発達障害のある人は料理が苦手?〜当事者が試して効果のあった料理術をご紹介!〜【ハタらくナビ・番外編】

今ある食材を柔軟に組み合わせ、複数の献立を限られた時間の中で同時に作らなければならない —— 発達障害の当事者の方のなかには、料理が苦手という方もいらっしゃるかも知れません。

  • 「同時並行でものごとを行うのが苦手」
  • 「段取りがうまくできない」
  • 「こだわり過ぎて時間がかかる」

このような発達障害の特性は、料理との相性が最悪に思えてしまいます。一人暮らしなら適当に済ませることもできるかも知れませんが、もしも「家族に料理を作ってあげねばならない立場」だとしたら、ちょっと気持ちが重くなってしまいますよね。

そこで今回の記事では、注意欠如・多動性障害(ADHD)と自閉症スペクトラム障害(ASD)の当事者である筆者が、実際に試してみて効果があった料理術をご紹介します。

1. こだわりの強さを活かして基本を身に付ける

勉強でもスポーツでも、基本を身に付けることが第一歩です。まずは、初心者向けの基本的なレシピ本を一冊買ってきて、その本を教科書として使いましょう。

「いつも同じメニューだと飽きてしまいそう……」と思っても大丈夫。手の込んだ料理でなくとも、誰でも知っている料理だけでも充分なバリエーションがあります。また、基本的なレシピであれば、調理の時間も比較的短くて済みます。

ポイントは、レシピの分量や手順をしっかり守ることです。ここではむしろ発達障害の「こだわりの強さ」を存分に発揮して、基本に徹底的にこだわりましょう。

「短期記憶の弱さ」の特性を持つ方の場合は、料理の最中にレシピを忘れてしまうことも起こりがち。レシピ本がいつでも確認できるように、以下のグッズを使って見える位置に置いておきましょう。

歌舞伎や茶道などの日本の伝統芸能には「守破離(しゅ・は・り)」という言葉があります。最初の「守(しゅ)」とは、決められた型を守って繰り返し練習し、基本を身に付ける段階。続く「破(は)」とは、基本をベースに自分なりの工夫を加えて徐々に基本を破る段階。そして最後の「離(り)」とは、基本から離れてまったく新しい自分なりの型を生み出す段階です。

つまり、基本がしっかり身に付いているからこそ、自分なりのセンスが生まれ勘が働くようになるということです。これは料理にも通じるものがあります。段取りよく料理するためには、基本的な調理方法や味付けを身に付けることがまず大切なのです。

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