「転職しようと思っているけど、自分に合った職場をどうやって見つければいいんだろう」

誰にとっても、自分に合った職場を見つけるのは難しいもの。特に発達障害のある方の場合、仕事の経験やスキルだけでなく、自分の障害の特性も考慮して選ばないと、転職先で働きづらさを感じる原因となってしまいます。

実際に、筆者も転職の際に自分とは合わない職場を選んでしまったことで二次障害になり、1年もたたない間に離職することになってしまった経験があります。

そこで今回は、発達障害のある方が就職・転職活動で求人を検索する際に、調べておいた方がいいポイントをご紹介します。皆さんが自分にあった働きやすい職場を見つけるために、この記事がお役に立てれば幸いです。

自分に合わない職場を選んでしまうとどうなる?

もしも、自分に合わない職場を選んでしまったら、どのような困りごとが起こるのでしょうか。まずは失敗例として、筆者の体験談をご紹介します。

私は、注意欠如・多動性障害(以下、ADHD)と自閉症スペクトラム障害(以下、ASD)の診断を受けています。失敗経験をしたのは、35歳で2度目の転職をしたときでした。

職場の環境が合わなかった

転職前はオフィスが比較的広く、デスクが一人ひとりパーテーションで区切られていました。黙々と作業するタイプの業務をおこなっている企業でしたので、職場は比較的静かで、電話が鳴ることもあまりありませんでした。

しかし、転職後は小さな会社だったので、一つの部屋で10名弱の社員全員が働いており、個人のスペースはほとんどありませんでした。誰かが話していれば耳に入りますし、電話もしょっちゅう鳴っていました。

私はADHDの特性から、周囲の様子がとても気になってしまい、自分の作業にうまく集中することができませんでした。

仕事の進め方が合わなかった

転職前の職場は人数が多く、チームで仕事を進めることが多かったため、困ったときにも相談しやすく、自分からヘルプを出さなくてもサポートを受けやすい環境でした。

しかし、転職後の職場は人数が少なく、個人で仕事を進めることが多かったため、誰かの協力が必要な場合には周囲に対して自分から積極的にコミュニケーションを取り、巻き込んでいく必要がありました。

私はASDの特性から、コミュニケーションを取ることが苦手だったため、周囲を巻き込めずに一人で問題を抱え込んでしまい、うまく仕事を進めることができませんでした。

社内制度(福利厚生)が合わなかった

転職前の職場は社員が50名以上でしたので、産業医を設置する義務があり、いつでも相談できました。また、従業員へ定期的なアンケートをおこなったり相談窓口が置かれたりしており、従業員の健康を管理する制度が整っていました。

しかし、転職後の職場は人数が少なかったため産業医の設置義務がなく、また、設立から数年の若い会社だったため、社内制度(福利厚生)がまだ十分に整備されていませんでした。

一概には言えませんが、一般的には会社規模が大きくなるほど社内制度(福利厚生)は手厚くなると言われています。そのため、小さな会社ではメンタルヘルスケアや障害者雇用に詳しい担当者がいないこともあるのです。

※もちろん、会社規模が小さくても社内制度(福利厚生)が整っている会社もたくさんあります。

当時の上司は親身に相談に乗ってくれたのですが、特別に専門知識があるわけではありませんでした。私も、当時はまだ自分の障害について理解が浅かったため、合理的配慮の調整がうまくできず、お互いにとって負担だけが大きい状態に陥ってしまいました。結果的に、私は仕事を辞めることになってしまったのです。

自分に合った職場を選ぶ大切さ

就職・転職活動において、自分の持っているスキルや経験に合った職場を見つけることはもちろん大切です。それに加えて、発達障害のある方の場合は「自分の特性に合っているか」という観点がとても重要です。

筆者の場合、転職前も後も営業職で、同じ職種での転職でした。しかし、転職前はどうにか仕事ができていたのに、転職後に困りごとが表面化しました。つまり、同じ職種であったとしても、職場の環境が変わるだけで大きな影響があるのです。

自己分析を行って自分の特性を理解したうえで、どのような職場であれば自分に合うのかを考え、求人を検索することが大切です。

なお、発達障害のある方向けの自己分析や、企業研究については、以下の記事もご参照ください。

就活HACK|発達障害のある方のためのお役立ちコラム

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