注意欠如・多動症(ADHD)の記事一覧

【当事者が解説】大人の発達障害の診断は受けるべき?メリットや注意点を紹介

発達障害当事者が、診断を受けるか悩んだ実体験をもとに「診断を受けるメリットやデメリット」「診断を受けるために必要な手順」「診断を受ける場合の注意点」「実際に診断を受けて何が変わったのか」を解説します。

記事を読む
  • #障害年金
  • #合理的配慮
  • #障害者雇用
  • #自閉スペクトラム症(ASD)
  • #注意欠如・多動症(ADHD)
  • #限局性学習症(SLD)
「発達障害のことを調べていたら、思い当たることが多かった」「発達障害の診断チェックリストをやってみたら、多くの項目に当てはまった」 働きづらさや生きづらさを感じている方のなかには、こうしたきっかけで発達障害について知った、という方も多いのではないでしょうか。何を隠そう、筆者もその中の一人です。 私は「自分は発達障害なのかもしれない」と思ってから医師の診断を受けるまでに、さまざまな悩みごとを経験しました。今回の記事では、実際に当事者として悩んだ経験をもとに 診断を受けるメリットやデメリットはあるのか 診断を受けるためには、どういう手順が必要なのか 診断を受ける場合、何か注意すべきことはあるのか実際に、筆者が診断を受けてみて何が変わったのか …について解説します。 [toc] 1. 発達障害について最初に押さえておきたい 2 つのキーワード〜①生まれつき ②ミスマッチ〜 すでにインターネットなどで情報をご覧になり、発達障害が「先天的な脳機能の障害」であることや、いくつかの種類があることをご存知の方も多いかと思います。(自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)、限局性学習障害(SLD)、等) 発達障害について理解するために、もう少し表現をかみ砕いてみましょう。 発達障害とは、生まれつきの “脳の発達の偏り” がきっかけとなり、生活・仕事の環境や人間関係にミスマッチが起こることで、生きづらさが生じる障害です。押さえておきたいキーワードは ①生まれつき ②ミスマッチ…の 2 つです。それぞれについて解説します。 なお、大人の発達障害について基礎知識について知りたい方は、以下のページもご参照ください。 大人の発達障害とは | 就労移行支援事業所ディーキャリア キーワード 1「生まれつき」〜発達障害とは、本人の努力不足や親の育て方の問題ではない〜 「生まれつき」ということは、つまり、自分が大人になるまでの間に努力をしてこなかったとか、親の育て方が悪かったとか、そのような問題ではないということです。 過去の自分を責める必要はありません。「発達障害というものの存在を知った、今、このときから何ができるのか」を考えることが大切です。 キーワード 2「ミスマッチ」〜発達障害の方の “生きづらさ” は、周囲の環境によって起こっている場合がある〜 「ミスマッチが起こることで生きづらさが生じる」ということは、逆に「ミスマッチがなければ、生きづらさは生じない」とも言えそうです。これは一体、どういうことなのでしょうか。 社会学では、障害とは「個人の特性」によって起こるのではなく「社会との関係」によって起こるのだという、障害社会学 [*3]という考え方があります。 例えば、近視で遠くがよく見えない人がいるとしましょう。 現代は、メガネやコンタクトレンズがあります。パイロットなどの特別な職業でない限り、多くの人はそれほど遠くまで見えなくても仕事や日常生活に困りません。必要なら双眼鏡などの道具を使うこともできます。近視だったとしても、「社会的な不利益」を受けることは少ないと言えるでしょう。 しかし、これが原始時代だったらどうでしょうか。 遠くがよく見えなければ、狩りで獲物を探したり、迫ってくる危険をいち早く見つけたりすることができません。そのため、同じ集落の仲間に迷惑を掛けてしまい、「お前は役立たずだ」と言われて集落から追い出されてしまうかも知れません。近視であることで、「社会的な不利益」を受けてしまうおそれがあるのです。 周りの環境や社会との関係によって不利益を受けることが障害なのであり、個人の特性(近視であること)が障害なのではないというのが、障害社会学の考え方です。 実際に筆者も、職業や働き方を変えたことで “働きづらさ” は大きく改善されました。今は、一緒に仕事をしていても、私に発達障害があることにまったく気が付かない人もたくさんいます。 発達障害そのものに対してなにか対策を行うだけではなく、自分の特性とミスマッチを起こしている環境もあわせて見直すことが、とても重要なのです。 [*3] 参考文献:テーマ別研究動向(障害の社会学)|J-STAGE   2. 発達障害の診断を受けるべきか〜3 つのパターン別に考える〜 では、「自分は発達障害なのかもしれない」と気が付いたあと、次のステップとして「医師による診断」を受けるべきなのでしょうか。3 つのパターンに分けて考えてみましょう。 パターン 1:「診断を受けた方が良い」と思われるケース 発達障害の特性(障害による特徴)による困りごとが原因で「学校や職場で人間関係がうまく行かない」「仕事が長続きせず転職を繰り返してしまっている」など、今、実際に働きづらさ・生きづらさを感じている方は、診断を受けた方が良いと考えられます。 診断を受ける最大のメリットは、公的な福祉の支援を受けられるということです。 例えば、障害に配慮した職場で働くことができる「障害者雇用枠」に応募するためには障害者手帳が必要ですが、診断を受ければ申請することができます。障害により生活に支障が出た場合に支給される障害年金なども、診断を受けることで申請が可能となります。 また、働く意欲を持った障害がある方の、職業訓練や就職活動を支援する就労移行支援のサービスを受けることもできます。 今、実際に働きづらさ・生きづらさを感じている方は、診断を受け専門家の支援を利用することで、改善に向けた第一歩が踏み出せるのではないかと思います。 パターン2:「必ずしも診断を受けなくても良い」と思われるケース 「自分は発達障害かも知れない」と思っても、もし現在の仕事や生活環境に大きな問題がなく過ごせているなら、診断を受ける必要はないと考えられます。 先ほど “ミスマッチ” のキーワードでご紹介したように、たとえ発達障害があったとしても、本人が周りの環境=社会との関係のなかで「不利益を受けている」と感じなければ、それは障害ではないと言えるからです。 また、現時点で大きな問題がなくても、将来的に環境が変わって生きづらさを感じてしまったときに診断を受け福祉の支援を活用する、ということももちろんできます。 気をつけたいポイント:本人ではなく、周囲の人が困りごとを感じている場合 当事者の身近な方(ご家族や、職場の同僚の方など)から「本人はあまり気にしていないが、周囲は本人の言動によって負担を感じている。発達障害だと思うがどうすれば良いか」というご相談を受けることがあります。 この場合、本人に「あなたは発達障害ではないか」と告げたり、いきなり診断してもらうことを促したりすのではなく、一度、本人ぬきで専門の窓口にご相談することをおすすめします。 発達障害と似た困りごとが別の原因で起こることもありますので、素人が判断して原因を特定することは困難です。仮に、本当に発達障害があったとしても、本人に直接告げることで人間関係が悪化してしまうおそれもあります。 もちろん、周囲が一方的に負担を感じている状態は健全ではありません。相談窓口には、以下のようなものがあります。第三者の力を借りて解決に取り組んでいくことが大切です。 自治体の障害福祉担当の窓口(障害福祉課、障害支援課など) ハローワークの障害者雇用担当窓口 就労移行支援事業所の無料相談窓口 パターン 3:「診断を受けるかどうか、状況に応じて検討した方が良い」と思われるケース 判断に迷うのは、「多少の働きづらさ・生きづらさを感じてはいるが、頑張れば何とかできなくもない」という場合です。 周りから見れば「少し要領が悪いだけ」のように見えても、ご本人は「人の何倍も努力を重ねて苦手なことをカバーしている」というケースも少なくありません。このような状態も “ミスマッチ” であると言えるでしょう。 「頑張ればできなくもないが、つらい」という場合には、診断を受けて公的な福祉の支援を活用することを検討してみても良いかも知れません。 仮に発達障害だと診断を受けたとしても、それを家族や会社に伝えるかどうか、実際に公的な福祉の支援を申請するかどうかは、自分で決めることができます。病院には守秘義務がありますので、自分から伝えない限り、診断を受けたことを誰かに知られてしまうことはありません。 それでも「いきなり病院へ行くのはちょっと…」という場合は、まず “相談窓口” を利用してみても良いでしょう。 相談窓口には公的なものから民間のものまで、さまざまな種類があります。インターネットで検索すると、無料のセミナーや当事者会なども見つかります。診断を受けなかったとしても、同じ悩みを持つ人たちと話をしたり、特性への対策法を学んだりすることで、つらさが改善できる場合があります。 以下の記事で相談先の一例をご紹介していますので、ご参照ください。 障害者雇用と一般雇用のよくある質問集「Q12. 一般雇用で働いているけど、働きづらさ・生きづらさを感じている。会社には知られないようにどこかに相談したいが、どこか相談先はあるか?」   3. 診断を受けたい場合はどうすれば良い?〜病院の選び方や手順、診断までにかかる時間〜 「発達障害の特性による困りごとを解決するために、診断を受けたい」と思った場合、実際にどうすれば良いのかについて解説します。 3-1. どの診療科を受診する?〜大人の発達障害は “精神科” や “心療内科”〜 大人の発達障害に対応している診療科は、“精神科” や “心療内科” です。 ただ、発達障害の専門医は日本ではまだ多くないため、すべての精神科や心療内科が対応しているとは限りません。まずは病院・クリニックのホームページを見て、発達障害に対応しているかどうかを確認しましょう。 3-2. 病院を選ぶ際の 4 つのポイント〜①場所 ②予約方法 ③治療方針 ④支援機関とのつながり 「インターネットで検索したら、“発達障害対応” と書いてある病院の情報がいくつも出てきて、どこを選んだら良いのかよく分からない」という場合は、次のポイントをチェックしましょう。 ①通いやすい場所にあるか 病院を初めて受診してから診断を受けるまでには数ヶ月かかります。問診や検査などで何回か通院することになりますし、診断後もかかりつけ医として長くお付き合いすることになりますので、通いやすさは大切なポイントです。 人によっては「発達障害で通院していることを周囲に知られたくない」という方もいらっしゃるかと思います。その場合、自宅から少し離れた駅の病院や、職場への通勤途中にある病院を検討してみると良いでしょう。 ②予約が取りやすいか 予約が取りやすいかどうかも大切なポイントです。先ほどご紹介したように、日本ではまだ発達障害の専門医が少ないため、混雑している病院の場合「初診を受けるのに数ヶ月待ち」というケースもあります。 また、長く通院することを考えると “事前予約できない” “予約の変更が柔軟にできない” というような病院では、だんだんと通いづらくなってしまいます。病院のホームページを見て、“予約のしやすさ”  もチェックしておくと良いでしょう。 ③治療方針がホームページにしっかり書かれているか 発達障害の治療方針について、ホームページ上にどのような情報を載せているかチェックしましょう。 その先生が発達障害についてどのように考えているか、どれだけ診療の実績があるのか、どういう方針で治療を行っているのかを確認しておくことで、“先生とのミスマッチ” を防ぐことにもつながります。 ④地域の支援機関とのつながりがあるか もし、ご自分で調べてもどこが良いのか分からず悩んでしまうという場合には、先ほどもご紹介した以下の相談窓口に聞いてみる、という方法もあります。 障害者雇用と一般雇用のよくある質問集「Q12. 一般雇用で働いているけど、働きづらさ・生きづらさを感じている。会社には知られないようにどこかに相談したいが、どこか相談先はあるか?」 こうした相談窓口は近隣の病院と連携して支援活動を行っていることが多いため、つながりのある病院を紹介してくれる場合があります。相談窓口とつながっている病院は、それだけ発達障害のある方の支援に積極的だとも言えますので、病院選びのポイントとしてチェックしてみてください。 3-3. 初診から診断までの手順と期間〜診断までには数ヶ月かかる〜 では、実際に初診を申し込んでから診断が出るまでのステップについて、具体的に見ていきましょう。病院によって細かな部分は異なりますので、ここでご紹介するステップは一例としてご参考ください。 ステップ 1. 問診 まずは医師による問診が行われます。皆さんも病院を受診する際に “問診票” を記入したご経験があるかと思いますが、発達障害の場合の問診票は項目がかなり多く「いつ頃からどんな困りごとが出ているのか」「どのような環境で育ってきたか」「勉強や学校生活での様子はどうだったか」など、さまざまな質問に答えます。 また、初診時に簡易的な心理テストを行う場合もあります。 ステップ 2. 観察 発達障害の診断は、医師により現在の状態・成育歴・行動観察・認知や知能等の心理検査の結果などを総合して行われますので「診察を受けたらすぐに診断が確定する」というものではありません。 発達障害であるかどうかを調べるため、何回か診察を行って症状を観察します。また、診断に必要な情報を知るための調査を行う場合もあります。 例えば ADHD の場合、「症状のいくつかが 12 歳までに存在していたかどうか」が診断基準の一つであるため、子どものころの状況をさらに詳しく知るために「学生時代の通知表で先生や親のコメントを確認する」「(可能な場合は)家族に当時の様子を聞いてそのメモを先生に提出する」といった調査を行うこともあります。 ステップ 3. 検査 診断基準の一つとして「WAIS-Ⅳ(ウェイス・フォー)」などの心理検査を実施します。 この検査では、思考力や作業力といった認知能力を測るテストを行い、“脳の発達の偏り” の程度を調べることで、発達障害の特性や傾向を読み取ります。 検査は臨床心理士により行われ、数時間かかります。担当できる臨床心理士の数が限られるため、検査の順番を数週間待たねばならないケースもあります。 ステップ 4. 診断 ここまでの問診・観察・検査を総合して、医師により診断が行われます。初診から診断が出るまでには数ヶ月かかります。 総合的な判断の結果「発達障害ではない」「発達障害の基準は満たさないが、傾向はある」といった診断がくだされる場合もあります。 その場合、発達障害の診断書が必要な公的な福祉サービスを受けることはできませんが、引き続き通院を続けることで、心を落ち着かせるための薬を処方してもらったり、カウンセリングや心理療法による治療を受けたりすることは可能です。   4. しくじり先生〜実際に診断を受けた当事者の失敗談〜 筆者も発達障害の当事者として診断を受け、「障害者手帳の取得」や「税金の障害者控除」などの支援を利用しています。しかし、実際に通院を始めてから診断を受け、現在に至るまでには、いくつもの失敗がありました。そんな筆者の経験を、しくじり先生形式で 2 つご紹介します。 しくじり①:病院の先生は「支援」もしてくれると思っていた 発達障害の診断を受けようと、メンタルクリニックの初診を申し込んだとき、私は「自分の悩みや、これからどうしたら良いのか相談に乗ってもらえる!」と、とても期待していました。 しかし、先生の診察を何回か受けるにつれて、違和感を覚えるようになりました。たしかに、毎回の診察で先生は「最近はいかがですか。困りごとに変化はありませんか。」と優しく聞いてくださいます。しかし、私が何をお話ししてもカルテに書き留めるだけで、何もアドバイスをくださらないのです。 私は、医師の診察とカウンセリングを同じものだと勘違いしていました。さらに、病院と障害者支援機関を同じものだと勘違いしていたのです。 先生がお話を聞いてくださるのは、症状の診断や薬の処方のための「診察」です。悩みごとを聞いて相談に乗ってくれるのは「カウンセリング」であり、まったく別でした。(同じ病院内でカウンセリングを行っている場合でも、料金や予約は診察とは別です。) また、お仕事や生活について支援してもらうためには、病院ではなく、障害者支援機関に相談することが必要だったのです。 先ほど相談窓口についてご紹介しましたが、私はそうした窓口に一度も相談することなく、インターネットで調べた知識だけでいきなり病院を受診してしまったため、仕組みがどうなっているのかまったく知りませんでした。 現代は、インターネットがあれば何でも調べられる「ような」気持ちになってしまいがちです。しかし、一度で良いから専門の窓口に相談していれば、こんなに一人で苦労せず何か支援してもらえたのではないかと、後悔してしまいました。 しくじり②:診断を受ければ「仕事ができなくても許される」と思っていた 発達障害の診断を受けた当時、私は社員が10名ほどの小さな会社で営業職として働いていました。営業ですので、アポイントを取るために電話をかけたり、商談で交渉したりもします。当然ノルマがあって、達成できるよう自分で計画を立てて営業活動をしていかねばなりません。 しかし、私は電話や交渉ごとがとても苦手で、さらに段取りよく仕事を進めることも不得意だったため、営業成績が悪く、上司からたびたび注意を受けていました。「なぜ、何度注意されても直すことができないのだろう」と落ち込み、自分の努力不足を責めていました。 “電話が苦手“ “段取りが悪い” というのは、発達障害の特性による困難さの例として、見たことがある方も多いことでしょう。私はインターネットで自分の困りごとの原因が発達障害だと分かったときに、「自分の努力が足りないせいではないのだ」と、とても気持ちがラクになったように感じました。 では、発達障害の診断を受けたことで「電話ができず、段取りが悪くて、営業成績が上がらないけど OK」と許してもらえるのでしょうか。 皆さんもお分かりになるかと思いますが、答えは「No」です。 企業には、障害がある方に対して配慮をする義務があります。しかし、それは「障害があれば、どんなことでも許してあげる」という意味ではなく、「障害者のある方が、自分の能力を活かして働けるように配慮する」という意味です。 私は、診断を受けたことで “仕事ができない自分” を許してもらえるような気になっていました。しかし、発達障害の特性で営業職が向いていないのであれば「営業の仕事以外で、自分が持っている能力で会社に対して貢献できること」をこちらも見つけなければなりません。 社会のなかで生きていくためには、障害の有無にかかわらず「自分は何ができるのか」を考えることがとても大切です。それになかなか気が付けず、結局、当時勤めていた会社とは折り合いが悪くなって、退職することになってしまいました。   5. 診断を受けるメリットやデメリットは何があるのか 状況にもよりますが、質問をいただくことが多いので、それぞれ整理してご紹介いたします。 5-1. 診断を受けるメリット 自分の障害について理解をすることができ、対策を講じることができる 職場に必要な配慮(合理的配慮)を申し立てることができる 公的な福祉サービスや支援(例えば、障害者手帳取得による税金の控除、障害年金の受給等)を受けることができる 障害者雇用枠求人の対象となることができ、障害に配慮を受けながら働くことができる。 5-2. 診断を受けるデメリット 障害があることを自己受容しなければならない 医療保険などの民間保険に加入できない場合がある(保険の種類による) 6. 診断を受けて良かったのか〜当事者としての体験談〜 筆者としては、診断を受けて良かったと思っています。 「子どもの頃から悩んできたことは自分の性格や努力不足のせいではなく、生まれ持っての障害が原因だった」と分かったときに、私は生まれて初めて、自分で自分を許せた気がしました。それほど、私の人生にとって診断を受けたことには大きな意味がありました。 先ほど “しくじり先生” として紹介したように、診断を受けた当時の私はまだ、障害を持ちながら社会のなかで生きていくためにどうすれば良いかが理解できず、勤めていた会社を退職することになってしまいました。 しかし、その後アルバイトの期間を経て障害者雇用枠で再就職することができ、配慮を受けながら働いて、生活の基盤を立て直すことができました。また、発達障害について勉強したことで、自分の特性や、それによる困りごとを防ぐための対処法も理解を深めることができました。 何よりも大きかったのは、「障害がある方を支援するための仕組み」が、実は身近にはいろいろ用意されていると知ったことです。自分一人で悩まなくても相談できる場所があると知ったことは、大きな心の支えになりました。 診断を受けるか受けないかは、人それぞれです。診断を受けなかったとしても、もしお一人で悩んでいてつらいことがあれば、ぜひ色々な相談窓口を利用してみてください。力になってくれる人が必ずいるはずです。 今回の記事が、働きづらさ・生きづらさを感じている方、そして、当事者のご家族や周りで支援されている方の「次の一歩を踏み出すためのきっかけ」となれれば幸いです。 お一人で悩んでしまったら、まずは相談を 診断を受ける・受けないに関わらず、自分が発達障害であることを受け止め、新しい一歩を踏み出すためには、大きなエネルギーが必要です。 「障害と向き合いながら、生計を立てて行くためにはどうしたら良いのか」 「家族や職場に、うまく相談するためには、どうすれば良いのか」 「自分にあった仕事に転職した方が良いのではないか」 ……と悩んでしまう方も少なくありません。そんな方々のサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所は、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) 就職活動はものごとを段取りよく・計画的に進めて行く必要がありますが、発達障害の特性による「苦手」で上手く進まないという方もいらっしゃいます。 ディーキャリアでは、就職支援スタッフが一人ひとりの「働く」に寄り添った支援をおこない、就職活動の軸探しだけではなく、スケジュールを立てること、自己 PR(自分の強み・長所の発見)をすること、予定通りに行動をすることをサポートしています。 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください。ご本人からだけではなく、「発達障害の疑いがある方が身近にいて、どのような対応をすればよいか分からない」と悩まれている方からのご相談も受け付けております。ご家族の方はもちろん、「職場に発達障害の疑いがある従業員がいる」という方も、ぜひ一度ご相談ください。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
【大人の発達障害(ADHD)の特性対策】ワーキングメモリーの弱みをカバーするメモ活用術~ルール編~

物や用事を忘れないための、メモ帳のルール作りをHACK!注意欠如多動性障害(ADHD) の特性あるあるの代表例である「もの忘れ」を防ぐHACKをご紹介します。

記事を読む
  • #はたラクHACK
  • #注意欠如・多動症(ADHD)
前回の記事では、大人の発達障害、特に ADHD(注意欠如・多動性障害)の困りごとである「物や用事を忘れてしまう」ことへの対策として、日頃からメモ帳を身に付ける HACK をご紹介しました。 困難さを感じるからこそ「忘れてはいけない!」とずっと頭の中で考え続けることになりますが、これはとても大きなストレスです。しかし、メモさえ残しておけば、頭の中からは忘れても良い状態を作ることができます。自分の記憶をメモ帳に預けることで、「忘れてはいけない!」と考え続けるストレスを回避することにもなります。 【参考:前回のコラム記事】 大人の発達障害(ADHD)の特性対策・メモ帳を「身に付けて」用事を忘れないようにする ~ワーキングメモリーの弱さへの対策~ 今回は、前回のHACK をもう一歩進めて、身に付けているメモを効率的に活用するためのルール作りのポイントについてご紹介します。 [toc] ポイント①:メモ帳は一冊だけにする 身に付けて持ち歩くメモ帳(あるいは手帳、ノート)は一冊だけにし、そこに何でもメモするようにします。こうすることで「あれ?どこかにメモしたはずなのに見つからない!」という事態を防ぐことができます。 例えば仕事では、以下のように「いろいろな場所にメモを取っている」ことが多いのではないでしょうか。 電話メモは、専用のメモ用紙に書いている 会議のメモは、仕事用の手帳に書いている 誰かから口頭で指示されたことは、フセンに書いて PC に貼り付けている このように、いろいろな場所にメモを残すことの問題は、必要になったときにすぐに探せないということです。いくらメモを取ったとしても、必要なときに、そこに書いてある情報が引き出せないのであれば、あまり意味がありません。また、「どこかにメモしたはず…」とあちらこちら探すのも、時間が無駄になってしまいます。 どんなものでもすべて一冊のメモ帳にまとめておけば「ここを探せば、必ず見つかる」という安心感を得ることができます。 ポイント②:情報は時系列順で書く メモ帳の中で情報を分類せず「とにかく、メモ帳の先頭から時系列順(古いものから順番)に書く」というシンプルなルールにします。 一見すると、「分類せず順番に書くだけでは、後から探しづらいのでは?」と思われるかも知れません。しかし、私たちが何かを探しているときには 「先週の会議で言っていたはず…」 「一昨日あたりに電話を受けた気がする…」 というように、大体いつ頃だったかを基準に思い出していることが多いものです。大体の時期が分かれば、あとはその辺りのページをペラペラとめくっていくだけですので、順番に書いているだけの方が意外と情報が探しやすかったりします。 なお、後からメモを見返すときに分かりやすいよう、メモを取った日時を一緒に書いておくのがおすすめです。 メモ帳は人生のタイムライン メモ帳は、とにかくシンプルに運用することがオススメです。キレイに分類しようとして、やりきれず挫折してしまったり、情報がバラバラになって探せなくなるよりは、「ここを探せば大丈夫」という安心感を作っておくことの方が大切です。 時系列順で一か所にまとまったメモは、SNS のタイムラインにも似ています。後からタイムラインを見返すと意外な発見があるように、折に触れてメモを見返すことで、何か新しい気付きを得ることができるかも知れません。 メモを活用するためのルール作りを、ぜひお試しください。 ディーキャリアは、大人の発達障害がある方の「はたらく」をサポートします 「働いても長続きしない」 「人間関係がうまくいかない」 「就職/転職をしたいが、自分に合った仕事があるの不安」 こんなお悩みをお持ちではありませんか。働く上で困りごとを感じて就職・転職を考えているけれど、なかなか一人では上手く行かない……そんな方のサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業。) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
【大人の発達障害(ADHD)の特性対策】メモ帳活用術で、記憶力をカバーし物忘れ対策をしよう。

メモ帳を「身に付け」れば物や用事を忘れない!注意欠如多動性障害(ADHD) の特性あるあるの代表例である「もの忘れ」を防ぐHACKをご紹介します。

記事を読む
  • #はたラクHACK
  • #注意欠如・多動症(ADHD)
[toc] ADHD の脳の特性による困りごと:ものごとの一時的な記憶が苦手 大人の発達障害、特に、ADHD(注意欠如・多動性障害)の困りごとの一つに「物や用事を忘れてしまう」ことが挙げられます。原因は、ADHD の脳の特性であるワーキングメモリーの弱みにあると言われています。 脳の一時的な記憶の置き場・作業場であるワーキングメモリー機能が弱いと「考えたことを一時的に頭にとどめたまま、他の作業をする」ということに困難さがあります。 ・さっきまで使っていた物をどこに置いたのか、別の作業を始めたら忘れてしまった・さっき口頭で何か頼まれたのに、別の人に話しかけられたら頭から抜け落ちてしまった というご経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、日頃からメモ帳を「身に付ける」ことで、物や用事を忘れてしまうことを防ぐ HACK をご紹介します。 ポイント①:自分の記憶力を過信せず、メモを取るクセを付ける 「記憶する」というと「テスト勉強で英単語を暗記する」ようなシーンが思い浮かびます。しかし、私たちの日常生活は「常に何かを記憶している」と言っても過言ではありません。 例えば、仕事で上司から「この資料を明日の会議で使うから、今日中に 10 部コピーしておいて欲しい」と頼まれたとします。たったこれだけの指示であっても、そこには以下の 3 つの情報が含まれています。 ①コピーするのは手渡された資料 ②必要な部数は10部 ③期限は今日中 職場ではさまざまなことが起こります。例えば、コピー機に向かう途中で誰かに話しかけられたり、コピー機の紙がたまたま切れていたりすることがあるかも知れません。 このような「ふとしたキッカケ」で、先ほどの 3 つの情報のどれか一つでも欠けてしまったら、それだけで正しい作業はできなくなってしまいます。 自分の記憶力を過信せず「ちょっとしたことでも、すぐメモを取るクセを付ける」ことが大切です。 ADHD の「衝動性」の特性が物忘れに関係する場合も また、ADHD の特性の 1 つである「衝動性」が強い方の場合、「ある作業中に他のことが気になり、別の作業を突発的に始めてしまった」ようなときに、重要な情報が抜け落ちてしまうことがあります。 例えば、以下のような経験をされたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。 書棚のファイルを整理しているときに、上司から「ファイルの並べ方は、日付順にして欲しい」と言われた。 並べ替えをしなければならないのに、突発的に明日の会議の準備作業が気になり、書類整理をやめて準備作業の方を始めてしまった。 結局、上司から言われていた「ファイルを日付順にならべる」ことを忘れてしまった。 「ワーキングメモリーの弱さ」という特性がない方でも、「衝動性」の特性がみられる方は、ぜひ「メモするクセ」を意識してみましょう。 ポイント②:メモ帳は、持ち歩くのではなく「身に付ける」 メモを取るクセを付けるのと同時に、もう一つ注意すべき点があります。それは、ワーキングメモリーに弱みによって、以下のような事態が発生する可能性があるということです。 メモを持ち歩くことを忘れてしまう メモそのものを無くしてしまう どこにメモしたのか忘れてしまう これらを防ぐために、メモ帳は「持ち歩く」のではなく、洋服のように常に「身に付けておく」ようにします。首から下げられるようネックストラップの付いたものであれば、「ポケットから出して、どこかに置き忘れてしまう」といったこともありません。 カードホルダー付きのものなら、職場の ID カードホルダーと兼用でき、切り離したページを入れておくのにも役立ちます。ペンをセットで持ち歩けるよう、ペンホルダーが付いたものを選ぶとさらに便利です。また最近では、ウェアラブル(身に付けられる)を謳ったメモ帳も登場しています。そういったものを使ってみるのも良いでしょう。 参考商品 ダイゴー ノート 縦型鉛筆付すぐメモ たーとるうぃずの透明ポケットたくさんメモ帳カバー wemo まとめ:メモ帳に記憶を「預ける」 ちょっとした事を、ちょっとした間だけ覚えておかねばならないとき、私たちは「わざわざメモするまでもないだろう」と考えてしまいがちです。 確かにメモを取るのが面倒に感じることもありますが、「忘れてはいけない!」とずっと頭の中で考え続けることは、それだけで大きなストレスになります。 別の言い方をすれば、メモさえしておけば、頭の中からは忘れてもいいとも言えます。自分の記憶をメモ帳に「預ける」ことで、頭の中で「忘れてはいけない!」と考え続けるストレスを回避することにもなるのです。 物や用事を忘れてしまわないために、メモ帳を「身に付ける」HACK をぜひお試しください。 ディーキャリアは、大人の発達障害がある方の「はたらく」をサポートします 「働いても長続きしない」 「人間関係がうまくいかない」 「就職/転職をしたいが、自分に合った仕事があるの不安」 こんなお悩みをお持ちではありませんか。働く上で困りごとを感じて就職・転職を考えているけれど、なかなか一人では上手く行かない……そんな方のサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業。) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
【大人の発達障害(ADHD)の特性対策】朝の準備をテンプレ化!ワーキングメモリーの弱み&衝動性対策で遅刻を防止
記事を読む
  • #はたラクHACK
  • #注意欠如・多動症(ADHD)
[toc] ADHD にとって「朝の時間」は苦労の連続 前回の はたらくHACK では、大人の発達障害、特に ADHD(注意欠如・多動性障害)の 2 つの特性(①ワーキングメモリーの弱さ、②衝動性)が、「遅刻」の原因となっているケースが多いことをご紹介しました。 ただでさえ慌ただしい朝の時間帯、やらねばならない準備がいろいろある中で、特にたいへんなのが「着ていく洋服選び」です。 イギリスの大手小売事業者の調査(英語記事)によれば、洋服選びには平均で毎朝 17 分の時間がかかっているそうです。記事をお読みの皆さんのなかにも 「会社に着ていく洋服選びに時間がかかって、出発時間に遅れてしまった」「ワイシャツにアイロンが掛かっていない、ネクタイが見つからない……と朝に慌ててしまった」 というご経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。 そこで今回は、毎日着ていく洋服を「テンプレート化」して、朝の準備をスムーズに行うための HACK をご紹介します。 ポイント①:テンプレート化することで衝動性をカバー 「テンプレート」とは、一般的には文書の「ひな形」のことを意味します。Word や Excel などでテンプレートをもとに文書を作る、メールで挨拶文や署名をテンプレートに登録している、という方も多いのではないでしょうか。 「あらかじめ用意された定型的な文書」があることで、一から自分で考える必要がなくなり、効率的に文書を作成することができます。 これと同じように、着ていく洋服もあらかじめテンプレートを作っておくことで、毎朝一から洋服を選ぶ必要がなくなり、準備を効率よく進めることができます。 今回は「スーツで仕事に行く」ケースを例に見てみましょう。スーツに着替えようとする場合、以下の6つのアイテムの組み合わせを考える必要があります。 ジャケット パンツ シャツ 小物(ネクタイ、ベルトなど) 靴下 靴( 革靴やパンプス) ①ジャケットと②パンツはセットアップになっていることもありますが、③シャツや④小物は何種類か持っていて「その日の気分で組み合わせている」ことが多いのではないでしょうか。 スーツに着替える、とひと言にすると単純なように聞こえますが、実はこれだけのアイテムの「組み合わせ」を考えなければなりません。さらに「昨日着ていた服とかぶっていないか」「洗濯やアイロンがけはできているか」などの状況も加味したうえで「今日身に付けるべきもの」を決める必要があります。 そこで、これら 6 つのアイテムの組み合わせをあらかじめ「テンプレート」として月曜〜金曜まで 5 日分作っておき、朝は何も考えずに「今日の曜日のテンプレートを選ぶだけ」にします。 まず、見た目にもっとも印象の強い①ジャケットと②パンツ、そして⑥靴は、2 セット用意します。2 セットを1 日ずつ交互に着回すことで「毎日同じ服を着ている」感がなくなり、スーツの生地や靴の革も傷みにくくなります。 そして、③シャツ ④小物 ⑤靴下は平日 5 日分、つまり 5 セット用意します。上着が 2 種類でも ③シャツと ④小物が変わるだけで見た目の印象はまったく変わりますので、「ちゃんと身だしなみに気をつかっている」という感じを演出することができます。 ここでのポイントは、お金をケチらず、③シャツ ④小物 ⑤靴下 は必ず平日 5 日分を用意するということです。 よくある失敗は「シャツを 5 枚も買うのはもったいないから、2〜3 枚を洗濯しながら着回す」というものです。着回ししようとした場合、毎日洗濯やアイロンがけを行わねばならず、もし忘れてしまった場合は組み合わせが変わってしまいます。 平日はなかなか忙しいですし、体調によっては「今日はちょっと家事をやる気力や体力がない……」という日もあります。洗濯やアイロンがけは休日にまとめて行うようにし、平日は余計な気力・体力を使わないようにすることがポイントです。 「この曜日は、このテンプレートを着ていく」と決めておくことで、クローゼットを開いたときにアレやコレやと衝動的に考えてしまうことがなくなり、スムーズに着替えを行うことができます。 ポイント②:事前準備 10 割で、朝に余計な集中力を使わない 忙しい朝に備えるためには、事前準備が何よりも大切です。 先ほど「シャツ・小物・靴下を平日 5 日分用意する」という話の部分でもご紹介したように、準備は休日にまとめて行うようにします。 シャツが 5 枚あれば、洗濯・アイロンがけするのは休日にまとめて済ませておくことができます。一気に済ませておく方が効率が良いですし、何より忙しい平日の時間を節約することができます。 曜日ごとのテンプレートを決めたら、すべてセットでハンガーにかけておくと、朝すぐに取り出せて便利です。 そして、アイテム選びをちょっと工夫することで、さらに洋服選びを効率化することができます。 例えば、シャツは「形態安定」や「ノーアイロン」と書かれた商品を買うようにすれば、そもそもアイロンがけをしなくても済みます。 奇抜な色や柄モノを買ってしまうと、テンプレートを考えるときに難しくなります。シャツは無地の白や薄い色・柄モノ、ジャケットも無地の黒・濃紺・グレーなどベーシックなアイテムを選んでおくと、組み合わせがしやすく便利です。 スーツを着る方の場合、アイテムを何パターンも持つのは金銭的に……というお悩みがある方もいらっしゃるかと思います。お手頃なスーツやシャツ、ビジネス向け服飾小物を取り扱う「ツープライススーツ店」はご存じでしょうか?こちらであれば、ベーシックなアイテムを比較的リーズナブルに揃えることができます。 ツープライススーツ店では「シャツ ● 枚セットで ▲▲ 円」というようにセット販売をしていることが多く、平日 5 日分のセットをお得に揃えることができます。 最近では新しい生活様式の普及によりスーツを着る機会が減っていますが、こうしたお店は「ビジネスカジュアル」の商品も揃っており、スーツほど堅苦し過ぎず、私服ほどカジュアル過ぎない、バランスの取れた仕事着を選ぶことができます。 洋服選びは楽しいものですが、仕事に着ていく服はセンスや個性よりも「清潔感」が何よりも大事です。スーツ店の Web サイトやカタログに載っているコーディネートはベーシックな組み合わせが多いので、参考にすると失敗が少なくなります。 まとめ:集中力を無駄に使わないことが大切 アップルコンピュータ(現:アップル)の創業者で、Mac や iPhone を世に送り出したことでも有名なスティーブ・ジョブズ。彼もまた、発達障害であったと言われていますが、ジョブズは仕事に全神経を集中するために、同じ洋服(黒のタートルネックとデニムパンツ)を何着も持っていて、洋服選びに余分な集中力を使わないようにしていたそうです。 洋服に限らず、「何かを選ぶ・決める」ということは、それだけ集中力を消費することだとも言えるでしょう。 体力と同じように、私たちの集中力(気力)もまた有限です。皆さんが本当にやるべきことに集中力を使えるように、テンプレート化の HACK をぜひお試しください。 ディーキャリアは、大人の発達障害がある方の「はたらく」をサポートします 「働いても長続きしない」 「人間関係がうまくいかない」 「就職/転職をしたいが、自分に合った仕事があるの不安」 こんなお悩みをお持ちではありませんか。働く上で困りごとを感じて就職・転職を考えているけれど、なかなか一人では上手く行かない……そんな方のサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業。) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫す
【大人の発達障害(ADHD)の特性対策】アプリ活用で予定通りに行動!原因を理解して、遅刻対策をしよう。

Google カレンダー&マップを使って自分だけの「旅のしおり」を作り、注意欠如・多動性障害(ADHD) の特性あるあるの代表例である「遅刻」を防ぐHACKをご紹介します。

記事を読む
  • #はたラクHACK
  • #注意欠如・多動症(ADHD)
[toc] ADHD の脳の特性による困りごと:計画や見通しを立てるのが苦手 大人の発達障害、特に、ADHD(注意欠如・多動性障害)の困りごとの一つに「遅刻」が挙げられます。これは、①ワーキングメモリーの弱さと、②衝動性という 2 つの特性が、遅刻の原因となっているケースが多いためです。 ①「ワーキングメモリーの弱さ」が遅刻の原因となるケース 特性 困りごとの例 ・予定した時間にあわせて行動することが難しい ・マルチタスク(=同時に作業を行うこと)が苦手 ・出発時間を気にしながら「顔を洗う」「着替える」「朝食をとる」「部屋の片づけをする」等の準備を同時に進められず、想定以上の時間が掛かってしまう。 ・いろいろな準備をしている間に、予定そのものを忘れてしまう ②「衝動性(抑制の利かなさ)」が遅刻の原因となるケース 特性 困りごとの例 ・思いついたら、状況判断をせずに行動に移してしまう ・今やるべきこと以外のものに注意が向いてしまい、別のことに手を付けてしまう ・洗濯機を回すのに30分、干す作業に15分かかるのに、洗濯機の時間だけを考えて、出発30分前に洗濯を始めてしまう ・出かける直前になって部屋の汚れが気になり、掃除を始めてしまう   これらの特性から「計画性のなさ」「見通しの甘さ」が生まれてしまい、適切なセルフケアをおこなわないと「遅刻」を繰り返してしまうことになるのです。 この記事をご覧になっている方のなかにも、例えば、仕事やプライベートで約束があるときに 「まだ余裕があると思って準備していたら、電車の時間に間に合わなくなってしまった」   「最寄り駅からの所要時間を考えておらず、目的地に遅れて到着してしまった」 ……といったご経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、ADHD の困りごとである「遅刻」への対策として、 無料で使える Google マップと Google カレンダー を使った HACK をご紹介します ポイント①:移動時間もカレンダーに登録して見通しの甘さをカバー PC やスマートフォンで「カレンダー」のアプリを使ってスケジュールを管理されている方もいらっしゃるかと思いますが、今回の HACK の一つ目のポイントは、「面接」や「お客様とのアポイント」といった 約束そのものだけではなく、移動時間も一緒にカレンダーに登録 しておくことです。移動にかかる時間も予定に入れておくことで、時間の見通しが立てやすくなります。 PC でも スマートフォンでも、Google マップ のアプリを使うと簡単に移動時間を調べることができ、そのままカレンダーにも登録することができます。まず、Google マップで場所を調べ始める前に Google アカウントにログインしておきます。 Google アカウントにログインが済んだら、いつもどおりに目的地までの経路を調べます。ここでのポイントは、 目的地への到着時刻を指定して検索すること です。 Google マップの経路検索では、到着時刻を指定すると その時刻に目的地に着く ように検索をしてくれます。 電車・バスに乗車している時間だけでなく、最寄り駅から目的地までの徒歩の時間や、乗り換えに掛かる時間も考慮してくれるため、「何時に家を出て、何時に最寄り駅に着いていれば約束の時間に間に合うのか」を確認することができます。 表示された候補の中から経路を選び、詳細画面を下までスクロールすると「カレンダーに登録」というリンクがありますのでこれをタップします。 すると、先ほどログインした Google アカウントのカレンダーに、移動にかかる時間が予定として登録されます。予定の詳細を開くと、利用する交通機関の詳細も表示されるため、移動中にスマートフォンから確認するのにも便利です。 予定をカレンダーに登録しておくだけだと、「約束の時間に間に合うためには、いつ出発すれば良いのか」までは分かりません。移動にかかる時間も予定としてカレンダーに登録しておくことで、時間の見通しが立てやすくなり、より確実に到着できるようになります。 ポイント②:「待機できる場所」を予め見つけておく 遅刻しないための対策としてよく言われるのは「予定よりも少し早い時間に到着するようにする」というものです。しかし、10 分〜15 分程度の余裕しかないと交通機関に少しでも遅れがあったり、途中で乗り換えに手間取ったりするだけで、あっと言う間に時間がなくなってしまいます。 面接や商談など、ぜったいに遅刻できない約束の場合には、目的地の周辺でカフェなどの待機できる場所を探しておき、1 時間ほど前に到着するよう予定を立てておくことがオススメです。 Google マップには「目的地の周辺施設を検索する」という機能があります。例えば就職・転職の面接の場合、先方の会社周辺のカフェやファミレスを探しておきます。 1 時間余裕があれば、移動途中で何かトラブルがあっても十分対応できます。また、何ごともなく早く到着してもカフェやファミレスで休憩することができますので、気分を落ち着けたり、書類・資料を見返したりしてから、余裕を持って目的地へ向かうことができます。 また「移動途中で何かトラブルがあっても対応できる」という余裕を予め持っておくことで、ASD の「急な予定の変更があると対応が難しい」という特性に対しても効果があります。 まとめ:スケジュールを立てることで、見通しが立てやすくなり、気持ちに余裕ができる 学生時代の遠足や修学旅行で「旅のしおり」を作ったことがある方も多いと思います。しおりには目的地だけでなく、移動にかかる時間や途中の休憩場所など、前後の一連の予定が書かれていたのではないでしょうか。 Google マップと Google カレンダーを使うことで、自分だけの「旅のしおり」 を簡単に作ることができ、遅刻への対策を行うことができます。ぜひお試しください。 ディーキャリアは、大人の発達障害がある方の「はたらく」をサポートします 「働いても長続きしない」 「人間関係がうまくいかない」 「就職/転職をしたいが、自分に合った仕事があるの不安」 こんなお悩みをお持ちではありませんか。働く上で困りごとを感じて就職・転職を考えているけれど、なかなか一人では上手く行かない……そんな方のサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業。) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
<ADHD>リマインダーアプリで「やるべきことを忘れず実行」しよう
【大人の発達障害(ADHD)の特性対策】リマインダーアプリで物忘れを防止。ワーキングメモリー(記憶力)の弱み対策

ADHD の困りごとである「うっかり忘れ」。スマートフォンの無料アプリを使った対策方法をご紹介します。

記事を読む
  • #はたラクHACK
  • #注意欠如・多動症(ADHD)
[toc] ADHD の脳の特性による困りごと:ワーキングメモリーの弱み 大人の発達障害、特に、ADHD(注意欠如・多動性障害)の特性の一つとして、ワーキングメモリーの弱みがあります。ワーキングメモリーとは、脳の一時的な記憶の置き場であり、作業場のこと。この部分に弱みがあることによって、 不注意が起こりやすい 複数の作業を同時に進めることが難しい 注意し続けることが苦手 記憶力が低い、物忘れが多く覚えておくことが苦手 ……といった困りごとが起こる原因にもなります。例えば、忙しい朝の時間帯に 「あ!燃えるゴミの日だったのに、朝出すのを忘れてしまった……」 「今日は通院の日だったのに、準備をしてない!」 ……といったご経験をされたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、ADHD の困りごとへの対策として無料のリマインダーアプリを使った特性 HACKS をご紹介します。 ADHD の特性対策ポイント①:繰り返しの予定を設定する やるべきことを自分で覚えておくことに困難さがあるのであれば、アプリに任せてしまいましょう。リマインダーアプリには、有料で高機能なものも多くありますが、スマートフォンに最初から入っている無料のものでも十分に使えます。今回の HACKS では、iPhone に最初から入っている「リマインダー」のアプリを例にご紹介します。 まずは、ゴミ出しや公共料金の支払い、通院や薬の服用など、日々のやるべきことをアプリに登録していきます。 登録するときのポイントは、繰り返しの設定をすること。例えばゴミ出しのように「一定の期間で何回も繰り返す」ようなことであれば、繰り返しの設定を一度してしまえば、毎回設定し直す必要がありません。 ADHD の特性対策ポイント②:事前準備もリマインダーに登録する もう一つの大事なポイントは、事前に必要な準備も一緒に、リマインダーに登録することです。例えば「ゴミ出し」の場合、一見すると「ゴミを出す」という一つの行動で済みそうですが、実際には 1. 部屋のゴミ箱からゴミを回収する 2. ゴミ箱からいっぱいになった袋を取り出して、口を縛る 3. ゴミ箱に新しいゴミ袋をセットする 4. ゴミ置き場にゴミを出す ……というように複数の行動が必要です。収集日当日の朝に「ゴミを出す」というリマインダーアプリからの通知が鳴ったとしても、忙しい朝の時間帯に出かける準備をしながらこれだけの行動を忘れず行うことは難しくなってしまいます。 そこで、事前に(前日のうちに)準備できることは先に済ませておくようにします。上記の 4 つの行動であれば、1〜3までは前日の夜にやっておくよう、リマインダーに登録します。こちらも繰り返し設定をしておけば、毎週ゴミ出しの日の前夜に忘れず準備をすることができます。 このように、事前準備も一緒にリマインダーに登録しておけば、「当日の朝、リマインダーは鳴ったけれど、忙しくて結局できなかった」ということを防ぐことができます。 今回の特性HACKSまとめ:頼れるものには頼る 今回の HACKS の最大のポイントは「自分が苦手なことは、アプリに思い切り依存して任せてしまう」ということです。 例えば、プロ野球やプロサッカーチームでは、選手それぞれに得意な領域があり、ポジションが決まっています。自分の得意を活かし苦手を補い合うからこそ「チーム」としての強さを発揮することができます。 それと同じように、自分が苦手な領域は、それが得意なアプリに任せてしまえば良いのです。アプリは絶対に怠けることもありませんし、ウッカリ忘れてしまうこともありません。 もちろん、自分で対策をしようと努力をすることは大切ですが、苦手なことを気をつけようと必死になってパワーを浪費するより、頼れるものは頼って任せてしまった方がラクになりますし、本来、自分がやるべきこと(仕事や日常生活など)に集中することができます。 ADHD の特性対策に、リマインダーアプリをぜひご活用ください。 ディーキャリアは、大人の発達障害がある方の「はたらく」をサポートします 「働いても長続きしない」 「人間関係がうまくいかない」 「就職/転職をしたいが、自分に合った仕事があるの不安」 こんなお悩みをお持ちではありませんか。働く上で困りごとを感じて就職・転職を考えているけれど、なかなか一人では上手く行かない……そんな方のサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業。) 就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。 「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。 ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 執筆者 藤森ユウワ(ライター・編集) ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。 これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。 子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。 36 歳で ADHD・ASD と診断される。 診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。 誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。 さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。 自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。
発達障害のある方の「合理的配慮」事例集

働きづらさを感じている発達障害のある方に向け、実際に企業が提供している「合理的配慮」の事例をまとめました。 「仕事上の困難さ」に対する配慮内容をケースごとに紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

記事を読む
  • #合理的配慮
  • #自閉スペクトラム症(ASD)
  • #注意欠如・多動症(ADHD)
  • #限局性学習症(SLD)
合理的配慮の申請マニュアルの記事でもご紹介したとおり、企業や自治体、教育機関等の事業主(以下、本文では「企業等」と表記します)から合理的配慮の提供を受けるためには、以下の3つの条件を満たすことが前提となります。 障害が原因となる困難さ(障壁)であること障害者本人が、自己対処(セルフケア)をおこなっても、対処しきれないものであること企業等の側にとっても、重すぎる負担でなく、提供可能な範囲のものであること 特に 3. については、他の従業員に多大な影響が生じる場合や、かかる費用が企業等にとって過度な負担となる場合には「合理的ではない」と判断されます。 それでは、具体的にどんな内容であれば企業等に合理的配慮を求められるのでしょうか。この記事では、「発達障害」のある方に対し、実際に企業で提供されている、合理的配慮の事例をまとめました。この記事でご紹介しているのは、あくまでも「事例」ですので、同じものが・どの企業等からも提供されるわけではありませんが、ご自身の状態・状況に応じて、適切な合理的配慮の依頼をするために、参考にしてみてください。 [toc] 発達障害のある方の合理的配慮の事例1:作業への配慮 仕事上の困難さ提供されている合理的配慮急な予定の変更や、臨機応変な対応が苦手一日の業務スケジュールを立てた上で、その通りに業務を進めている。業務スケジュールに変更が生じる際には、管理者から本人へ、事前に説明をしている。指示を「口頭」でおこなった場合、一度で覚えきれずに、抜け漏れが発生してしまう指示の内容は社内のチャットツールを使い「文章」で伝えている。マニュアルや手順書等で、作業や指示内容を随時確認できるようにしている。作業の優先順位付けが苦手なため、複数の社員から指示をすると、混乱して効率よく作業が進められない指示系統を一本化し、指示をおこなう担当者を決めている。本人に何か指示をおこなう場合は、その担当者を通して指示をおこなう。担当者以外から本人に直接指示があった場合、本人から担当者に相談をして、どのように作業を進めるか決めるようにしている。マルチタスク(複数の作業を、同時に進める)が苦手一つの作業が終わってから、次の作業の指示を出している。「だいたい」「おおよそ」「なるべく」「できるだけ早く」などの曖昧な表現から、意図を想像して業務を調整することが難しい作業の期限日、必要な数量などを明確にし、具体的に説明するようにしている。 発達障害のある方の合理的配慮の事例2:仕事環境への配慮 仕事上の困難さ提供されている合理的配慮聴覚過敏で、周囲の話し声や電話の着信音、椅子を引く音などがあると、作業に集中できない集中が必要な作業の際には、耳栓の着用を許可している。視覚的な情報に反応しやすく、周囲が気になって、作業に集中することが難しい集中して作業ができるよう、席にパーテーションで仕切りを設けたり、人の動きや掲示物等が目に入りにくい座席配置にしたり、職場環境の調整をしている。 発達障害のある方の合理的配慮の事例3:コミュニケーションへの配慮 仕事上の困難さ提供されている合理的配慮周囲に迷惑をかけていないか気を遣いすぎることや、何をどう質問したらいいかわからないことから、自ら相談することが苦手毎日の朝礼と終礼の時間に、疑問点や不明点などを質問する時間を設けている。誰に相談をすれば良いのか分からないときに、相談ができないまま業務を進めてしまうことがある相談窓口となる社員を決めて、どのようなことでも、まずはその社員に相談をするようにしている。雑談が苦手、過集中で頑張りすぎてしまいがちである、疲労を自覚しながら業務のペース配分をすることが苦手であるなどの理由で、休憩時間に心が休まらず、十分な休憩が取れない休憩室として個室を別に設けている。人の少ない静かなエリアや、空いている会議室を休憩時間に使って良いことにしている。不安傾向が強く、業務を滞りなくおこなえているのか、常に不安を感じてしまう週に一度、その週の業務を振り返り、できている点や、もう少し頑張って欲しい点などを伝える時間を設けている。 発達障害のある方の合理的配慮の事例4:勤務条件への配慮 仕事上の困難さ提供されている合理的配慮体調不良の際に、満員電車など人が多い環境に長時間いると気分が悪くなってしまうことがある体調が優れない日は、事前に上司に連絡した上で、時差出勤を認めている。業務量や業務内容の調整をするなどの対応をするようにしている。毎月1回、通院のために休暇が必要予め、通院日のスケジュールを上司と共有しておき、通院日は優先的に休めるように調整している まとめ 「マルチタスクが苦手」「コミュニケーションが苦手」など、発達障害の「特性」と呼ばれるものは色々ありますが、それによって生じる困難さは、人それぞれに度合いが異なりますし、同じ特性であっても、周囲の環境によって困難さは変わってきます。 また、発達障害は「周囲から、障害の有無や困難さが目に見えづらい」ことから、企業等の側にとっても「どのような困難さを抱えているのかを伝えてもらわないと、どのような配慮をすべきかが分からない」ということがほとんどです。 そのため、合理的配慮については、自己理解を深め、業務遂行に必要な配慮を自ら申し出ることが必要となります。自分の特性について理解する方法や、必要な配慮の洗い出しについては、「合理的配慮」申請マニュアルの記事にてご紹介していますので、そちらもぜひご覧ください。 ただ、目の前の仕事や生活で困りごとを抱えている状態で、正しい知識を独学で身に付けることはたいへんです。 「自分の特性にあった自己対処は何をすればいいの?」「どのような形・タイミングで職場と相談すればいいの?」など、悩んでしまうことがあるかも知れません。 そんなときには、自分一人で抱え込まずに、専門家の手を借りることも検討してみましょう。 就労移行支援事業所ディーキャリアでは、働くことで悩みを抱えている発達障害のある方の支援をおこなっています。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 参考URL 内閣府|障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/law_h25-65.html 内閣府|合理的配慮等具体例データ集障害者雇用促進法に基づく障害者差別禁止・合理的配慮に関するhttps://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/jirei/ 厚生労働省|障害者雇用対策https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/index.html 厚生労働省|障害者雇用促進法に基づく障害者差別禁止・合理的配慮に関する Q&Ahttps://www.mhlw.go.jp/tenji/dl/file13-04.pdf
合理的配慮とは?基礎知識をまとめました。

障害による困りごとへの配慮を雇用先に求めることのできる「合理的配慮」について紹介しています。そもそも合理的配慮とは?自分は対象となるのか?どんな制度なのか?といった疑問にお答えするための基礎情報をまとめました。

記事を読む
  • #合理的配慮
  • #法律
  • #自閉スペクトラム症(ASD)
  • #注意欠如・多動症(ADHD)
  • #限局性学習症(SLD)
皆さんは合理的配慮という言葉をご存知でしょうか。具体的な内容までは知らなくとも「何となく言葉として見聞きしたことはある」という方は多いのではないかと思います。 「障害による困りごとへの配慮を、企業や自治体、教育機関等の事業主(※以下、本文では「企業等」と表記します)に求めることができる」というような説明がされることの多い合理的配慮ですが、しかし、そこには当然ながら一定のルールがあり、「困ってさえいれば、いつでも、どのような配慮でも求めることができる」というわけではありません。 「合理的配慮」について企業側と調整をすることは、障害のある方が働くうえでの大切なポイントです。そこで今回は、企業側へ合理的配慮の提供を求める際に、まず押さえておきたい基礎知識をご紹介します。 [toc] そもそも、合理的配慮とは? 合理的配慮とは、国の定める「障害者差別解消法」や「障害者雇用促進法」などの法律に登場するキーワードです。 障害者差別解消法は、「障害のあるなしに関わらず誰もが平等な人権を持ち、お互いを理解して皆が自分らしく共に生きる社会(共生社会)を実現すること」を目的として定められた法律です。その法律の中で、企業等に対して、「障害者から助けを求められた場合には、合理的配慮の提供をおこなう」ことが求められています。 障害者雇用促進法は、「働くことについて、障害のあるなしに関わらず、誰もが平等な機会や待遇を得られること」を目的とした法律です。その法律の中で、企業等に対して、「障害者が自分の能力を発揮して仕事をスムーズに進められるよう、合理的配慮の提供をおこなう」ことが求められています。 つまり、障害のあるなしに関わらず誰もが平等に生きることができる社会を実現するために、障害によっておきる困難さを取り除いたり、周りの環境を整えたりするなどの支援などの合理的配慮の提供が、企業等の側には求められているのです。 「合理的配慮」で押さえておくべき3つのポイント それでは、合理的配慮を理解するために、押さえておきたいポイントを3つに分けてご紹介します。 1.企業等の側との話し合いの上で、提供されるかどうかが決まる 法律では、企業等が合理的配慮を提供する場合に「負担が重すぎない範囲で、対応に努めること」と定められています。この「負担が重すぎない範囲で」とは、いったいどういうことなのでしょうか。 例えば、足に障害があり車椅子を使っている方が働くときに、「エレベーターからの導線に配慮してデスクの位置を決めて欲しい」と求めた場合、企業等の側の負担は、そこまで重くはないと言えます。 しかし、「エレベーターで上下の階を行き来せずに済むよう、ビルの6階にあるオフィスを1階に移転して欲しい」と求めた場合はどうでしょう。移転に掛かる費用や、他の従業員への影響を考えると、企業等の側の負担が、あまりにも重すぎると言えるのではないでしょうか。 障害者差別解消法も、障害者雇用促進法も、法律のもともとの目的は「障害のあるなしに関わらず、誰もが平等な社会の実現」です。つまり、障害者だけが困難を抱えて生きるのではなく、企業等の側だけが重い負担を強いられるのでもなく、お互いが理解し尊重し合い、共に生きていくという考え方が重要なのです。 この考え方にもとづき、障害者本人と企業等の側との話し合いの上で、合理的配慮が提供されるかどうかが決まります。「企業等の側が提供する配慮が、重すぎるか否か」は、以下の6つの要素と、対象となる障害者が抱える困難さとを総合的に検討して、判断されます。 1. 事業活動への影響の程度…合理的配慮の提供をおこなうことによって、企業等がおこなう生産活動や、サービスの提供に、どの程度影響が発生するか。2. 実現困難度…合理的配慮の提供をおこなうために、設備や人材を確保する難しさの度合い。3. 費用負担の程度…合理的配慮の提供のために、企業等の側が負担する費用の程度。4. 企業の規模…企業の規模による負担の程度の違い。(大企業の方が、社会的責任が大きいとされる。)5. 企業の財務状況…合理的配慮の提供を行っても問題がない、財務状況かどうか。6. 公的支援の有無…合理的配慮の提供をおこなうにあたり、公的な支援が利用できるかどうか。 「お互いを理解し、尊重し合う」ためには、企業等の側に求めるだけでなく、障害者の側も「自分で行える対処=セルフケア」を提示して、すり合わせをおこなうことが大切です。 よって、合理的配慮の提供がどこまでされるのかを話し合うときには、「障害が原因となる困難さのうち、セルフケアをしても対応しきれないことであり、かつ、企業等の側にとっても重い負担がなく提供可能な範囲かどうか」がポイントとなります。 2.合理的配慮は障害者手帳がなくても求めることができる 合理的配慮の提供を受けることができる「障害者」とは、「障害者手帳を持っている人のこと」だけではありません。 手帳の有無や、障害の種別(身体・知的・精神)、雇用の形態(障害者雇用か一般雇用か)を問わず、障害の特性によって、社会のなかで困難さを抱えている人すべてが対象となります。(もちろん、発達障害の方も対象です。) なお、「医師の診断書」についても、法律上は、合理的配慮の提供を判断する基準として定められてはいません。しかし、実際に合理的配慮の提供を申請し、話し合いをおこなう際には、提供する配慮の内容について専門家からのアドバイスを受けたり、公的な支援の申請を行ったりするための資料の一つとして、医師の診断書や意見書の提出を求められるケースがほとんどです。 3.合理的配慮を求める場合は、障害者が自分から申請する 法律では、「障害者から何らかの助けを求める意思が伝えられた場合に、合理的配慮を提供する」と定められており、障害者の側から企業等の側に対しての申請が必要です。 一見すると、「困りごとを抱えている人がいるのなら、周りから気が付いて支援してあげるべきではないか」と考えてしまいますが、これには、障害者福祉に関する法律の整備に障害者自身が関わってきたという歴史的な背景の影響があります。 2006年に国連で採択された「障害者権利条約」は、“Nothing about us without us”(私たち抜きに私たちのことを決めるな)を合い言葉に、その策定が進められました。 かつて、障害者は「一般社会から保護される無力な存在」とされ、自分の人生を自分で選択し、決めることが許されなかったという時代が存在しました。国連で条約が採択された背景には、障害者はこのような「保護的支配」を受けるものではなく、普通の市民としての権利を持つ人間であることを強く訴えるメッセージがあったのです。 そのため、合理的配慮の提供においても、障害者の「当事者としての意思表示」が重要とされているのです。 一人ひとりの特性に応じた配慮事項を考えることが大事 合理的配慮について企業等の側と調整をすることは、障害者のある方が自分の能力を活かし、自分らしく働くうえでの大切なものです。 合理的配慮申請マニュアル、合理的配慮の事例集の記事では、実際にすり合わせをおこなう際の、具体的なポイントについて解説していますので、ぜひお読みください。 ただ、目の前の仕事や生活で困りごとを抱えている状態で、正しい知識を独学で身に付けることはたいへんです。 「自分の特性にあった自己対処は何をすればいいの?」「どのような形・タイミングで職場と相談すればいいの?」など、悩んでしまうことがあるかも知れません。 そんなときには、自分一人で抱え込まずに、専門家の手を借りることも検討してみましょう。 就労移行支援事業所ディーキャリアでは、働くことで悩みを抱えている発達障害のある方の支援をおこなっています。 就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業) ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。 お電話(0120-802-146)はこちら▶ お問い合わせフォームはこちら▶ また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。 全国オフィス一覧はこちら▶ 就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。 参考URL 内閣府|障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/law_h25-65.html 内閣府|合理的配慮等具体例データ集https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/jirei/ 厚生労働省|障害者雇用対策https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/index.html 厚生労働省|障害者雇用促進法に基づく障害者差別禁止・合理的配慮に関する Q&Ahttps://www.mhlw.go.jp/tenji/dl/file13-04.pdf