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【体験レポート】発達障害当事者が障害年金の相談をしてみた|電話編

発達障害の当事者の方で、離職中の生活費について悩んでいる方は少なくありせん。
私自身も、前職の退職が決まったときに「今後どうしていこうか」と不安になった経験があります。
就労移行支援事業所を利用したいけれど、生活費が不安!という方からのご相談も多くいただきます。

発達障害の診断で障害年金はもらえるの?受給するためのコツはある?そんな疑問にお応えすべく、
発達障害の当事者である、私井上が、社労士事務所に「障害年金の受給サポート」の問い合わせをしてみました!

今回は、実際に社労士事務所に電話相談をした体験レポートを紹介します。
障害年金を申請する”前”に知っておくべき情報と、受給可能性についてまとめました。
ぜひ、最後までご覧ください!

※「【体験レポート】発達障害当事者が障害年金の相談をしてみた|面談編」は次の記事で紹介します。


■発達障害のある方が離職中にもらえるお金

それぞれ受給をするための条件がありますが、発達障害の診断がある方、かつ就業経験のある方が受給対象となる制度について紹介します。

・失業保険(雇用保険)

雇用保険に加入している人のうち一定条件を満たしている方が対象です。
障害のある方(ただし障害者手帳の有無や医師の診断書などが必要)は「就職困難者」に該当するため、通常よりも受給条件が緩和され、受給期間が長くなります。

・生活保護

世帯収入が国の定める最低生活費に満たない場合で、障害などの理由で働けないなど、生活が困窮している方が対象です。そのほかにも援助してくれる親族がいない、資産がないなどの条件があります。

・障害年金

「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があり、障害等級の1級・2級に該当する障害のある方が対象です。
障害年金の対象とならない場合でも「障害手当金」の対象となることがあります。
詳しくは 発達障害のある方が障害年金を受け取るための条件や申請方法の記事を合わせてご覧ください。 

・補足:就労移行支援事業所の利用には「訓練給付」の支給がある!

就労移行支援事業所の利用には毎月サービス利用料がかかりますが、世帯所得に応じた自己負担上限金額があります。

 今回は上記のうち「障害年金」について、詳しく紹介していきます。


■体験レポート:社労士事務所に電話相談してみた!

今回、4つの事務所に問い合わせをしてみました。
障害年金の申請は、「一発勝負」!

認定日請求をおこなえるのは基本的に1度きりです。ここで不支給となった場合、障害認定日の再請求は可能ですが、審査上の瑕疵がない限り認定される可能性はほとんどありません。

さらに、この請求において「納付要件を満たさない」と判断されると、今後、同一傷病での障害年金の受給そのものが不可能になります。これが「障害年金は一発勝負!」初回請求が重要であると言われる理由です。

参考:障害年金の初回請求の重要性を理解しよう


事前準備がとても重要!

本題に入る前に、社労士事務所の探し方と、電話相談をする前に準備をしておくべきことについて紹介します。

■候補を複数見つける

世の中には「社労士事務所」が数多くありますが、その中でも、発達障害のある方の障害年金サポートの実績があるところを探すのが重要です。

【探し方】

  1. 検索エンジン(Google)で「発達障害+障害年金」「発達障害+障害年金+社労士事務所」「発達障害+障害年金+障害者雇用」「発達障害+障害年金+フルタイム」などの掛け合わせキーワードを使って検索。
  2. 検索結果に出てきたサイトの中から、障害年金の受給サポートをおこなっている社労士事務所を探す。
  3. その社労士事務所に「精神・発達障害のある方の障害年金の申請をサポートをした経験」があるかを確認する。

【ポイント】

  • 「障害年金」や「社労士事務所」だけではなく、自分の状況に合わせたキーワード(診断名、雇用形態、就業状況等)を追加するとヒットしやすい。
  • 社労士事務所のサイトには、「受給事例」が掲載されていることが多いので、自分と同じ障害のある方や同じような状況(フルタイムで働いているなど)のサポート実績があるかを確認することが大切。
  • 1つだけに絞らず、3~4つ候補を見つけておく。より丁寧なサポートをしてくれるところを探すために、比較をするのがオススメ。


■質問への回答を用意する

電話相談時には、自分の障害や就労の状況について、かなり詳細に確認されることが多いです。
すぐに思い出せないことが多々あります。実際に私も一度電話を切ったあとに調べ直すことがありました。
スムーズにやりとりをするためにも、問い合わせをする前に以下の情報を揃えておくようにしましょう。

【確認事項(事前に用意したほうがよい情報)】

  • 通院歴:受診日(年・月)、クリニック名、そのときの症状と診断名をまとめたリストを作るのがオススメ
    ・初診日(メンタルクリック・心療内科に初めて行った日、20歳より前か後か)
    ・初診日のタイミングに加入していた年金種別(厚生年金か国民年金か)
    →過去の通院歴が分からない場合は、社労士さんに相談してみましょう。
  • 障害者手帳の取得状況、等級
  • 就業状況
    ・障害者雇用枠or一般雇用枠のいずれか
    ・年収、月給などの収入額
  • 現在の障害による困りごと
    ・障害年金は、障害によって日常生活や職業生活に制限がある方を対象としているため、どのような困りごとがあるのか、どれくらい困っているのかを具体的に伝える必要があります。
  • 国民年金の未納の有無(学生時代の控除申請をしているかどうか要チェック)
    →過去の年金支払い状況が分からない場合は、社労士さんに相談してみましょう。
  • 一人暮らしか家族と住んでいるか(世帯人数
    ・一人暮らしの場合:生活の補助を受けているか(日常生活にサポートが必要かどうか)

実際に「電話相談」をしてみた!

井上のプロフィール(受給申請をするときの条件)

  • 年齢:20代後半
  • 診断名:ADHD (初診日:2018年4月)
  • 前職の雇用形態:アルバイト
  • 前職給与:300万円代

この記事では、私の条件において受給ができるかどうかを、「受給可能性」として紹介します。

【社労士事務所A】

  • 相談時間:5分
  • 受給可能性:
  • 役立ったアドバイス:
    今は安定していても、ADHDのある方は波があって休職する可能性もあるので、将来、障害年金を申請するために、初診日の証明はもらっておくべき。
    カルテの保管期間は5年なので、年金事務所のフォーマットを取り寄せて、書いてもらうのがよい。
  • 感想:
    女性の社労士さんで、丁寧な対応でした。一人暮らしができていることや、給与額から、申請しても不支給になるのではないかとのことでしたが、今後休職や退職をした場合に申請できるように、今のうちに初診日の証明をもらうようアドバイスをもらえたことはためになりました。

【社労士事務所B】

  • 相談時間:5分
  • 受給可能性:
  • 役立ったアドバイス:
    「働くことができている」だけの理由では、不支給にはならないということ。(就業中や就労準備中の方でも支給対象になることがある)
  • 感想:
    男性の社労士さんで、こちらも丁寧な対応でした。
    受給可能性があるとのことで、オンライン面談をしませんかと誘っていただきました。

【社労士事務所C】

  • 相談時間:15分
  • 受給可能性:
  • 役立ったアドバイス:
    初診日の時点で所属していた年金組合がどこかによって、申請の通りやすさが変わることがあること。
    障害厚生年金3級であれば、一人暮らしかどうかは関係がない場合もあること。
  • 感想:
    丁寧なヒアリングをしてくださる社労士さんでした。「この条件であれば、年金の認定が下りる可能性は高い」と言ってくださったことが、個人的にとても嬉しかったです。「主治医が診断書を書いてくれるかどうか」がカギになるとのことでした。

【社労士事務所D】

  • 相談時間:25分
  • 受給可能性:
  • 役立ったアドバイス:
    働いている場合でも、周囲のサポートや職場の配慮によって就労が継続できていることを客観的・具体的に伝えられれば支給の可能性があること。
  • 感想:
    一番丁寧に対応してくださった社労士さんでした。子ども時代のことや、これまでに困った経験を親身に聞いてくださいましたので、信頼できるなという感じがしました。「社労士事務所に電話する」ということでかなり緊張しながら電話しましたが、話しやすい対応でしたので安心しました。後日、面談していただくことになりました。


「電話相談」レポートのまとめ

社労士事務所によって、対応の丁寧さが違うだけではなく、受給可能性の有る無しの判断も変わってくる(あくまでも可能性ではありますが、電話の段階で「無し」と言われてしまうとそこで終わってしまいますからね…)ということが分かりました。
サイトに「発達障害のある方の障害年金サポート」と書かれていても、直接話をして確認することが非常に大切だということですね。
やはり、複数の社労士事務所を比較することは重要なポイントになるようです!

今回、社労士事務所の皆さまからアドバイスをいただいて、役立った情報をまとめます。

  • 「働くこと」ができる場合でも、職場から合理的配慮(障害へのサポート)がないと就労継続が困難だと認められた場合、支給対象となることがある
  • 現在の条件では支給対象外であっても、休職や退職をした場合に、支給対象となることがある
  • 現時点では障害年金を申請しない場合でも、事前に初診日の証明をもらっておくとよい
  • 障害年金の等級によっては、対象となる条件が緩和されることがある

今回は、社労士事務所BとDに、面談に行くことにしました。
面談レポートは次回の記事でお伝えします!

最後に補足です。皆さまが気になっている「社労士事務所にサポートをお願いするときの費用」について紹介します。

社労士事務所にお願いする場合の費用

  • 電話相談&初回面談までは無料が多い
  • 着手金や事務手数料がかかることもあるが、成功報酬型(受給額の2~3か月程度)が多い
  • さかのぼり(申請よりも前の期間分)での受給ができる場合は、20~30%の手数料を取られることもある

費用はかかってしまうものの、前述したように、障害年金の申請は「一発勝負」です。
受給の可能性を高めるためにも、専門家に頼ることを検討するのがおすすめです。

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