【体験レポート】発達障害当事者が障害年金の相談をしてみた|面談編
前回のブログ「【体験レポート】発達障害当事者が障害年金の相談をしてみた|電話編」では、実際に社労士事務所に電話相談した結果をお伝えしました。
今回は、実際に社労士事務所の無料相談(オンライン面談)をした体験レポートを紹介します。
障害年金について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
発達障害のある方が障害年金を受け取るための条件や申請方法
■ 体験レポート:社労士事務所に無料相談(面談)してみた!
前回、電話相談をした4つの事務所のうち、2つの事務所に無料相談(オンライン面談)しました。
当日の流れと相談会で学んだことについてまとめました。
多くの方が気になっている「社労士事務所との契約条件(利用料金)」についても紹介します!
【社労士事務所B】
● 相談時間と感想
約30分で、淡々としていて事務的な手続きのような印象でした。
一通りの説明とヒアリングを受けたあとは、「契約を進めたい場合は連絡をください」とさっぱりした対応でした。
● 当日の流れ
①障害年金の説明
障害年金の受給要件に関する詳しい説明
②契約条件の説明
社労士事務所との契約条件の説明
利用料金:事務手数料2万円(前金)+成果報酬の金額:障害年金の2か月分+遡及請求の場合は初回入金額の11%
契約解除の条件(1か月以上音信不通になる、虚偽の申請があった場合など)の説明
③ヒアリング
・幼少期から現在の障害の状況
・現在の就労状況(働くうえでの困りごと、合理的配慮の内容)
・主治医に障害年金を申請することを相談したかどうか
・通院歴
・障害認定日(初診日から1年6か月後)の時点での日常・就労状況
※「障害認定がされた時期の障害の状況」が遡り請求ができるかどうかのポイントになるようです
● 相談会で学んだこと
・遡及請求をする場合は、診断書が2枚必要であること
→障害認定日までさかのぼって障害年金を請求する「遡及請求」をする場合は、認定日時点と今現在の診断書の用意が必要とのことです。
・年金組合によって申請の通りやすさがあること
→具体的なお話は聞けませんでしたが、初診日の時点で加入していた年金組合によって、受給可能性が変わることがあるそうです。
【社労士事務所D】
● 相談時間と感想
約1時間半で、かなり丁寧にヒアリングをしてくださって、申請に役立つ情報もたくさん教えていただきました。
一方で、最初に「障害年金申請をされるなら、うちと契約する意思はありますか?」と聞かれ、その後も押しが非常に強くて威圧感があり、不信感を抱いてしまいました…。
● 当日の流れ
①障害年金の説明を受ける
障害年金の受給要件に関する詳しい説明
②契約条件の説明
社労士事務所との契約の条件の説明
利用料金:事務手数料2万円(前金)+成果報酬の金額 年金額の2か月+遡及請求ができた場合は遡及分の22%
契約解除の条件(1か月以上音信不通になる、虚偽の申請があった場合など)の説明
③ヒアリング
・障害認定日の就労状況や障害の状況
・幼少期から今に至るまでの障害の様子
・主治医に障害年金を申請することを相談したかどうか
・通院歴
・現在の障害による困りごとや具体的なエピソード
・職場でどのような配慮を受けているか
● 相談会で学んだこと
・依頼すれば診断書は書いてもらえる
→診断書の作成は医師としての義務である(ただし正当な理由がある場合は拒否できる)ため、診断書を書いてもらえないかも?という心配は不要とのことでした。
・診断書を依頼するときには、医師に障害状況を説明するエピソードを事前に用意しておくとよい
→障害によってどれだけ困っているか、生活に課題があるかが伝わる「過去の失敗体験エピソード」を用意しておくことを勧められました。日常生活や職業生活の中で「特性でやらかしてしまった事件」をいくつかメモして持参するとよいそうです。
→実際に障害年金の申請をする際には、主治医が診断書に困っていることやサポートを受けていることをしっかりと反映できるよう、ヒアリングした内容で参考資料を作ってくれるそうです。
・遡及請求ができるかどうかは、障害認定日の時点で「障害による日常生活による困難さがある」状況であったかどうか
→障害認定日時点で通院していると、その時の障害状況やその困難さを医師が証明することができる場合があるため、申請しやすいようです。(逆に通院していないと、遡及請求は難しい場合があるようです)
・働いている方でも障害年金を受給できるケースもある
→誰でも確実に受給できるわけではないが、障害者雇用で配慮を受けて働いているのであれば、3級として受給できる可能性が高いのではないかとのことでした。ただし、フルタイム就労している場合は少しハードルが高くなるとのことです。
・一人暮らしをしている方でも障害年金を受給できるケースもある
→一人暮らしができていても、日常生活に困難があることや周囲のサポートを受けていることを伝えることがポイントとなるとのことでした。
・申請から初回入金まではおおよそ半年かかる
→診断書の申請から受給決定までは3~4か月程度かかり、初回入金まではさらに1か月程度かかることが多いそうです。申請から初回入金までは半年程度はみておくとよいでしょう。例えば、8月から動き出した場合、支給開始が翌年1~2月ごろになるようです。
相談結果は……?
今回は、2つとも見送ることとしました。
障害年金を申請するために必要なことや受給条件などについて、電話相談よりも詳しく理解することができたのですが、社労士の方との「相性」や「信頼性」の面で懸念があったためです。
お金に関することで、なおかつ障害年金の申請は「一発勝負(再請求ができない)」なので、「この人なら信頼できる」と思えることが大事だと思いました。
詳しくは、以下の「まとめ」でお伝えします。
■「無料相談」レポートのまとめ
今回、私が2つの社労士事務所と対面での無料相談をしてみて、気づいたこと・学んだことをまとめます。
相性が大事!
先述したとおり、障害年金はお金に関することで、かつ「一発勝負」なので、いかに社労士の方が信頼できるかがポイントになります。
不支給になってしまったときに、「この人じゃなければ良かったかも…」と後悔しないためにも、「ここでダメだったら仕方ない!」と思えるところがよいと思います。
申請までのフローや必要な書類がかなり複雑で、やり取りも密におこなっていく必要があるので、話しやすい人・コミュニケーションがとりやすい人でなければ難しいと感じました。
とくに私のように発達障害のある方の中には「自分のことをうまく伝えることや説明をすることが苦手」という方も多いと思います。
特性に寄り添って、言い換えをしてくれたり深堀をしてくれたりする、発達障害に理解がある社労士の方がおすすめです。
発達障害のある方のサポート実績が豊富な方だと安心することができるのではないでしょうか。
実際に対面で話すことで、相性が判断しやすくなります。
実績を確認することが大事!
「相談実績、受給率」を確認するのがおすすめです。サイトにも実績が書いてあることがありますが、情報が古かったり、発達障害のある方に限定した実績などが掲載されてなかったりするので、実際に聞いてみるほうがよいです。
もちろん、受給の実績が豊富であればあるほど、信頼性の高い事務所であると判断できるでしょう。
受給率について、いくつか調べてみたところ、おおよそ「90%以上」であるところが多く、ひとつの基準になると思います。逆に「100%」と書いてあるところは、案件を選り好みしている(受給できる案件しかやらない)可能性が高いので注意しましょう。
費用を確認することが大事!
当たり前のことではありますが、社労士事務所に障害年金の申請を代行してもらうためには、お金がかかります。
ただし、事務所によって金額や支払いタイミングに違いがあるため、事前に確認することが大事です。
着手金・事務手数料などの「前金」があるところが多いですが、初期費用が無料で「成果報酬型」のところもあるようです。
成果報酬型で不支給だった場合でも、必要経費(診断書、戸籍謄本の取り寄せ費、書類郵送料など)の請求はあるため注意しましょう。
申請のときにお金がない場合には、「成果報酬型」で「必要経費の後払い」ができるところを探すのもおすすめです。
比較をすることが大事!
「【体験レポート】発達障害当事者が障害年金の相談をしてみた|電話編」でもお伝えしたとおり、社労士事務所によって対応や受給可能性に差があります。
比較をする際には、前述した「相性」「実績」「費用」の3つのポイントを見比べてみましょう。
実際に対面で話してみることによって、その社労士の方がどれくらい知見があるかを探ることもできます。
相談をしたときに「時間をとってもらったから、ここで契約しないといけない」と思ってしまう方も少なくないかと思いますが、ここは断る勇気も必要です。
(私は、「主治医に相談するので…」とその場を逃げ切りました)
何度も言いますが、障害年金の申請は「一発勝負」です!
少しでも不安を感じたら、別の社労士事務所に相談をしてみましょう。
「電話をすることが苦手」「人と話すのが苦手」は発達障害あるあるで、別の事務所に問い合わせをすることにハードルの高さを感じる方は少なくないと思いますが、社労士事務所選びは「数を打つことが大切」です。
最低でも5~6つは候補を選び、比較検討するとよいと思います。
最後に
私自身の経験をお伝えしましたが、ディーキャリアの支援員としての立場から考えたときにも、「背中を押してくれる」「自分の言いたいことを伝えるサポートをしてくれる」ことが発達障害・精神障害のある方には必要だと思います。
ディーキャリア芝浦オフィスでは、「障害年金の申請」のサポートもおこなっています。
社労士事務所を選ぶのが難しい、ひとりで相談に行くことに抵抗がある、手続きをスムーズに進められるか不安…という方に寄り添います。
また、障害年金を申請するためには「自分の障害について、適切に伝えること」も非常に重要です。自分の障害特性を理解し、過去の困りごとを振り返ることが必要です。そのためのプログラムも用意しています!
発達障害・精神障害によって「生きづらさ」「働きづらさ」を感じている方は、まずはお気軽にご相談ください。
フォームでのお問い合わせはこちら >
ディーキャリア芝浦オフィスの紹介ページはこちら>
お電話(03-6809-6985)やメール(job_info@happy-terrace.com)でのお問い合わせも受け付けております。
ご連絡、お待ちしております!
【ご案内】特別イベントを開催します!
来る12月6日(水)13時より、特別イベント(【精神・発達障害の方へ】ビズリーチ×ディーキャリア
企業の「欲しい人材」教えます! ~内定だけがゴールになっていませんか?~)を実施いたします。
株式会社ビズリーチ様、ハローワーク品川様をお招きし、
株式会社ビズリーチ様企業説明のほか、
「就職後の安定と活躍のために企業はどのような人材を求めているのか?」という課題意識のもと、
そのカギとなる「自己理解」についてトークセッションを予定しております。
自らもADHD当事者である支援員(ピアサポーター)も登場しますので、ぜひご参加ください。
【こんな人におすすめ】
・障害者雇用での就職活動・転職活動をしているが、なかなかうまくいかない方
・就職後も安定して働くためのコツを知りたい方
・就職後に活躍するためのコツを知りたい方
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当日は、イベント終了後専門スタッフによる個別相談会も設けております。
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https://www.kokuchpro.com/event/535abb3a47f1427024037f6ab1f27cb1/
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