就労移行支援事業所の選び方は?どのように選んだの?

とりさんは、いくつか就労移行支援事業所を比較・検討したうえで実際に通う事業所を決めたとうかがいました。どのように選んだのでしょうか?

はい。見学したのは4か所で、選び方のポイントは大まかに以下の3つです。

ポイント1. 希望する職種の就職実績があるか

私は学生のころからイラストやマンガを描くのが趣味だったので、それを生かして、Webデザイナーとして再就職したいと思っていました。

1つめの事業所は、就職先の実績が”事務系”や”作業系”だけで、自分が目指したい職種というよりは「障害があってもやれそうな仕事」をおすすめされている印象を受け、私の希望と合いませんでした。

ポイント2. 自分に合った訓練が受けられるか

私はすでに2社で働いた経験がありましたので、「社会人としてのビジネスの基礎的な訓練」よりも、もう少し技術的な訓練を受けたいと考えていました。

2つめの事業所は、「働いたことがない/働いた経験が少ない人」を主な対象としていて、基本的なビジネスマナーや事務作業のスキルを身に付けるための訓練が中心ということで、私が受けたい訓練と合いませんでした。

ポイント3. 発達障害の特性への考え方が自分と合っているか

最終的にどちらにしようか迷った事業所が2つあったのですが、最後の決め手になったのは、「発達障害の特性への考え方」でした。

3つめの事業所は、訓練で教わる技術のレベルも高く魅力的ではありました。ただ、「発達障害のある方々は、みんな特別な能力を持っているはずだ」という考え方に少し違和感がありました。

私は、就労移行支援事業所への期待として、就職のための技術的な訓練だけじゃなくて、メンタルケアやセルフケア(自己対処)の方法も学びたかったんですよね。まずは基礎として自分の心と体、生活リズムを整えた上で、就職するための技術を学びたかったんです。

なので、発達障害を“特殊能力”のように扱うよりも、何か、もっと“ありのままの姿”を基準にして、現実的な対策を教えてくれる方がいいなと感じたんです。
4つめの事業所では、支援員の方が「障害者だからといって、何か特別な人、のような扱いはしません」とおっしゃっていたのがいいなと思って、『ディーキャリア』という就労移行支援事業所へに通うことを決めました。

とりさんの「選び方の3つのポイント」をお伺いして、自分に合った事業所を選ぶには、自分が就労移行支援事業所に何を求めるのか、最終的にどのような仕事をしたいのかという目的の設定が大切なのかな、と感じました。

インターネットを見ていると「就労移行支援事業所に通ってみたけれど意味なかった」という意見を見かけることがあります。通う目的がハッキリせず、自分に合わない事業を選んでしまうと「通っても意味ない」と感じてしまうのかもしれませんね。

私のように「Webデザイナーになりたい」と明確な目的を持てていなくても、「配慮を受けながら障害者雇用で働きたい」とか「生活とメンタルを整えてから就職したい」というように、最初は大まかでもいいので、何かしらの“目的”を持っていた方がいいと思いますね。

目的が何もない状態で手当たり次第に事業所を見学したとしても、自分に合う事業所はなかなか見つけられないんじゃないかなという気がします。

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