【卒業生インタビュー】仕事、障害とどう向き合うのか③【発達障害】
ディーキャリアを卒業された訓練生の方にインタビューをおこないました。ディーキャリアでの学びや訓練がどう仕事で活きているのか、とても参考になる話を聞くことができましたので、ブログ記事という形で皆様にも共有させていただきます。
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【働く中で感じていること】
佐藤:ここまで就職前の悩み事についてお伺いしてきましたが、就職した後はどうですか?
やめようかな、とか、自分にあってないなと感じたことがあったり?
Nさん:常にあります。いつも葛藤しながらやっています。
働いていてみてわかったことは、自分は人の気持ちの動きをすごく感じてとってしまって、その人の態度とか、行動とか、いろんなことで勝手に深読みしてしまう傾向があるなって。
佐藤:相手の気持ちを先読みしたり、深読みしてしまうということ?
Nさん:はい、自分の仕事に集中すればいい、とはわかっていても、いろんなことに気持ちを動かされてしまう。例えば挨拶しても気づいてくれなかったとか、いつも話す人が今日は声をかけてくれなかったとき、どうしてだろうって。他にもいろんな情報が入ってくるせいで、すごく疲れる感じはします。
佐藤:混乱してしまうんですね。ネガティブな方向の先読みや深読みに意識が向いてしまう。
Nさん:はい、そういうことが何日か続くともういられないって思う。仕事自体はできるけど、その環境が嫌だって考えてしまって。でも、何とか続けています。
佐藤:何か、仕事を続けていく上で心掛けていることや対処していることはありますか?
Nさん:セルフケアとして「おうちに帰ったらおいしいものを食べよう」としています。
それを楽しみにして、今日の仕事を終わらせようって。
佐藤:今日一日をなんとか頑張ろう、を積み重ねて、今日まで働き続けられているということですね。他にもセルフケアとして心掛けていることはありますか?
Nさん:睡眠ですね。だらだらテレビを見たり、スマホを弄ったりしないで、早めに就寝するようにしています。あと、働いている時はずっと周りを気にしている状態なので、休日はリラックスするために自分の好きなことを楽しむようにしていますね。
佐藤:オンオフの切り替えを意識しているということですね。
【働いていく中で”いま”は】
佐藤:もう働き始めて6か月、7カ月(インタビュー当初)ですね。就職してから人の気持ちを読みすぎるという性格に気づいた、とのことですが時間の経過で変化はありましたか?
Nさん:職場の人とコミュニケーションを取っていく中で、相手のことがわかったり、職場になじんでいったりすると、最初ほど気にならなくなってくる。信頼関係や、何度か話していくことで居心地がよくなって、大丈夫になるというか。
佐藤:だからこそ、相手のことも職場のことも手探りな最初の1、2か月が辛いですね。自分の所属感がまだ職場に持てないというか。
Nさん:そうですね、ここまでして辛い環境に自分を置かなくても、もしかしたら違う職場ではいいかもしれない、そういうことはないのかもしれないと思ってしまって
佐藤:でもその辛いところを乗り越えたとき、人間関係がよくなったり、コミュニケーションをしっかりとれたりして、職場に馴染んでいくことで徐々に居心地が良くなっていく。
Nさん:はい、そうですね。
佐藤:今はどうですか?先読みや深読みしてしまうことはまだありますか
Nさん:ありますね。でもそれはきっと性分だと思うので、なかなか無くならないと思います。
ただ、流せるものは流すようにしていて。相手のことを知っていくことで、自分なりに納得できる理由を見つけられるようになりました。
佐藤:それは関係が深まることによって、もし普段と違うことがあっても、相手のことがわかっていれば不安になりづらいというか、なんでも自分が悪いと捉えなくなってきた?
Nさん:そうですね、相手にも何か理由があって、そうなっているのかもと考えられるようになりました。でも時間が経ってもやっぱりあの人はちょっと苦手だな、というのはあったりします。それは仕方ないのかな、って。
佐藤:そうですね、相手のことってなかなかわからない。ゆっくり時間をかけて理解していく必要があるということでしょうか。
Nさん:最初はどうやっても大変なので、そこをどう乗り越えていくかが大切なのかなって。ディーキャリアで見つけたセルフケアが、すごく大切だなって思います。
【これからどうなりたいか】
佐藤:最後に働く中でのNさんのなりたい姿、これからの抱負を聞かせてください。
Nさん:職場で悪目立ちするんじゃなくて、私がいるからスムーズに仕事ができるな、って周りが自然に感じてもらえるようになりたい。
佐藤:目立っているわけではないけど、仕事を安心して任せられる人になりたいということでしょうか。
Nさん:そうですね、今の職場ではそういう存在でいたいなと思います。
佐藤:働く中で生活の変化などはありましたか?
Nさん:生活にメリハリがつきました。だらだら過ごすことがなくなったというか。家族との関係もよくなりました、働いてなくて暇なんだからと無理に自分を追い込むこともなくなった。
佐藤:今の自分と働く前の自分、どっちの方がいいですか?
Nさん:今の生活の方がいいですね。自分でお金も稼いでいるし、自分に自信を持てるようになった気がします。
佐藤:これでインタビューを終わらせていただきます。ちょうど30分くらい話していましたね。
Nさん:そんなにしゃべったんですか!
佐藤:そうですね、長い時間、ありがとうございました。
「セルフケア」という言葉が出てきました。
セルフケアとは「仕事で本来の力を発揮するために、自発的に必要な対処をすること」を言います。Tさんにお話いただいたように、仕事をしていく中で人間関係や業務、環境など、さまざまなことで、私たちはストレスや疲労感などを覚えることになります。
それらを放置し続けていれば、心身の不調や鬱などの病気につながってしまうかもしれません。
とはいえ、自分の状態を正確に把握できるのは自分だけ。自分で不調に気づいて、セルフケアできるようになることが大切になります。
Nさんはインタビューの中で「睡眠・食事・休息」をセルフケアとして挙げられていましたが、これらは自己対処の基本として、一番大切なこと。
他にどんなセルフケアをしていたとしても、上記の3つがしっかり取れていなければ、必ず心身は限界を迎えます。長く働き続けるためには「睡眠・食事・休息」を取ることを意識した上で、自分にあったセルフケアを+していくようにしましょう。
Nさんのインタビューの中で、「セルフケア」「リフレーミング」「アサーティブコミュニケーション」「傾聴」etc、約1年間ディーキャリア新潟オフィスで身に着けてきた技術や考え方を活用して、業務に取り組まれている様子が伝わってきました。
技法や考え方を意識することで、働きづらさ、生きづらさは軽減されるものの、それらが0になるわけではありません。それでもNさんは最初の大変さを乗り越え、今も自分らしく働き続けています。
これはTさんが特別だったからなのでしょうか?
もちろん、そんなことはありません。Nさんもディーキャリア新潟オフィスに来た当初は、慣れない環境で自信を喪失し、働くことに恐怖感を覚えていました。それでも支援者のサポートを受けながら、少しづつ技術や技法を身に着け、ついに就職、いまも長期就労に向けて頑張っています。
あなたがもし「働きたい」「社会とつながっていたい」という意思を持っているのであれば、大丈夫。ぜひ、下記リンクから見学・体験の申し込みをしてください。
契約までの流れはこちらで詳しく説明しています。
【おわりに】
最後にTさん、お忙しいところ貴重なお時間をいただきありがとうございました。
今ディーキャリアで訓練されている方にとっても、これからディーキャリア新潟オフィスで訓練される方にとっても、このインタビュー記事でディーキャリアのことを知った人にとっても、とても参考になるお話をいただけたと思います。
ぜひ、今後もディーキャリア新潟オフィスでの学びを活かして、Tさんらしく無理せず頑張っていただければと思います。
それでは。
インタビュアー:ディーキャリア新潟オフィス 就労支援員 佐藤
ライター:ディーキャリア新潟オフィス 職業指導員 五十嵐————————————————————————————————————————————————————————————————————————-
ディーキャリア 新潟オフィスは大人の発達障害に応じたプログラムの就労移行支援事業所です。 精神障害・発達障害を対象に就労支援を受けることができ、 「働き続けるためのプログラム」で高い職場定着率を実現しています。 随時見学を受け付けております。 就労移行ってどんなところ? どんなプログラムをしているのかな・・・ 興味がある方はお気軽にお問合せください(^^♪
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