大人の発達障害がある方の就職活動は「ウォーミングアップ」で成否が決まる!

1-2. 就職活動の道のりを知り、計画を立てる

就活全体の道のりにはいくつかの課程があります。それぞれの課程で何をするのか、どんな準備が必要なのかを、あらかじめ知っておくことが大切です。

先ほどと同じく登山を例にすると、これは地図や登山グッズを準備することと似ています。いくら登山の目的地が決まっていたとしても、地図やコンパスもなく、服も食料も持たずに出かけたのでは、目的地まで安全に辿り着くことはできません。

山へ登り始める前に登山計画を立てるように、就職活動の目標へ向けた道のりをしっかりと把握し、計画を立てて準備しておきましょう。

発達障害の特性あるあるとして「スケジュールを立てることが苦手」「予定通りに行動することが苦手」「先を見通すことが苦手」があります。特性による苦手で就職活動が上手くいかない方も少なくありません。目的を定め、道のりを知り、計画を立てるウォーミングアップは苦手対策にもなるのです。

2. 就職活動の5つの課程

それでは、まずは就活全体の道のりを知ることから始めましょう。就職活動は大きく分けて、以下の5つの課程があります。実際の選考(2-3. で応募してから 2-5. で入社が決まるまで)には、平均で2〜3か月かかります。

2-1. 自己分析

就職活動は自己分析から……という話は「今までもさんざん聞いてきたよ」という方も多いと思いますが、やはり出発点として、しっかりと自己分析を行うことが欠かせません。

どんな仕事や会社を希望するのかも、自分のどんな部分をアピールするのかも、自己分析ができていなければ“あやふや”になってしまいます。自己分析の具体的な内容については『3. 就活の最大の山場「自己分析」を行うための5つのステップ』で解説します。

2-2. 応募書類の作成

自己分析をしながら、応募書類を作成していきます。「まだ応募先が決まっていないのに、書類を作成するの?」と思った方もいらっしゃるかも知れません。たしかに、応募先によって求められる書類の内容は異なりますし、志望動機や自己PRも書き換える必要があります。

しかし、どの企業に応募するのでも、応募書類の基礎となるのは「自分が就職によってどのようなことを実現したいか」「自分にはどのような強みがあるのか」ということです。基礎の部分がしっかり書けた上で、企業ごとの志望動機や自己PRを書くことができるようになります。

自己分析をしたら一度書類を作ってみる
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うまく作れない・考えがまとまらない部分について再び自己分析をしてみる

……と往復しながら、書類を作り上げていきましょう。

2-3. 求人検索・応募

自己分析によって見えてきた希望条件をもとに、どんな求人があるのかを調べます。

すべての条件を満たす求人が見つかるとは限りません。また、求人票に書かれた情報だけを見るのと、見学や面接で実際に見聞きするのとでは、印象は大きく変わります。

「給与」「勤務場所」「職場環境」など、希望条件のなかで何を優先したいのか順番を付け、見学や面接の結果、志望する度合いが変わることも想定して、いくつか候補を立てておきましょう。

企業によっては、選考の過程で“実習”や“インターン”を行っている場合があります。実際の仕事内容や職場環境を体験できる貴重な機会ですが、企業によっては行っていない場合もあるので、応募企業を選ぶ際にチェックしましょう。

候補が決まったら、求人票に書かれている必要書類を取りそろえて応募します。どの企業に応募する場合でも、基本となる書類(履歴書、職務経歴書、等)は同じであることが多いですが、志望動機や自己PR、職務経歴書で強調する部分などは、応募先によって書き換えます。

書き換えるというのは、単に「書類に書いた応募先の社名や職種名などを修正する」という意味ではありません。「自分の希望と照らし合わせて、その企業のどのようなところに魅力を感じたのか」「応募先の企業が求める人材像に対して、自分がどのような強みを発揮できるのか」を一社一社考え、丁寧に書類に反映することが大切です。

2-4. 面接、実習・インターン

書類選考を通過すると、いよいよ面接へと進みます。面接官の前で話をするのはとても緊張しますが、面接では、必ずしも“うまく話せること”が求められるわけではありません。応募書類に書いた志望動機や自己PRと食い違いがないよう、丁寧に伝えることが大切です。

なお、面接の練習というと家族や友人に面接官役をやってもらう“模擬面接”が思い浮かびますが、自分一人で話すことも練習になります。ドラマの俳優がセリフを練習するように、繰り返し声に出してみることで、本番でも緊張を和らげることができます。

先ほどもご紹介したとおり、企業によっては面接に続いて“実習”や“インターン”を行っている場合もあります。

2-5. 内定、入社意志決定

企業側から内定が出たら、提示された雇用条件(給与や休日、職種など)を検討し、内定を承諾するか辞退するかを決めます。

内定を承諾した後は、基本的には雇用条件の交渉はできませんので、納得したうえで承諾しましょう。他の企業でまだ選考途中の場合、交渉次第では意志決定を待ってもらえる場合があります。ただし、その場合でもなぜ・いつまで待って欲しいのかを伝えて、誠実に相談するようにしましょう。

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