どんなサービスなのかを詳しくご説明しております。

ADHD当事者が編み出した「片付け苦手」克服法を紹介

「片付けをしようとしても、何から手を付ければいいか分からない」
「会社のデスクの上に物が散乱していて、仕事に支障が…」
ADHDの特性のある人にとって、物を片付けて整理整頓するハードルは高いものです。「先延ばし・注意力散漫・やる気になりづらい」といった傾向は、キチンとまめに片付けをするという行動に立ちはだかる大きな壁になります。
筆者も、片付けに対して長年苦手感を抱いていました。特に職場での物の整理整頓は、仕事上のロスタイムやミス・失敗の原因にもなりかねません。そこで、まず日常生活において小さな行動をきっかけにしてなんとか人並み程度にはできるようになりました。さらに、職場では、仕事の整理をすることで結果的に物の整理ができるようになりました。
今回は、そういった日常生活上での片付けの工夫、職場での物の整理への取り組み方をお伝えします。
皆さんの日常生活での困りごとが少しでも「ラク」になるよう、この記事がお役に立つことを願っています。
執筆者紹介

小鳥遊(たかなし)さん
発達障害やタスク管理をテーマに、2021年まで会社員、2022年からフリーランスとして活動している。
発達障害(ADHD)当事者。主に発達障害や仕事術をテーマとするweb記事を執筆。2020年に共著「要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑」(サンクチュアリ出版)を執筆し発行部数は10万部を超える。
また、就労移行支援事業所でタスク管理等に関する定期プログラムやセミナー等を実施。企業や大学等での講演、個人/法人のタスク管理コンサルティングもおこなっている。
筆者の「片付けられない」エピソード

まずは、どれだけ筆者が片付けや整理整頓が苦手だったかをお伝えいたします。
幼稚園のお泊り保育
整理整頓への苦手感でまず思い出すのは、幼稚園のお泊り保育でのことです。
親がリュックサックに服や下着、靴下やその他必要な物をビニール袋に小分けして入れてくれたはずなのに、着替えなどのタイミングでかならず「・・・はて?」と困っていたのを覚えています。どの服を着ればいいのか分からない、どれがすでに履いた下着でどれがこれから履くべき下着なのかが分からない、そんな状態でした。
同じ組の友達がチャッチャと着替えて集合場所に向かう中、自分ひとりだけ部屋にポツーンと取り残されて、リュックサックの中のものを出したり入れたりしては、「どれを着るんだろう?」と頭をひねっていました。
机の中から靴下が1足
小学生になっても自分が持っている物の整理ができず、そのせいか頻繁に忘れ物や失くし物をしていました。学校の担任と親との連絡事項を書く連絡帳には、担任からの「また忘れ物をしたようです」、そして親からの「申し訳ございません、よく言って聞かせるようにいたします」のやりとりの連続でした。しかも、連絡帳自体持って帰るのを忘れるという始末でした。
特に夏休みなどの直前は大変で、ロッカーの中や机の中などは、開けてはいけないパンドラの箱でした。ロッカーの中はとにかく大量の物が乱雑に押し込まれプレスされた状態で、取り出すことすら大変でした。また、本来教科書やノートなどしか入っていないはずの机の中ですが、なぜか奥の方から靴下が1足だけでてきたことがありました。
ずさんな来客カードキー管理
時は過ぎ、会社員として働くようになってからのことです。相変わらず整理整頓が下手でした。例えば、会社に来客があった際に必ずお渡しする貸出用のカードキーの管理など。来客があったらカードキーを貸し出し、お客様の用件が済んだら、カードキーの返却を受けて管理用の引き出しに戻し、貸出簿に返却のチェックを入れる。たったそれだけのことです。
それがうまくいかず、どのカードキーを貸し出しているのか、貸出簿と現実とがまったく合わず、行方不明になったカードキーの入室権限を止め、新たな貸出用のカードキーを頻繁に作らねばならず、非常にずさんな管理しかできていませんでした。
日常から始める「物の管理」対策

そんな私ですが、取っ掛かりとして家にある物の片付けから手をつけてみることで、片付けへの苦手感を少しずつ克服することができるようになりました。
まず声を大にして言いたいのは、「捨てることを制する者、片付けを制する」です。「整理整頓(せいり→せいとん)」と言いますが、「整頓整理(せいとん→せいり)」とは言いません。整理は「物を捨てること(不要なものを取り除く)」、整頓は「必要なものをいつでも誰でも取り出せるよう、秩序立てて配置すること」です。まず最初に「整理=捨てること」ありきなのです。
とにかく、捨てる!捨てる!捨てる!片付けの第一歩はそこからです。
とは言うものの、ADHDのある人は捨てることも苦手だったりします。そのための、筆者が実践している小さな工夫を1つだけご紹介します。まずはこれだけやってみてください。
一日一善ならぬ「一日一捨」
ADHD特性のある筆者は、色々な物に目がいってしまい集中できなくなってしまいがちです。また、ゴチャッとうずたかく積まれた物を見てやる気をなくし、すぐに先延ばしをしてしまいます。そんな筆者でも実践できたのが、
一日一捨
です。今日、目の前の1個だけ捨てる。明日もまた、目の前の1個だけ捨てる。ただそれを繰り返していくのみです。色々な物に注意がそれる前に「1個捨てる」という行動は完了します。ものの数秒、長くて十数秒です。
「じゃあ、まとまった時間をとって10個や20個捨てたほうがいいんじゃないか」と思うかもしれません。でも、1個にしておきます。中断させられたような気持ちになり、次の1個をやりたくなります。そのまま自分をじらすことで、翌日に片付けたい気持ちを持ち越すことができるのです。その繰り返しで、先延ばしすることなく、いつの間にか多くの「捨てるべき物」がなくなっているのです。
我慢できなくて一日に2個以上捨てることもあるかもしれません。ただし、原則は「一日一捨」。これだけを考えてやってみると、無理なく自然に物を整理することができます。
片付け苦手は、仕事をスムーズに進められない

片付けが苦手だったとしても、日常生活の範囲で終わるのであれば、自分や近しい人が我慢すれば良いかもしれません。しかし仕事においては、片付けがうまくできないのは、スムーズな業務遂行に影響を与えてしまいます。それは、大別して少なくとも以下の3点になります。
探しものが見つからない
片付けができないと、物がどこにあるか把握できなくなります。例えば、上司から「あの書類を見せて欲しい」などと言われたとき、すぐにスッと出せれば良いのですが、「お待ちください」と言って自分の机の上や引き出しの中などをよく探し回っていました。
探す時間もかかりますし、その間ずっと「もしかしたら見つからないかもしれない」という恐怖と戦うことになります。そのようなことが多発すれば、落ち着いて仕事に取り組むことは難しいです。
かつてヒットした「気がつくと机がぐちゃぐちゃになっているあなたへ(リズ・ダベンポート 著)」という本では、平均的なビジネスパーソンは探し物で年間150時間も浪費しているとしています。平均であってもそうなのですから、とりわけ片付けが苦手なタイプは、それ以上のタイムロスをしていることになるでしょう。
余計なものに反応してミスを誘発してしまう
物を片付けておかないと、やりかけの仕事に関する書類などがふと目に入ることがよくあります。そうなると、筆者の経験上、今やっている仕事から外れて、やりかけの仕事の方に手を付けてしまうことが非常に多くなります。
そもそも、ADHDの特性の1つとして、注意力散漫というものがあります。注意がそれないように頑張って集中できれば問題ないのですが、意志の力で集中し続けるのは、特にADHDの特性のある人にとっては至難の業です。
会社員時代の筆者も、名刺の発注対応をしていたにも関わらず、ふと目に入った補充用の社内備品が気になって補充しにおこなってしまい、名刺の記載を満足にチェックする時間がとれず焦って誤植を見逃したりしていました。このように、やりかけの仕事からまた他のやりかけの仕事に次々と興味が移ってしまい、全部中途半端になって締切に遅れたり、遅れそうになって焦ってミスをしてしまったり、そもそも集中力が削がれた状態で作業をしてしまって失敗をしてしまったりするのです。
逆に何も動けなくなる
片付けができないと、多くの物が散乱・山積してしまい、いっぺんにたくさんの物が目に入ってくることになります。すると、「もう無理」「自分では処理できない」と、優先順位をつけて仕事に取り組むことができなくなりがちです。
筆者も、机の上にうず高く積まれた書類のタワーを前に、なすすべもなく時が過ぎていった経験があります。高さにして数十センチにもなったその書類タワーは、それぞれが過去引き受けた仕事に関する書類ばかりです。しかも、おそらく一番下から順番に締切が早いのです。そう考えると、触れるのも怖くなり、結局何も動けなくなるのです。
部署内で「あれどうなった?」と騒ぎが発生して、恐る恐るタワーの下から書類を引っ張り出すと、締切を過ぎた、騒ぎの原因の書類が出てきてしまう。そんな経験を筆者は何度もしてきました。
職場での具体的な対策
片付けが苦手な人でも職場で最低限の整理整頓ができるようになるにはどうしたら良いでしょうか。もちろん、先ほど挙げた「一日一捨」も有効ですが、筆者が経験した劇的な変化についてお伝えしたいと思います。
それは、物の整理と同じくらい、頭の中やパソコン上で管理する「タスクの管理(整理)」がカギを握っています。下記のようにタスクを整理することで、物の整理整頓がしやすくなるのです。

今取り組んでいるタスクに関する物であれば、机上に置いておきます。それに対して、今取り組んでおらず、社内の誰かや取引先の対応待ちをしているタスクであれば、いったん引き出しなどに収納して、すぐに取り出せるようにしておきます。一方、自分が今取り組んでおらず、すでに完了したタスクに関しては、保存しておくべき書類以外は、適宜PDF(データ)化して容赦なくシュレッダーにかけて捨てます。
どのタスクが今生きていて、どのタスクが完了しているかを明確にすることで、自信を持って「捨てる」ことができます。このお陰で、どんどん捨てられるようになり、机上の物はびっくりするくらいきれいになりました。
その結果、次のような良い影響がありました。
探しものが見つけやすくなった
自分が抱えている「物」の総量が単純に少なくなったので、探しものは見つけやすくなりました。
余計なものが目に入らなくなった
これも上記と同様で、目に入る「物」が少なくなるので、集中が削がれるようなことが少なくなりました。
どの「物」を手に取っても仕事の進捗に直結して動けるようになった
今取り組んでいるタスクに関する「物」しか視界に入らないので、書類を見てじっと考えて、「はて、これは何をするんだったっけ」などと無駄な時間を過ごすことが非常に少なくなりました。
職場での席替えも怖くない

余談ですが、職場では組織変更などが原因で席替えが発生します。以前、筆者はこの席替えが一苦労でした。かさばっているたくさんの机上の物を捨て、それでもなお残っているよく分からない書類の束などを席替え先の机に持って行くのが大変だったのです。
しかも、そんなときに限って「本当はすでに処理しておくべきだった書類」「返しておかなければいけなかった備品」などが大量に出て、暗たんたる気持ちになったものです。また、そんな状態だったので、席替えの準備と実行には優に一日や二日を要する「大がかりなプロジェクト」になってしまっていました。
それが、職場での物の整理整頓ができるようになってからは、5分とかからず移動できるようになりました。そんな風に「片付け」に対して苦手意識をあまり持たなくなったのも、筆者自身の特性を理解し、受け容れたからだと考えています。
ただ、これはあくまで筆者の例であって、参考にはなっても、厳密にいえば一人ひとり対策は違うものです。それに対処するためには、まずは困りごとからその対策を考えていくことが大事です。自分一人でやろうとしたり、余計に手間をかけてしまうよりも、専門家の手を借りることも検討してみましょう。
就労移行支援事業所ディーキャリアでは、働くことで悩みを抱えている発達障害のある方の支援をおこなっています。
就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業)
就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。
「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。
ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。
お電話(0120-802-146)はこちら▶
お問い合わせフォームはこちら▶
また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。
全国オフィス一覧はこちら▶
就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。
- 一般社団法人ファボラボ 代表理事
- 特定非営利活動法人日本冒険遊び場づくり協会 評議員
- 公認心理師
- NESTA認定キッズコーディネーショントレーナー
- 発達障害ラーニングサポーター エキスパート
- 中学校教諭 専修免許状(社会科)
- 高等学校教諭 専修免許状(地理歴史科)
通信制高校教諭、障害児の学習支援教室での教材作成・個別指導講師を経て現職。






