当事者対談企画「発達障害、いつ分かった?」

支援につながる方法を知っていることが大切

大学生活がうまくいくかどうかは、就職にも影響する

大学生活での困りごとって、学生生活のみならず、卒業後の仕事にも影響が出てしまうと思うんですよ。

というと?

私はADHDの「計画を立て、段取りよくものごとを進めることが苦手」という特性から、卒業単位を取るのにとても苦労しました。
まず「授業の履修登録」が難しい。高校までは学校側がカリキュラムを組んでくれますが、大学に入ると自分ですべての計画を立てなきゃいけません。
授業の提出課題や定期テストも管理は自己責任で、赤点を取ったとしても自動で補習や追試がおこなわれるわけでもない。単位を落としたくなければ自分で教授に相談しに行く…なんてことも必要ですよね。
しかも一人暮らしする人は、プライベートも自分でやらなきゃいけないことが増えるので、超・マルチタスク状態になってしまう。これも発達障害の特性と相性が悪いのではないかと思います。
その結果、4年生になったとき
・まわりは、卒業単位に足りるメドが立ち就職活動に打ち込んでいる
・ところが自分は、卒業単位を満たすため必死に授業を受け続けている
…という状況になって、十分な就職活動ができず、結果、自分にあった仕事や会社をちゃんと選べない、ということがあるんじゃないかと。

たしかに…。私も最初の履修計画がボロボロでしたし、テスト勉強の計画を立てるのも、友だちや教授にヘルプを出すのも苦手だったので、卒業単位を満たすのにとても苦労しました。
その結果、就職活動ではまわりの友人が続々と内定をもらう中で「自分だけ取り残された」と感じ、自己肯定感がどんどん下がっていって。4年生の秋頃には自分に合う仕事がなんなのか考える余裕もなくなり、「私のような者を雇ってくれるなら、もうどんな会社でもいい」なんて思っていましたね…。

正しい情報や支援をどこで得られるのかを知っておく

今では発達障害のある学生のサポート窓口を設置している大学も増えていますが、本人が自分の特性に気づいていなければ相談しようと思わないですしね。サポートを受けるためには、自分で自分の特性に気がついていることと、相談できる窓口を知っていることの両方がマッチする必要があるんですよね。

何が正しい情報なのか見分けることも重要ですよね。
今はインターネットでさまざまな情報を入手できるので、発達障害のことを見聞きする機会も増えてきました。ブログやYouTubeなどで、当事者の方が情報発信しているのもよく見かけます。
でも、その情報が本当に正しいかどうかは分からない。
例えば芸能人の方が「私、実は発達障害で、この病院で○○という検査を受けて…」と発信していたとする。そうすると「有名人が通ってるから、きっといい病院なんだな」「○○の検査を受ければ、すぐ発達障害かどうか分かるんだな」って思ってしまうんじゃないかと。

発達障害について学んでいれば「あれ、この情報はちょっとおかしいぞ」ということが分かりますが、知識がないと有名人の発信や、お金をかけた宣伝広告のような“見栄えのいい情報”をうのみにしちゃいますよね。
特に発達障害について知ったばかりの頃は、困りごとがピークで、メンタルも落ちた状態であることが多いと思うんです。だから余計に、わらにもすがる思いで“見栄えのいい情報”に飛びついてしまいそうです。

私も「この状態から抜け出したい、助けて欲しい」と切羽詰まっていましたが、必死に情報を探して運よく支援の窓口を見つけることができました。でも運が悪かったら、そこにはたどり着けなかったかもしれません。
今、実際に自分が困りごとや生きづらさを抱えていなかったとしても、大学や行政の支援窓口、公的な福祉サービスなど「どこに行けば、正しい情報や支援を得られるのか」を知っておくことが大切だと思います。

終わりに:相談窓口のご紹介

第2回では、当事者2名が日々の生活のなかでおこなっている特性への対策(セルフケアや、合理的配慮についての会社との調整)について対談します。こちらもどうぞご期待ください。

終わりに、対談の中でも登場した「発達障害のある方が支援を受けられる窓口」の一つとして、就労移行支援事業所ディーキャリアをご紹介いたします。

就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業)

就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。

「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。

ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。

お電話(0120-802-146)はこちら▶

お問い合わせフォームはこちら▶

また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。

全国オフィス一覧はこちら▶

就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。

執筆者

藤森ユウワ(ライター・編集)

ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。

これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。

子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。

36 歳で ADHD・ASD と診断される。

診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。

誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。

さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。

自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。

記事監修

北川 庄治(デコボコベース株式会社 プログラム開発責任者)

東京大学大学院教育学研究科 博士課程単位取得満期退学。通信制高校教諭、障害児の学習支援教室での教材作成・個別指導講師を経て現職。

おすすめ関連コラム