面接場面での不適切な表現により、うまくいかない就職活動のお悩み
こんにちは。ディーキャリアITエキスパート田町オフィスの鈴木です。
今回は就職活動の際にあえて伝えなくてはいいことを話し過ぎてしまうがゆえに、なかなかうまくいかない事例や原因、就職活動をするうえでの伝え方の工夫をお伝えいたします。
伝えなくていいことがわからない理由
発達障害のある方の中で、「すぐに嘘をつく」方もおり、なかなかコミュニケーションがうまくいかない方もいらっしゃると思います。一方で「ありのまま伝えてしまう」ことで悩んでいる方も一定数いることをご存じでしょうか?
例えば、就職活動や他者とのコミュニケーションを円滑におこなう上で、全てを正直に話さなくてもいい場面、あえて自分からふらないほうがいい話題などがありますが、発達障害のある方の中には、そのニュアンスが感じ取りずらいため、コミュニケーションがうまくいかない場合もあります。
伝えなくていいポイントが分かりづらい理由としては、主に以下のような理由が挙げられます。
①事実に即したことを言わなければいけないという思い込みがある
こちらは就職活動の面接の際に起こることが多いのですが、「ありのままの自分を伝えなければいけいない」「現実に即して伝えなくてはいけない」という思い込みが強すぎて、面接時に伝えなくてもいいことを伝えてしまう傾向にあります。
全てをありのまま伝えることは一方で誠実でもあるのですが、ビジネスシーンや就職活動では、「伝えなくてもいいこと」を判断する必要があります。
②言葉の理解力や表現方法に課題感がある
特にASD傾向の強い方は、「オブラートに包んで相手に伝える」ことが苦手な傾向にあります。そのため、相手が求めていないの雰囲気を感じ取れずにそのまま伝えてしまい、関係性が悪くなることもあります。本音と建前の使い分けが感覚的に分からないので、ストレートに言わないということがうまくできません。
③相手がどうやって受け取るのかを理解しづらい
ありのまま全てを話してしまう方の多くは、そうしたくてやっているわけではなく、無意識の回答をしています。つまり、ありのまま伝えると自分の評価がどうなるのか、その後のコミュニケーションにどう影響があるのかを想像することができません。なので、事前に準備ができない場面では特に、正直に伝えてしまう傾向にあります。
ニュアンスが分かりづらい利用者への伝え方
ありのまま伝えることは必ずしも悪いことではないので、「正直さを捨てて、嘘もついたほうがいい」と伝えると誤解が生じてしまいます。面接など回答内容が想定できる場合は、どういったときにどのように伝えると円滑なコミュニケーションがおこなえるのかをお伝えできるといいと思います。また、ありのままに伝えることで相手を不快な思いにさせてしまう場合もあることも共有し、ありのまま伝えることが絶対にいいことではないということの説明も必要です。
例えば就職活動においては、面接問答集を事前にしっかりと準備し、相手が戸惑うような言い回しがある際は修正をおこないます。また、日々の面談でこだわりを強く伝えてしまう部分を都度指摘し、どんな伝え方が相手にとってはいいのかを場面で覚えていただく作業を繰り返しおこないます。
感覚で覚えることが苦手な発達障害のある方は、場面を繰り返していくことで、記憶の定着も進みますので、繰り返していくうちに「ありのままに伝えないほうがいい場面」が認識できるようになっていきます。
ディーキャリアITエキスパート田町オフィスの支援事例
実際にディーキャリアの利用者にもそういった方はたくさんいらっしゃいます。例えば、うつ病のある方の就職面接の際に「うつ病の症状は具体的にどういったものがありますか?」といった質問がありました。
Aさんは「気分の落ち込み、食欲の低下、動けなくなる、涙が止まらなくなる、布団から出られない、死にたいと思う、自殺願望に襲われる」といった回答をしました。ちなみにこの質問では過去の症状なのか、今の症状なのかの限定的な質問ではありませんでしたが、Aさんは自身が経験したうつ病の症状を全て正直にお話しました。
ここで問題なのが「死にたいと思う、自殺願望に襲われる」という言葉です。うつ病の症状でのこれらの症状が起こることが問題ではなく、その時の自分の様子をありのままに伝えたことに問題があります。
「死」や「自殺願望」といった言葉は企業側にとってはパワーワードなので、「またそういうことが起こってしまうのではないか」といった疑念からなかなか就職活動がうまくいかないケースが多くあります。
ここで工夫したことがよかった点としては以下の3点があったと本人にお伝えしました。
①症状の中でインパクトのある言葉はあえて伝えない
現在その感情に囚われていないことが大前提ですが、通所実績や本人からの相談が数年ないのであれば、服薬等でコントロールできているので、あえてマイナスなことを伝える必要がないという考え方です。
②言葉を変える
そう思っていたことは事実なので、事実に即した伝え方にこだわりたいのであれば「無気力感がとても強かった」「生きていて楽しいと感じることが少なかった」など、ニュアンスをずらして伝えるのもテクニックです。直接その言葉を使わないだけで、企業側の印象はだいぶ変わります。
③自分をフォローする言葉を必ず入れる
「死にたいと思う、自殺願望に襲われる」という言葉をそのまま使用したいのであれば、現在の自分の状態がどうなのかを必ず伝える必要があります。ここ数年精神的に落ち込んだことはないのか、落ち込んだのであればその要因は何なのか、どんなセルフケアをおこなっているのかを伝えます。過去に起こっていたことでも、今の自分を安心してもらえる材料があれば、説得力を持ってお伝えすることができます。
もちろんご自身で気付き、対応策を考えるのはとても難しいと思いますので、支援員と一緒に進めていきます。上記のことが当てはまって悩んでいる方がおりましたら、ぜひ一度ご相談ください。
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