就労移行支援を利用した理由は?
Yさんの場合は、職業訓練を経て就職をされていて、そのまま転職活動をするという選択肢もあったかと思うのですが、就労移行支援の利用をしようと決めた理由はなんですか?
いくつか理由があります。
1点目は、失業保険があったことです。さらに、新型コロナウイルス感染に関わる会社都合の退職だったので、補助金もあり、生活していくのに問題がなかったからです。
2点目は、コロナ禍で世の中が混乱している中、すぐに就職をすることが難しいだろうと思ったからです。ましてや、それが障害者雇用枠となれば、もっと難しくなるのではないかと。
3点目は、自分の課題を解決しなければ、次の会社に行ったとしても、また周りに迷惑をかけてしまうのではないかという恐れがあったからです。
確かにコロナ禍における転職活動は、ハードルの高さを感じそうですよね。
生活費の工面について、今回はコロナ禍における会社都合の退職で失業保険と補助金が出たとのことですが、もしそれが受給できなかった場合でも、就労移行支援を利用されようと思いましたか?
そうですね。失業保険などがなかったとしても、障害年金などの制度を利用して、生活費を工面するようにしたと思います。
それくらい自分の障害特性に対処する学びを得たいという気持ちが大きかったですね。
「障害特性への対策」が必要だと強く感じた理由について、教えていただけますか?
前々職でのことなのですが、ITエンジニアとしてお客様先に常駐をしていたときに、責任の所在が不明確だったり、指示系統がバラバラだったりして、働きづらさを感じていました。
発達障害の特性とは関係なく、多くの方がやりづらいと感じそうですね。
そうですね、ただ、それに発達障害の特性が噛み合わさったことで拍車がかかってしまい、すごく大変な思いをしました。
障害による課題を解決しない限り、再就職をしても、またうまくいかないリスクがあると思ったので、就労移行支援の利用を決めました。
ディーキャリアを選んだ理由は?
就労移行支援の利用をするにあたり、ディーキャリア以外にも検討をしていた事業所はありましたか?
ネットで4社ほどみていて、いろいろ調べたうえで、実際に見学に行ったのは2~3つですね。
IT系のプログラムがある事業所を探していました。
2つ見学に行ってみて、ディーキャリアを選んだ理由は何ですか?
実際のIT業界企業の職場環境や仕事内容に近いプログラムがあったことです。
「ライフスキルコース」という障害特性や対策を学ぶ訓練があるのですが、それを踏まえたうえで「ワークスキルコース」という実際の職場に近いような環境で模擬業務をする訓練があって。実際におこなっている業務の一部を切り出して、チーム制でやるんですけど、学んできたことを実践することで、社会人としての基礎スキルが身につきそうだなと思いました。
Yさんの場合、一般企業で働かれてから就労移行支援を利用されていて、社会人経験はすでにあったかと思いますが、それでも社会人スキルを学べることは魅力に感じましたか?
自分が思い込んでいた「社会」がすべてではないことに、気づくことができた点は良かったです。前の職場では、上司に対して過度に委縮してしまったり、顔色を伺ったりすることがあったのですが、それが「社会では当たり前」だと思い込んでいました。でも実際には、必要以上にやらなくてもいいということに気づくことができました。
なるほど。「社会人経験ある人は、社会人スキルの学習は不要」ということではなく、改めて学び直す、経験し直す価値もあるということですね。
そうだと私自身は思っています。自分が知っている「社会」がどこでも同じだと思い込まずに、同じ職種でも業界によって会社でのルールや社風が違うし、同じ業界でも企業規模によって違うということを知ることは必要だと思います。
就労移行支援をネット上で探しているときは、ITスキルを身につけられることだけを優先して考えていたのですが、自分に必要だったのは、人間的なスキル、ソーシャルスキルだったと気づいてITスキルだけではなく、ソーシャルスキルを身につけることができるディーキャリアITエキスパートを選びました。
コロナ禍における対応が迅速だったのも、決め手のひとつでした。オンラインでの訓練やツール導入など、いち早く時代に沿った対応をしていた点が良かったです。最先端の技術を取り入れていて感動しました。
就労移行支援(ディーキャリア)を利用して良かったことは?
ディーキャリアを実際に利用してみて、よかったことは何ですか?
ディーキャリアを利用した理由でもお話ししたのですが、「ライフスキルコース」で学んだ知識を「ワークスキルコース」で実践できたことが良かったです。
「ライフスキルコース」では、テキストに沿って特性や課題への対策方法や知識を学んでいくのですが、学んだことを活かして実践をしてみるのが「ワークスキルコース」なんですね。
本を読んで終わりではなく、学んだことを活かす機会があるのが良かったです。テキストを読み返して、実践して、を繰り返す感じです。
学習するだけではなく、実践を繰り返すことで、習得ができるわけですね。
「ワークスキルコース」では、具体的にどのようなことに取り組まれたのですか?
例えば、チーム内で訓練用の模擬業務をするときには、リーダー役や調整役などの役割をそれぞれ担当して、みんなで協力し合って、成果物を期日までに完成させるっていうものがありました。その中で、やっぱりもちろんうまく物事がいかないことがあって、怒りっぽくなってしまうこともあったんですが、気持ちをコントロールするようにしたり、人のせいにしないように考えたり。チーム内で何かを成し遂げようとすればするほど、不安とかストレスがあるので、ライフスキルコースで学んだことを実際に活かしてみる練習をしました。「The実技」です。
物事の考え方を変える「リフレーミング」の訓練などが、チームでの業務において役立ったということですね。
Yさんの場合は、もうすぐディーキャリアを卒業予定かと思いますが、卒業を目前にした今、「ディーキャリアに通ってよかったな」と改めて感じることはありますか?
そうですね、通ってよかったと十分に思っています。
まずは、人とのコミュニケーションがものすごく楽になったと思います。
具体的に言うと、ガーって自分の話したいことを一方的にしゃべったりとか、自分の興味ある話は饒舌になって、他の人を置いてきぼりにしてしまうことがあったり。
コミュニケーションの場では、その場の空気感を察することとか相手の話を聞くことが重要だったり、話すときも「端的に」っていうのが重要だったりするということを学びました。
そういったことを学べるので、ディーキャリアに通って楽になったなって。今までは、意思疎通ができなかったりするところも多かったので。
なるほど。コミュニケーションの取り方のコツが身についたから、コミュニケーション楽になったっていうことですね。
そうです。コミュニケーション楽になるともう、どんな仕事も楽になりますね。仕事だけじゃなくて、プライベートも楽になりました。
プライベートの面でいうと、どんなことが楽になりましたか?
友達などの表情や様子をみたりとか、その場の雰囲気を察したりして、声をかけるべきかそうじゃないかを判断できるようになりました。心配になって、衝動的に「何があったの?」って聞いたりすると思うんですけど、相手の状況や関係性によっては、かえってその人を苦しめてしまうことがあるということを学んだんですよ。
なので、そういったときは、そっとしておいてあげるのが一番なんですよね。
相手の状況などを踏まえた上で、行動がとれるようになったんですね。
あとは、端的に話せるようになりました。一番分かりやすい例でいうと、LINEの文章とかですね。相談事があるときに、論文みたいにかなり長い文章を書いちゃってたんですよ。序論・本論・結論みたいなかんじで一方的に。でも、それってやっぱり送られた側からすると、読んでいてすごく疲れるし、文字の羅列で分かりづらいっていう風になっちゃってて。
それが、ディーキャリアを利用してからは、「こういう質問があるんだけど、今時間いいかな?」と相手の状況を聞いたあとに、端的に短い文章で送ることを心がけていて、会話のキャッチボールができるようになりました。
相手の立場になって、返信がしやすいメッセージが送れるようになったということでしょうか?
そうですね。そのほうが相手にとっても自分にとってもストレスがないことに気づきました。
恋愛面でもそうですね。自分の考えを一方的に押し付けるんじゃなくて、相手の話を聞くことが大切だと気づきました。結構、思い込みが激しくて、すれ違うことが以前は多かったのですが、今は、相手の話をちゃんと聞いて、自分の思っていることを端的に伝えられるようになりました。
ちなみに、ディーキャリアで学んだことのうち仕事において活かせそうな、コミュニケーションのコツはありますか?
話が長くなってしまいがちなので、端的に情報をまとめることですね。例えば、メールであれば、長文を送るのではなくて、箇条書きにしたり、内容によってメールを分けたりするなどの工夫をすることです。
口頭で質問をするときも、一度情報を整理してから、端的に話をするための練習をしました。
それもワークスキルコースでの訓練で対策を身につけたのですか?
そうですね。話が長くて、何を言っているか分からないとディーキャリアのスタッフから指摘を受けました。問題が2つあったときに、その2つをごちゃごちゃにして話してしまうことがあったんですね。なので、2つ話したいことがあるときには「別件なのですが」とか「質問が2つあるのですが、1つ目が」とそれぞれ分けて話すように心がけるように練習しました。
この工夫ができるようになって、自分の伝えたいことがちゃんと相手に伝わるようになりました。
就労移行支援(ディーキャリア)はどんな人におすすめ?
どんな方に就労移行支援やディーキャリアをおすすめしたいですか?
ディーキャリアでは、発達障害の特性に応じたプログラムをやっているものの、発達障害以外でも、精神疾患とか、さまざまな病気で悩んでいる方にもおすすめできると思っています。
発達障害ではなかったとしても、てんかんでも感情的になってしまう方がいますよね。ディーキャリアでは、障害名がこれだからこうという支援じゃなくて、こういう困りごとがあるからどうしていくかを考えてくれるので、必ずしも発達障害のある方だけが対象にはならないのではないかと思っています。
例えば、衝動性が高くて、浪費癖がひどいとか突発的な行動をして後悔することが多いとか。そういう困りごとを抱えている人って結構いると思うんですよ。
診断名問わず、困りごとがある方は、まず相談してみるのがいいかなって私は思っています。
ディーキャリアのおすすめ度合いを100点でつけると、何点ですか?
人によるかなと思っています。状況とかスキルとか、その方が求めているものによるかなと。
なので、70点ですかね。残りの30点は、就労移行支援って就労を見据えていることが前提なので、「無遅刻無欠席」を求められることが、人によってはハードかなと思うからです。自分自身も最初は正直にいうとしんどい思いをしましたが、働くうえでは「勤怠の安定」はとても重要だったので、今思えば良かったと思っています。
ただ、障害や疾患の状況によっては、合わない人もいるのではないかなと思っています。ある程度の回復ラインというか、一定の体力があることが必要かなと。その場合は、デイケアとか自立訓練などのほうが合うと思います。
今回お話ししたように、「障害特性への対策を学んで、実践し、習得できた」ことと、「社会について学び直しができた」こと。あとは、「就職支援が手厚い」ことと、「市場価値を高められる」ことです。
一番ポイントだと思っているのが「コミュニケーションスキル」ですね。
端的で分かりやすいコミュニケーションができることって、どこに行っても必要だと思っているので、コミュニケーションスキルを高めると就職市場でも求められる人物になれると考えています。
担当スタッフよりコメント
Yさんのディーキャリアでの成長について
通所を開始した当初は、先入観や過去の経験によって、説明された内容について「理解している」と思い込んでしまい、自己判断によって衝動的な行動をしてしまったり、コミュニケーション齟齬が生じてしまったりすることがありました。
卒業時には、自身の自己理解が進み、誤認識・誤解釈を防ぐために、図解をして説明をして自らすり合わせをおこなう、事実と解釈の思考の切り分けを常におこなう、復唱確認を取り入れる等のなどの対策を講じることで、正しい判断ができるようになりました。
ディーキャリアITエキスパート中野オフィス・ディーキャリア芝浦オフィスについて
「あなたらしい働き方」×「やりがいを感じられる仕事」を目指す就労サポートをおこなう就労移行支援事業所です。
ディーキャリアの立ち上げメンバー、ピアサポーター、有資格者(公認心理師、精神保健福祉士、社会福祉士など)など、「働きづらさ」をサポートするための知識や経験が豊富なスタッフが在籍しています。
就職後を見据え、仕事とプライベートの両方で活かせる特性理解をサポートしています。徹底的な特性検証をおこなうことで、自分でできる対策と、サポートが必要な配慮事項を見極めてきます。
障害者雇用枠・一般雇用枠(オープン就労・クローズ就労)両方の就職支援実績があり、ご希望に合わせたサポートをおこなっています。
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就労移行支援事業所ディーキャリアについて
就労移行支援事業所とは、障害のある方が就職するための「訓練・就職活動」の支援をおこなう障害福祉サービスのひとつです。(厚生労働省の許認可事業)
ディーキャリアでは、発達障害の特性による働きづらさをフォローするプログラムと自分の価値観や適職を見極めるカリキュラムで、「やりがいを感じられる仕事探し」×「あなたらしい働き方探し」を目指す支援を提供しています。
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