【大人の発達障害の就活HACK】応募の準備をしよう〜履歴書編〜

3. 履歴書の最重要部分〜職歴の書き方〜

履歴書のなかで、職歴はもっとも注目される重要な部分です。ウソや誤った情報を書いてしまうと、たとえ内定は取れたとしても後から“経歴詐称”などの問題が問われることもありますので、過去の経歴を漏れなく・正確に書くことが大切です。

3-1. どこまで書けば良い?〜アルバイトや派遣など〜

先ほど申し上げたとおり、過去の職歴はすべて漏れなく・正確に書くことが基本です。ただ、アルバイトや派遣社員などは契約期間が短期の場合もあるので、「数が多くなってしまい書き切れない」ということがあるかも知れません。書き切れない場合は、以下のような対策があります。

学歴を省略…義務教育の部分は省略しても問題ありませんので、小・中学校は省き、高校以降の学歴のみを書くようにすれば、その分、職歴を書く欄が増やせます。また、高校以降の学歴も、基本的には卒業年月だけ書けば問題ありません。

入退社を 1 行で書く…在職期間を明確にするため、職歴は入社年月と退社年月をそれぞれ 1 行ずつ書くのが基本ですが、「2001 年 4月 株式会社●●入社(2003 年 3 月 一身上の都合により退社)」というように、入社と退社を 1 行にまとめてしまう方法もあります。

職歴の詳細は職務経歴書で書く…履歴書には、その職歴の概要(例:営業部に配属、関東地区の法人●社を担当)も一緒に書くことが基本ですが、この部分を省略し「職歴の詳細については、職務経歴書をご参照ください」と注意書きする方法もあります。

なお、“就労移行支援事業所”や“職業訓練校”など、就職のためのトレーニングをおこなう機関に通っていた場合は、その期間も記載しましょう。

3-2. ブランクはどう書けば良い?〜働いていない期間があったり職歴が思い出せないとき〜

職歴にブランクがあると「印象が悪くなってしまったらどうしよう」と心配になってしまうかも知れません。しかし、働いていなかった期間が長かったとしても、ウソの職歴はぜったいに書いてはいけません。なぜブランクが空いてしまっているのか、理由を説明できることの方が大切です。

逆に、過去の職歴を思い出せないからと言って、ブランクにしてしまうのも NG です。以下のような方法で調べて、正確に書くようにしましょう。

  • ・家族や友人に聞いてみる
  • ・銀行の預金通帳で、給与の振込履歴から確認する
  • ・当時の給与明細や、源泉徴収票を探してみる
  • ・ハローワークで、当時の“雇用保険”の加入状況を確認する
  • ・日本年金機構で、当時の“厚生年金”の加入状況を確認する

3-3. 退職理由はどう書けば良い?

履歴書上は、退職した理由を詳細に書く必要はありません。理由に応じて、以下のように書き分けておけば基本的に問題ありません。

  • ・自分から申し出て退職した場合 → 「一身上の都合により退職」
  • ・パート/アルバイトや派遣社員等で、最初から雇用期間が決まっていた場合 → 「契約期間満了のため退職」
  • ・会社が倒産した等で、解雇された場合 →「会社都合により退職」

4. 障害者雇用の求人に応募する場合の履歴書のポイント

障害者雇用の求人に応募する場合は、自分の障害について正しく伝えることも重要です。履歴書の「本人希望記入欄」に以下の内容を記載しておきましょう。

  • ・障害者手帳について:手帳取得年月、種類(身体・知的・精神)、等級
  • ・診断名
  • ・特性に関する説明
  • ・必要な配慮(応募先に求める合理的配慮
  • ・通院・服薬状況

「障害による体調不良や通院していることを書くと、マイナスに評価されてしまいそうなので書かなくても良いか」というご質問をいただくことがありますが、事実とは異なる内容を記載してしまうと、たとえ内定は取れたとしても後から“病歴偽証”に問われてしまう可能性があります。

たとえ選考のときには隠し通せたとしても、実際に仕事が始まった後にトラブルになってしまったら、会社に迷惑をかけるだけでなく、なによりも自分自身が辛い思いをしてしまうことにもなります。

大切なのは、自分の障害の特性をしっかりと理解したうえで、どのようなことであれば自分が力を発揮できるのか、そのためにどのような合理的配慮が必要なのかを明らかにすることです。

合理的配慮については、以下の記事もご参照ください。

・合理的配慮とは?基礎知識をまとめました。

・発達障害のある方の「合理的配慮」事例集

・「合理的配慮」申請マニュアル 流れとポイントを紹介

・合理的配慮のよくある質問集

5. 履歴書がうまく書けないと悩んでしまったら

求人に応募するうえで、履歴書はもっとも基本的、かつ、重要な書類ですが、それだけ書き方が難しいとも言えます。

同じ職歴や志望動機であったとしても、書き方・伝え方ひとつで相手の印象も変わります。あなたという人物がどんなに素晴らしく、面接で直接話せば伝えられるとしても、書類の書き方で失敗しては、次のステップへ進むことはなかなかできません。

特に、大人の発達障害がある方の場合は、障害による特性が原因で離職・転職されているケースもあるため、

  • ・「過去の職歴に自信が持てない」
  • ・「書面上でどう表現すればうまく伝わるのか分からない」
  • ・「自己 PR がうまく書けない」

……と悩んでしまう方も少なくありません。そんな方々のサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。

就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業)

就職活動はものごとを段取りよく・計画的に進めて行く必要がありますが、発達障害の特性による「苦手」で上手く進まないという方も少なくありません。

ディーキャリアでは、就職支援スタッフが一人ひとりの「働く」に寄り添った支援をおこない、就職活動の軸探しだけではなく、スケジュールを立てること、自己 PR(自分の強み・長所の発見)をすること、予定通りに行動をすることをサポートしています。

就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。

「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。

ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。

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また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。

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就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。

執筆者

藤森ユウワ(ライター・編集)

ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。

これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。

子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。

36 歳で ADHD・ASD と診断される。

診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。

誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。

さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。

自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。

記事監修

清野 玲子(キャリアコンサルタント/社会福祉士)

人材会社でのキャリアアドバイザー等経験したのち、就労移行支援事業所ディーキャリアの立ち上げに参画。発達障害の特性による苦手や困りごとを抱える方の就労支援に携わる。

現在は、発達障害のある方の特性に応じた就労プログラム開発、支援スタッフ向け研修講師・スーパーバイザーなど幅広い業務を担当。

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