不登校と留年を経験した私が、就労移行支援を通して社会人への一歩を踏み出すまで【卒業生ストーリー】
おはようございます。ディーキャリア所沢オフィスです。
今回は、ディーキャリア所沢オフィスを卒業された利用者が、
自ら卒業生ストーリーを書いてくださったので
紹介します。
【卒業生ストーリー】
『名前』
Tさん
『年齢』
20代
『今までの経歴』
大学4年次に、障害特性である「こだわりの強さ」から卒業論文を提出期限までに完成させることができず、1年間留年することになりました。私は高校生のときに、3ヶ月ほど学校に行けない時期があったのですが、その際にかかった病院で「発達障害かもしれない」と言われていたことを母から聞き、精神科を受診しました。
障害の診断後、所属していたゼミナールの教授にご協力いただいたことで、大学は卒業することができました。ですが、大学卒業後、障害を開示せずに接客業で働き始めた結果、大きな環境変化に心と体が追い付かず短期で離職することになりました。
その後、通院先の主治医を通して就労移行支援事業所の存在を知り、複数の事業所を見学した結果、ディーキャリア所沢オフィスに通所することになりました。
『障害特性』
診断名は「注意欠如多動性障害(ADHD)」「自閉症スペクトラム障害(ASD)」です。
当時、顕著だった特性としては下記の通りです。
⑴こだわりが強く、何事も自分1人で解決しようとしてしまう。
⑵頭の中が常に活動状態であり、落ち着くことがない。
⑶新しい環境に対して、過度な不安や緊張を感じる。
当時、自身の特性は「自分1人で解決しようと行動し、他者へは相談しない」ことと「困っていることが表面化しない」ことが混在していたことで、日々感じていた「生きづらさ」に繋がっていたのだと今は考えています。
『ディーキャリアに入る前の困り事』
当時、自身が抱えていた課題は大きく4つに分類することができます。
一つ目は週5日間、活動する体力が備わっていないことです。当時は起床時間や就寝時間、睡眠時間が定まっておらず、生活リズムが不安定でした。
二つ目は、自身の特性について理解ができておらず、”障害者”としての自分を受け入れられていないことです。私の場合、困り事がある一方で「障害を持っているようには見えない」と言われることが非常に多かったため、自身の障害を受け入れることに難しさを感じていました。
三つ目は、何事も自分1人で解決しようとしてしまい、他者に相談することができないことです。自分の弱みや苦手を開示することに抵抗があり、人を頼ることが非常に苦手でした。
四つ目は、気持ちをコントロールすることが難しく、親しい人に対して怒りをぶつけてしまうことです。学校や仕事など、オンのスイッチが入っているときは問題ないのですが、私生活で心を許している人に対しては感情が赴くまま行動してしまうことがよくありました。感情の昂ぶりが落ち着いてから後悔することも多く、他者と自分の両方を傷つけてしまう状態でした。
『各コースの通所期間と取り組み内容』
ライフスキルコース 約7ヶ月(2021年10月~2022年4月)
まずは、週5日間活動することに心身を慣れさせるため、週3日間の通所から始めることで、徐々に生活リズムを安定させていきました。また、自身の悩みや不安を他者へ相談できるようになるため、通所当初から定期的に面談をしていただきました。
座学形式の訓練では、障害に関する訓練やアンガーマネジメントの訓練を通して、自身の特性や気持ちのコントロール方法を学び、現在に至るまで実践しています。
プレワークスキルコース 約1ヶ月(2021年5月)
私は特性上、環境や取り組み内容の変化に対して敏感なため、すぐにワークスキルコースに移るのではなく、ワークスキルコースに近い取り組みをおこなうプレワークスキルコースを挟みました。「MOSのテキストを使ってExcelのスキルを身につける」というタスクを実施することで、Excelのスキル向上だけでなく、業務に必要な報連相を癖づけることができました。
ワークスキルコース 約3ヶ月(2021年6月~9月)
最初の2か月間は、上長役のスタッフのもとWordやExcel,PowerPointを使った書類作成やプレゼンテーションなどの模擬業務に取り組みました。ワークスキルコースはライフスキルコースに比べると、より実践的な訓練になります。そのため、自分の障害特性が明確になったのはちょうどこの頃でした。その後、スタッフに相談しながら「自分ではどのように対処するのか」「企業にはどのような配慮をもらいたいか」の見定めをおこないました。また、他の利用者の方たちと協力して、お互いの配慮事項の摺り合わせを実施しました。
残り1か月間は、主に次のコースに移るための準備期間に当てていました。具体的には、就職活動に必要な履歴書や職務経歴書の作成のほか、自身の強みや苦手の発見など、就職活動の事前準備を進めていきました。
リクルートコース 約5ヶ月(2021年9月~2023年1月)
リクルートコースにいた5か月間のうち、約3か月間就職活動を行っていました。新卒で就職活動を行った経験があることや、転職エージェントを活用したことで、就職活動そのものに対しては困り事が少なかったように思います。元々、面接に対しては苦手意識があったのですが、スタッフとの面接練習や面接の振り返りに力を入れたことで、無事内定を頂くことができました。
また、以前は少しの失敗で気持ちが落ち込んでいたのですが、就職活動を通して「完璧じゃなくてもいいんだ」と思えるようになったことが1番の変化だと感じています。ですが、その一方で、既に社会人としてのキャリアをある程度積んでいる友人の話を聞いた際に、自分の現状と比べてしまって思い悩んだことが何度かありました。その際、スタッフに自身の悩みについて相談し、アドバイスを頂いたことで、気持ちの落ち込みを回復させることができました。
『就職先業界』
人材・広告業界
『雇用形態』
正社員
『ディーキャリアで何を学んだか』
約1年3か月間、通所したことで多くの学びがありましたが、主に3つに分類されると思います。
一つ目は、社会人に必要な諸々のスキルです。具体的には、自分に合った体調管理の方法や報連相、業務管理方法、PCスキルなどを向上させることができました。
二つ目は、発信力の重要さです。必要な手助けや配慮を頂くためには、自ら「困っている」「悩んでいる」という状態を他者に伝えることが必要だと学ぶことができました。
三つ目は、人に対する寛容さです。ここでいう人とは、他者はもちろん自分も含まれます。ディーキャリアに通所するまでは、特に親しい人に対して怒りをぶつけてしまうことが多く、自分に対しても常に完璧を求めていました。ですが通所を通じて、自分と考えが違う人に対しては「こんな人もいるんだな」「そういう考え方もあるんだな」と捉えることができるようになりました。また、自分に対しては「完璧じゃなくてもいい」と思えるようになり、ちょっとしたミスに対しても「まぁいいか」と捉えられるようになりました。
『現在の自身の特性の困り事』
現在、自身が抱えている課題に関しては、主に2つに分類することができます。
一つ目は、脳内が常に活動状態にあることで、脳疲労を感じやすいことです。特に、得た情報量が多い場合は脳内の活動が激しくなり、状態が悪化すると思考が停止してしまうことがごくまれにあります。
二つ目は、初めて訪れる場所や初めて会う人、初めて取り組む業務に対して、人よりも緊張や不安を感じやすいことです。これらの共通点としては、全て「想像ができないこと」であり、事前の準備に力を入れるがあまり疲れきってしまうことがあります。また、環境変化によって、一つ目の困り事である脳内の過活動が悪化しやすくなります。
『その困り事への工夫』
一つ目の困り事に対して、まずおこなっていることは脳内情報の可視化です。具体的には、Excelで作成したタスクリストや手帳のToDoリストを活用することで、できるだけ脳内情報を外に吐き出すようにしています。また、仮に思考が停止した場合は離席して休憩をするなど、脳疲労を軽減させるための環境づくりをしています。加えて、通所日や勤務日の前日は脳疲労を改善させるために、予定を入れないようスケジュール管理をしています。
二つ目の困り事に対して、特に力を入れていることは他者への相談です。現在は、自身の不安や悩みについて、ディーキャリアのスタッフや主治医、家族、友人などに相談をしています。就業後は、入社先で定期面談をしていただくため、その機会を活用するほか、定着支援や主治医、家族、友人に引き続き相談をしていきたいと考えています。また、休憩時間は疲労を回復させるため、可能な限り一人で過ごすようにしています。
『今後どうなりたいか』
まずは就業先で1年間、無遅刻・無欠席で通勤したいと考えています。特性上、自身にとって環境変化は大きな影響を及ぼすため、まずは「休まずに安定して勤務すること」が最重要課題だと捉えています。また、勤務するなかで上手な断り方を身につけたいと考えています。こちらは、ワークスキルコースから継続して向き合っている課題なのですが、自身が抱えている業務量の多さから仕事を断るという場面に遭遇することがほとんど無かったため、就業後に業務をおこないながら身につけていきたいと考えています。
その他にも、ワークライフバランスの構築や家族への恩返しなど、今後叶えていきたい目標は多岐にわたりますが、関わる業務や人に対して真摯に向き合っていくことで自律した社会人になれるよう、励んでいきたいと思います。
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■この記事を書いた人は?■
ディーキャリア立川オフイス・所沢オフィス編集部
普段は、ディーキャリア立川オフィス、ディーキャリア所沢オフィスでそれぞれ支援員として勤務。主にオフィスの日常やイベント情報、発達障害、注意欠如・多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、限局性学習障害(SLD)、精神障害、特性への工夫、障害者雇用、セルフケア、ライフハック、日々の支援員の気づきなど、様々な情報を発信しています。 凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凸凹凸凹凸凹凸凹Tweet
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