ADHDの「集中できない・続かない」〜その原因と対策〜

「仕事や勉強をやろうと思っても、なかなかやる気が起きない…」「集中力が少ししか続かず、気が付いたらいつの間にか別のことをやっていた…」

発達障害、特に注意欠如・多動性障害(ADHD)のある方の中には、このようなお悩みを抱えていらっしゃる方も多いかもしれません。ADHDはその脳の特性から集中をすることに苦手があり、仕事や勉強において困りごとを感じやすくなります。

いったいどうすれば集中力を高めることができるのでしょうか。今回は集中できない・続かないことの原因や場面を解説しながら、ADHD当事者である筆者が実際に試して効果があった「集中力を高めるための方法」をご紹介します。

ADHDのある方が「集中ができない・続かない」理由

対策を立てるために、まずは「なぜ集中ができない・続かないのかという原因」を知っておきましょう。

ADHDは、脳の中で判断や抑制をつかさどる部位の機能が低下することで、行動や思考のブレーキが効きにくくなるという特性があります。このブレーキの効きにくさ=衝動性により、思いついたことをすぐ行動に移してしまったり、他のものに注意が向いてしまうとそちらに意識を持っていかれたりしてしまうことで、集中しづらくなってしまうのです。

またもう一つの脳の特性であるワーキングメモリーの弱みも、集中しづらい原因となります。

「ワーキングメモリー」とは以下の二つの機能を持った脳の仕組みです。

  • ① 情報(聞いたことや考えたこと)を一時的にとどめておく、記憶の“置き場”としての機能
  • ② 情報を整理して実行に移す“作業場”としての機能

これらの機能に弱みがあるために、作業中に別の情報が入ってくると最初の作業のことを忘れてしまう、複数のことに同時に注意を払えず混乱してしまうといったことが起こり、一つの作業に集中しづらくなってしまうのです。

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