うまくいった「特性対策ツール」
ただやるべきことを列挙しただけのToDoリストだけでは仕事がうまく管理できなかった私に足りなかったもの。それは「ToDoリストを自分用に変えていこう」という考えでした。
ここに、対策を講じた後にやるべきことのヒントがあると筆者は考えています。それは、「実践」「検証」「改善」を繰り返すことです。以前のToDoリストでの失敗を糧にこの3つを繰り返すことで、ただのToDoリストを「自分ならではの特性対策ツール」へ変えることができ、仕事がうまく回るようになりました。
①まずはToDoリストにやるべきことを書き出す
実は、ToDoリストを使うことには失敗だけでなく、良い部分もありました。それは、「書いたことは忘れない」という安心感です。むしろ、「書いたから安心して忘れることができる」と言っても良いかもしれません。やるべきことをToDoリストに書き出すことにより、少なくとも「覚えたはずなのに忘れる」「抜け漏れが発生する」といったことによるケアレスミスは減らすことができました。
しかし、以前にToDoリストを使ったときは、「書き出すだけ」で終わっていたのです。そのため「議事録の作成」や「企画の立案」といったざっくりした内容の項目が並ぶToDoリストを眺めては、「議事録を作るためには、何からとりかかればいいのだろうか」「どのような手順を踏めば企画書を作成できるのだろうか」と考えてしまい、いつまでたっても着手できずにいました。
②仕事の手順を付け加える
そこで、書き出したToDoリストに「より具体的で分かりやすい作業手順」を付け加えるようにしてみました。例えば「議事録の作成」の場合、まずは「議事録のフォーマットを先輩から手に入れる」ことが必要ですので、これが最初の作業手順となります。これをToDoリストに書き足しておけば、「まず最初に何をすれば良いか」が分かるので、作業に着手しやすくなります。
これにより、手が付けられず無駄に時間が過ぎていくことを予防でき、結果的に先延ばしを回避することができて納期を守りやすくなりました。ただ、いくら「着手しやすい手順」が目の前に並んでいても、「では、どの作業から着手しよう」というところで迷いが生じます。つまり「優先順位の問題」を考えなければならないのです。
③自分が進めている仕事かどうかを付け加える
優先順位の問題の対策としてまず考えられるのは、「優先順位をつける対象の数を減らす」ことです。誰かが進めているのを待っているだけの仕事は、自分がすぐに手を付けられないので、そもそも「着手すべき仕事」の優先度を判断する対象から外すことができます。
さらに、「自分が進めている仕事」と、「誰かが進めていて自分はそれが終わるのを待っているだけの仕事」を区別できるように、ToDoリストに「自分」「相手」などと付け加えました。その結果、優先順位をつける対象を絞り込むことができ、どの作業から手を付けたらいいのかが分かりやすくなりました。
ただし、優先順位をつける対象をある程度絞り込めたとしても、最終的にはその中から「今、自分が進めるべき仕事」をどれか1つ選ばなければなりません。その選択基準がなければ、結局、優先順位がつけられていないのと同じことになってしまいます。
④手順の締切を付け加える
そこで、「今、自分が進めるべき仕事」を1つ選びやすくするために、その手順の締切を付け加えました。締切の日付があれば、「これは早めにやっておいた方が良さそうだ」「これは締切が随分あとだから、まだ寝かせていても大丈夫」ということが分かるので、「今、自分が進めるべき仕事」を選びやすくなります。
このようにして、「ケアレスミス」「納期を守れない」「優先順位がつけられない・間違える」という困りごとへの対策を、自分のものにすることができました。また、実践→検証→改善というサイクルを繰り返すことによる「手間暇かけた感」が、この特性対策ツールへの愛着を湧かせ、この仕事の管理方法を継続させる土台となりました。
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