来への不安があまりにも大きく、自分が今後どのように生きていけばよいのかが見えず、抑うつ状態へとつながっていったのです。
大学へ行けなくなってからはいわゆる「引きこもり」のような状態での生活になり、深夜までネットを見たりゲームをやったりして、昼夜逆転の生活リズムとなりました。
逃避の手段としてネットに没頭してしまったのですが、ネット広告や記事で就活に関する記事を見るたびにネガティブになり、さらに不安が強くなることで抑うつのような状態になるという悪循環の生活を送るようになっていました。
③脱引きこもりからディーキャリアへ!
ほとんどの時間を家で過ごす中で、卒業単位を落としてしまうことが確定し、それに伴って留年することが決まってしまいました。
留年が決まった際に家族から「半期分の学費は出すからあとは自分で何とかしなさい」と言われ、少しずつ「不安と言ってられないな」という気持ちを持つようになりました。
私の大学にはキャリアセンター(※就職支援の部門)というものがあり、就活生は基本的にそこに登録をして面談や書類添削のサポートを受けながら就活を進めていくのですが、私は就活への不安からセンターに登録していませんでした。何度かセンターの職員さんが連絡をくれていたのですが、それも無視してしまっていました。
そんな中で、残り半年で卒業して就職しなければならないというプレッシャーと、「何か不安があれば相談してね」という職員さんのメッセージを見て、一度相談に行ってみようと思いました。
職員さんとの面談で、自分のこれまでのこと・ASDのこと・就職に対する不安のことを伝えると、「就労移行支援というものがあるから見学に行ってみませんか?」という提案をしてもらい、実際に見学に行ってみることにしました。
見学へ行った事業所の一つがディーキャリアだったのですが、オフィスのうるさすぎず静かすぎずの雰囲気が自分に合っていると感じたことと、面談の際にスタッフの方から「しっかり準備をして自分の使える武器を磨いて就活に臨むことが重要」と言われたことが印象に残り、ディーキャリアで就職活動に取り組むこととしました。
家族もディーキャリアのスタッフの方のお話に納得し、サポートをしてくれるとのことでしたが、まだ卒業できていない身であったので、まずは卒業単位をしっかりとった上で本格的な利用を始めることとし、卒業前から体験という形で週2回からの通所で慣れていくことから始めました。
最初の2か月はまず生活リズムを整えることから始めました。自分の生活記録をつけていつ寝て起きたのか・自分のその日の体調はどのようなものなのかといったことをシートに記載していきます。
これを毎日繰り返していくと、少しずつですが自分の生活リズムの立て直しに必要なことがわかるようになり、段々と元通りの生活に戻せるようになりました。
並行して卒業論文も書かなければいけなかったため、生活リズムの修正とともに卒論執筆のためのタスク管理やスケジュール管理もスタッフさんからアドバイスを頂き、何とか同級生から半年遅れの9月に卒業することができました。
9月には生活リズムを戻すことができていたため、本格的な利用を開始していくこととなりました。週5日終日のフル通所をおこない、いよいよ就職の不安を向き合うタイミングがやってきたのです。
④ライフスキルコースで当たった壁
ライフスキルコースではディーキャリアのプログラムであるセルフケア・自己理解・コミュニケーション・思考の整え方といったことを一通りおこないました。
自己理解の訓練や思考の整え方(リフレーミングという訓練があります)に関しては頭を使うものであったため楽しく取り組むことができ、「自分のことがわかるようになる」といった感覚を掴むことで自己肯定感を上げることにもつながりました。
一方でそれらの訓練は「自分の内側と向き合う」ということがメインのテーマであったため、自分の性にあっていたのですが、コミュニケーションの訓練では苦手意識を強く感じてしまいうまくいかなかったことが多くありました。
コミュニケーションの訓練では、適切に聴くこと・伝えることに関して学んでいきます。
座学と実際にやり取りするワークを組み合わせておこなうのですが、座学の知識を入れても実際の人を相手にすると、やはりコミュニケーションへの苦手意識が強く出てしまい、頭ではわかっているけれど…という状態になってしまいました。
職場での話の伝え方のケースを取り上げることが多かったのですが、「忙しそうな上司に報連相する時」「急な休みを申し出る時」といった内容が自分にはハードルが高すぎるように感じられ、他の訓練と違って積極的な参加がなかなかできませんでした。
そんな気持ちでワークに取り組み、上手くいかないことで「やっぱり苦手なんだ」と思ってしまい余計に億劫になる、といった悪循環に陥ってしまいました。
コミュニケーションの苦手さに直面するうちに徐々に心身のバランスを崩してしまい、「行きたくないな」「訓練したくないな」という気持ちが先行するようになってしまいました。
通所開始直後は問題なく通えていたはずが、次第に遅刻・欠席が増えていきました。
安定して通所ができていない私にスタッフが提案をしてくれ、1対1の面談を継続的におこなうこととしました。
面談は「コミュニケーションの苦手さをなぜ感じるのか」という内容が主なテーマでした。過去の対人コミュニケーションでの失敗がトラウマ的になっていることは明らかだったのですが、「過去の経験の結果だけに焦点を当てるのではなく、そこから次にどうすればよいかを考えるとよいのではないか」というアドバイスをもらい、過去の失敗から「自分はダメだ」となるのではなく、「次頑張ればいいんだ」という思考に少しずつ切り替えていけるようになりました。
面談を何回か続けるうちに、少しずつコミュニケーションへの後ろ向きな考え方を修正することができ、訓練のワークでも過度にネガティブにならずに取り組めるようになりました。
加えて、ディーキャリアの利用者は就業経験の有無や年齢などバラバラであり、特に複数の就業経験を持っている利用者から、訓練時にご自身の体験を踏まえたフィードバックを頂けたことで、どのようにやれば上手くいきそうかが次第に肌感覚で掴めるようになり、ワークの中で「うまくいった」という感覚を繰り返すことで、コミュニケーションへの不安が入所当初と比べて軽減させることができました。
ライフスキルコースではこのような感じで特にコミュニケーションスキルでの壁にぶつかり、4か月ほどで修了することができました。
⑤ワークスキルコースで実践してみた結果…
ライフスキルスキルコースの次はワークスキルコースです。ワークスキルコースでは、実際の作業訓練をしながら、報連相・ストレス対処・タスク管理といったライフスキルコースで取り組んだ内容を実践的にできるかのチェックをする段階です。
ワークスキルコースでは業務内での不明点がある時にスタッフに相談するという場面が出てきます。
開始当初、忙しそうにしていたり他の仕事をやっている様子の時には自分から相談することを躊躇してしまい、すべき相談ができなかったことが何度かありました。
「忙しいのに話しかけて怒られたらどうしよう」といった不安が先行してしまうことが原因でした。しかしその後のスタッフさんとの振り返りの中で、「言わない=仕事に影響が出ることでそれが自分の評価になってしまう」「言うべきことはしっかり伝えることも仕事における責任の一つ」とのフィードバックがあり、そこから段々と自発的な報連相をスムーズにおこなえるようになりました。
また、ワークスキルコースでは切り出し作業(※実際の事業所の事務作業をおこなう本番業務のこと)をおこなうこともあり、その際は他の利用者と一緒に取り組むことも多く、他者への配慮や指示出しなども任せてもらう機会をもらい、コミュニケーションへの苦手感と不安が薄れていくようになりました。
その後に実際の企業へ実習参加した際、企業の担当の方から「報連相については適切で問題なかった」とのフィードバックを頂くことができ、コミュニケーションが得意とはいかないまでも、以前のような不安は起こらなくなっていました。
⑥就職活動とこれから
現在私はワークスキルコースを修了し、就職活動をおこなっています。
まだ内定は取れていませんが、いくつかの企業で2次面接に進んでいたりと順調に進んでいるかなと自分では感じています。
私がディーキャリアに入って良かったと思う一番のポイントは、「自分とじっくり向き合うためのサポートをしてもらえた」ことです。
自分のポジティブな面もネガティブな面もしっかりと見つめることが自己理解、ひいては就職のための武器づくりの第一歩だったのだと思います。
もちろん実際に活動するのは自分ですが、スタッフさんのアドバイスが役に立つことも多く、その中で試行錯誤していくことで、就職活動まで漕ぎつけられたのではないかと感じています。
ひきこもり状態だった過去を振り返った時、ここまで来れた自分が信じられないような気持ちになります。
家族・スタッフさんのサポートを活用しながら早く内定を獲り、胸を張って社会人として働くことで恩を返していきたい、というのが今の私の最大の目標です。
ここまで長い文章にお付き合い頂きありがとうございました。
就職に悩んでいる方、特に「わかってはいるけどなかなか一歩を踏み出せない方」はぜひ一度ディーキャリアに見学に来てみてください。
ディーキャリアは自分がどうすれば前に進めるのか、そのヒントがいっぱい埋まっている場所ではないかと私は思っています。
スタッフと一緒にお待ちしています!
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■この記事を書いた人は?■
ディーキャリア立川オフイス・所沢オフィス編集部
普段は、ディーキャリア立川オフィス、ディーキャリア所沢オフィスでそれぞれ支援員として勤務。主にオフィスの日常やイベント情報、発達障害、注意欠如・多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、限局性学習障害(SLD)、精神障害、特性への工夫、障害者雇用、セルフケア、ライフハック、日々の支援員の気づきなど、様々な情報を発信しています。 凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凸凹凸凹凸凹凸凹Tweet
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