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はたラクHACK記事一覧

当事者対談企画「就労移行支援事業所ってどう?」

発達障害の当事者2名によるインタビュー対談です。「就労移行支援事業所」をテーマに、実際に通った立場/通わなかった立場から「当事者のリアル」をお伝えします。

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今回は、発達障害の当事者2名による対談をお届けします。 第3回となる今回は、障害のある方が働くための支援をおこなう障害福祉サービス、『就労移行支援事業所』の利用をテーマに対談をおこないました。 対談した2名のうち、1名は事業所を利用し、もう1名は利用せず現在に至ります。なぜ就労移行支援事業所を利用した/利用しなかったのか、実際に利用してみてどうだったのかなど、当事者のリアルな体験談が、何か皆さまのお役に立てれば幸いです。 参考記事 第1回・第2回の対談記事は、以下よりご覧いただけます。 本記事は当事者同士の対談のため、発達障害に関する用語でお分かりになりづらい部分があるかもしれません。「大人の発達障害」について詳しく知りたい方は、以下のコラムもご参照ください。 [toc] 対談者紹介 とり(デザイナー 兼 イラストレーター) 24歳のときに注意欠如・多動性障害(以下、ADHD)の診断を受ける。タイプは“不注意優勢型”。 注意の持続や切り替えに困難を感じる事が多く、「忘れ物や失くし物が多い」「周りの音が大きい状況だと話の内容をうまく聞き取れない」などの困りごとがある。 現在は、福祉系のベンチャー企業でデザイナー兼イラストレーターとして働く。 二次障害として“起立性低血圧”があるため、職場と合理的配慮の調整を行い、ほぼ在宅で勤務できるようにしてもらっている。特性対策として、デスクにパーテーションを設置したり、カフェイン成分の入った飴やコーヒーを摂取したりして、集中力をコントロールできるよう工夫している。 ※本記事の挿絵イラストは、とりさんが制作してくださったものです! 藤森ユウワ(ライター・編集) 36歳のときにADHDと自閉症スペクトラム障害(以下、ASD)の診断を受ける。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 現在はベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。 就労移行支援事業所のことをどうやって知ったの? 私は、インターネットや書籍で発達障害についてかなり調べていたつもりだったのですが、『就労移行支援事業所』についてはまったく知らなくて。再就職活動をしていたときに偶然、就労移行支援事業所を運営している会社の求人を見つけて、「こんな障害福祉サービスがあるんだ!」と驚いたんです。とりさんは実際に就労移行支援事業所をご利用されたそうですが、最初に知ったきっかけは何でしたか? 私は診断を受けたあと、障害者手帳を取得したり仕事を休職したりするタイミングで、まず『障害者雇用』について知り、そこから広がって、就労移行支援事業所の情報にもたどりつきました。実は、診断を受ける前から「障害者専用のハローワークみたいな障害福祉サービスがあるらしい」ということを何となく知っていたのですが、自分が診断を受けるまでは、調べてみようとは思わなかったですね。
当事者対談企画「特性対策、どうしてる?」

発達障害の当事者2名によるインタビュー対談です。「障害特性への対策(自己対処)はどのようなことを行っているか」をテーマに「当事者のリアル」をお伝えします。

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今回は、発達障害の当事者2名による対談をお届けします。 最近はインターネットだけでなく、テレビや新聞などの一般的なメディアでも発達障害について見聞きすることが増えてきました。著名人が自身の発達障害について告白する記事や動画を見かけることもあります。 そうした情報を見て「自分は発達障害ではないか」あるいは「自分の子どもは発達障害ではないか」と、不安に思われる方もいらっしゃるかもしれません。 人は誰しも「自分がよく知らないものごと」については不安を感じるもの。当事者同士のリアルな事例を知ることで、少しでも不安が和らいだり、誰かに相談するなど「次のステップ」を踏み出したりするためのお力になれれば幸いです。 第2回は「自分の特性にどんな対策をしているのか」をテーマに、対談をおこないました。 参考記事 「自分の障害に気がついたのは、いつ・どのようなきっかけだったのか」をテーマにした第1回の対談記事は、以下よりご覧いただけます。 本記事は当事者同士の対談のため、発達障害に関する用語でお分かりになりづらい部分があるかもしれません。「大人の発達障害」について詳しく知りたい方は、以下のコラムもご参照ください。 大人の発達障害とは | 就労移行支援事業所ディーキャリア [toc] 対談者紹介 とり(デザイナー 兼 イラストレーター) 24歳のときに注意欠如・多動性障害(以下、ADHD)の診断を受ける。タイプは“不注意優勢型”。 注意の持続や切り替えに困難を感じる事が多く、「忘れ物や失くし物が多い」「周りの音が大きい状況だと話の内容をうまく聞き取れない」などの困りごとがある。 現在は、福祉系のベンチャー企業でデザイナー兼イラストレーターとして働く。 二次障害として“起立性低血圧”があるため、職場と合理的配慮の調整を行い、ほぼ在宅で勤務できるようにしてもらっている。特性対策として、デスクにパーテーションを設置したり、カフェイン成分の入った飴やコーヒーを摂取したりして、集中力をコントロールできるよう工夫している。 ※本記事の挿絵イラストは、とりさんが制作してくださったものです! 藤森ユウワ(ライター・編集) 36歳のときにADHDと自閉症スペクトラム障害(以下、ASD)の診断を受ける。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 現在はベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。 対策①片付けができない → 細かな管理は諦めてザックリ整理 私は片付けがとても苦手で、仕事机の上がいつも書類だらけになってしまうんですよね。とりさんはどんな対策をされていますか? 私は「自分の視界から外れると、すぐに存在を忘れてしまう」という傾向があるので、その対策として、自宅ではコルクボードを活用しています。例えば“免許証の更新ハガキ”や“定期健診の案内”のように「期限があり忘れてはいけないもの」は、すぐ目に入るよう広げた状態にしてコルクボードに貼るようにしているんです。ボードは仕事机の前に置いてあるので目に入りやすいですし、次のアクション(例:免許の更新に行くスケジュールを立てる)にもつなげやすいんですよ。 なるほど、片付けるだけでなく「次にどんなアクションをすべきか」ということも大切ですよね。私も忘れちゃいけない用事は、その場ですぐにスマホのリマインダーアプリに入れるようにしています。一方で、書類の管理はあまりうまくできてなくて…書類をスキャナーで読み取りPCで整理してるんですが、「スキャンする」というアクション自体が面倒になってしまって、結局、書類トレーにがさっと全部放り込んでいるだけになりがちですね…。 分かります…私もスキャナを使っていたことがありますが、面倒で心が折れました。だから、アクションが起こしやすいかどうかって重要だと思います。私は細かくキレイに整理するのが苦手なので、ファイルにガムテープを貼り、中に入ってるものを油性ペンで書いて、ザックリ整理してます。アナログだしぜんぜんスマートじゃないんですが、特性への対策だと割り切ってやっていますね。これってある意味、世間一般の「こうあるべき」っていうイメージをどこまで捨てられるか、だと思うんです。例えば、女性の場合だと「かわいく・オシャレに整理整頓するのが当たり前」のようなイメージがありませんか? たしかに。雑誌やCMなんかでも「オシャレに整理整頓しよう」みたいな売り出し方がされてますよね。かわいいファイルや手帳を使って、マスキングテープでデコって…みたいな。 そう。「それが女子のたしなみ」みたいなイメージがある。でも、それって企業側がマーケティングのために作ってるイメージなんですよね。私もキレイに整理されたオシャレな部屋に憧れますけど、たとえザックリだったとしても、自分の特性に合う方法で整理ができている方が大事だなって思うんです。その結果、特性対策優先の部屋になっているので、お客さんが呼びづらいという難点はありますが(笑) なるほど。ちゃんと特性への対策ができて、自分に最適化されていればいいんだって割り切ると、気持ちも楽になりそうですね。 次ページ:忘れ物・無くし物の対策はどうしてる?
当事者対談企画「発達障害、いつ分かった?」

発達障害の当事者2名によるインタビュー対談です。「自分の障害に気がついたのは、いつ・どのようなきっかけだったのか」をテーマに「当事者のリアル」をお伝えします。

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今回は、発達障害の当事者2名による対談をお届けします。 最近はインターネットだけでなく、テレビや新聞などの一般的なメディアでも発達障害について見聞きすることが増えてきました。著名人が自身の発達障害について告白する記事や動画を見かけることもあります。 そうした情報を見て「自分は発達障害ではないか」あるいは「自分の子どもは発達障害ではないか」と、不安に思われる方もいらっしゃるかもしれません。 人は誰しも「自分がよく知らないものごと」については不安を感じるもの。当事者同士のリアルな事例を知ることで、理解が深まり、誰かに相談するなど「次のステップ」を踏み出したりするためのお力になれれば幸いです。 第1回は「自分の障害に気がついたのは、いつ・どのようなきっかけだったのか」をテーマに、対談をおこないました。 なお本記事は当事者同士の対談のため、発達障害に関する用語でお分かりになりづらい部分があるかもしれません。「大人の発達障害」について詳しく知りたい方は、以下のコラムもご参照ください。 参考:大人の発達障害とは | 就労移行支援事業所ディーキャリア [toc] 対談者紹介 とり(デザイナー 兼 イラストレーター) 24歳のときに注意欠如・多動性障害(以下、ADHD)の診断を受ける。タイプは“不注意優勢型”。 注意の持続や切り替えに困難を感じる事が多く、「忘れ物や失くし物が多い」「周りの音が大きい状況だと話の内容をうまく聞き取れない」などの困りごとがある。 現在は、福祉系のベンチャー企業でデザイナー兼イラストレーターとして働く。 二次障害として“起立性低血圧”があるため、職場と合理的配慮の調整を行い、ほぼ在宅で勤務できるようにしてもらっている。特性対策として、デスクにパーテーションを設置したり、カフェイン成分の入った飴やコーヒーを摂取したりして、集中力をコントロールできるよう工夫している。 ※本記事の挿絵イラストは、とりさんが制作してくださったものです! 藤森ユウワ(ライター・編集) 36歳のときにADHDと自閉症スペクトラム障害(以下、ASD)の診断を受ける。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 現在はベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。 環境が変わって「どうにかごまかせていた」ことが困難になり気づく とりさんが「もしかして私、発達障害かも…?」と、初めて気がついたのはいつでしたか? 私は大学生のときでした。インターネットで発達障害に関する記事を見かけて、書いてあることが「これはもう、私のことだ」って。でもその時点では「自分の困りごとの原因って、発達障害だったんだ」くらいにしか思ってなかったんです。たしかに困りごとはいろいろありましたが、学生時代は「どうにかごまかせていた」という感じでした。 私も、とりさんと順番は違いますが状況は似ています。36歳で転職して仕事の内容がガラッと変わったことで、転職する前は「どうにかごまかせていた」ことが通用しなくなってしまったんです。上司から何度注意されても改善できないし、中途で即戦力として入ったのに期待に応えられないプレッシャーもあり、心身ともに疲れ果ててしまって。そんなときにふと目にとまったのが、芸能人の方がご自身の発達障害について打ち明けているインターネットの記事でした。読んだ瞬間に「これはもう、私のことだ」と。わらにもすがる思いですぐに病院を受診しました。病院に行けば助かるんじゃないかって思ったんです。 私も「発達障害の診断さえ受ければ、今のこの苦しい状況が改善できるだろう」って、診断=免罪符みたいなものだって思っていましたね。 そう、まさに免罪符。「仕事ができないことは自分が悪いんじゃない、発達障害のせいなんだ」っていう。でも、たとえ障害があり苦手な仕事があったとしても、「じゃあ自分はどんなことなら会社に貢献できるのか」というものを見つけ出さなきゃいけない。給料をもらうためには、その対価として自分が何か価値を提供しなきゃいけないって、よくよく考えれば当然なんですが、当時はそこまで考える余裕がありませんでした。 メンタルが落ちているときに、冷静には考えられないですよね…。しかも会社が、必ずしも発達障害の知識や理解があるとも限らないですし。私は診断を受けたことを会社に相談した後の方が、理解が得られず辛かったです。 次ページ:今になって思えば「これは発達障害の特性だったんだな」と思うこと
発達障害ある方はストレスを感じやすい?~原因と対策を解説~

健康で長く働いていくためには、ストレスをうまくコントロールすることが欠かせません。今回は発達障害のある方がなぜストレスを感じやすいのか、その原因と対策を解説します。

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「この仕事、ちゃんと締め切りまでに終わらせられるかな…」「あの人ちょっと苦手だけど、仕事ではうまく付き合っていかなきゃ…」「また失敗して、上司から怒られたら嫌だな…」 社会に出ると誰しも何らかのストレスを抱えながら生きているものですが、特に発達障害のある方は、その特性からストレスを感じやすい傾向があると言われています。 健康で長く働いていくためには、ストレスをうまくコントロールすることが欠かせません。今回は発達障害のある方がなぜストレスを感じやすいのか、その原因と対策を解説します。 [toc] 1. 発達障害のある方がストレスを感じやすい原因 発達障害とは、先天的な脳機能の障害によって生活・仕事の環境や人間関係にミスマッチが起こることで、生きづらさが生じる障害です。 社会人として働き始めると、責任が増え人間関係も広くなるため、例えば以下のような場面で発達障害の特性による困難さがミスマッチを起こしてストレスを感じやすくなります。 ・人とのコミュニケーションが苦手 → 職場での人間関係づくりがストレスに ・忘れものなど不注意によるケアレスミスが多い → 上司から注意される回数が増えてストレスに ・感覚過敏によって目や耳からの刺激を苦痛に感じる → 通勤中やオフィスの環境は簡単に変えることができないためストレスに また発達障害のある方は、脳の中で抑うつや不安に関連する部分に特徴があり、生物学的にストレスへの耐性が弱いという研究結果*もあります。 *参考:就業経験のある発達障害者の 職業上のストレスに関する研究(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター、2018年4月) 発達障害は「社会性の障害」と言われており、周囲の環境によって困難が生じることがあります。発達障害の特性によって周囲とうまくいかず、ネガティブな経験が積み重なり日常的にストレスにさらされることで「二次障害*」を引き起こすこともあるので、注意が必要です。 *参考:【事例紹介】発達障害による「二次障害」とは?原因と対処・予防法は 次ページ:ストレスをうまくコントロールするための対策法とは?
当事者が5年間やってみた!〜リモートワークの理想と現実〜

ADHD/ASD当事者が試行錯誤した実体験をもとに「リモートワーク」のリアルなメリット/デメリットをご紹介します。発達障害がある方の場合、その特性によって向き不向きがあります。

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テレワーク、リモートワーク、在宅勤務——呼び方はさまざまですが、働く場所を会社に限定しない柔軟な働き方が、この数年で身近な存在になってきました。(以下、本記事では「リモートワーク」で統一します。)障害者雇用においてもリモートワークが活用される事例が増えています。 参考:都市部と地方をつなぐ 障害者テレワーク事例集(厚生労働省) 「対面でのコミュニケーションをせずに済む」「気を散らさずに自分の仕事に集中できる」などのメリットがあることから、発達障害のある方にも向いていると言われることもあるリモートワーク。しかし実際には個々の特性や仕事内容、自宅環境などによって向き・不向きが極端に別れるため、本当に自分に合っているかどうかをしっかりと見極める必要があります。 今回は注意欠如・多動性障害(以下、ADHD)と自閉症スペクトラム障害(以下、ASD)の両方の診断を受け障害者手帳も取得している筆者が、当事者として実際にリモートワークをしてみた体験レポートをお届けします。 今回のレポートでお伝えするのは、以下の2点です。 ・5年間の長期に渡ってリモートワークしてきた経験 ・「出社がメインでたまにリモート」「リモートがメインでたまに出社」「完全(フル)リモート」とさまざまなパターンを試してみた経験 「レポートを作るためにちょっとやってみた」というわけではなく、長期に渡って筆者が試行錯誤した実体験をもとに、リアルなメリット/デメリットをご紹介します。読者の皆さまが「自分にはリモートワークが合っているかどうか」を考える際の参考となれれば幸いです。 [toc] リモートワークって意外と難しい いきなり否定的なことを書いてしまいますが、リモートワークには難しい部分があるということが、さまざまな調査から明らかになってきています。 大手不動産情報メディアが2020年におこなった調査 [*1] によれば、「オン・オフの切り替えがしづらい」「作業に適した設備が自宅に足りない」「集中できる環境の確保が難しい」など、リモートワークを経験した人の多くが何かしらの課題を感じています。 また総務省の2022年度の統計調査 [*2] によれば、以下のように、リモートワークをおこなえているかどうかは地域や業種による差が大きいことが報告されています。 ・リモートワークを実施している企業の割合は、もっとも高い関東では30%を越えるものの、それ以外の地域では10〜20%程度にとどまってる。 ・リモートワークを実施している企業の業種は、「情報通信業」がもっとも高く55.7%である一方で、もっとも低い「医療、介護、福祉」では4.3%、次いで低い「宿泊業、飲食サービス業」では11.1%しかない。 コロナ禍の影響もあり、以前と比べるとリモートワークは日本中で大きく広がりました。「リモートワークで働きたい」「リモートワークができない会社は遅れている」といった言葉もよく耳にします。 たしかに筆者も、リモートワークのおかげで助かっていることがたくさんあります。しかしリモートだから何でもかんでもすばらしい!ということではありません。「障害の有無に関係なく難しい面があること」や「住んでいる地域や働いている業界・業種によってできる/できないが大きく異なること」は、前提として押さえておいた方が良いでしょう。 参考文献 [*1] 「新型コロナ禍を受けたテレワーク×住まいの意識・実態」調査|リクルート住まいカンパニー [*2] 総務省|令和3年版 情報通信白書|テレワークの実施状況 これらを踏まえたうえで、次のページからは筆者が実体験から感じたメリット・デメリットを、以下の3つのパターンでご紹介します。 パターン1. 出社がメインでたまにリモートワーク パターン2. リモートワークがメインでたまに出社 パターン3. 完全(フル)リモートワーク 次ページ:実際にやってみてどうだった?「出社がメインでたまにリモートワーク」
【大人のASD特性対策】コミュニケーションが苦手だとSNS依存になりやすい!?上手く付き合うためのHACK!

「SNSをやっていると、つい没頭して何時間も見続けてしまう」「もしかして、SNS依存では…?」発達障害のある方は、その特性からSNSや動画などのインターネットのコンテンツに没頭してしまいやすいと言われています。ASD 当事者である筆者が試行錯誤してきた中から、効果があった 2 つの HACKS をご紹介します。

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「SNS をやっていると、つい没頭して何時間も見続けてしまう」「もしかして、SNS 依存では…?」—— こんなお悩みをお持ちではありませんか? Twitter や Facebook、Instagram など、 SNS アプリは私たちにとても身近で便利な存在です。友だちとのコミュニケーションや情報収集など、普段から活用されている方も多いことでしょう。 しかし SNS との付き合い方を間違ってしまうと、便利などころか逆に「日常生活に悪影響を与えてしまう」ことにもなりかねません。 発達障害のある方は、その特性から SNS や動画などのインターネットのコンテンツに没頭してしまいやすいと言われており、特に自閉症スペクトラム障害(以下、ASD)では以下のような傾向があるとされています。[*] ・現実世界で対人関係やコミュニケーションが苦手なことから、ネット上での交流を求めやすい ・興味関心が高いことに時間を忘れて没頭してしまうことから、ネット上での情報収集に多大な時間を費やしてしまいやすい ASD 当事者である筆者も、実際に長年 SNS との付き合い方に苦労してきました。そこで今回は、筆者が試行錯誤してきた中から、効果があった 2 つの HACKS をご紹介します。 [*参考文献:発達障害とインターネット依存の現状と対策|一般社団法人日本児童青年精神医学会 機関誌「児童青年精神医学とその近接領域」第60巻 第1号 2019年2月1日発行] [toc] ①アプリの通知を切る 「SNS をあまり見ないようにしよう」と思っていても、スマートフォンの通知が鳴ればついつい見てしまいますよね。これはガマンする/しないの問題ではなく、もはや人としてどうしようもないことではないでしょうか。 どうしようもないのであれば、そもそも通知が届かないように仕組みを作りましょう。 SNS の通知設定は、実はかなり細かく設定することができます。例えば Twitter の場合だと、リツイートやリプライ、DM などの機能ごとに通知のオン/オフを選べたり、特定のアカウントからの通知だけをオン/オフしたりすることも可能です。 筆者は SNS の通知をすべて「オフ」に設定しています。 実は、最初は「自分の投稿に返信(リプライ)してもらったときに、気が付かなかったらどうしよう…」と思って通知をオフにすることをためらっていました。でもよく考えてみれば、SNS の通知は「仕事の連絡」のようにすぐに返事をする必要はないわけです。後でまとめて確認・返信するのでも、まったく問題はありませんでした。 各 SNS の通知の設定方法は、以下の記事(外部サイト)をご参照ください。 ・twitter通知の設定方法!便利な通知はこの8つ! ・Facebookで受け取るお知らせを選択するにはどうすればよいですか。 | Facebookヘルプセンター ・【かんたん図解】インスタの通知ON/OFF設定マニュアル ・LINEの通知設定 完全ガイド──通知の種類や意味、その効果を詳しく解説 | アプリオ ②SNS を見る時間を決める 子どもの頃に「テレビやゲームの時間を親から決められていた」という方も多いのではないでしょうか?これと同じように、SNS も時間を決めて利用するのが効果的です。 任天堂の Switch には「みまもり Switch」というアプリがあり、親がゲーム時間を管理することができますが、これと同じような機能が実はスマートフォンには最初から搭載されています。これをうまく活用しましょう。 iPhone では「スクリーンタイム」、Android では「Digital Wellbeing」という機能を使って、アプリ毎に見られる時間帯や、1日あたりの上限時間を設定できます。PC のブラウザから SNS を利用している場合は「BlockSite」などの拡張アプリをインストールすることで、似たような機能を使うことができます。 これらを設定しておけば、SNS を見ようとついスマホに手が伸びてしまったときに、踏みとどまることを助けてくれます。 ただし一つ問題があります。大人が自分で自分のスマートフォンを設定する場合、解除しようと思えばできてしまうので、完全にブロックすることができないのです。何を隠そう、筆者も「SNS を見たい」という欲望に負けて設定を自分で解除してしまうことがたびたびありました。 どうしてもガマンできない場合はどうすれば良いのか —— いろいろと試行錯誤した結果、筆者の場合は「スマートフォンから SNS アプリを消して、PC からのみ見るようにする」ことにしました。たしかに、スマートフォンでスキマ時間の暇つぶしに SNS を見られないのはちょっと不便に感じることもありますが、没頭し過ぎるよりはマシだろうと諦めることにしました。 スクリーンタイムなどの詳しい設定方法は、以下の記事(外部サイト)をご参照ください。 ・iPhone:人生は短い。SNS制限し余計な時間を見直して、集中する時間を作ろう | トリニティ ・Android:スクリーンタイム機能の使い方 - 見方・アプリごとの視聴制限方法を解説 - OTONA LIFE | オトナライフ - OTONA LIFE | オトナライフ ・PCのブラウザ:目的別:見たくないサイトをブロックできるChrome拡張機能5選:3分LifeHacking(1/3 ページ) - ITmedia エンタープライズ ディーキャリアは、大人の発達障害がある方の「はたらく」をサポートします 「働いても長続きしない」 「人間関係がうまくいかない」 「就職/転職をしたいが、自分に合った仕事があるの不安」 こんなお悩みをお持ちではありませんか。働く上で困りごとを感じて就職・転職を考えているけれど、なかなか一人では上手く行かない……そんな方のサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業。) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、大人の発達障害がある方からのご相談を承っております。(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援を行っている方からのご相談も受け付けております。) 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。 記事監修 北川 庄治(デコボコベース株式会社 プログラム開発責任者) 東京大学大学院教育学研究科 博士課程単位取得満期退学。通信制高校教諭、障害児の学習支援教室での教材作成・個別指導講師を経て現職。
【大人のASD特性対策】「通勤疲れ」は感覚過敏に工夫を!ASD の脳の特性による困りごと:疲れやすい

ASDのある方で「会社に行っただけで疲れた」「満員電車が苦手」という悩みを抱える方は少なくありません。対策のコツは感覚過敏への対処をすることです。今回の記事では、困りごとが起きやすい通勤などの「移動時」の疲れを軽減するために、筆者が実際に試して効果のあったHACKを紹介します。

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大人の発達障害、特に、自閉症スペクトラム障害(以下、ASD)の方の中には、「疲れやすい」とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。 ASDの代表的な特性のひとつに「感覚過敏」があります。感覚過敏とは「光や音など特定の刺激に非常に敏感」であることです。脳の特性により、普通は受け取りすぎないように脳がフィルターをかけて抑えている刺激を過剰に受け取ってしまうことで、疲れや苦痛を感じてしまうのです。 この特性がある方は、外部からの刺激を受けやすいために疲労やストレスをためてしまいがちです。「会社に行っただけで疲れた」「満員電車が苦手」という悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。 感覚過敏への対策のコツは、外部からの情報を入りすぎないように防ぐことです。そこで、今回の記事では、困りごとが起きやすい通勤などの「移動時」の疲れを軽減するために、筆者が実際に試して効果のあったHACKを紹介します。 [toc] ポイント①:耳からの刺激を防ぐ 耳から入ってくる刺激を遮断するのにオススメなのは、ノイズキャンセル・ヘッドホン/イヤホンです。 筆者もいくつかノイズキャンセルの機器を試して、今はヘッドホンを使っています。ヘッドホンの方が耳の全体を覆ってくれるので遮音効果が高いですが、夏は暑い・髪型が崩れる・持ち運びでかさばるなどのデメリットもあります。その点、イヤホンの方が気軽に付けることができ、持ち運びにも便利です。イヤホンの場合は耳の穴に差し込む「耳栓型(カナル型)」のものであれば、遮音効果もそれなりにありました。 価格についてもいろいろな価格帯のものを試してみたところ、7,000 〜 13,000 円のものが価格と機能のバランスが良く、効果もしっかりと実感できました。 普通のイヤホンで周囲の音を防ごうとする場合、音量を大きくするしかないので音漏れなど周囲に迷惑を掛けてしまうことがあります。ノイズキャンセル・ヘッドホン/イヤホンなら、周囲から入ってくるノイズそのものを軽減してくれるので、音量をそれほど上げなくても音を防ぐことができます。 聴覚に敏感さがある方の場合は、雑音や騒音に対しても情報を拾ってしまうので、街を歩いているだけでも苦痛やストレスを感じてしまうことがあります。しゃべり声だけでなく、例えば他人の「せき払い」や「舌打ち」などの音も、自分に向けられたものではないのに気になって疲れてしまうこともあります。 自分に関係のない情報はそもそも受け取らないようにするのがポイントです。 ポイント②:目からの刺激を防ぐ 目から入ってくる刺激を遮断するのにもっとも効果があるのはサングラスです。しかし、筆者の場合は「視界が暗くなりすぎて、夕方や夜間、屋内では歩きづらい」「サングラスが似合わず見た目が気になる」という悩み事がありました。 サングラス以外の方法をいろいろ試したところ、意外にも効果があったのはブルーライトカット・メガネでした。 ブルーライトカット・メガネは、本来は PC などで作業する際に目の疲れを軽減するためのものです。紫外線カットのために薄く色が付いており「目立たないサングラス」として使うこともできます。 他にも、筆者が試して効果があったのは「関係ない人の顔を見ない」ことです。 経営コンサルタントの方が「仕事に集中するため、ムダに脳の体力を消耗しないよう、移動中は他人の顔を見ないように歩いている」と SNS でつぶやいていたのを見てマネしてみたところ、かなり効果がありました。(人の顔を見ずに、誰かにぶつかったりしないよう歩くのは少し練習が必要でしたが。) 「目は口ほどにものを言う」ということわざもありますが、「人の顔」はそれだけ多くの情報を発していると言えるのかも知れません。 まとめ:自分に関係ない情報は受け取らないようにする ASD には「感覚過敏」だけでなく、対人関係やコミュニケーションが苦手という特性もあります。その対処として周囲の人の声やしぐさ、表情などを注意深く読取ろうとしてしまうことで、人混みを移動する間ずっと頭がフル回転状態となり、「通勤・通学するだけで疲れてしまう」というケースもあります。 自分に直接関係のない情報にフィルターをかけることで移動中の疲れは軽減できますので、安全に注意して、今回の HACK をお試しください。 ディーキャリアは、大人の発達障害がある方の「はたらく」をサポートします 「働いても長続きしない」 「人間関係がうまくいかない」 「就職/転職をしたいが、自分に合った仕事があるの不安」 こんなお悩みをお持ちではありませんか。働く上で困りごとを感じて就職・転職を考えているけれど、なかなか一人では上手く行かない……そんな方のサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業。) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、大人の発達障害がある方からのご相談を承っております。(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援を行っている方からのご相談も受け付けております。) 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。 記事監修 北川 庄治(デコボコベース株式会社 プログラム開発責任者) 東京大学大学院教育学研究科 博士課程単位取得満期退学。通信制高校教諭、障害児の学習支援教室での教材作成・個別指導講師を経て現職。
発達障害当事者がオープン就労/クローズ就労の両方で働いてみて分かったこと

発達障害当事者がオープン就労とクローズ就労のそれぞれで実際に働いてみて、どのようなことを感じたのか、実体験から得た学びをご紹介します。「障害をオープンにするかクローズにするか」で迷っている方のお悩みが解決するためのヒントとしてご覧ください。

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「仕事や人間関係がうまくいかず、悩んでいろいろと調べてみたら、どうやら原因は発達障害にあるらしい。病院を受診して発達障害の診断も受けた。では、その診断結果を会社に伝えるべきか——」 発達障害の診断を受けたことを会社に伝えるかどうかは、とても大きな問題です。 発達障害の特性が原因で、仕事や人間関係などに困りごとが現れている以上、何らかの形で支援してもらいたい・助けてもらいたいという気持ちは当然あります。 その一方で、「上司や同僚に理解されなかったらどうしよう」「待遇が下がったり辞めさせられたりすることはないだろうか」など、さまざまな不安も湧いてきます。筆者もまさに、発達障害の当事者としてこのような悩みを抱えていました。 30 代で自閉症スペクトラム障害(ASD)と注意欠如・多動性障害(ADHD)の診断を受けてから 5 年。その間に私はオープン(障害開示)就労とクローズ(障害非開示)就労の両方を経験しました。 今回の記事では、筆者がオープン就労とクローズ就労のそれぞれで実際に働いてみて、どのようなことを感じたのか、実体験から得た学びをご紹介します。「障害をオープンにするかクローズにするか」で迷っている方のお悩みが解決できるよう、何かのヒントとなれれば幸いです。 [toc] 1. オープン就労/クローズ就労の 3 つのパターン まず、オープン就労とクローズ就労のパターンを整理しておきましょう。「オープン就労=障害者雇用」「クローズ就労=一般雇用」と考えてしまいがちですが、実際には以下の 3 つのパターンがあります。 1-1. 障害者雇用枠で働く(オープン就労) 一般的にオープン就労としてイメージされることが多いのがこちらです。障害者雇用枠で働くためには当然ながら障害のことを会社に伝える必要があります。 ただし、会社側と相談のうえで「人事部門と直属の上司だけに伝える」というように、会社のなかで障害を開示する範囲を「業務の遂行や支援のために必要な範囲に限る」ことは可能です。 1-2. 一般雇用枠で障害を非開示にして働く(クローズ就労) 一般的にクローズ就労としてイメージされることが多いのがこちらです。発達障害があったとしても、「障害特性をセルフケア(自己対処)でカバーできている場合」や「障害特性による苦手や困難が、仕事をするうえで影響を及ぼさない、もしくは許容できる場合」には、障害を開示せず一般雇用で働いている方も数多くいらっしゃいます。 1-3. 一般雇用枠で障害を開示して働く(オープン就労) 一般雇用枠で障害を開示して働くことも可能です。障害者手帳の有無や雇用の形態を問わず、障害によって社会のなかで困難さを抱えている人であれば誰でも、会社に合理的配慮の提供を相談することができます。 「もともと一般雇用枠で働いていた人が、在職中に発達障害の診断を受け、障害者雇用枠に切り替えず一般雇用枠のまま合理的配慮を受けて働く」といったケースも多くあります。 *** 筆者は 3 つのパターンをすべて経験しましたので、この後の章ではそれぞれについて詳しく体験談をご紹介します。 なお、「障害者雇用/一般雇用」や「合理的配慮」については、過去のコラム記事で解説しています。この記事の最後にリンク集をまとめておりますので、詳しく知りたい方はそちらもぜひご参照ください。 次ページ:オープン就労(一般雇用枠)で実際に働いてみて、どうだった?
【大人の発達障害(ADHD)の特性対策】ワーキングメモリーの弱みをカバーするメモ活用術~ルール編~

物や用事を忘れないための、メモ帳のルール作りをHACK!注意欠如多動性障害(ADHD) の特性あるあるの代表例である「もの忘れ」を防ぐHACKをご紹介します。

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前回の記事では、大人の発達障害、特に ADHD(注意欠如・多動性障害)の困りごとである「物や用事を忘れてしまう」ことへの対策として、日頃からメモ帳を身に付ける HACK をご紹介しました。 困難さを感じるからこそ「忘れてはいけない!」とずっと頭の中で考え続けることになりますが、これはとても大きなストレスです。しかし、メモさえ残しておけば、頭の中からは忘れても良い状態を作ることができます。自分の記憶をメモ帳に預けることで、「忘れてはいけない!」と考え続けるストレスを回避することにもなります。 参考:前回のコラム記事 大人の発達障害(ADHD)の特性対策・メモ帳を「身に付けて」用事を忘れないようにする ~ワーキングメモリーの弱さへの対策~ 今回は、前回のHACK をもう一歩進めて、身に付けているメモを効率的に活用するためのルール作りのポイントについてご紹介します。 [toc] ポイント①:メモ帳は一冊だけにする 身に付けて持ち歩くメモ帳(あるいは手帳、ノート)は一冊だけにし、そこに何でもメモするようにします。こうすることで「あれ?どこかにメモしたはずなのに見つからない!」という事態を防ぐことができます。 例えば仕事では、以下のように「いろいろな場所にメモを取っている」ことが多いのではないでしょうか。 ・電話メモは、専用のメモ用紙に書いている ・会議のメモは、仕事用の手帳に書いている ・誰かから口頭で指示されたことは、フセンに書いて PC に貼り付けている このように、いろいろな場所にメモを残すことの問題は、必要になったときにすぐに探せないということです。いくらメモを取ったとしても、必要なときに、そこに書いてある情報が引き出せないのであれば、あまり意味がありません。また、「どこかにメモしたはず…」とあちらこちら探すのも、時間が無駄になってしまいます。 どんなものでもすべて一冊のメモ帳にまとめておけば「ここを探せば、必ず見つかる」という安心感を得ることができます。 ポイント②:情報は時系列順で書く メモ帳の中で情報を分類せず「とにかく、メモ帳の先頭から時系列順(古いものから順番)に書く」というシンプルなルールにします。 一見すると、「分類せず順番に書くだけでは、後から探しづらいのでは?」と思われるかも知れません。しかし、私たちが何かを探しているときには 「先週の会議で言っていたはず…」 「一昨日あたりに電話を受けた気がする…」 というように、大体いつ頃だったかを基準に思い出していることが多いものです。大体の時期が分かれば、あとはその辺りのページをペラペラとめくっていくだけですので、順番に書いているだけの方が意外と情報が探しやすかったりします。 なお、後からメモを見返すときに分かりやすいよう、メモを取った日時を一緒に書いておくのがおすすめです。 メモ帳は人生のタイムライン メモ帳は、とにかくシンプルに運用することがオススメです。キレイに分類しようとして、やりきれず挫折してしまったり、情報がバラバラになって探せなくなるよりは、「ここを探せば大丈夫」という安心感を作っておくことの方が大切です。 時系列順で一か所にまとまったメモは、SNS のタイムラインにも似ています。後からタイムラインを見返すと意外な発見があるように、折に触れてメモを見返すことで、何か新しい気付きを得ることができるかも知れません。 メモを活用するためのルール作りを、ぜひお試しください。 ディーキャリアは、大人の発達障害がある方の「はたらく」をサポートします 「働いても長続きしない」 「人間関係がうまくいかない」 「就職/転職をしたいが、自分に合った仕事があるの不安」 こんなお悩みをお持ちではありませんか。働く上で困りごとを感じて就職・転職を考えているけれど、なかなか一人では上手く行かない……そんな方のサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業。) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
発達障害当事者による【障害者手帳ガイド】手続き方法、メリット/デメリット、実際に取得してみた体験談

障害者手帳とは?取得・更新の手続きの方法から、メリット/デメリット、よくあるご質問まで、情報をまとめました。実際に手帳を取得した当事者の体験談もご紹介します。

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大人の発達障害の当事者の方、ご家族など当事者をサポートする方々の中には「これから、どうやって生計を立てて行けば良いのか」という心配を感じられている方もいらっしゃるのではないでしょうか。 ・障害を抱えながら働くことはできるのか。 ・生活を補助してくれるような支援は受けられないのか。 そのような疑問について調べるうちに、たどり着くのが障害者手帳に関する情報です。 手帳を取得すれば、障害への配慮を受けながら働くこと・公的な支援を受けることがしやすくなるメリットがあります。 ただ、大人になって診断を受けた方のなかには、名前は何となく聞いたことがあったとしても、「どういうものかよく分からない」という方が多いのではないかと思います。 ・どうすれば取得できるのか。 ・病院や役所での手続きに、手間がかかるのではないか。 ・取得したら、どんなメリットやデメリットがあるのか。 ・そもそも自分は対象となるのか。発達障害(ASD、ADHD、SLD)で手帳は取得できるのか。 調べれば調べるほどに、不安も募ります。そんな方に向けて、今回のコラムでは「30代半ばまで発達障害のことを知らずに生活してきた筆者が、診断を受けたあと手帳について調べたことや、実際に手帳を取得した体験談」をご紹介します。 障害者手帳とは一体どういうものか。取得・更新の手続きの方法から、メリット/デメリット、よくあるご質問まで、情報をまとめました。発達障害の診断を受けた方の不安を解消するために、本コラムがお役に立てましたら幸いです。 [toc] 1. 障害者手帳の基本情報 1-1. そもそも障害者手帳とはなにか? 障害者手帳とは「カラダやココロの機能に、一定の障害があることを認定するためのもの」であり、障害者の自立と社会参加を支援するための、国による制度です。 障害者手帳を取得することで、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスや、各自治体や民間事業者が提供する支援サービスを受けることが出来ます。 障害者手帳には以下の三種類があり、制度のもととなる法律がそれぞれ異なるため、申請や更新の方法に違いがあります。インターネット等で障害者手帳について調べていて、情報が混乱してしまう原因はこの違いにあります。 発達障害者が取得することができるのは(3)精神障害者福祉保健手帳ですので、自分で情報を調べるときには注意しましょう。 (1)身体障害者手帳 ・身体の機能に一定以上の障害があると認められた方に交付される手帳。 ・申請:①医師の診断書・意見書(都道府県知事、指定都市市長、または、中核市市長が指定する医師に限る) ②身体に障害のある方の写真 の2つを用意し、福祉事務所、または、市役所にて行う。 ・更新:原則なし。ただし、例えば「障害の状態が軽減される」などの変化が予想される場合には、手帳の交付から一定期間を置いたあとに、再認定を実施することがある。 (2)療育手帳 ・児童相談所、または、知的障害者更生相談所において、「知的障害がある」と判定された方に交付される手帳。 ・申請:お住まいの自治体によって、手続き方法や必要書類などが異なる。 ・更新:あり。お住まいの自治体によって、手続き方法や期間などが異なる。 (3)精神障害者保健福祉手帳 ・一定程度の精神障害の状態にあると認められた方に交付される手帳。 ・申請:市町村の担当窓口を経由して、都道府県知事、または指定都市市長に行う。 ・更新:あり(2年ごと)。お住まいの自治体によって、手続き方法や必要書類などが異なる。 参考URL: ・障害者手帳について|厚生労働省 ・精神障害者福祉手帳|治療や生活へのサポート|メンタルヘルス|厚生労働省 1-2. 発達障害者が取得できる、精神障害者福祉保健手帳とは? 精神障害者保健福祉手帳は、「一定程度の精神障害の状態にあること」を認定するものです。何らかの精神障害により、長期にわたり日常生活や社会生活へ制約を受けてしまっている方が対象です。例えば以下のような、精神障害のすべてが対象です。 ・統合失調症 ・うつ病、そううつ病などの気分障害 ・てんかん ・薬物依存症 ・高次脳機能障害 ・発達障害(ASD、ADHD、SLD) 現在(2021年6月時点)の日本の法律では、発達障害は「精神障害」に分類されるため、精神障害者福祉保健手帳の対象となっています。 1-3. 精神障害者保健福祉手帳の申請方法は? 申請を受け付ける窓口は、お住まいの自治体の役所(市区役所・町村役場)にあります。「障害福祉課(障がい福祉課)」や「障害支援課(障がい支援課)」などの名前で窓口が設置されていますので、役所のホームページで調べてみましょう。 あるいは、役所の総合受付で「障害者手帳について相談したい」とたずねれば、担当窓口を案内してもらえます。 自治体によって手続きの内容に若干の違いがありますが、相談すれば丁寧に教えてもらえるので、まずは担当窓口を訪ねてみるのが良いでしょう。 申請には以下の書類が必要です。 (1)医師の診断書 精神科医、または、発達障害の専門医によって「発達障害である」と診断された証明書です。 この診断書は初診から6か月以上がたってからのものでなければなりません。理由は、精神障害は他の障害(身体・知的)とは異なり、時間の経過によって状態が変化する(※)ことがあるためです。 障害者手帳の交付が必要な「継続的な困難さがあるか」を判断するには、ある程度の期間、状態を観察することが必要と考えられているのです。 (※発達障害は生まれもっての先天的な障害のため、他の精神障害とは異なり「時間が経過しても、症状や困りごとに変化があるわけではない」として、区別するよう求める議論もなされています。) なお、病院で診断書を発行してもらう際、おおむね5,000円前後の作成料がかかります。自治体によっては、作成料を助成してくれる場合があるので、ホームページや窓口で確認してみると良いでしょう。 (2)精神障害による障害年金を受給している場合は、その証書等のコピー すでに障害年金を受給している場合は、(1)の診断書の代わりに申請書類として使うことができます。 (3)本人の写真 マイナンバーカードや免許証を作るときと同じように、証明写真が必要です。多くの場合は手帳に写真が掲載されます。 自治体によっては、宗教上や医療上で特別な事情がある場合に、頭を布で覆うことを認めている場合があります。 また、障害者手帳に写真を掲載しないことを選べる自治体もありますが、「手帳に写真を掲載しない場合、本人確認の観点から、受けられるサービスが限定される」などの制限が加わる場合があります。 窓口で申請してから、手帳が交付されるまでの期間は、平均で2か月〜3か月です。窓口となる自治体により、審査の内容や手順が異なるため、もっと短い場合もあれば長い場合もあります。 1-4. 取得した精神障害者保健福祉手帳は、更新手続きが必要か? 更新手続きは2年ごとに必要で、有効期限の3か月前より更新手続きが行えます。 更新の際にも医師の診断書が必要なため、診断書を書いてもらうための通院など、余裕をもったスケジュールを立てておきましょう。 なお、自治体によっては、更新に関する案内が特に送られてこず、自分で期限を管理しなければならない場合があります。 期限が切れてしまった場合、障害者手帳を元に受ける支援やサービス(例えば、障害者雇用枠での雇用や、税金の控除、公共交通機関の運賃の割引など)が受けられなくなってしまうため、忘れないように注意が必要です。     次ページ:障害者手帳について悩んだとき、相談できるところはある?