【事例紹介】発達障害による「二次障害」とは?原因と対処・予防法は

「がんばらなきゃいけないのに、どうしてもやる気が起きない」「突然、悲しくなったり不安な気持ちになったりする」「自分の感情が抑えられず、周囲とうまくコミュニケーションできない」

もしこうした症状にお悩みの場合、それは発達障害による二次障害かも知れません。

二次障害とは、発達障害の特性より困難やストレスが生じることが原因となって、心や身体に下記のような不調・問題が起こり、日常生活に支障をきたしてしまうことです。

  • ・心(精神)の不調…うつ病などのストレスによる精神疾患など
  • ・身体の不調…頭痛、めまい、不眠、食欲不振など
  • ・行動面の問題…反抗、暴言・暴力、引きこもりなど

二次障害が起こらないよう、予防するためにはどうすれば良いのか。もし起こってしまったら、どう対処すれば良いのか。今回の記事では、発達障害による二次障害の原因と、その対処法や予防法について解説します。

二次障害の原因とは?

二次障害への対処法や予防法を学ぶために、まずは「二次障害がなぜ起こってしまうのか」という原因を知っておきましょう。注意欠如・多動性障害(ADHD)である A さんと、自閉症スペクトラム障害(ASD)である B さんの、二人の事例をご紹介します。

ADHD の特性により「無くし物が多い」A さんの場合

営業事務として働く A さんは、ADHD(一次障害) の特性である「ワーキングメモリーの弱み」によって無くし物が多いという困りごとを抱えていました。

ある日、仕事の大切な書類をどこかに置き忘れてしまい、上司から注意を受けた A さん。「次からは気をつけよう」と思っていたのですが 1 週間後、今度は会社の倉庫の鍵をどこかに置き忘れて無くしてしまいました。

「A さん、こないだ無くし物の注意したばかりなのに、なんで同じ失敗をしてしまったの?」

上司から再び注意を受けたことによって、「また同じような失敗をして、上司を怒らせてしまったらどうしよう…」と、A さんのなかで不安な気持ちが生まれました。その後も、仕事で無くし物をするたびに上司から注意を受け続けた A さんは、次第に「自分は何をやってもうまくいかないんだ…」「また叱られる…」と常に不安な気持ちを感じるようになりました。

数ヶ月後、A さんは気分がひどく落ち込んだり、夜も眠れなくなったりするようになってしまいました。その結果、うつ病(二次障害)の診断を受けました。

ASD の特性により「光や音で強いストレスを感じる」B さんの場合

Web デザイナーとして働く B さんは、ASD(一次障害)の特性によって感覚が非常に過敏になり、強い光や周囲の音にストレスを感じやすいという困りごとを抱えていました。

ある日、職場で席がえがあり、B さんは窓際の席に移動することになりました。勤務先のオフィスは日当たりが良く、B さんの新しい席は、とくに日差しが強く差し込む場所でした。またちょうど隣のビルが工事を行っており、勤務中は工事の騒音が常に聞こえてくるような環境でした。

B さんはブラインドや窓を閉めて光と音を和らげようとしましたが、上司から「オフィスの雰囲気が暗くなってしまうから、ブラインドはなるべく開けておくように」「換気のために、常に窓は開けておくように」と言われてしまいました。

上司の指示に従い、ブラインドや窓を開けておかざるを得なかった B さん。これまでも「職場ではどうも集中しづらいな…」と感じていましたが、席がえの後は目や耳に極度の疲れや、ときに痛みを感じるようになってしまい、ストレスから夜、眠れない状態(二次障害)になってしまいました。

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発達障害は「社会性の障害」と言われており、周囲の環境によって困難が生じることがあります。上記の A さん・B さんの例のように、発達障害の特性によって周囲とうまくいかず、ネガティブな経験が積み重なってしまったり、日常的にストレスにさらされてしまったりすることが、二次障害の大きな原因となるのです。

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