「働き続けるために必要なこと」~社内で相談できる人を作りましょう~
手話通訳者から見た
聴覚障害をお持ちの方への支援について
手話通訳者として微力ながら、ろう者のお手伝いをしてきて30年以上が過ぎました。
そのうちの数年間ハローワークの障害者相談員としてお手伝いしていた時の経験をお話します。
ろう者(聴覚障害者)のコミュニケーションの障壁について考えてみたいと思います。
聴覚障害者は、「情報コミュ二ケーション障害」と言われます。
音声言語を聞くことができない、手話や筆談による会話となります。
会話がスムーズにいかない、言いたいことが伝えられない、聴者の話を理解できないわけです。
そのため、能力はあっても評価されない、わかってもらえないという状況に置かれてきました。
ハローワークでの障害者相談員の仕事は、障害者求人をもとに、
本人の希望などを聞き、見合う求人を探して紹介することです。
面接の結果無事に仕事に入ることができましたら1か月後には問題なく勤められているか、と会社訪問をします。
私は手話でろう者と話すことができますので、この一連の流れを担当していました。
IT系の職場に就職したある女性の例です。
障害者求人で短時間勤務の求人が出ていたのですが、
本人はフルタイムでの仕事を希望していたので、企業からフルタイム求人にしてもらい就職しました。
彼女がその会社を選んだ理由は、駅から近く、通勤に便利だったことでした。
仕事内容は、メールでのクレームなどに答えるもので、
メールでの対応でしたので、聞こえなくてもできる仕事でした。
しかし、メールでの苦情処理というのは思ったより難しく、彼女は聞こえないけれど、
聴者との交流も多かったので書き言葉も身に付けていると思っていたのですが、
文書でのやり取りは聴覚障害の彼女には厳しかったようで辞めたいと思っていたようです。
1年以上我慢しながら頑張っていましたが、最終的に退職しました。
この事例で相談員として反省したことは
①もう少し働く条件を聞いておけばよかった。
②ろう者が日本語(書き言葉を含めて)苦手だとわかっていたのに条件だけで決めてしまった。
③定期訪問ができていればもう少し早く彼女の問題をつかむことができていたのでは。
④会社の中に悩んだ時にすぐに相談できる体制があればよかったのに。
ということでした。
でも彼女が就職する時に、会社で相談できる人を作っておくことを明確にしていませんでした。
また、困ったことがあったらいつでも連絡して、とは言っておいたのですが、
条件を変えてまで入った会社なので我慢しなければという遠慮もあったように思います。
ろう者には、手話通訳を兼ねての就職支援をすることができるのですが、全てがうまくいくことはありませんでした。
「悩みがあったら、早く相談して。」と言ってはみても
ご本人たちはそれができない、ハードルの高いことのようです。
皆さんも就労時の労働条件だけ考えるのではなく、
就労後会社で相談できる人を作っておくことを大事にしてほしいと思います。
ハローワークでの仕事は反省することばかりですが、
何年も仕事を続けている人と会うとホッとすると同時に、この仕事をやってよかったと思える瞬間です。
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