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【発達障害当事者の経験談】「転院」するときに考えておくべきこと

「発達障害で通院しているが、医師と相性が合わない」
「転院したいが、どのように考えればいいのか分からない」
発達障害のある方にとって、医師の存在はとても大きいと言えます。そもそも、発達障害の診断書を出せるのは医師だけです。しかも、診断書の記載内容は病名のみならず、病歴や治療の経過、生活能力の状態などにまで及びます。自然と医師の関わりは大きくなるのです。
また、診断書を出してもらって終わりというわけにはいかず、その後も心身の変化によって服薬を調整したり、日々の生活についてアドバイスを受けたりします。したがって、医師の選択は今後の生活を大きく左右すると言っても過言ではありません。
一方で、「医師をどう選んだら良いか」の大きな指標が示されているわけではありません。医師の「食べログ」のようなものはないのです。口コミがネット上にある場合もありますが、それがどの程度信頼できるかは分かりません。
発達障害当事者であり転院の経験がある筆者として、その経緯をお伝えしつつ、医師を選ぶ基準となる考え方などをご説明します。皆さんが少しでも社会生活を安心して送れるよう、この記事がお役に立つことを願っています。
執筆者紹介

小鳥遊(たかなし)さん
発達障害やタスク管理をテーマに、2021年まで会社員、2022年からフリーランスとして活動している。
発達障害(ADHD)当事者。主に発達障害や仕事術をテーマとするweb記事を執筆。2020年に共著「要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑」(サンクチュアリ出版)を執筆し発行部数は10万部を超える。
また、就労移行支援事業所でタスク管理等に関する定期プログラムやセミナー等を実施。企業や大学等での講演、個人/法人のタスク管理コンサルティングもおこなっている。
筆者の体験談
筆者は、最初の病院を含めて合計3院、2回の転院をしています。それぞれ経緯と所感を書いてみます。

1カ所目:都内某診療所
【経緯】
仕事がうまくいかなかった筆者は、ネットで調べてみて「自分は発達障害ではないか」と考えるようになり、「東京都多摩総合精神保健福祉センター」に相談しました。面談の後、より詳しく調べてみようということになり「東京都発達障害者支援センター(TOSCA)」を紹介され再度面談をしたところ、都内の某診療所を紹介されました。
【所感】
筆者は、自分の「忘れっぽさ」「段取りの悪さ」といった特徴を自覚しており、心の底では「自分は発達障害であろう」と考えていました。結果、その通りの診断をしてもらうことができ、その意味では自分の意図に沿う対応をしてくれたと言えます。
また、当時は障害者が社会生活を送るのに必要なサポートを提供してくれる、いわゆる「社会資源」についての知識が筆者にはなかったのですが、診療所に常駐していたソーシャルワーカーさんに「障害者雇用」という働き方を教えてもらうことができ、その後の就職への足がかりを得ることができました。この点においても、筆者にとって良い選択だったと言えます。
ただ、当時東京都の多摩地方に住んでいた筆者は、23区内にあるこの診療所は自宅から往復3時間近くかかり、通院に苦痛を感じていました。
また、医師とのやりとりに違和感を覚えたことがありました。ある診察時に「私は本当に発達障害なんでしょうか?」と質問したときに、少し強い調子で「だって、それでうまくいっていないんでしょう?!」と少々強く言われたのです。今考えれば、「仕事がうまくいかず社会生活に支障をきたす」という時点で自明なのですが、強く言われるほど変な質問をしていないのではないかと思いました。
【転院のきっかけ】
1社目の会社に就職後、自宅から遠かったこともあり、また「通い続けなくても自分は大丈夫」と思って次第にこの診療所から足が遠のいていきました。
2カ所目:都内某医院
【経緯】
1社目、障害者雇用で就職して一安心していましたが、人員整理や親会社との合併の影響でだんだんと業務負荷が高くなっていき、やがて仕事がうまくいかなくなり休職に至ります。休職するためには医師の診断書が必要なので、自宅の近場で手っ取り早く休職できる診断書を書いてくれる病院を探しました。その結果、自宅から自転車で10分程度のところにあるこの医院を見つけ、通院し始めました。
【所感】
経緯でも書いたとおり、「休職できる診断書をもらう」のが目的でした。「このまま働き続けることは難しい」という状況に陥ったときは、一刻も早く休養を取る必要があります。休職へとスムーズに移行するためには、医師の協力が不可欠となります。そういうときは、休職のための診断書を作成してくれる「装置」として「医師を使う」のも大いにありだと考えています。
この医院の医師は、ある意味機械的に、すぐに休職に必要な診断書を書いてくれました。このときの筆者にとってはとてもニーズにマッチした医院だったと考えています。
【転院のきっかけ】
通所していくうちに、最初はメリットとして感じた「機械的さ」に物足りなさを感じたことと、休職期間が終了してそのまま退職し、2社目に転職するバタバタから通院しなくなりました。そして、2社目でも仕事がうまくいかず休職を考えたときに、別の病院を探すようになります。
3カ所目:都内某クリニック(現在)
【経緯】
2社目でまた仕事がうまくいかず休職を考えたときに、ちょうど知り合いが行っているクリニックが良いと話を聞きました。そこで行ってみたところとても相性が良く、現在でも継続して通っています。
【所感】
2カ所目の医院で感じた物足りなさは、当初それが何なのかがはっきりとは分かっていませんでした。しかし、この3ヶ所目のクリニックの医師と会った瞬間に分かりました。ただ単に薬を出してもらうだけではなく(それも大事ですが)、自分の話をしっかり聞いてくれて、より生活や仕事を考慮して踏み込んだアドバイスをしてくれることを筆者は欲していたのです。また、とにかく声が明るく、ハキハキとしていつでも笑顔で話してくれることも、筆者としても安心感がありました。
このクリニックに通い続けて数年経ちますが、結果的に服薬内容は変わっておらず、月1回の通院の際には、今の生活や仕事の話をして、「頑張ってね」と言われて診察は終わり、ということもあります。「それは本当に良い医者なのか?」というような話ですが、それでも危ない傾向があるときはちゃんと言ってくれる、筆者にとっては良いバロメーターとして頼れる存在になっています。
転院する上で大事なこと
転院するのに大事なことは2つあると筆者は考えています。

まずは基本「家に近い」
どんなに名医でも、自宅から5時間かけて行くような場所にあったら、それは現実的な選択肢からは外れることでしょう。実際、筆者も2ヶ所目の医院を選ぶときには「自宅から近い」という基準で選びました。3ヶ所目も通院に比較的ストレスがない範囲内におさまっています。まずは、自宅から近い、少なくとも自宅から通うことが現実的な距離・時間であることが大切だと考えます。
意外に大事なのが「相性」
さらにもう一つ大事にしたいことが「相性」です。これは、人によってどんな医師が良いのかはケースバイケースですが、まず1回会ってみて「なんか違うな」と思ったら行かないのをお勧めします。
実は、3ヶ所目のクリニックに行く前に、もう1カ所自宅近くの医院へお試しで行ってみたのです。ただ、こちらはなんとなくウマが合わなさそうという印象で、1回で行くのを止めました。その結果、3ヶ所目のクリニックに行くことになり、「この医師とは合いそう」と思えて現在も通院しています。
障害年金や障害者手帳、後述する就労移行支援事業所に通うのに必要な受給者証の申請には「医師の診断書」が必要になります。これらの申請が通るか通らないかは、診断書に医師がどう書くかによります。
自身の障害や状況について、その困りごとを過不足なく適切に書いてもらわないと、障害特性によって生活面や仕事面で支障をきたしていたとしても、「診断書からはその必要はない」と判断されて公的なサポートが受けられなくなる可能性があるのです。
そこで、自分の現況や困りごとをしっかり聞いてくれる姿勢を持つ、自分が話しやすいと感じる関係性、つまり「相性」が大事になってくるのです。
把握しておきたい転院のデメリット
今までは転院ありきの話をしてきましたが、ここで転院のデメリットについてお伝えしたいと思います。
転院に際しては、今までお世話になっていた先生だからと医師に黙って転院するケースがあり得るのですが、転院元と転院先の病院で、自分の診療に関する記録が共有されないというデメリットがあります。
筆者の記憶では、1ヶ所目の診療所から2ヶ所目の医院には、紹介状などである程度の情報共有がなされていたと思います。ただ、2ヶ所目の医院から3ヶ所目のクリニックには、紹介状なしに黙って転院したため、症状や服薬状況などを自分で一から説明する必要がありました。
紹介状がないと、自分がこの記録の代わりに全部伝えなければなりません。この手間はかなり大きいものです。できれば、きちんと転院前の病院に転院する事情を説明して、紹介状を書いてもらうことをお勧めします。
また、筆者が転院で苦労したこととして、最初に発達障害の診断を受けた際に、その診断の根拠となった心理検査の結果の提出を求められたことでした。
筆者は発達障害の傾向のせいか物の整理整頓が非常に苦手です。心理検査の結果の書類を出してと言われて、「……あったはずだけど、どこにしまったのか」と冷や汗をかいたのを覚えています。奇跡的に過去の書類の中から見つけることができましたが、これでつまづく方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ただ、転院を考えるに至ったときは、「医師との相性が合わない」「ちゃんと診てくれない」といったそれなりの理由があるときだったと思います。通院や治療が大きなストレス源になっていたり、適切なサポートが得られない場合は、やはり転院が解決の手段になります。
働く上での医師との関わり
ここでは、より「働く」ということに焦点をあててお伝えしたいと思います。

医師は大事な伴走者
発達障害のある私たちにとって、心身ともに健康に働くために医療的なサポートを受けることはとても重要です。筆者は最近、「仕事の間引き」を医師から提案されました。
ADHDの特性持ちである筆者は、興味の偏りという傾向があります。興味のないものには徹底的に見向きもしないが、興味のあるものに関しては楽しいのでとことんやってしまうのです。
筆者はフリーランスで働いていますが、自分の時間が会社員と比べて自由に使えることが多いので、仕事に力を入れようとすると自然と「ひとりブラック職場」になりがちです。筆者もその例に漏れず、むしろ「仕事をいただけている!」と嬉しくてスケジュールを詰め込みがちになってしまいました。
定期的に通院している医師が「仕事の間引き」を言ってきたのは、そんな筆者の様子を見てのことでしょう。医師は多くの精神疾患のある方の行動パターンを見てきています。「こういうことを言っている/こういう行動をしていると、次はきっとこうなる」という傾向が分かっていることが多いのです。
実際、筆者は「仕事が楽しいと言って軌道に乗ってきている人は、その後調子を崩しやすい」と言われました。多くの患者を診てきたその知見は、大いに活用した方が良いと考えます。「ちょっとペースが落ちているから上げてみましょう」「もうちょっとスピードを落としても大丈夫」といった、伴走者のような役割を医師に求めてみると良いでしょう。
「働く」ための社会資源も活用しよう
ただ、そんな医師でも、どんなところでどう働くかまで面倒を見てくれるとは言えません。特性と向き合いながら長期的に働くためにはどのようにしたら良いかを相談するには、それ相応の社会資源(社会福祉上の支援をしてくれる人や機関)を利用することが大切です。自分一人で悩むよりも専門家の手を借りることも検討してみましょう。
就労移行支援事業所ディーキャリアでは、働くことで悩みを抱えている発達障害のある方の支援をおこなっています。
就労移行支援事業所とは、障害のある方が就職するための「訓練・就職活動」の支援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚生労働省の許認可事業)
就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。
「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。
もちろん、今の時点でサービスを利用する目的をが決めていなくても大丈夫です。
「まだやりたいことが決まっていない、将来のビジョンが見えていない」
「何を目的にサービス利用をすべきかイメージが湧かない」
「自分に合っているか分からない」
…と悩んでいる方も安心してお問い合わせください。一人ひとりのご状況や困りごとをヒアリングしながら、ご提案をさせていてだきます。
ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。
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- 一般社団法人ファボラボ 代表理事
- 特定非営利活動法人日本冒険遊び場づくり協会 評議員
- 公認心理師
- NESTA認定キッズコーディネーショントレーナー
- 発達障害ラーニングサポーター エキスパート
- 中学校教諭 専修免許状(社会科)
- 高等学校教諭 専修免許状(地理歴史科)
通信制高校教諭、障害児の学習支援教室での教材作成・個別指導講師を経て現職。






