「報連相がうまくできない」大人の発達障害の特性によるもの?|原因と対処法
新潟オフィス管理者の五十嵐です。
組織で仕事をする場合、他者と協力して業務に取り組むことが基本となります。
しかし「報告連絡相談が足りない」「逆に報告連絡相談をやりすぎ」と言われてしまうことも、
誰しも一度はあるでしょう。
特に、大人の発達障害を持つ人々にとって
この苦手さは仕事の面で顕著に現れることがあります。
この記事では
そんな発達障害の特性としての「報連相の難しさ」、特に「相談ができない」
という問題に焦点を当て、その原因と対処法についてお伝えします。
このような人におすすめの記事です。
「報連相が足りないと怒られたことがある」
「足りないと言われて、頑張ってみたら逆に多すぎると言われてしまった」
「報連相がなぜ必要かわからない」
「相談するタイミングがわからない、何を相談していいかわからない」
これらの問題は
発達障害の「ASD(自閉症スペクトラム障害)、ADHD(注意欠如・多動性障害)」の特性である可能性があります。
発達障害は外見では分かりません。
そのため障害特性からくる苦手さをその人の努力不足だと勘違いされてしまい、
「仕事ができない人」「言っても変わらない人」と捉えられてしまうことあります。
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目次
1.発達障害の理解(報連相の課題)
発達障害は主に「自閉症スペクトラム障害(ASD)」「注意欠如・多動性障害(ADHD)」「限局性学習障害(SLD)」に分類され、発達障害の併存をする場合もあります。
これらの障害はコミュニケーション、社会的スキル、学習能力そして日常生活の適応に影響を与えることがあり、生まれつきの特性のため親のしつけや育った環境により発症するものではありません。
発達障害、特にASDの場合には対人関係やコミュニケーションの苦手が指摘されています。
例えば、他者の意図を推測したり、他者を通して自分自身の行動を認識することが難しかったり
相手の視点や立場に合わせて、関係性の中で言葉や表現を変化させていくといった
柔軟な対応の困難があります。
また、日常生活における対人関係の理解で重要な表情の認知を自動的・直観的に理解することや
相手の気持ちを適切に推し量る柔軟で直観的な心の理解が難しいとされています。
これらの特性から「空気が読めない」「人の気持ちがわからない」といった、
発達障害がある方が指摘されがちなコミュニケーションの問題につながりやすいようです。
大人の発達障害
発達障害は幼年期に必ず診断されるものではなく、青年期以降になってから診断を受ける場合もあります。青年期以降に診断を受けた方は特に、障害に対する否定的な考えを持っていたり、障害がわかりにくく多様であることから、特性を障害として受容する難しさがあると考えられています。
発達障害は、特に知的な遅れがない場合、見ただけでは特性や困難を理解することが難しいため、障害による苦手さや困難さに対して、適切な理解や支援を受けられないことで自尊心の低下につながり、鬱等の二次障害につながる、他の精神障害を併発するといったリスクが発生することもあります。
2.なぜ「相談」が難しいのか?【大人の発達障害】
発達障害があると相談が難しくなる、苦手になりやすい理由として大まかに3つ挙げることができます。
- ①ADHDの先延ばし癖から、不明点があっても相談を後回し、先延ばしにしてしまう
- ②ASDのコミュニケーション特性から、質問・相談するタイミングがわからない
- ③過去の経験から、相談することに苦手意識がある、躊躇してしまう
それぞれのケースについてみていきましょう。
2‐1 不明点、疑問点があっても質問や相談を先延ばしにしてしまう
【特性が業務で影響する範囲】
・ADHDの特性により先延ばし傾向がある
- 衝動性……思いついたことにすぐ手を出してしまい、やるべきことに目が向かない
- 不注意性……気が散りやすく、周囲の刺激に意識が向きやすい。結果、作業に集中できない
・先の見通しが立てられない
- 実行機能の弱さにより、視点や行動の切り替えに難しさがある
- 優先順位付けの苦手により、個人で業務を進めることで誤った優先度で業務を進めてしまう
- 段取りができないことで、締め切りまでに間に合わせることができない
・時間感覚が乏しい
- 締め切りまでにあと何日、何時間という時間感覚がうまく持てないことで、締め切りまでの猶予時間がわからない
- タスクに対してどれくらい時間がかかるかイメージしづらいことで、スケジュールを立てることに苦手さがある
- 時間に合わせて自分の行動を調整する同時並行処理が苦手で、計画的な行動が難しい
まとめると、下記のスライドとなります。
2‐2 質問、相談するタイミングがわからない
【なぜ相談が難しいのか?】
・ASDの特性によりコミュニケーションの苦手さがある
- 会話での暗黙のルールがわからないことで、職場における適切な会話が難しい
- 曖昧な表現の苦手さから、報告や相談するべきタイミングがつかめない
- 文字通り理解してしまうことで、質問や相談の量・回数が適切でない(少なすぎる、多すぎる)
・相手が忙しく捕まらない
- 報告するべき相手が忙しく、外出していたり、他者と話していることが多い
- 順番待ちをしている間に時間が過ぎてしまう、作業が進まず進捗が止まってしまう
・質問する内容がわからない
- 質問しようとしても、どんな聞き方をしていいかわからない
- 自分の困りごとや置かれている状況の整理がうまくできない
- 説明の苦手さから、相手に自分の伝えたいことがうまく伝わらない
こちらもまとめると以下のスライドになります。
2‐3 相談することに躊躇してしまう
【特性が業務で影響する範囲】
・発達障害の特性によりコミュニケーションの苦手さがある
- 過去の失敗経験から相談に対するためらいが強い
- 人の気持ちがわからない特性から、必要以上に周囲の人の感情に敏感になっている
・相談に対する認知のゆがみ
- 相談=相手の時間を奪うもの という認識が強く、相手に気を使って相談できない
- 相談すること自体に悪い印象を持っている
・相談したことで怒られた経験がある
- 相談して怒られた経験が、嫌な感情としてずっと残っている
- 過去の経験から、相談することにトラウマを抱えてしまっている
まとめると以下のスライドになります。
3.特性による業務遂行への対処・対策【報告・連絡・相談】
このようなコミュニケーションの問題や、報連相の苦手さから発生する業務遂行の難しさに対して、どのように対処していくのか、対策を確認していきましょう。
3-1 不明点、疑問点があっても質問や相談を先延ばしにしてしまう
【対策】タスク管理を「カウントダウン方式」でおこなう
◎締切は「●月●日まで」ではなく「あと●日」「あと●時間」で管理する
今日が10月21日として、資料提出の締め切りが10月25日の場合
「10月25日まで」のメモでは、後どのくらい時間が残っているのか掴みづらい。
「あと4日」や「あと32時間」(1日8時間勤務と想定)で管理することで、残りの時間を視覚的に理解できるようにすると、自分に残された猶予時間がわかりやすくなります。
【例】
- 明日(9/17)は日直担当日
- あと7日で3分間スピーチ発表日
- あと20日でプレゼン発表日
PCであれば「インフォメーション」というアプリがオススメ
https://www.saberlion.com/tukaeru/soft/inform.html
自己対処として想定されることは「先延ばし傾向がある」「先の見通しがつきづらい」「時間感覚が乏しい」特性があることを前提として、自分にわかりやすい形でスケジュールを立てることが考えられます。
苦手な時間管理をできるようにするではなく、難しいのであればそのためのツールを用意することが大切です。
上記した「インフォメーション」アプリだけでなく、カレンダーを使って締め切りを見える形にする。締め切りから逆算して、どのくらいのペースで進めれば目標達成できるのか考えることも適切な対策となりますね。
特性による苦手さは無理やり解決しようとしても難しいものが多いです。
使えるものは何でもつかって、自分にとって「簡単にできてやりやすい」方法を見つけていきましょう。
3-2 質問、相談するタイミングがわからない
【対策】質問・相談前の準備をしっかりおこなう
◎質問するときは「何を知りたいのか」「何のために聞くのか」を
はっきりさせてから聞きに行きましょう。
具体的には――
①何を聞きたいのかを明確にする
⇒「答えが欲しい、アドバイスがほしい、フィードバックが欲しい」など
②今の状況と背景をきちんと明示する
⇒「自分はこう考えた、ここまで進めたがわからないところがある」など
相談に行った際「わからないことがわかりません」と言われても、相手は困ってしまいます。
また、自分がどんな答えを求めて相談に行くのかはっきりさせないまま、相談に行っても「欲しかった答えと違うな……?」となることも想定されます。
適切な答えを得るためには、相手のスキルも必要となりますが、自身が「適切な状況説明」をおこなうことが大前提。相手の状況も何が課題なのかもわからないまま「相談があります」と上長へ聞きに行くことは、相手の時間を奪うだけの行為となってしまうのです。
そうならないためにも、相談に行く際は事前に「自分が何を求めて相談に行くのか明確にしておく」「自分の状況と困りごとを具体的に伝えられるようにしておく」事前準備がとても大切となります。
3-3 相談することに躊躇してしまう
【対策】相談はしていいもの、すべきものという認識を持つ
◎相談した結果の傷より、相談しなかった結果の傷の方が大きい
実は定型発達、発達障害がある人関係なしに、
相談することで怒られた、冷たくされた経験がある人がほとんど。
相談すべきこと、相談しなくていいことの判断ができるようになるには、
「そんなこと自分で考えろ」を何度も積み重ねて、
少しづつ仕事の知識を身に着けていくしかありません。
人それぞれ考え方も生き方も、育ってきた環境も違う中で、
すべての人間に対して絶対的に正しいコミュニケーション方法はありません。
職場で長く働いていくためには、適切なコミュニケーションスキルと経験がどうしても必要になりますし、そのためには苦手でもコミュニケーションに取り組み、経験を積んでいくしかないのです。
いくらコミュニケーション関係の本を読んでも、youtubeを見ても、コミュニケーションがうまくいかない原因はここにあります。あくまで「コミュニケーションスキル」はコミュニケーションをしやすくするための道具でしかなく、それをどう使うか、どのようにすれば効果的かという判断力は、実践の中でしか磨くことができないのです。
とはいえ、毎回怒られてばかり、冷たくされてばかりでは、いつか心が折れてしまうでしょう。
そうならないためにも、相談のための判断基準となるものを3つ紹介します。
4.障害者雇用を支援する機関/発達障害の疑いがある場合に相談できる場所
①ハローワーク(公共職業安定所)
障害のある・なしに関わらず、就職を希望する方に対して、職業相談や紹介をおこなう機関です。
求職登録をおこない、具体的な就職活動の方法などの相談や指導をおこないます。専門的な支援が必要な方には、障害者職業センターを案内します。
https://jsite.mhlw.go.jp/niigata-hellowork/list/niigata.html
②障害者職業センター
障害がある方に対して、仕事の種類や働き方などについて、希望や障害特性、課題を踏まえながら、相談・助言、職業評価、情報提供などをおこないます。
必要に応じて、センターにおける専門的な支援をおこないます。
https://www.jeed.go.jp/location/chiiki/niigata/
③障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)
障害がある方に対して、就労面と生活面の一体的な相談や支援をおこなう機関です。
ニーズや課題に応じて、職業準備訓練や職場実習のあっせん、求職活動への同行、生活面の支援などさまざまな相談に応じます。
https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/koyou/20220401nakapotu02.html
④就労移行支援事業所
一般就労などへの移行に向けて、就労移行支援事業所内での
ディーキャリア新潟オフィスはこの「就労移行支援事業所」に当たります。
ディーキャリア新潟オフィスでは
ディーキャリア新潟オフィスには、就職して働き続けるための3つのコースがあります。
①ライフスキルコース
②ワークスキルコース
③リクルートコース
ディーキャリア新潟オフィスでは、報連相などのコミュニケーション、アンガーマネジメントといった感情のコントロール、ストレス対処など、日常や仕事場で発生する課題を減らせるように技術と対処を学んで、実践していきます。
特性上の生きづらさを全くなくすことは難しくても、軽減していくことができます。特性上の課題で悩んでいる方は、ぜひ一度ご相談ください。
①ライフスキルコース
主に「健康管理/日常生活管理/対人技法」を身に着けるコースです。
訓練内容としては
コミュニケーション/考え方/ストレス対処/
目標設定/問題解決/障がい理解/セルフケア/障害者雇用の現状 などがあります。
②ワークスキルコース
ライフスキルコース修了後、模擬職場にて自身の「働く上での特性や必要な配慮」を探る「ワークスキルコース」に移行します。
ここでは主に基本的な労働習慣/働く中での特性課題と配慮の整理/電話応対やPC技能など、
必要な事務能力とビジネスマナーを身に着けることができます。
訓練内容としては
・模擬職場での業務実施(電話応対、オフィスソフトを使った資料作成やデータ分析業務など)
・職場での困りごとに対する対処と配慮の検証・発見と実践
などを行っていきます。
③リクルートコース
働くための準備がしっかり整ったら、就職活動のコース「リクルートコース」に移行です。
ここでは主に「職業適性の見極めと就職活動」を支援します
支援内容としては
・履歴書、職務経歴書の添削
・面接練習
・職場実習
などをおこなうことになります。
一人で就職活動、特に障害者雇用で探すとなると、一般とは勝手が違うことも考えられ、大きなストレスになるかもしれません。
リクルートコースでは担当スタッフと個別に相談しながら就職活動を進めることができるので、安心して作業を進めることができますし、わからないことがあれば相談できる環境です。
リクルートコースに移行しても、生活面の課題や悩み事などを相談できる「定期面談」がありますので、ご安心ください。
【休日・祝日イベント】
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精神障害・発達障害を対象に就労支援を受けることができ、 「働き続けるためのプログラム」で高い職場定着率を実現しています。
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