女性のADHD|その特徴とよくある困りごと~原因と対処法~
今回のコラムでは女性のADHD (注意欠如多動性障害)の特徴と、よくある困り事と悩み、その原因や対処法に関して触れていきます。
この記事は5分~10分でお読み頂けます。
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発達障害(ADHD/注意欠如多動性障害)(ASD/自閉症スペクトラム障害)(SLD/限局性学習障害)のある方、精神障害(うつ病など)のある方が多く利用されています。
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目次
1.女性のADHDの特徴とは?
皆さんは次のような困りごとはありませんか?
・昔から遅刻癖や忘れ物が多く周囲から「だらしない」と言われる
・毎月生理前に気持ちが不安定になり仕事に行くのが辛い
・周りの期待に答えようと頑張りすぎてしまう
など、自分は人と違う気がする、などと漠然と感じていたり、もしくは悩まれている方も
少なくないのではないでしょうか。
上記の困り事があり、
・日常生活や仕事をする上で影響が出ている
・なんとか周囲に合わせるため精神的に大きく疲労している
などがある場合、その背景にはADHDの障害特性が影響している可能性があるかもしれません。
ADHD(注意欠如多動性障害)の特性として、
・不注意(集中できない、忘れ物やなくし物が多いなど)
・多動・衝動性(一方的に喋る、感情の起伏が大きいなど)
上記が大きな特徴としてあります。
また、女性の場合、世の中の女性像を幼少期から求められる場合も少なくないと思います。
・男性よりも共感力を求められる傾向がある
・女性同士特有のコミュニケーションや求められるもの
・少しの失敗やミスなどは、天然の可愛い子と認識される場合がある
上記は一例ですが、こういった状況に幼少期から置かれ、学生時代はなんとか必死に周囲に適応しようと頑張るも、社会人デビューとともに適応が難しくなったり、出産や子育てなど女性の負担が大きいイベントなどもあったりします。
そういった際に、求められる女性像(女性として周囲から求められること)に対して、対応することができなくなり、うつ病や社交不安障害(SAD)などの二次障害を発症し、そこから発達障害が分かるケースなどもあります。
では、事例をみながら特性がどのように困り事と関係しているのかみていきましょう。
2.女性のADHD|困り事とその原因4選
①女性のADHD|困りごと・原因:困り事が男性よりも目立ちにくい
女性は男性に比べて見た目での困り事が目立ちにくい傾向があり、困っていることに気付かれにくいという特徴があります。
理由としては、女性は男性に比べ社会性が高くADHD の特性である多動性、衝動性は少なく不注意優位(ADD)の場合が多いからです。
不注意とは、
・整理整頓ができない
・優先順位がつけられず納期に間に合わない
・忘れ物、物をよくなくす
・集中力が持続しない
となっています。
目立ちにくいということは、周囲に困り感を理解されづらい、自身で抱えやすい傾向があると言えるかもしれません。なので精神的にきつくなり、うつ病などの精神障害は発症し、その後に発達障害が分かるケースもすくなくありません。
②女性のADHD|困りごと・原因:女性ホルモンが乱れやすい
個人差はありますが生理が近くなると、
・イライラする
・強い不安に襲われる
・無気力になる
などのメンタル不調や、
・胸の痛み、腹痛、頭痛
・倦怠感
・強い眠気
など身体面の不調で困っている女性は多いと言われています。
このように生理の3日~5日前からでる精神・身体症状を【月経前症候群】(PMS)といいます。
また、セロトニン(幸せを感じる神経伝達物質)の量が少ないと、抑うつ気分が酷く感情のコントロールが困難などのメンタル不調が強くみられます。
その結果、睡眠障害を引き起こしたり出勤できないほど日常生活に支障をきたす場合は【月経前不快気分障害】(PMDD)と呼ばれています。
体質にもよりますが、特にADHD 女性の場合は、衝動性が月経周期と関連して女性ホルモンの影響を受けやすいため、症状が重症化しやすいと考えられています。
また、生真面目さや完璧主義な性格にある方は、ストレスを感じやすくPMDDになりやすいため、
思考を緩めたりストレスコーピングをおこなうことが症状の緩和には大切です。
③女性のADHD|困りごと・原因:二次障害を併発しやすい
二次障害とは?
さまざまな失敗経験から叱責されたりストレスを強く受け、自己肯定感が下がることで、うつ病や不安障害などを発症する状態のことをいいます。
発達障害の困り事として、
・できることとできないことの差が大きく周囲からは本人が困っていることに気付かれにくい
ことがあるため、
・本当はできるのに怠けている
など誤解されやすく、周囲から怒られることで自己肯定感が下かりうつ病、引きこもりなどの
二次障害を引き起こしやすくなります。
④女性のADHD|困りごと・原因④:過剰適応してしまう
過剰適応とは?
過剰に周りや環境に適応しようと頑張り続けることで、無理をすることが当たり前なってしまっている状態です。
この状態が続くと、気持ちと行動に矛盾が生じるため自分をコントロールすることが難しくなります。
特に責任感が強く真面目、我慢強く依頼を断れない、自分に自信がなく周囲に気を遣う人がなりやすいとされています。
過剰適応は、男性よりも女性に多いと考えられています。
なぜなら、女性の方が言葉や感情の理解力が高いため、周囲の期待に答えようと無理に適応しようとします。
また「こうあるべき」など偏った考え方やこだわりが影響すると、自分で自分をルールで縛ってしまい苦しくなってしまいます。
事例として「綺麗でないといけない」という思考から過度なダイエットをし、摂食障害を引き起こしてしまう場合もあります。
参考:過剰適応とは?
3.対処法3選
1.心療内科などで相談し、必要に応じ服薬をする
ADHD(注意欠如多動性障害)の特性により、日常生活や仕事に大きな影響がでていたり、精神的にとても辛い状況であれば、心療内科などでまずは相談し、必要に応じ服薬することも選択肢の一つです。
例えば、ADHDの場合は中核症状(不注意、多動性、衝動性)へ効果がある治療薬があります。
代表的な薬は4種類です。
①コンサータ
②ストラテラ
③インチュニブ
④ビバンセ
服薬をすることで、不注意や衝動性などの困り事を軽減することができます。
2.産婦人科などの専門医に相談する
【月経前症候群】(PMS)や【月経前不快気分障害】(PMDD)の治療は、服薬だけでなく認知療法や日常生活への指導があるため、
一時的に市販薬だけで自己対処するのではなく、専門医に相談し医療のサポートを受けましょう。
また、重症化を防ぐ為にも日頃からストレスを溜めないことも大切です。
毎日、自分がリラックスできる時間を持てるようにするとよいです。
リーダーのメモ帳
3.過剰適応を防ぐ
過剰適応を防ぐためには以下の方法があります。
・自分の状況を伝え、難しい場合は断る選択をする
・無理をしないラインを具体的に決める 例「何曜日はノー残業day!」
・自分が働きやすい環境をみつける
・セルフケアを見える化する
などが対処の一例となります。
4.まとめ
今回のコラムではADHD (注意欠如多動症)の女性によくある困りごと、悩みについてその原因と対処法に触れてきました。
・昔から遅刻癖や忘れ物が多く周囲から「だらしない」と言われる
・毎月生理前に気持ちが不安定になり仕事に行くのが辛い
・周りの期待に答えようと頑張りすぎてしまう
そういったことでお困りの方は一人で抱え込まずにぜひご相談ください。
ディーキャリア海老名オフィスでは精神保健福祉士、発達障害サポーターが在席しており、相談会※無料も実施しておりますので、困り事やお悩みをお聞かせください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
【執筆者】若林
ディーキャリア海老名オフィス|生活支援員
保有資格|発達障害学習支援シニアサポーター
これまで接客・販売職を経験。現在は生活支援員として、ソーシャル・スキルトレーニングを担当。
モットーは「一人ひとりの困りごとに丁寧に向き合う」こと。
【監修者】
井上高宏
ディーキャリア海老名オフィス
サービス管理責任者/精神保健福祉士
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