【発達障害と金銭管理】実際に効果があった対策を紹介

「衝動買いが止められない」
「お金がいつの間にか残り少なくなっている」
「貯金がどうしてもできない」

発達障害のある方は、金銭管理に関する苦労がついてまわるといっても過言ではありません。筆者も、期限まで払うべきお金を延滞させてしまったり、計画的なお金の使い方ができず月末に翌月分の前借りをしなければならなくなったりと、お金の管理にはだいぶ手を焼いてきました。

今回の記事は、特性別のよくある困りごと、それらに対する対策、さらには相談先や支援制度の紹介をいたします。まずは自分で困りごとを把握して対策を立てることが大事です。しかし、自分だけでどうにかできない可能性もあり、相談先や支援制度も知っておくこともまた大切なこととなります。

皆さんが少しでも安心した社会生活を送れるよう、この記事がお役に立つことを願っています。

執筆者紹介

小鳥遊(たかなし)さん

発達障害やタスク管理をテーマに、2021年まで会社員、2022年からフリーランスとして活動している。

発達障害(ADHD)当事者。主に発達障害や仕事術をテーマとするweb記事を執筆。2020年に共著「要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑」(サンクチュアリ出版)を執筆し発行部数は10万部を超える。

また、就労移行支援事業所でタスク管理等に関する定期プログラムやセミナー等を実施。企業や大学等での講演、個人/法人のタスク管理コンサルティングもおこなっている。

発達障害とは

まず最初に、発達障害とはどういう障害なのかを簡単にご説明します。

「先天的」なもの

発達障害は、「先天的な脳機能の障害」です。「大人の発達障害」という言葉が有名になりつつあるので誤解されがちですが、親のしつけや本人の努力不足などで後天的に発達障害になる、ということはありません。

大きく分けて3つの要素がある

発達障害には、大きく分けて、自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)、限局性学習障害(SLD)の3つの要素があります。

自閉症スペクトラム障害(ASD)

対人関係やコミュニケーションの難しさ、強いこだわりや興味の偏りなどを特徴とする障害

注意欠如・多動性障害(ADHD)

不注意や多動、衝動性などを主な特徴とする障害

限局性学習障害(SLD)

全体的な知的発達に大きな遅れはないが、読み・書き・計算などの特定の課題の習得が、他に比べて不自然に遅れる状態

発達障害と診断される人のほとんどは、ADHD傾向が強いがASDの特性もいくぶんか見られるといった、3つの要素の濃淡の組み合わせであることが多いのです。このように、3つそれぞれの間は独立・分断されていないことから、発達障害はスペクトラム(連続性がある)と言われています。

発達障害の定義や、3つの障害の詳細については、下記記事を合わせてお読みください。

【特性別】お金の困りごとあるある

本記事では、ASDとADHDにフォーカスして、お金の困りごとを列挙していきます。

ASD特有の「お金の困りごと」

特性困りごとあるある
将来の見通しを立てることへの苦手感計画をもってお金を使うことや、クレジットカードの引き落としなどの管理が難しい
こだわりの強さ興味関心があることへの執着から、強い購買意欲を抑えられなくなる
他者の気持ちが汲み取りづらい相手の言うことの真偽を見抜くことが苦手で騙されやすく詐欺被害にあうことがある

ADHD特有の「お金の困りごと」

特性困りごとあるある
衝動的に行動してしまう「ほしい」という感情や行動の抑制ができず衝動買いしてしまう
継続することへの苦手感飽きっぽい・集中力が続かない等の理由で家計簿をつけ続けられない

ASDやADHDの特性をお持ちの方は、多かれ少なかれ当てはまるところがあったのではないでしょうか。このような特性由来の「困りごと」を把握することは、対策をとるうえで大事になってきます。まずは、上記の「困りごと」のうち、自分がどれによく当てはまるかを確認してみてください。

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