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就労移行支援事業所のよくある質問集

就労移行支援に興味があるけど、問い合わせをする前に詳しいことを知りたい!といった方に向け、就労移行支援事業所ディーキャリアに多く寄せられるご質問をまとめました。

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メールやお電話での無料相談、そして、ディーキャリア各事業所で行っている無料相談会では、大人の発達障害がある方で、悩みを抱えている方から、多くのご相談をいただきます。 最近は「大人の発達障害」に対する社会的な認知度が高まり、テレビ番組や雑誌などでも取り上げられることが増えてきました。また、インターネットでも、専門的な情報から実際の当事者による体験談まで、さまざまな情報を手に入れることができるようになりました。 一方で、誰とも相談しないまま、「調べれば調べるほど、一人で悩んでしまう」という方も多くいらっしゃいます。「誰かに相談する」というのは、なかなかハードルが高いもの。最初の一歩を踏み出すには、勇気が必要です。 そこでこちらの記事では、私たちがご相談をいただくなかで、「就労移行支援事業所」についての、よくある質問をまとめました。「同じ困りごとを抱えている人が、どんなポイントで悩んでいるのか」を知ることで、ご自身の悩みを解決するための、ヒントを得られるかもしれません。 [toc] Q1.就労移行支援事業所の選び方のコツは? A1.「1. 訓練プログラムの内容」「2. 事業所の立地・雰囲気」「3. 利用者の属性(障害種別や年齢等)」「4. 就職実績」の4つの観点から選ぶことをおすすめしています。 いずれもWebサイトやパンフレットだけでは分からないところが多いので、見学や体験に行くことをおすすめします。それぞれの詳細を以下に解説します。 1. 訓練プログラムの内容 どの就労移行支援事業所でも、「一般就労を目指す」というゴールは同じですが、運営している法人・団体や事業所により、どのような内容に取り組む訓練プログラムになっているのかは異なります。まずは、自分にとって必要な知識やスキルを身に付けられる内容かどうかを確認しましょう。 これまでのお仕事のご経験やスキル、そして障害による困りごとの内容により、訓練を「簡単すぎてつまらない」と感じてしまう、逆に「難しすぎてついていけない」と感じてしまうことがあります。訓練プログラムのレベル感が自分に合っているかどうか、確認することが大切です。 近年は、障害の種別に合わせて強みを持つ事業所や、専門的なスキル(IT系など)を習得できる事業所が増えてきています。例えば、うつ病等の方の復職を支援する、在宅ワークができるようにIT系のスキルの習得を支援するといった事業所もあります。就労移行支援事業所ディーキャリアでは、主に「大人の発達障害の特性」のある方に向けて、 ・自分の障害特性を知り、特性による得意・不得意を理解すること ・環境や業務内容など苦手なことへの対策・打ち手を考え、実践をすること ・感情への向き合い方やストレスへの対処法を学ぶこと ・対人関係やストレス対処・業務上で必要なコミュニケーション方法を身につけること ……など、発達障害ならではの課題に向き合う訓練プログラムをご用意しています。 また、ディーキャリアITエキスパートは、就労移行支援事業所であるとともにIT・Web 系専門職(プログラマーなど)を目指す「プログラミングスクール」としての機能を併せ持っており、実務スキルの習得だけなく、発達障害の特性理解や対応方法とを同時に学ぶことができます。 2. 事業所の立地・雰囲気 就労移行支援事業所は「通所型」(自宅でサービスを受けるのではなく、事業所へ自分で通うタイプ)のサービスですので、通い続けられるかどうかというのも大切なポイントです。自宅からの通所のしやすさもしっかりと確認しておきましょう。 事業所に通っている期間の中では、気分や体調がすぐれない時期もあるかも知れません。交通機関に乗っている時間はそれほど長くなかったとしても、例えば ・乗り換えの便が悪い ・混雑が激しい ・遅延や運休があった場合に代替の路線がない ……といったことがあると、通うことが困難になってしまう可能性もあります。インターネットの「乗り換え案内」で調べるだけでなく、見学に行く際に、通所する場合の実際のルートを、自分で確認してみることも大切です。 事業所の雰囲気は、運営している法人が同じ=提供されている訓練プログラムが同じであっても、建物の内装やスタッフによって、だいぶ異なるように感じられることがあります。 通所している他の利用者の方や、スタッフとの相性も当然あります。また、事業所の建物によっては、例えば「窓が大きい建物で、視覚過敏のためまぶしくて集中ができない」ということもあるかも知れません。 見学や体験の際には、自分にとって居心地が悪くないか、大きな負担のかからない環境であるかを確認しておきましょう。 3. 利用者の属性(障害種別や年齢等) その事業所をすでに利用している他の利用者の方について、どの障害種別(身体・知的・精神)の方が多いのかは、自分に合った事業所を探すための大切なポイントの一つです。 自分と同じ困りごとを抱えている方が多ければ、その困りごとに合わせた訓練プログラムやサポートも手厚くなります。また、他の利用者の方と悩みや課題を共有することもできるかも知れません。 同様に、利用者の方の年齢層が自分と合っているかどうかも、通いやすさを左右するポイントになります。 4. 就職実績 事業所を比べる際に、数字でもっとも端的に比較しやすいのが就職実績です。以下の4つの項目を確認しておきましょう。特に注目すべきは「就職率」と「定着率」です。   「就職実績」として確認しておきたい4つの項目 1. 就職率 事業所を退所(※)した人のうち、一般就労等をした方の割合。その事業所が「仕事に必要な知識・スキルを含め、実際の就職にむけた支援を十分にできているか 」を測る指標となる。 2. 定着率 事業所の退所後に入社した企業等を、早期退職せずに継続して勤務している方の割合。その事業所が「長期的に継続した安定就労をするために、必要な支援が十分にできているか 」を測る指標となる。 3. 就職人数 その事業所を退所して就職した人の人数。「延べ人数」や「累計」の場合は、単純に開所からの年数が長いほど増えるので、「直近半年~1年の実績」を確認すると、最新の 事業所から一般就労への移行状況を比較しやすい 。 4. 就職実績のある業界・職種 その事業所を退所した人が就職した企業の業界や職種。「その事業所が、どの分野の就職に強みがあるのか」という特色が現れやすいため、希望する業界・職種がある場合はチェックすると良い。 ※ 就労移行支援事業所では、「訓練を終えて就職した人」「就職が決まらず途中で退所、または、利用期間が終了した人」も、いずれも「退所」と表記します。 新しく開所したばかりの事業所はまだ実績がない(あるいは、少ない)ため、数字を公表する準備ができていない(=数字が公表されていない)場合もあります。同じ法人が複数の事業所を運営している場合には、当該法人の別の事業所の数字を参考にすると良いでしょう。 なお、最近では、1社で長く働くだけでなく、複数の会社で働く「複業(副業)」や「個人事業主(フリーランス)」といった、多様な働き方が認知されるようになってきました。 そういった働き方を目指される方もいらっしゃるかと思いますが、「心身の健康が安定して、長く働き続けること」という観点はどのような働き方にも共通しますので、就職率・定着率などの数字はぜひ参考にしてみてください。 Q2. 就労移行支援事業所に通うことで具体的にどんなことが身に付くの? A2.「企業に求められる人物像」になるための基礎知識や能力を身に付けることができます。 「企業に求められる人物像」というと「何か特定の経験やスキルを持っていること」を思い浮かべがちですが、実際には下記のような条件が上位にランクインしています。 <障害者雇用枠における、企業が求める採用条件 TOP 5>※ディーキャリア調べ 1. 生活リズムが整っており、勤怠が安定していること 2. 障害への自己受容ができていること 3. ストレスへの自己対処ができること 4. 就労意欲・仕事への熱意があること 5. 最低限のビジネスマナーがあること このように、業務経験や特定の資格・スキルよりも「働く上での基本的なこと」が重視されており、それだけ基本的なことの実践が難しいとも言えます。 障害の有り・無しにかかわらず、自分のことを理解し必要な対応をすることは、なかなか難しいものです。自分一人では難しいことでも、身につけていくことができるよう、専門の支援員によるサポートを受けることも一つの方法です。 就労移行支援事業所ディーキャリアでは、まずは「働く上での基本的なこと」を学び、習得することを目指します。その基礎の上に、その人その人の「強み」や「やりがい」を明確化し、それらを活かせる職場探しを支援します。 さらに、実務スキルを高めるための模擬職場を用意し、PCスキル(Word、Excel、PowerPointなどオフィスソフト)の向上を目指すための訓練プログラムをご提供しています。 Q3. 一日の利用時間は?毎日通わなければならないの? A3.「1日4~6時間」を訓練時間とする就労移行支援事業所が多いようです。 法律上は「1日の訓練時間」や「通所する日数」は特に定められていませんが、「一般企業への就職を目指す」という観点から、実際に働く際の時間や日数を想定して設定している事業所が多いようです。 なお、事業所によっては平日だけではなく、土日祝日も開所している場合があり、受給者証の契約支給量の範囲内であれば、週5日以上通所することもできます。 いずれにせよ、支援スタッフと相談しながら、スケジュールを組み立てると良いでしょう。 就労移行支援事業所「ディーキャリア」での事例 ディーキャリアでは、10:00~15:00が訓練時間です。(うち1時間休憩、15:00〜16:00までは任意で自習・面談可) 「毎日通所をしなければならない」というルールはありません。利用開始前の面談や、実際に契約を開始する際の契約時に希望する通所日数をお伝えいただくことができます。 また入所後は、月1回「タイムカード(通所の予定表)」をご自身で作成しており、その際に調整していただくことも可能です。もちろん、体調不良や忌引き等の場合には、ご連絡をいただいたうえで欠席することもできます。 「勤怠の安定を目指すために、カレンダー通りの土日祝日を除いた平日は毎日通所をする」という方もいれば、「まずは体調を安定させるために、月・水・金曜日のみ」という方もいます。ご自身の希望や体調や障害の状況により、調整をすることが可能です。
就労移行支援事業所とは?対象者・料金・サービス内容をまとめました。

障害のある方が「働く」ことへの不安やお悩みを抱える方をサポートする、障害福祉サービスの「就労移行支援事業所」。利用対象や利用料金、サービス内容などの基本情報を紹介しています。

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「障害者雇用での就職・転職を目指しているけれど、うまく働けるだろうか」「過去の失敗を繰り返さないように、自分だけで対処できるだろうか」 自分の障害と向き合いながら「働く」ことを考えたとき、このような不安な気持ちを抱いてしまうことありませんか。今回のコラムでは、障害者が「働く」うえでの上記のようなお悩みに対し支援を提供している「就労移行支援事業所」について紹介します。 [toc] 就労移行支援とは 就労移行支援とは、障害者総合支援法(正式名称:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)で定められた障害福祉サービスの一つで、障害のある方の「働く」を支援するサービスです。 サービスの具体的な内容としては、一般企業への就職を目指す65歳未満の障害のある方を対象として、下記のような支援を提供します。 ・働くうえで必要な知識・技能を身につけるための職業訓練 ・就職活動のサポート ・個人の適性や経験などに応じ、企業の求人を開拓 ・就職した後に、長期間・安定的に働くための支援(定着支援) 上記のサービスを原則として24カ月(2年)の間、利用することができます。 就労移行支援事業所とは 就労移行支援事業所とは、就労移行支援のサービスを提供する事業所のことです。障害福祉課などの自治体の支援窓口や、病院・クリニックなどで近隣の就労移行支援事業所の紹介を受けたり、パンフレットを見かけたりしたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。 国の調査によれば、就労移行支援事業所は2019年10月1日時点で全国に3,506か所あります。ボランティアのようなものではなく、国・自治体からの税金と利用する障害者からの利用料とで運営されており、自治体から指定を受けた民間企業や社会福祉法人、NPOが運営を行っています。 専門学校や塾などと同じように、事業所によって特徴はさまざまです。雰囲気や利用者層が異なるだけではなく、サービスとして提供される訓練や就職活動サポートの内容、そして、どの分野に強みがあるか(例:IT系企業への就職に強い)など、その特徴は多岐にわたります。 なお、私たちが運営している就労移行支援事業所ディーキャリアついては、下記のページをご参照ください。 ・ディーキャリアの特徴 ・ディーキャリアの就職支援 対象となる方 就労移行支援は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスであるため、利用には所定の要件があります。また、実際に利用する場合には、お住まいの自治体に利用を申請し、希望するサービスの利用を認定された障害福祉サービス受給者証(以下、受給者証)の発行を受ける必要があります。 就労移行支援の対象になる方は、以下のとおりです。 ・原則として18歳以上満65歳未満(※)の方 ※例外として「65歳に達する前の5年間に障害福祉サービスの支給決定を受けていた方で、65歳に達する前日において就労移行支援の支給決定を受けていた方は、当該サービスについて引き続き利用することが可能」と定められています。 ・身体障害、知的障害、精神障害(統合失調症やうつ病、双極性障害、適応障害、てんかんなど)、発達障害や、難病の方のある方 ・一般企業(※)への就職を目指しており、就労が可能と見込まれている方 ※「就労継続支援事業所(A型・B型)」のように、通常の事業所に雇用されることが困難な方に向けた、福祉支援のある事業所は対象となりません。 ・現在、就労していない方(※) ※申請を受け付ける自治体の判断により、休職中やアルバイトをされている方などの利用が例外的に認められる場合もあります。休職者については、所定の要件を満たす場合に利用が可能となります。 就労移行支援は、障害者手帳をお持ちでない方でも、医師の診断書や意見書など、障害や疾患により支援が必要であることが確認できる書類があれば、利用を申請することができます。 また、一般企業で働いていたが休職中の方や、在学中の大学生(4年制大学・大学院・短大・高専含む)の方についても、一定の条件を満たす場合には、ご利用いただけることがあります。 ディーキャリアでは、「復職する予定が決まっている休職中の方」や「大学4年生の方」が利用されている事例がありますが、その可否を判断するのはあくまで申請を受け付ける自治体です。
合理的配慮のよくある質問集

「合理的配慮」に詳しく知りたい方に向け、よくあるご質問形式で補足情報をまとめました。

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メールやお電話での無料相談、そして、ディーキャリア各事業所で行っている無料相談会では、大人の発達障害の特性に悩まれている方から、多くのご相談をいただきます。 最近は「大人の発達障害」に対する社会的な認知度が高まり、テレビ番組や雑誌などでも取り上げられることが増えてきました。また、インターネットでも、専門的な情報から実際の当事者による体験談まで、さまざまな情報を手に入れることができるようになりました。 一方で、誰とも相談しないまま、「調べれば調べるほど、一人で悩んでしまう」という方も多くいらっしゃいます。「誰かに相談する」というのは、なかなかハードルが高いもの。最初の一歩を踏み出すには、勇気が必要です。 そこでこちらの記事では、私たちがご相談をいただくなかで、「合理的配慮」についての、よくある質問をまとめました。「同じ困りごとを抱えている人が、どんなポイントで悩んでいるのか」を知ることで、ご自身の悩みを解決するための、ヒントを得られるかも知れません。 ※本記事では、「企業や自治体、教育機関等の事業主」を、便宜上「企業等」と表記しています。 [toc] Q1. 「合理的配慮」は、障害のある当事者からの申し出であれば、どんな内容でも対応してくれるの? A1. どんな内容でも対応してもらえるわけではありません。申し出の内容が「合理的であるか」が判断軸となります。 法律では、企業等が合理的配慮を提供する場合に「負担が重すぎない範囲で、対応に努めること」と定められています。また、企業等の側に配慮を求めるだけでなく、障害者の側も「自分で行える対処=セルフケア」を提示して、すり合わせをおこなうことが大切です。 つまり、「合理的であるかどうか」を判断するポイントは、「障害が原因となる困難さのうち、セルフケアをしても対応しきれないことであり、かつ、企業等の側にとっても重い負担がなく提供可能な範囲かどうか」がポイントとなります 参考記事:合理的配慮ってなに?−「合理的配慮」で押さえておくべき3つのポイント Q2.障害のことを開示せずに「合理的配慮」を求めることはできるの? A2. 合理的配慮の提供を求めるためには、企業等の側に、障害のことを開示する必要があります。 合理的配慮は、「障害者差別解消法」や「障害者雇用促進法」で定められています。法律の名前にあるとおり、いずれの法律も障害のある方に対する支援を目的としていますので、障害があることを開示しなければなりません。 なお、障害があることを証明するための書類については、Q5. をご参照ください。
「合理的配慮」申請マニュアル 流れとポイントを紹介

合理的配慮を依頼したいけど、どうやって勤務先に伝えればいいの?対応してもらるか不安… といった方に向け、4つのステップに分け、申請方法をまとめました。

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合理的配慮は、障害者のある方が自分の能力を活かし、自分らしく働くうえでの大切なものです。基礎知識についての記事でもご紹介したとおり、合理的配慮が提供されるか否かは、障害者本人と、企業や自治体、教育機関等の事業主(以下、本文では「企業等」と表記します)との話し合いによって決まります。 この記事では、企業等の側と話し合いをおこない、実際に合理的配慮の提供を受けて働くまでを4つのステップに分けて解説します。企業によって手続きの詳細が異なる場合もありますが、合理的配慮を申請する際の一例として、参考にしてみてください。 [toc] まず押さえておきたい前提条件 4つのステップの解説に入る前に、合理的配慮の提供を受けるための前提条件について振り返っておきましょう。合理的配慮の提供については、「障害者差別解消法」や「障害者雇用促進法」で規定されていますが、これらの法律の目的は「障害のあるなしに関わらず、誰もが平等な社会の実現」です。 つまり、障害者だけが困難を抱えて生きるのではなく、企業等の側だけが重い負担を強いられるのでもなく、お互いが理解し尊重し合い、共に生きていくという考え方が重要となります。この考え方にもとづき、前提条件として次の3つのポイントを押さえておくことが大切です。 ① 障害が原因となる困難さ(障壁)であること ② 障害者本人が、自己対処(セルフケア)を行っても、対処しきれないものであること ③ 企業等の側にとっても、重すぎる負担でなく、提供可能な範囲のものであること そして、合理的配慮の提供は「障害者本人が自分から申し出る」ことが必要です。厚生労働省の定める「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン」にもとづき、企業等の側には障害者のプライバシー保護が求められているため、従業員に対して積極的に障害についての質問を行うことはできません。 特に、精神障害(発達障害を含む)については、「周囲から、障害の有無や困難さが目に見えづらい」ことから、企業等の側にとっても「どのような困難さを抱えているのかを伝えてもらわないと、どのような配慮をすべきかが分からない」ということがほとんどです。そのため、自らの申し出ることが必要なのです。 上記の前提条件を押さえたうえで、次の4つのステップで準備を進めていきましょう。 ステップ1:障害による「仕事上の困難さ」が何かを理解する 最初のステップでは、自分自身を理解することから始めます。具体的には、これまでの仕事の経験を振り返り、自分が困難さを感じた場面を、紙に書き出して整理していきます。(企業等での就業経験のない方は、アルバイトや、学校生活のなかで感じた困難さでも構いません。) <仕事上の困難さ> ・ケアレスミスや忘れ物・無くし物が多い ・曖昧な表現(だいたい、なるべく早くなど)が理解できない ・周囲の話し声や環境音に敏感で、集中が難しい 振り返る際のポイントは、困難さそのものに注目し、過去の自分を責めないことです。困難さを感じるのは「何かの失敗をしてしまった」場面であることが多く、上司から叱責を受けたり、同僚の前で恥ずかしい思いをしたりした記憶を思い出して、気持ちが辛くなってしまうことがあるかも知れません。 しかし、ここで振り返りを行う目的は、あくまで「自分自身を理解し、未来に向けた次の一歩を踏み出すこと」です。客観的に振り返るためにも、頭の中だけで考えるのではなく、紙に書き出してみることをおすすめします。もし、うまく整理できない場合には、「大人の発達障害とは」のページで発達障害の特性による困りごとの例をご紹介していますので、自分がそれらに「当てはまるか、当てはまらないか」で考えてみるのも良いでしょう。 ステップ2:困難さに対する「自己対処法(セルフケア)」を考える 次に、自分でできる対処=セルフケアがないかを検討します。ステップ1で洗い出した困難さの一つ一つについて、表形式にして考えてみると整理がしやすくなります。 仕事上の困難さ 自己対処法(セルフケア) ケアレスミスや忘れ物・無くし物が多い 仕事の手順や持ち物のチェックリストを作って確認する 曖昧な表現(だいたい、なるべく早くなど)が理解できない 何を・いつまでに・どのようにするのか、質問して確認する 周囲の話し声や環境音に敏感で、集中が難しい 集中が必要な作業を行う時間帯を決め、その時間は話しかけない、電話を取り次がないよう、周囲にお願いする 自己対処法の事例ついては、こちらの記事にて紹介していますので、参考にしてみてください。
発達障害のある方の「合理的配慮」事例集

実際に企業が提供している「合理的配慮」の事例をまとめました。 「仕事上の困難さ」に対する配慮内容をケースごとに紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

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合理的配慮の申請マニュアルの記事でもご紹介したとおり、企業や自治体、教育機関等の事業主(以下、本文では「企業等」と表記します)から合理的配慮の提供を受けるためには、以下の3つの条件を満たすことが前提となります。 ① 障害が原因となる困難さ(障壁)であること ② 障害者本人が、自己対処(セルフケア)をおこなっても、対処しきれないものであること ③ 企業等の側にとっても、重すぎる負担でなく、提供可能な範囲のものであること 特に③については、他の従業員に多大な影響が生じる場合や、かかる費用が企業等にとって過度な負担となる場合には「合理的ではない」と判断されます。 それでは、具体的にどんな内容であれば企業等に合理的配慮を求められるのでしょうか。この記事では、「発達障害」のある方に対し、実際に企業で提供されている、合理的配慮の事例をまとめました。この記事でご紹介しているのは、あくまでも「事例」ですので、同じものが・どの企業等からも提供されるわけではありませんが、ご自身の状態・状況に応じて、適切な合理的配慮の依頼をするために、参考にしてみてください。 [toc] 発達障害のある方の合理的配慮の事例1:作業への配慮 仕事上の困難さ 提供されている合理的配慮 急な予定の変更や、臨機応変な対応が苦手 一日の業務スケジュールを立てた上で、その通りに業務を進めている。業務スケジュールに変更が生じる際には、管理者から本人へ、事前に説明をしている。 指示を「口頭」でおこなった場合、一度で覚えきれずに、抜け漏れが発生してしまう 指示の内容は社内のチャットツールを使い「文章」で伝えている。マニュアルや手順書等で、作業や指示内容を随時確認できるようにしている。 作業の優先順位付けが苦手なため、複数の社員から指示をすると、混乱して効率よく作業が進められない 指示系統を一本化し、指示をおこなう担当者を決めている。本人に何か指示をおこなう場合は、その担当者を通して指示をおこなう。 担当者以外から本人に直接指示があった場合、本人から担当者に相談をして、どのように作業を進めるか決めるようにしている。 マルチタスク(複数の作業を、同時に進める)が苦手 一つの作業が終わってから、次の作業の指示を出している。 「だいたい」「おおよそ」「なるべく」「できるだけ早く」などの曖昧な表現から、意図を想像して業務を調整することが難しい 作業の期限日、必要な数量などを明確にし、具体的に説明するようにしている。
合理的配慮とは?基礎知識をまとめました。

障害による困りごとへの配慮を雇用先に求めることのできる「合理的配慮」。 自分は対象となるのか?どんな制度なのか?といった疑問にお答えするための基礎情報をまとめました。

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皆さんは合理的配慮という言葉をご存知でしょうか。具体的な内容までは知らなくとも「何となく、言葉として見聞きしたことはある」という方は多いのではないかと想います。 「障害による困りごとへの配慮を、企業や自治体、教育機関等の事業主(※以下、本文では「企業等」と表記します)に求めることができる」というような説明がされることの多い合理的配慮ですが、しかし、そこには当然ながら一定のルールがあり、「困ってさえいれば、いつでも、どのような配慮でも求めることができる」というわけではありません。 「合理的配慮」について企業側と調整をすることは、障害のある方が働くうえでの大切なポイントです。そこで今回は、企業側へ合理的配慮の提供を求める際に、まず押さえておきたい基礎知識をご紹介します。 [toc] そもそも、合理的配慮とは? 合理的配慮とは、国の定める「障害者差別解消法」や「障害者雇用促進法」などの法律に登場するキーワードです。 障害者差別解消法は、「障害のあるなしに関わらず誰もが平等な人権を持ち、お互いを理解して皆が自分らしく共に生きる社会(共生社会)を実現すること」を目的として定められた法律です。その法律の中で、企業等に対して、「障害者から助けを求められた場合には、合理的配慮の提供をおこなう」ことが求められています。 障害者雇用促進法は、「働くことについて、障害のあるなしに関わらず、誰もが平等な機会や待遇を得られること」を目的とした法律です。その法律の中で、企業等に対して、「障害者が自分の能力を発揮して仕事をスムーズに進められるよう、合理的配慮の提供をおこなう」ことが求められています。 つまり、障害のあるなしに関わらず誰もが平等に生きることができる社会を実現するために、障害によっておきる困難さを取り除いたり、周りの環境を整えたりするなどの支援などの合理的配慮の提供が、企業等の側には求められているのです。 「合理的配慮」で押さえておくべき3つのポイント それでは、合理的配慮を理解するために、押さえておきたいポイントを3つに分けてご紹介します。 1.企業等の側との話し合いの上で、提供されるかどうかが決まる 法律では、企業等が合理的配慮を提供する場合に「負担が重すぎない範囲で、対応に努めること」と定められています。この「負担が重すぎない範囲で」とは、いったいどういうことなのでしょうか。 例えば、足に障害があり車椅子を使っている方が働くときに、「エレベーターからの導線に配慮してデスクの位置を決めて欲しい」と求めた場合、企業等の側の負担は、そこまで重くはないと言えます。 しかし、「エレベーターで上下の階を行き来せずに済むよう、ビルの6階にあるオフィスを1階に移転して欲しい」と求めた場合はどうでしょう。移転に掛かる費用や、他の従業員への影響を考えると、企業等の側の負担が、あまりにも重すぎると言えるのではないでしょうか。 障害者差別解消法も、障害者雇用促進法も、法律のもともとの目的は「障害のあるなしに関わらず、誰もが平等な社会の実現」です。つまり、障害者だけが困難を抱えて生きるのではなく、企業等の側だけが重い負担を強いられるのでもなく、お互いが理解し尊重し合い、共に生きていくという考え方が重要なのです。 この考え方にもとづき、障害者本人と企業等の側との話し合いの上で、合理的配慮が提供されるかどうかが決まります。「企業等の側が提供する配慮が、重すぎるか否か」は、以下の6つの要素と、対象となる障害者が抱える困難さとを総合的に検討して、判断されます。 1. 事業活動への影響の程度…合理的配慮の提供をおこなうことによって、企業等がおこなう生産活動や、サービスの提供に、どの程度影響が発生するか。 2. 実現困難度…合理的配慮の提供をおこなうために、設備や人材を確保する難しさの度合い。 3. 費用負担の程度…合理的配慮の提供のために、企業等の側が負担する費用の程度。 4. 企業の規模…企業の規模による負担の程度の違い。(大企業の方が、社会的責任が大きいとされる。) 5. 企業の財務状況…合理的配慮の提供を行っても問題がない、財務状況かどうか。 6. 公的支援の有無…合理的配慮の提供をおこなうにあたり、公的な支援が利用できるかどうか。 「お互いを理解し、尊重し合う」ためには、企業等の側に求めるだけでなく、障害者の側も「自分で行える対処=セルフケア」を提示して、すり合わせをおこなうことが大切です。 よって、合理的配慮の提供がどこまでされるのかを話し合うときには、「障害が原因となる困難さのうち、セルフケアをしても対応しきれないことであり、かつ、企業等の側にとっても重い負担がなく提供可能な範囲かどうか」がポイントとなります。 2.合理的配慮は障害者手帳がなくても求めることができる 合理的配慮の提供を受けることができる「障害者」とは、「障害者手帳を持っている人のこと」だけではありません。 手帳の有無や、障害の種別(身体・知的・精神)、雇用の形態(障害者雇用か一般雇用か)を問わず、障害の特性によって、社会のなかで困難さを抱えている人すべてが対象となります。(もちろん、発達障害の方も対象です。) なお、「医師の診断書」についても、法律上は、合理的配慮の提供を判断する基準として定められてはいません。しかし、実際に合理的配慮の提供を申請し、話し合いをおこなう際には、提供する配慮の内容について専門家からのアドバイスを受けたり、公的な支援の申請を行ったりするための資料の一つとして、医師の診断書や意見書の提出を求められるケースがほとんどです。
【企業人事に聞いた】変わりつつある「障害者雇用」への考え方

最近、障害のある人が働きやすくなったって聞くけど本当?障害者雇用担当者のリアルな声をまとめました。

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障害者雇用・一般雇用(オープン・クローズ)のメリット・デメリットについては、こちらの記事でもご紹介させていただきましたが、その内容は「これまでの」障害者雇用に関するものでした。 近年は、企業の障害者雇用への理解も深まってきており、また、社会的な情勢の変化もあって、障害者雇用のあり方が変わってきています。私たちが企業の障害者雇用担当者から直接お話しをお伺いしたところ、大きく2つの動きがあることがわかりました。 この記事では、時代とともに変わりつつある「これからの」障害者雇用についてご紹介します。 [toc] ①「戦力」としての採用 「障害への配慮はするが、業務内容や評価制度は一般雇用と同じ」という求人が増えています。 これまで企業は、障害者雇用を「法定雇用率を達成する」「CSR(企業の社会的責任)を果たす」といった側面から捉えていることが少なくありませんでした。しかし近年では、障害の有無を問わず、戦力となり得るかを採用基準とする企業が増加傾向にあります。 従来の障害者雇用では、一般的に下記のようなデメリットがあると言われてきました。 ●昇格の機会が少ない ●昇給を目指すことが難しい ●任せられる仕事の裁量が少ない ●職域が狭く、同じ作業の繰り返し ●専門的な知識を求められる仕事がない そのため、障害に配慮してもらえる代わりに「仕事のやりがい」を求めることは難しく、仕事におけるスキル向上やキャリアアップのチャンスが少ないケースも多くありました。 しかし近年ではダイバーシティ(多様な人材の活用)の広がりや、少子高齢化による労働力不足といった社会情勢などを反映し、「障害への配慮をすれば、一般雇用の社員と同等(あるいは、得意分野においてはそれ以上)の能力を発揮できる」という考えの企業が増えてきました。 障害の有無に関わらず、「これまでの経験」や「業務遂行スキル」で評価されるため、求められる業務内容や成果が一般雇用と変わりないという点で難しさもありますが、待遇(給与など)の向上や、何よりも、やりがいを感じて仕事をしたい方にとっては、選択肢が増えてきたと言えるでしょう。
障害者雇用と一般雇用のよくある質問集

発達障害のある方が就職活動をはじめるときに、知っておくべき知識を、よくある質問形式でまとめました。

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メールやお電話での無料相談、そして、ディーキャリア各事業所で行っている無料相談会では、大人の発達障害の特性に悩まれている方から、多くのご相談をいただきます。 最近は「大人の発達障害」に対する社会的な認知度が高まり、テレビ番組や雑誌などでも取り上げられることが増えてきました。また、インターネットでも、専門的な情報から実際の当事者による体験談まで、さまざまな情報を手に入れることができるようになりました。 一方で、誰とも相談しないまま、「調べれば調べるほど、一人で悩んでしまう」という方も多くいらっしゃいます。「誰かに相談する」というのは、なかなかハードルが高いもの。最初の一歩を踏み出すには、勇気が必要です。 そこでこちらの記事では、私たちがご相談をいただくなかで、「障害者雇用(障害者求人枠)と一般雇用(一般求人枠)」についての、よくある質問をまとめました。「同じ困りごとを抱えている人が、どんなポイントで悩んでいるのか」を知ることで、ご自身の悩みを解決するための、ヒントを得られるかも知れません。   [toc] Q1. 一度でも障害者雇用で働くと、もう一般雇用では働けなくなってしまうって本当? A1.  過去に「障害者雇用」で働いたことがあっても、「一般雇用」で働くことができます。 一般雇用での採用に応募する際、過去に障害者雇用で勤務していたことを伝えなければならない、ということはありません。 「過去に障害者雇用で働いたことがあるが、障害の特性に自分で対処できるようになり、会社に配慮を求める必要がなくなった」という方が、次のステップとして一般雇用で転職される事例もあります。 また、障害者雇用で入社した後に、「勤怠が安定し、特性へも十分対処できるようになったので、障害者手帳を返還して、同じ会社のなかにいながら一般雇用に切り替えた」という事例もあります。   Q2. 「 障害者雇用」で入社をすると、会社の上司や同僚の全員に障害のことが知られてしまうの? A2. プライバシーは守られており、仕事をする上で配慮が必要な範囲に限って障害のことが開示されます。 国が定める障害者雇用の制度では、障害者雇用で入社した従業員に対し、プライバシーに配慮した障害者の把握・確認を適正に取り扱うガイドライン」が定められています。これにより、自分が同意しなければ、勝手に会社の中で障害のことが公表されることはありません。 一方、仕事上で必要な障害への配慮をするために、自分が所属する部署の上司や同僚へ、障害について開示することを求められる場合があります。この場合でも開示を拒否することはできますが、障害のことを知ってもらえなければ、当然、適切な配慮は受けられなくなってしまいます。 そのため、実際には「仕事をする上で必要な範囲にのみ障害を開示し、それ以外の(業務上関わりがない)部署には、障害のことを開示しない」という選択を取る方が多いようです。 なお、障害者雇用で入社する際には、会社に対して障害者手帳を提示する必要がありますので、「入社手続きの関わる社員(人事担当者など)には、障害のことは自ずと知られることになる」という点は覚えておきましょう。
支援の現場から見る 障害者雇用・一般雇用のメリットとデメリット

障害者枠・一般枠には、それぞれメリットとデメリットがあります。良い面、もしくは悪い面だけではなく、両方を知ることにより、自分が目指したい働き方と照らし合わせてみることができます。

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「障害者雇用と一般雇用(オープンとクローズ)とは?」 の記事では、障害者雇用と一般雇用、オープンとクローズ、それぞれについての「基礎知識」をご紹介しました。 しかしながら、障害者雇用への理解が進んでいない企業も少なくなく、すべての企業が、障害への理解があり、体制が整っているわけではありません。 企業によって障害者雇用への取り組みはさまざま。職場見学や面接時に、企業の採用担当者の方に話を聞いてみることがとても大切です。 そこで今回の記事では、実際に発達障害のある方の就職支援をおこなっている現場から見えてきた、障害者雇用と一般雇用で働くそれぞれの「メリット」と「デメリット」について、詳しくご紹介します。 あくまでも「傾向」のため、すべての求人に当てはまるものではありませんので、ご注意ください。   実際に就職した後に「こんなはずではなかった…」「思っていたのと違っていた…」と後悔しないためにも、まずはそれぞれのメリットとデメリットを理解し、それらを踏まえて企業の採用担当者の方に話を聞いてみることをおすすめします。 [toc]
障害者雇用と一般雇用とは?基本情報をまとめました。

「障害者雇用」「一般雇用」「オープン」「クローズ」それぞれの基本情報を分かりやすくまとめました。どのような違いがあるのか、選ぶポイントはどこにあるのかについて説明しています。

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就職活動をはじめるにあたり「障害を就職先に開示するべきかどうか」「障害者求人枠を受けるべきかどうか」の判断に迷う方は少なくありません。 障害への配慮を受けながら無理なく働きたいと思う一方で、 「一般求人枠と比べて給与が低いのではないか、将来のキャリアが描きにくいのではないか」 「障害特性に対処できていれば、障害を開示しなくても働けるのではないか」 と悩まれたことはありませんか? 見た目では分かりづらく、障害による悩み事も人によって程度がさまざまである発達障害だからこそ、このような悩みと直面してしまう、とも言えます。 本コラムでは、「障害を開示するべき?障害者求人枠で応募するべき?」と悩んだ方が、最初に理解をしておくべき、障害者雇用と一般雇用の基礎知識をまとめました。それぞれの特徴を理解したうえで、自分がどのような働き方を実現したいのかを考えていきましょう。 [toc] まず初めに知っておくこと オープンとクローズとは 障害者雇用と一般雇用の違いを知る前に、知っておくべきことが「オープン」と「クローズ」の違いについてです。 オープンは就職先に障害を開示すること、クローズは就職先に障害を非開示にすることです。 オープン=「障害者求人枠」と考えてしまいがちなのですが、このオープンには「一般求人枠」で障害を開示して就職をすることも含まれています。 障害者雇用・障害者求人枠とは 日本では、障害があっても働く機会を平等に得られるように、国や自治体、企業に対して「一定の人数、障害者を雇わなければならない」というルールが定められています。このルールに則り設けられている採用枠のことを、障害者求人枠といいます。 「障害者雇用枠」や「障害者枠」といわれることもあります。 障害者求人枠で働くことを障害者雇用といいます。 障害者求人枠に応募する場合には、障害者手帳の所持が必須となります。医師から発達障害の診断を受けていたとしても、手帳を持っていない場合は障害者雇用を選択することができません。 ※一般求人枠で障害を開示して就職をする場合には障害者手帳の取得は必須ではありません。 障害者雇用は、障害を開示した上で採用されること、また配慮をすることを想定していることから、一般雇用枠で障害を開示した場合と比較すると、多くの場合が障害への理解や配慮を得られやすいです。 「障害者雇用」とひとくちに言っても、実際の働き方は、企業によってさまざまです。 例えば、社内の「障害者雇用メンバー」の一員として軽作業や簡単な事務作業を担当する場合もあれば、経理部や営業部など一般の部署に配属されて、一般雇用の従業員と一緒に働く場合もあります。 自分はどのような障害があるのか、何が得意で、何が不得意なのか。これら障害についての情報を勤務先に開示するので、障害への合理的配慮を受けやすくなることが、障害者雇用における最大のメリットです。 また、配慮を受けられることでの「安心感」や、一定の収入ができ「生活の安定」を得られることも重要なポイントでしょう。 大企業では、特例子会社を置いている場合もあります。特例子会社とは、障害者の雇用の促進及び安定を図るために特別な配慮をした子会社のことで、配慮にもとづき職場環境の整備が求められるため、一般企業の障害者雇用枠と比べて、さらにサポート体制が充実しています。 障害への配慮が受けられる一方で、給与や昇進のスピードが、障害者枠ではない従業員とは異なる場合があります。 また業務内容も、備品整理や清掃、データ入力、書類整理など、比較的単純な作業が多く、キャリアアップを目指すというよりは、「安定」と「安心」を重視する方に向いていると言えるでしょう。 ただ、最近では外資系企業や IT 企業などで、障害者雇用であるかどうかは関係なくその人の能力が活かせる仕事を任せて、成果や実績で社員を平等に評価しているような企業もあります。