【当事者が語る】発達障害は個性?当事者が微妙な気持ちになる理由とは
最近では「発達障害」という言葉が昔よりもよく聞かれるようになりました。
身近な人について「あの人、もしかして発達障害かも?」もしくは「私、もしかして発達障害かも?」と思った方もいるかもしれません。
「発達障害」という言葉がよく聞かれるようになってから、
同じように目にするようになったのは「発達障害は個性」だという言説です。
「発達障害は個性なんだから、ネガティブなものとしてとらえずに、誇るべきだ」。
しかし、こう言われた当事者は、微妙な気持ちになることが多いといいます。
障害は個性じゃないよ。 個性だったら障害にならんでしょ。
Xより
障害だからこそ、合理的配慮が必要な訳だし、個性で片付けたら合理的配慮無くなるでしょ…。
そしたら生きていけないって。
発達障害も知的障害も「個性」ではありません。「障害」です。
Xより
仕事や学業、人間関係、日常生活、社会生活に支障をきたすものを「個性」とはいいません。
今回は、「障害は個性」という言説に対してなぜ当事者が微妙な気持ちになるのか、
ADHD(注意欠如・多動性障害)当事者である筆者の意見も交えつつ考えていきたいと思います。
相手を慮ったあなたのその発言、もしかしたら、当事者を微妙な気持ちにさせてしまっているかも……?
身近に当事者がいらっしゃる方はぜひ最後までご覧ください。
なぜ微妙な気持ちになるの?理由三選
「発達障害って、個性だよね」という言葉をかけてくれる人は、やさしい人なのだと思います。
おそらく悪気はないし、当事者を傷つけようなんて気持ちは一ミリもなく、
こちらを明るい気持ちにさせてあげたいという思いから言ってくれることが多いのではないでしょうか。
筆者も何度かこういう言葉をかけられたことがあるのですが、相手は善意で言ってくれているとわかるので、
怒ったりするのも何か違うし、でもモヤモヤする……という微妙な気持ちを抱え込んで、愛想笑いをした記憶があります。
その「モヤモヤ」に着目して理由を言語化してみたところ、
大きく分けて三つの理由が見えてきました。
①耳障りのいい言葉でごまかされているような気がするから
「障害は個性」ってまた最近どこかから出て来たん? 当事者やご家族がその特性に生きづらさや困難を抱えていたらそれはもう障害。耳ざわりの良い言葉でフワッとさせようとすんな。障害を障害と呼べ無い世の中にすんな。障害は障害、個性は個性、ちゃんと切り分けられないとこの社会は何も変わらない。
Xより
「個性」とは、どちらかというとポジティブな印象を持つ言葉だと思います。
その言葉の力で、「発達障害は個性だよ」と言われると、
なんとなく前向きな、やわらかい印象になってしまいます。
一方で、発達障害を自覚している人の多くは、その障害によって多かれ少なかれつらい思いを経験しています。
私自身「障害を自覚する」というプロセスの中で、
「自分は他の人とは何か違う」という焦燥感や、「普通には生きられないのではないか」という絶望を経験しました。
「障害は個性だよね」という言葉は、
障害という「事実」が持つネガティブな要素をまるっと包み込み、見栄えのいい何かに変えてしまうような感じがして、
なんだかとても「ずるい」という感覚を抱いてしまうのです。
②上から言われているような気がするから
不思議なことに、「障害は個性」という言葉は当事者よりも健常者からよく聞かれます。
当事者本人は、あまりこの言葉を使いません。
当事者どうしで話をしていても、人それぞれ障害の特性や困っていることが違うため、
同じ診断名であっても「困り感」は十人十色。
たとえ自分自身は「障害を個性」と思えていたとしても、
相手がどのように困っているのか、どのくらい悩んでいるのかわからないため、
「個性だよね」と同意を求めるのはリスキーだと感じます。
自分がネガティブに感じていたり、苦悩していることに関して、
「それも人生のいい経験だよね」と言われたら、皆さんはどう感じるでしょうか?
ポジティブな言い換えをしてくれたと感じる方もいれば、
「上から目線でなんだよ」と不快に感じる方もいると思います。
「障害って個性だよね」と言われたときの当事者の気持ちは、どちらかというと後者です。
あなたは大変だと思っていないかもしれないけど、私はすごく苦しんでいるのに、上から何なの?
そんなふうに感じる人もいるかもしれません。
③自分の苦しみを矮小化されている気がするから
何度も言うけど、発達障害が個性っていうなら、この生きづらさは一体なんやねん。薬飲まなあかんし、過敏性でゲロゲロだし、対人関係ストレス半端ないし。 それでも個性言うなら、貴方が率先して生きやすいと思える対応をしてくれよ。
Xより
個人的には、この理由が一番大きい気がします。
私自身が「障害って個性だよね」という言葉を投げられたときに、真っ先に思ったのがこれでした。
冒頭で紹介したXの声のように、
服薬をしなければいけなかったり、感覚過敏があり日常生活でも苦しさを感じていたり、また特別な配慮のもと就労しなければならないなどの制限を受けていたりと、
現実問題としての「生きづらさ」に直面していることが多いです。
そのため、「個性」というキレイな言葉には収まらない現実や苦しみがあるのに、
それを見てくれていないと感じてしまうのです。
じゃあ、なんて言ったらいいんだろう?
それでは、身近な人から障害を打ち明けられたとき、
なんと言えば相手の気持ちを傷つけずに「受け止めている」ことを伝えられるのでしょうか。
これには、正解はありません。
人それぞれですし、関係性によっても答えが変わってくるものかなと思いますが、
参考までに、私が言われて嬉しかった言葉をご紹介します。
①話してくれてありがとう
障害のカミングアウトは、じつは結構勇気のいることです。
わざわざあなたに話したということは、
「みんなには話していないけど、○○さんにわかっていてほしい」という思いがあってした行動だと思います。
ですので、まずはそこを受け止めてもらえると、私自身はとてもうれしいと感じました。
「そうなんだ。話してくれてありがとうね」とさらりと言ってもらえると、心が軽くなると思います。
②何か私で力になれることがあったら、なんでも言ってね
私自身が友達からカミングアウトを受けた時に伝えるようにしている言葉です。
人によってはこの言い方が恩着せがましく感じたり、押し付けのように感じたりする場合もあるので、
相手の反応を見ながら、
「といっても、全然大したことはできないかもしれないけど。
いつも私のほうが助けられてるから、私も何か力になりたいなと思って」と付け加えるようにしています。
その時は必要と感じていなくても、
「困った」というとき、助けが欲しいときはいつでも力になるよ。
そんなメッセージを伝えてもらえると、ほっとするし、とてもうれしく感じます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、当事者としての立場から、「発達障害は個性」という言説について思うことをつづってみました。
もしよろしければ、他の当事者の方の意見も読んでみてくださいね。
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