障害年金を社労士が解説(後編)|要件や初診日など精神・発達障害の方の受給ポイント
この記事では、前編の内容を踏まえ、障害年金を精神障害や発達障害のある方が受給するポイント、請求方法、必要な書類などを解説していきます。
・障害年金を請求したいれけど、よく分からない
・請求にどんな準備をすれば良いか分からない
・1人で請求できる自信が全くない
そういった方の参考になればと思います。
この記事は5分~10分でお読みいただけます。
【監修者】特定社会保険労務士|高須 久二子
シロキ社会保険労務士法人|川崎ソレイユ障害年金サポートセンター
目次
1.受給するための3つの要件
1.仕事や日常生活に支障が出ているか(障害の程度)
障害の等級は、1級、2級、3級とありますが、おおむね以下の程度です。
1級 他人の助けを受けないと身のまわりのことができない
2級 日常生活が非常に大きな制限を受けており、仕事による収入を得ることができない
3級 仕事をするにあたり大きな制限がある
上記はあくまで参考となります。実際は、傷病ごとに結構細かく認定基準が決まっており、基準に基づいて認定されます。その結果、生活に支障が出ていても3級すら認められない方もいますし、就労しながら2級で受給されている方もおります。
2.初診日を確定する
障害年金を請求(申請)する際、障害の原因となった病気や怪我の初診日の時点で、年金制度(国民年金、厚生年金、共済年金)に加入していること必要です。
3.年金保険料の納付要件がある
年金の保険料を一定期間納めていないと障害年金の請求をすることは出来ません。障害年金は現在まで適正に保険料を支払ってきた人が対象となるためです。
上記の3つを満たす必要があります。
2.【重要】障害の程度
・1級相当
自分では何もできないような状態です。
・2級相当
1人では生活できないが誰かが助けてくれれば生活できる状態です。
・3級相当(厚生年金の方)
生活はできますが、労働に大きな支障がある状態です。
上記は参考です。実際の等級は認定医が書類(主に診断書)を見て判断します。
認定の基準は傷病によって違います。
たとえば視力障害や聴力障害などは数値で何級と決まります。
人工透析(2級)や人工関節(3級)のように「〇〇をしていれば何級」という基準もあります。
精神障害や知的障害には明確な基準がないため、「日常生活や就労にどれだけ支障が出ているか」で決まります。
3.【重要】初診日とは?
「その傷病で初めて病院に行った日」が初診日になりますが、人によっては何軒か病院を転院している場合があります。
精神障害や難病の場合、病院によって診断名も違うということもよくあります。
その場合、どこが初診日になるのでしょうか。とある発達障害の方のケースを参考で紹介します。
この方の場合、最初に受診したA病院(内科)が初診となりました。
「発達障害をベースにして適応障害やうつの症状が出た」という考え方がされたからです。
ただ、因果関係が認められるかどうかはケースバイケースです。もしA内科の受診が単なる頭痛や不眠によるものなら、「Aの受診は無関係である」とされて、B病院が初診となる可能性が高くなります。
また、A病院に通った後に元気になり、普通に生活していたが、数年経ってからうつ病を発症してB病院に通院を開始した…というケースもあります。この場合は「症状がいったん治癒した」という扱いになり、B病院が初診として判断される可能性が出てきます。
4.【重要】保険料の2つの納付用件
納付要件は初診日の前日時点で見られます。初診日が令和4年1月1日の場合、前日である令和3年12月31日時点の納付状況が確認されます。また、今までの年金を全額納付している必要はないです。
納付要件は原則と特例がありますが、どちらかを満たしていれば問題ないです。
1. 原則(2/3要件)
・今までの年金の記録の中で、1/3以上未納がないかを見るものです。
2. 特例(直近一年要件)
・初診日の前々月から1年間に未納がないかを見るものです。
補足:保険料の免除制度
保険料は支払うことで保護を受けられる制度なので、未納があまりに多いと保護されません。ですので、免除制度、納付猶予制度をしっかりと使用するために届け出をすることが大切です。
・保険料免除制度
所得が少ない、退職、コロナ感染症、産前産後などで納付困難な場合など
一定の金額の免除を受けられる場合があります。
・納付猶予制度
50歳未満の方では納付猶予、学生の方は納付特例が受けられる場合があります。
免除制度も納付猶予も、申請が認められればその期間は未納扱いにはなりません。
免除の場合、「免除された分の年金の1/2を払った」という扱いになります。
一方、納付猶予は「後から払う」という制度ですので、年金を積み立てたことにはなりません。
5.必要な書類と受給するポイント
請求のメインとなる書類は以下の三つです。
1.受診状況等証明書
2.認定日の診断書
3.現在の診断書
他にも、預金通帳のコピーや、家族構成によっては戸籍謄本などが必要になります。
① 受診状況等証明書
初診日の証明となる書類です。初診日の他、発病から初診までの経緯などを初めて受診した病院に書いてもらいます。
② 認定日の診断書
障害認定日時点の診断書です。基本的に「初診日から1年6か月後」が障害認定日になります。
③ 現在の診断書
現在の状態を表す診断書です。主治医にしっかりと自分の病状を伝え、正確な診断書を作ってもらう必要があります。
※どの書類が必要かは請求方法によって変わります。別途申立書などが必要となるケースもあります。
精神・発達障害のある方の受給するポイント
障害年金は書類審査です。また、認定基準に合っていなければ年金はもらえません。
例えば精神障害・知的障害の診断書には「適切な食事」「対人交流」「社会性」というような項目を、医師が通信簿のように段階評価する欄があり、等級を決める上で非常に重要になります。
そのため、「規則正しい食事が取れない」「対人関係がうまくいかない」「役所の手続きが出来ない」というような支障がある場合、それを医師に伝える必要があります。
医師とはあまり日常生活の話が出来ていない、という人も少なくないと思いますが、日常で困っている話をしっかりと伝え、症状にあった診断書を書いてもらうことが大切です。
6.よくある質問(後編)
Q1.仕事をしているけれども障害年金は受給できますか?
A.仕事をしていても障害年金をもらえます。
障害者雇用や時短勤務など職場の配慮を受けながら働いている場合には障害年金が受給できる可能性があります。一般雇用であっても、障害者としての配慮を受けている場合も、配慮の内容次第では受給できる可能性があります。
Q2.初診日が昔過ぎて最初の病院で初診の証明書(受診状況等証明書)を書いてもらえない場合はどうしたらいいでしょうか?
A.いろいろな方法で初診を証明することができます。
例えば次に受診した病院のカルテに初診日や初診の病院の情報が載っていればそれを初診証明書の代わりとすることができます。(条件あり)
ケースバイケースでの対応となりますので、一度専門家へ相談することをお勧めします。
7.まとめ
この記事では、前編の内容を踏まえ、障害年金を精神障害や発達障害のある方が受給するポイント、請求方法、必要な書類などを解説してきました。
障害年金の請求を進める際は、病院やクリニック、年金事務所などに出向いて書類の準備などをしていきます。
しかし、障害年金の請求を検討されているということは、何かしらの障害を抱えている状態なので、上記の請求を円滑に進めることが困難な場合も少なくありません。
そういった場合は、障害年金の請求をサポートしている社会労務士法人へ相談してみることを検討することも一つです。
・自身の障害は対象なのか
・その障害年金が対象なのか
・受給要件を満たしているのか
障害年金の請求をサポートしている社会労務士法人では、上記のよくある質問は基本的に無料で相談できます。
参考:ソレイユ障害年金サポートセンター
障害年金の申請を検討しているがどうすればよいか分からない、就職に向けた準備をしながら障害年金の申請を進めていきたい、などがあれば1人で抱えずに気軽にご相談ください。
最後まで記事を読んでいただき、ありがとうございました。
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