ADHD当事者が編み出した「片付け苦手」克服法を紹介

職場での具体的な対策

片付けが苦手な人でも職場で最低限の整理整頓ができるようになるにはどうしたら良いでしょうか。もちろん、先ほど挙げた「一日一捨」も有効ですが、筆者が経験した劇的な変化についてお伝えしたいと思います。

それは、物の整理と同じくらい、頭の中やパソコン上で管理する「タスクの管理(整理)」がカギを握っています。下記のようにタスクを整理することで、物の整理整頓がしやすくなるのです。

今取り組んでいるタスクに関する物であれば、机上に置いておきます。それに対して、今取り組んでおらず、社内の誰かや取引先の対応待ちをしているタスクであれば、いったん引き出しなどに収納して、すぐに取り出せるようにしておきます。一方、自分が今取り組んでおらず、すでに完了したタスクに関しては、保存しておくべき書類以外は、適宜PDF(データ)化して容赦なくシュレッダーにかけて捨てます。

どのタスクが今生きていて、どのタスクが完了しているかを明確にすることで、自信を持って「捨てる」ことができます。このお陰で、どんどん捨てられるようになり、机上の物はびっくりするくらいきれいになりました。

その結果、次のような良い影響がありました。

探しものが見つけやすくなった

自分が抱えている「物」の総量が単純に少なくなったので、探しものは見つけやすくなりました。

余計なものが目に入らなくなった

これも上記と同様で、目に入る「物」が少なくなるので、集中が削がれるようなことが少なくなりました。

どの「物」を手に取っても仕事の進捗に直結して動けるようになった

今取り組んでいるタスクに関する「物」しか視界に入らないので、書類を見てじっと考えて、「はて、これは何をするんだったっけ」などと無駄な時間を過ごすことが非常に少なくなりました。

職場での席替えも怖くない

余談ですが、職場では組織変更などが原因で席替えが発生します。以前、筆者はこの席替えが一苦労でした。かさばっているたくさんの机上の物を捨て、それでもなお残っているよく分からない書類の束などを席替え先の机に持って行くのが大変だったのです。

しかも、そんなときに限って「本当はすでに処理しておくべきだった書類」「返しておかなければいけなかった備品」などが大量に出て、暗たんたる気持ちになったものです。また、そんな状態だったので、席替えの準備と実行には優に一日や二日を要する「大がかりなプロジェクト」になってしまっていました。

それが、職場での物の整理整頓ができるようになってからは、5分とかからず移動できるようになりました。そんな風に「片付け」に対して苦手意識をあまり持たなくなったのも、筆者自身の特性を理解し、受け容れたからだと考えています。

ただ、これはあくまで筆者の例であって、参考にはなっても、厳密にいえば一人ひとり対策は違うものです。それに対処するためには、まずは困りごとからその対策を考えていくことが大事です。自分一人でやろうとしたり、余計に手間をかけてしまうよりも、専門家の手を借りることも検討してみましょう。

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記事監修

北川 庄治(デコボコベース株式会社 プログラム開発責任者)

東京大学大学院教育学研究科 博士課程単位取得満期退学。通信制高校教諭、障害児の学習支援教室での教材作成・個別指導講師を経て現職。

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