どれくらいで就職できる？～就労移行支援事業所の利用期間について～

こんにちは。
ディーキャリアITエキスパート田町オフィスの鈴木です。
今回は就労移行支援事業所の見学の際によく聞かれる「どれくらいで就職できるの？」に答えていきたいと思います。

就労移行支援事業所の利用期間

そもそも就労移行支援事業所がどれくらいの期間利用できるか知っていますか？初めて利用される方はどんな方でも基本的には最大2年間の利用が可能です。これは「人生で2年間しか使えない」という意味です。お住いの市区町村や通所の安定性、就職活動の実績によって、利用期間を短くすること、延長するケースもありますが、基本的には2年間ということを知っておいてください。どのように2年間を過ごされるかは、その利用者、事業所との契約次第なので、具体的なケースをご紹介したいと思います。

ケース①：スキルはあるが、他者との関わり方が分からなかったパターン

このかたは新卒で入社したはいいものの、業務量が多すぎてなかなか周りに相談することができず、うつになり、その後の診断でASDと分かりました。配慮をもらって長期的に安心して働きたいという思いから障害者雇用での転職をめざしていました。

彼女の場合、ビジネスマナーや仕事のスキルはすでにあったので、ディーキャリアのライフスキルコースの訓練に重きをおいてご利用頂きました。他者との関わり方の中で、適切な報連相のタイミング、相談スキル、雑談スキルなどを磨くことで、「独りで抱えすぎない」ことを実践していただき、過集中による疲れに関してはお声がけいただくなどの配慮をもらうことにしました。

また、未経験でエンジニアを志望しておりましたので、基礎的なプログラミングスキルを学ぶ時間も3か月ほどかけ、就職活動は1か月で無事に終えることができたので、合計で1年弱で卒業していかれました。今でもエンジニアとしてご活躍されています。

コミュニケーション訓練の一例は下記のブログをご参照ください。
発達障害のある方が苦手な「共感」と「コミュニケーション」のとり方

ケース②：復職（リワークで利用した場合）パターン

この方は一般就労先で上司とのコミュニケーションがうまくいかずに適応障害と診断され、休職期間の6か月間に復職に向けた訓練をおこなうためにご利用頂きました。

彼女の場合はコミュニケーションを取ることについてはあまり問題がなかったのですが、受け止め方の認知に特性がありました。「もしかしたらこう思われているかも」「こういう風に捉えられているんじゃないのか」といった不安が先行して体調に影響を及ぼしていたので、4か月間はライフスキルコースを通して、捉え直しに時間をかけました。その後2か月間はワークスキルコースでチーム訓練をおこない、他者との適切な距離の取り方や声掛けの仕方を身に着け、無事に6か月で復職をしました。その後定着支援に入っていますが、問題なく仕事をこなせています。

ケース③：自分の苦手と向き合うのを拒んだパターン

最後にご紹介するのは一番時間のかかったケースです。彼は新卒でエンジニアとして入社しましたが、OJTの際にミスをしてしまったのをきっかけにうつ状態になり、その後ASDと診断されました。

彼の場合は最初に躓いてしまったこともあり、通所当初は敬語を使うこともなかなかできませんでした。また、ご自身の障害をなかなか受け入れることができず、自分の特性を言語化するのにとても時間がかかりました。不安傾向もかなり強い方で、「また前職のようになったらどうしよう」という心配から過剰に自分のことをPRしてしまい、リクルートコースの就職活動も1年弱かかりました。

何度も面談を重ね、何をしていきたいのか、そのためには何と向き合うことが必要なのか、をお伝えし、最終的にはご自身と向き合う決断をし、受給者証の延長申請をして、3年弱利用をして希望するエンジニア職で就職されました。就職後も不安感はあるようですが、適切に上司に相談することができているため、社内からも高い評価を得ております。

利用期間はその人によってそれぞれ

基本的にディ―キャリアITエキスパート田町オフィスでは平均の通所期間は1年半程度です。しかし、ご利用される方が「いつ就職したいか」によって、オーダーメイドの支援を提供しておりますので、必ずしも1年半通わないといけないわけではありません。

障害者雇用の要は「自己理解」がどれだけできているかにかかっています。どれだけ業務スキルが高くてもそこができていないと内定をいただくことはできません。

障害を受け入れるのに人それぞれ時間がかかるように、自己理解にかかる時間もさまざまです。「自分はどのくらいかかるのだろう？」と不安な方はぜひお気軽にご相談に来てください。皆さまのご要望やなりたい姿をお聞きしながら、もしディ―キャリアを利用したらどれくらいの期間で何ができるようになるのかご説明いたします。現場の支援に入っているスタッフがご対応いたしますので、将来のキャリアプランを考える、よいきっかけになるかと思います。

文責　就労支援員　鈴木慧南

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