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【コミュニケーションに悩む方へ】発達障害を持つ私が学んだテクニック


発達障害・精神障害のある方が抱えるコミュニケーションの課題

みなさん、こんにちは。訓練生のUです。
人間関係で、重要になるのは「コミュニケーション」だと私は考えています。
ビジネスシーンでも重要視され、上司や部下との信頼関係を構築することに繋がります。

しかし、発達障害・精神障害のある方は、コミュニケーションが苦手な傾向があると言われています。

なぜそういった傾向があるのでしょうか?

それは、特性によって大きく3つに分けられることが多いからだと考えられています。
次章では、発達障害の特性とコミュニケーションの苦手さの関連について見ていきましょう。


■この記事を書いた人■
ディーキャリア芝浦オフィスを利用している訓練生のUです。
私は、ASD(※自閉症スペクトラム障害)の診断を受けていて、
昔からコミュニケーションが悩みの種でした。特に雑談が苦手で、雑談を振られるのも、振るのも難しく感じていました。同じようにコミュニケーションで悩む方々に、この記事が参考になればと考え今回執筆いたしました。ご覧いただけましたら幸いです!

■発達障害の特性とコミュニケーションの関係


自閉症スペクトラム障害(ASD)の場合

私の診断名でもあるASDのある方の場合は、相手に共感をしたり相手の感情や表情を読み取ったりすることが苦手であると言われています。
そのため、会話がかみ合わず意思疎通がうまくいかないことがあります。
また、曖昧な表現や上司と部下のような関係性を理解できず、言葉通りに受け取ってトラブルになってしまうことがあります。また、関係性を理解しないまま普段通りの話し方をして、関係を構築できないこともありました。

LD/SLD(学習障害/限局性学習症)の場合

 LD/SLDの方は、文字の読み書き、数字の計算、話を聞くことなどの能力の習得に困難があります。そのため、苦手な能力を使うコミュニケーションが難しく感じることがあります。例えば、「チャットメイン」で会話をする職場に、文字の読み書きが苦手な方がいた場合、内容を理解したり、返信をしたりするのに時間がかかってしまいます。

ADHD(注意欠如・多動性障害)の場合

ADHDのある方は、集中できない(不注意)・突発的に行動する(衝動性)・落ち着きがない(多動性)などの特性があります。そのため■相手の話を集中して聞けない ■途中で話が飛んでしまう ■相手の話を遮るなど、意思疎通がうまくいかないことがあります。



私はASDの特性である「共感性の低さ」により、相手の話にあまり興味が持てないことがよくありました。そのせいか、相手と長く関係を構築することが難しく感じました。ディーキャリアに通所したころは、会話に対してネガティブなイメージを持っており、「あまり会話をしたくない」と思っていました。

しかし、ディーキャリアでコミュニケーションテクニックの訓練を受けたところ、徐々にネガティブなイメージが薄れてきました。

では一体、どのようなテクニックを教わったのでしょうか。
次章では訓練で取り入れられたコミュニケーションテクニックを紹介します。

■コミュニケーションンテクニック「ミラーリング」とは?


発達障害の方は、コミュニケーションの訓練を通して、改善することはできるのでしょうか?

そこで今回は、ディーキャリア芝浦オフィスで学んだ
コミュニケーションテクニックである「ミラーリング」を紹介します。

「ミラーリング」とは、無意識に親しい相手の言動を真似することです。
ミラーリングをされた相手に好意を持ち、親近感を抱くことを「ミラーリング効果」と言います。

なぜ相手の言動を真似すると親近感を抱くのか?

 例えば、話をしている相手の趣味が、自分と同じだったらどうでしょうか。
趣味の話で盛り上がり、相手に対して親近感を抱くのではないでしょうか。しかし、世の中には様々な人がいます。同じ趣味の人ばかりではないことのほうが多いです。
ミラーリングは、例え趣味が異なる人同士でも、意図的に親近感を抱かせる手法の一つなのです。

では、実際にミラーリングをする際のポイントをお伝えします。

・相手の動作を同じように真似をする
・相手と同じタイミングで飲み物を飲んだり、手を組んだり、身を乗り出す

ただし、すべての動作を真似しすぎてしまうと、相手をばかにしているように感じる方もいるかもしれません。自身ができる範囲で、さりげなく真似をすることがポイントとなります。

私自身も、実践する場合は、一つ~二つと決めて、相手の真似をするようにしています。
ミラーリングに意識を向きすぎてしまうと、話の内容に意識がいかなくなってしまうからです。

「ミラーリング」だけじゃない、コミュニケーションテクニックを紹介!

ここまでミラーリングのスキルをご紹介しました。
ところが、相手の仕草をさりげなく真似することが難しいと思う方も多いのではないでしょうか?
そこで、ミラーリング以外のコミュニケーションテクニックを、いくつかご紹介します。

①オープンポジション
オープンポジションとは、歓迎する姿勢を見せて、相手に話しやすい雰囲気を作ることです。
話す相手の方へ体を向ける、口角を上げる、相手の顔に視線を向けるなど、相手との間に壁を作らないように意識を向けます。相手の顔を見るのが緊張する方は、相手の目より下の方へ視線を向けると目線が自然に見えます。私も相手と話すときは、相手の首あたりを見るようにしています。

➁クローズドクエスチョン・オープンクエスチョン
クローズドクエスチョンとは、「今日の気温は寒いですか?」というような、「はい」か「いいえ」で回答できる質問をすることや、「出身はどこですか?」というように回答が決まっている質問をすることです。話をする前に、相手が答えやすい質問を投げかけることで、自然な会話の流れを作ることができます。

③うなずき・あいづち
相手の話を聞くときに、うなずきや、あいづちを打つことも、コミュニケーションを円滑に進めるために重要です。うなずきは首を上下に動かす非言語的な反応で、あいづちは「はい」、「そうなんですね」といった短い言語で、相手の話をテンポよく進ませる効果があります。あいづちがないと、相手は自分の話を聞いてくれているのか不安になります。うなずきや、あいづちを打つことで、話を聞いていることを伝え、相手を安心させることができます。

④繰り返し
繰り返しとは、相手の話の一部を、短く繰り返すことです。例えば、「周りの作業スピードが速く、置いて行かれるように感じる」と話し手が言った場合、「置いて行かれるように感じるのですね」と、話し手にとって重要なところを繰り返して言います。こうすることで、話し手に自分の話が理解されていることが伝わり、話し手の安心感につながります。また、他者に重要なことを繰り返し言われることで、話し手が自身の状況を客観的に捉えることにもつながります。

⑤言い換え
言い換えとは、相手の話を聞いて、聞き手が感じたことを、聞き手の言葉で言い換えることです。例えば、「本を読むことも、テレビを観る気も起きない」と話し手が言った場合、「つまり、何もする気持ちが起きないという感じでしょうか?」と、相手の話を聞いて感じたことを聞き手の言葉で表現します。このとき、話し手の曖昧な気持ちを確かめるように、「~と考えていいでしょうか?」といった聞き方をします。話し手に話の内容に興味を持って、深掘りしようとしてくれているように伝わり、相手に安心感を伝えることができます。  

⑥要約
要約とは、聞き手が、話し手が一番言いたいことを整理して、返すことです。例えば、「欲しい物を買うために、東京駅まで一時間かけて行ったのに、売り切れで買えなかった」と話し手が言った場合、「一時間かけたのに、買えなくてショックだったのですね」と相手の話を短く要約して返します。あいづちを打つだけでなく、要約して返すことで、より相手に話を聞いていることを伝えることができます。また、要約をすることで、相手が一番言いたいことを理解することにもつながります。

コミュニケーションテクニックを実践!利用者の体験談

ここまで、さまざまなコミュニケーションテクニックを紹介してきました。

この記事をご覧頂いただいた方の中には、
「全てのコミュニケーションテクニックを駆使しないといけないのではないか」

と焦ってしまう人もいるのではないでしょうか?

私もそう感じていました。ここからは、利用者本人である私Uの体験談についてお話します。

私自身もコミュニケーションを取ることが苦手でした。
話の輪に入れず、肩身の狭い思いをしてきました。ASDには興味の範囲が狭いという特性があり、盛り上がっている話題に興味が持てず、話せないこともありました。


ディーキャリア芝浦オフィスに通所してからは、zoomを繋げて他のディーキャリアオフィスの利用者さんと実際に話してみて、コミュニケーションの訓練を受けていました。
最初は他の利用者さんの見ている前で発言をしたり、挙手したりするのが苦手でした。
そのため、教えてもらったコミュニケーションテクニックを取り入れようとしましたが、人数が多いこともあり、話す内容に意識を向けつつ、テクニックを取り入れるのは難しかったです。

そこで私は、使うテクニックを絞ることにしました。

使ったテクニックは、
「うなずき」と「言い換え」でした。
「うなずき」は話していなくても、相手に話を聞いている姿勢を見せることができます。
「言い換え」は、実際に使ってみたら、自分にとって使いやすく感じたため、取り入れました。

使うテクニックを絞ったおかげで、話の内容に意識を向けつつ、テクニックによってスムーズに会話をすることができるようになりました。

いきなり実践するのは難しい?失敗をしても良い場所

ここまでさまざまなコミュニケーションテクニックや、経験談をご紹介してきました。

「自分も実践してみたい! けれど、いきなり一人で実践するのは勇気がいる・・・」

という方もいらっしゃると思います。

私は就労移行支援事業所で資格を有している支援員さんのサポートを受けながら、自分と同じように悩んでいらっしゃる利用者さんと一緒に、チャレンジしました。周りの方々もコミュニケーションに悩んでいる方ばかりなので、失敗してもいいと思えた点が取り組みやすい点でした。皆さんで協力して訓練に挑戦する土壌ができています。

ディーキャリア芝浦オフィスでは、当オフィスの利用者だけでなく、ディーキャリア柏オフィス、ディーキャリアITエキスパート中野オフィスなどの他のオフィスの利用者さんともzoom上で、一緒に訓練を受けることができます。また、土曜日開所で、座談会のようなイベントが開催されることもあり、さまざまな人とコミュニケーションを取る機会を持つことができました。

無料見学会に来てみませんか?

「自分の特性を理解したり、対策を立てられるようになりたい!」
「得意・不得意を知りたい」「周囲の人の考え方、他者視点を学びたい!」と感じた方は、

ぜひディーキャリア芝浦オフィスの無料体験会にお越しください。

☑ 特性による「生きづらさ・働きづらさ」を感じている
☑ 就労移行支援にすでに通っているが不安や不満がある
☑ クローズ(障害者雇用枠以外)就労を目指したいが、特性への自己対処に自信がない

そんな不安や悩みを抱えている方は、ぜひ、お気軽にご連絡ください。
ディーキャリア芝浦オフィスでは、障害者雇用枠を目指したい方はもちろん、
一般雇用枠での就職を希望されている方へのサポートも積極的におこなっています。

「自分らしく働きたい」
そんなあなたのサポーターになれることを、スタッフ一同、心待ちにしています!

また、「発達障害の当事者座談会」を毎月開催中です。
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