4. クローズ就労(一般雇用枠)で働いてみた
「君は障害を言い訳にしているのではないか」という上司の言葉がきっかけとなって、私は障害の有無にかかわらず、自分が価値を提供できる=お金を稼げる仕事とはなにかということを模索するようになりました。
このころから『私は性格上、発達障害のことをオープンにし過ぎると、また何でも「私は発達障害だから」という言い訳に使ってしまうかもしれない』と思うようになり、会社以外では発達障害のことを自分からオープンにしなくなっていました。
その後、ご縁があって再び転職することになりました。オープン就労かクローズ就労かで迷いましたが、前職で社会福祉事業に携わりながら障害特性の理解や対策について学んでいたこともあり、「自分でセルフケアしながら、一度クローズ就労にチャレンジしてみよう」と思い立ったのです。
4-1. 良かった点
価値が提供できれば、発達障害の有無は関係なく仕事をすることができる
私は前職で事務職のアルバイトとして働きながら、会社から副業の許可を得て、個人でライターとしても活動していました。そのご縁もあり、転職後はライター職で働いています。
職業柄、仕事の成果は「記事」という成果物で測られることになります。お客様にご満足いただける記事を書けていれば、書いているのが障害者かどうかはまったく関係がありません。人よりも人付き合いが苦手だったり忘れ物が多かったりしても、それで成果に悪影響がなければ問題にならないのです。
また、「記事」という成果物は比較的短い期間で作られますし形もハッキリとしているので、長期の見通しを立てて段取りよく取り組むことが苦手な私にとって、過去に経験した営業職や Web 担当職と比べると目標が立てやすく、自分の特性に合っていると感じました。
自分が価値を提供でき、自分の特性に合った環境の仕事を見つけることができれば、クローズ就労でもやっていけるのではないかと感じました。
4-2. 反省点
クローズ就労がうまくいくかどうかは、業界や職種、働き方など周囲の環境に大きな影響を受ける
発達障害の特性やそれによる困りごとは、人によってまったく違います。私のように「在宅勤務の方が向いている」という方もいれば、「毎日規則正しく通勤して、誰かと一緒に仕事をする方が向いている」という方もいらっしゃるでしょう。クローズ就労をする前に、どういう環境であれば自分の力が発揮できるのか特性をしっかり理解しておく必要があります。
また、自分の特性を理解できていたとしても、それに適した働き方が実現可能かどうかは、業界や職種に大きく影響されます。
「在宅勤務をしたい」と思っても、接客業で直接お客様の応対をする職種では、在宅勤務はどうしても難しくなります。また、在宅勤務が可能な業界・職種だったとしても、すべての会社が在宅勤務を許可しているわけではありません。
自分の特性と、自分が提供できる価値をふまえた上で、自分に合った働き方ができる環境を見つけ出さなければならないところに、クローズ就労の難しさを感じました。
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