ADHDの「集中できない・続かない」〜その原因と対策〜

集中力を高めるための5つの方法

ここからは、ADHDの当事者である筆者が、実際に試してみて、集中力を高めるのに効果があった方法を5つご紹介します。

1. スマートフォンやPCの通知を切る

先ほども述べたとおり、スマートフォンやPCからの通知を気にするだけでも脳のエネルギーは消費されてしまいます。設定を見直し余計な通知が鳴らないようにすることで、ADHDの「衝動性」の特性への対策になります。

以下はASDのある方向けの「SNS依存を防ぐ方法」の記事ですが、このなかで「通知をコントロールする方法」を具体的にご紹介していますので、ご参考ください。

【大人のASD特性対策】コミュニケーションが苦手だとSNS依存になりやすい!?上手く付き合うためのHACK!

私用のスマートフォンと異なり、仕事用のスマートフォンやPCでは「仕事に必要な通知」を受け取る必要がありますので、「集中力を必要とする作業のときだけ、一時的に通知をオフにする」のがオススメです。ただしADHDの特性がある方は「通知を切ったこと」を忘れてしまいがちなので、必要なタイミングでオンに戻すよう気をつけましょう。あらかじめ集中したい作業の時間を決めておき、終わりの時間にアラームをセットしておくと良いでしょう。

2. デスクの上に必要なもの以外は何も置かない

スマートフォンの通知と同様に、ADHDの「衝動性」の特性への対策として、余計なものが目に入らないようにするのが効果的です。そのための方法の一つが、デスクの上に必要なもの以外は何も置かないことです。

アメリカの認知神経科学者であるサハル・ユーセフ博士によれば、スマートフォンの通知が鳴らなくても、スマートフォンが視界の中に置いてあるだけで集中力を奪われてしまうそうです。それだけ人間の脳が「目からの情報」に敏感だと言えるでしょう。

「作業に必要のない資料」や「使っていない文房具」はいったん引き出しにしまい、今やるべき作業に必要なものだけを机の上に出すようにしましょう。

3. 準備運動をする

スウェーデンの小学校でおこなわれた実験*によると、勉強の前にたった4分の運動をするだけで運動後の集中力が向上するとの結果が出ています。(*参考文献:「一流の頭脳」サンマーク出版、2018年)

仕事を始める前や、仕事中に「集中力が落ちてきた」というときには、軽い運動をしてリフレッシュしてみましょう。職場では大きな動きのある運動はしづらいので、デスクで座ったままでもできる以下のような運動がおすすめです。

また階段を上り下りするだけでも効果があります。

4. なんでもメモする習慣を付ける

ADHDの「ワーキングメモリーの弱み」を補うためには、メモ帳を持ち歩いてなんでもメモする習慣を付けるのがおすすめです。

メモせずとも覚えていられそうなことでも、頭のなかで「忘れてはいけない」と気になってしまい、目の前の作業に集中する妨げになってしまうことがあります。忘れてはいけないことをメモに「預ける」ことで、気兼ねなく忘れることができ、今やらなければならないことに集中しやすくなるのです。

メモを活用したADHDの特性対策については、以下の記事で詳しくご紹介していますので、ぜひご参照ください。

5. タイマーを使った集中力トレーニング

アメリカの人気ブロガーであるレオ・バボータ氏は、読者数100万人を誇る自身のブログ「zen habits」(禅の習慣)の記事のなかで、「5分のタイマーを設定し、まずはその5分間だけ目の前の作業に集中する」という方法を紹介しています。

「集中して取り組まねば…」と思うと精神的にハードルが高いですが、「5分間だけなら」と考えれば、目の前の作業に集中しやすくなります。

バボータ氏はまた、その5分で作業が手に着かなければ、何もせず自分の衝動と向き合うだけでも良いとも述べています。普段は意識することのない「別のことをしたいという衝動」と向き合うことで、集中力を高めるトレーニングにもなるのです。

なおスマートフォンのタイマーアプリでは、他の通知がなって逆に気が散ってしまう恐れがあるため、以下のような学習用タイマーを使うのがおすすめです。

次ページ:逆に集中しすぎてしまうことがある!?

記事監修北川 庄治(デコボコベース株式会社 最高品質責任者)
  • 一般社団法人ファボラボ 代表理事
  • 特定非営利活動法人日本冒険遊び場づくり協会 評議員
  • 公認心理師
  • NESTA認定キッズコーディネーショントレーナー
  • 発達障害ラーニングサポーター エキスパート
  • 中学校教諭 専修免許状(社会科)
  • 高等学校教諭 専修免許状(地理歴史科)
東京大学大学院教育学研究科 博士課程単位取得満期退学。
通信制高校教諭、障害児の学習支援教室での教材作成・個別指導講師を経て現職。

おすすめ関連コラム