【大人の発達障害の就活HACK】「求める人物像」をチェックしよう

準備しよう!障害者雇用枠の「求める人物像」5 つのポイント

障害者雇用枠では、「業務経験」や「資格」「学歴」といった一般的な応募条件の他に、「障害がある方ならでは」の企業の判断ポイントがあります。

厚生労働省が所管する「高齢・障害・求職者雇用支援機構」という組織では、障害者を雇用しようとする企業に向けて、障害者の採用を判断する際のポイントを公開しています。

参考: Q 障害者の採用にあたり、何をポイントに採否を決めたらよいでしょうか?|独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構

公開されている情報をもとに、障害者雇用で重視される 5 つのポイントと、それぞれの準備方法をまとめました。

ポイント 1. 勤怠の安定

「短い期間で仕事を辞めてしまう」人の傾向として、仕事にたびたび遅刻したり、突然休んでしまったりする人が多いことが分かっています。

どんなに仕事の能力が高くても、「通院・服薬の管理ができず、健康管理ができていない」「普段の生活リズムが乱れている」という人だと、少しずつ勤怠が乱れ、最後は離職につながってしまうのです。これを防ぐためには、

  • ・毎日、同じ時間に寝起きし、生活リズムを整える
  • ・食事は三食をしっかり取る
  • ・カレンダーで通院日を管理する
  • ・リマインダーアプリで服薬を忘れないよう管理する

…など、まずは自分の健康や生活リズムを、しっかりと管理できるようにしましょう。

ポイント 2. 障害の自己受容

「自己受容」とは、「自分には障害があることを、ちゃんと自分自身で受け入れることができているかどうか」という意味です。もう少し具体的に見てみましょう。

病院で発達障害の診断を受けたり、障害者手帳を取得したりするだけでは「自己受容できている」とは言えません。自己受容できている状態になるためには、以下の準備が必要です。

  • ・「自分の障害にはどんな特性があるのか」を他人に説明できる
  • ・「障害の特性により、どんなことが苦手か」を他人に説明できる
  • ・「苦手なことをどのように管理し、対策を行えば良いか」を、自分で考え・実践している
  • ・「ストレスをどのように管理し、対策を行えば良いか」を、自分で考え・実践している
  • ・「障害の特性による困難さ」について、周囲とコミュニケーションを取り、助けを求められる(合理的配慮の申出ができる)

他人に説明したり、自分で対策したりするためには、上記の要素を自分で整理・まとめてナビゲーションブック(自分の取扱説明書)を作っておくことがおすすめです。

なお「合理的配慮」の考え方については、以下のコラム記事もご参照ください。

参考① 「合理的配慮」申請マニュアル 4つのステップと知っておくべきポイントをまとめました。

参考② 自分にとって必要な配慮は?を学ぶための、合理的配慮の事例集

ポイント 3. 就労意欲・仕事への熱意

「勤怠の安定」や「障害の自己受容」はとても重要なポイントですが、就職活動前に完璧に準備するのは難しいもの。そこで、足りない部分をカバーするために必要なのが「就労意欲・仕事への熱意」です。

「がんばって働きたい!」「この仕事をしたい!」という意欲や熱意があれば、完璧にできていない部分があっても後から身に付けていくことができますし、周囲からも「がんばっているから、サポートしてあげよう!」と思ってもらいやすくなります。

意欲や熱意を持つために、まずは自分が「何のために働くのか」「どんな仕事をしたいのか」という就職の軸を立てましょう。以下のコラム記事で、就職の軸の立て方を解説していますので、ご参照ください。

参考:大人の発達障害がある方の就職活動は「ウォーミングアップ」で成否が決まる!|発達障害のある方のためのお役立ちコラム

ポイント 4. コミュニケーション力

障害の有無に関わらず、生きていくなかで起こるすべての課題を自分一人で解決することは困難です。「障害の自己受容」の項目でも書いたとおり、周囲に助けを求められる(合理的配慮の申出ができる)ことは大切なポイント。そのためには、コミュニケーション力を高めましょう。

コミュニケーション力とは、「話がうまい」とか「社交的である」ということではありません。

まずは「あいさつや、返事をちゃんとする」「仕事の報告・連絡・相談ができる」というところから始めましょう。「身だしなみを整える」「ルールやマナーを守る」ことも、周囲の人たちに良い印象を与えるという意味で大事なコミュニケーションの一つです。

会社に限ったことではありませんが、生きていれば必ず「あれ、ちょっとこの人は苦手だな」という人とも出会います。そのようなときにも、自分の感情をコントロールできるようにしましょう。苦手な人でもちゃんと挨拶する、注意されたときは素直に謝る、という気持ちも大切です。

自分にできることから、少しずつ始めていきましょう。

ポイント 5. 主体性・積極性・自発性

「主体性を持って、自分からも積極的・自発的に仕事に取り組んで欲しい」というのは、障害者雇用に限らず、よく言われることです。ただ、これはある程度仕事に慣れ、会社や業務の仕組みが分かってこないと難しいものですので、最初から「主体性や積極性、自発性を身に付けなければ…」と気負う必要はありません。

まず大切なのは、仕事への意欲や熱意を持つことです。そして、規則正しい生活をし、周囲の人のことも考えたコミュニケーションを心がけます。コミュニケーションを取る中では、自分が得意なこと・苦手なことを伝えることも大切ですので、自分の障害をちゃんと自己受容できるよう、自分を見つめ直しましょう。

そうして、仕事を続けていくうちに段々と業務にも慣れていき、

  • ・次の作業の準備を、言われる前に先にしておこう!
  • ・少し余裕があるから、何か手伝えることがないか聞いてみよう!
  • ・もっとこうすれば効率が良くなるかも。提案してみよう!

…というように、主体的に仕事に取り組めるようになります。つまり、これまでに書いてきたポイント 1〜4 をしっかりと準備することが大切なのです。

もし、一人ではうまく考えられず悩んでしまったら

今回ご紹介した「求める人物像」は、さまざまな企業・さまざまな「求める人物像」がある中での一例です。もしも「今の自分には当てはまらないな…」と感じても、落ち込む必要はまったくありません。

一方で、「障害の自己受容」や「コミュニケーション力を高める」ことは、障害と向き合いながら働いていく上では必要不可欠ですが、これらは発達障害の特性による苦手と重なる部分でもあり、できるようになるには、ある程度の訓練が必要です。

そんなときのサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。今回「障害の自己受容」の見出しでご紹介した “ナビゲーションブック” も、ディーキャリアで行っている支援プログラムのなかで、実際に作成を行っています。

就労移行支援事業所とは、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業)

就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。

「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。

ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください(ご本人様からだけでなく、当事者のご家族の方や、支援をおこなっている方からのご相談も受け付けております)。

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また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。

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執筆者

藤森ユウワ(ライター・編集)

ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。

これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。

子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。

36 歳で ADHD・ASD と診断される。

診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。

誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。

さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。

自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。

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