【発達障害当事者が解説】無理なく働き続けるための特性理解と対策

発達障害の特性を理解するメリット

前述したように、自らが持つ発達障害の特性を知ることはその対策を打つためにとても大事です。ここでは、自分の障害特性を知るメリットについてお伝えします。

「続かない」仕事を避け、「続けられる」仕事を選べる

自分の特性が分かると、その特性にあった職業を選ぶことができます。

例えば、「臨機応変に段取って仕事を進めるのが苦手」であれば、プロジェクトの進行管理をするWebディレクターや、複数の顧客とやり取りをする必要のある営業職などは難しいでしょう。また、ケアレスミスを多くしてしまう傾向があるのであれば、税理士や司法書士など正確な事務作業が要求されるような職業はあらかじめ候補から外しておくのが得策です。

逆に、細かい事務作業は苦手だけど人と接するのが得意という方は、飲食やサービス業などの接客業が向いている可能性が高いと言えます。細かいチェックなどの作業に集中できるのであれば、経理などの事務職が向いている可能性が高いと言えます。

このように、自分の特性を理解していれば、仕事を選ぶときに当たりをつけることができるようになります。

「できない」仕事について周囲がサポートしやすくなる

ただし、どんな仕事でも「100%自分の得意なことだけやっていればいい」ということはほとんどありません。

例えば、接客業であっても出勤シフトを組んだり、一日の売上の計算をしたりするときには、どうしても事務作業が必要になります。また事務職であっても自分の業務のみ黙々とおこなうのは難しく、少なくとも仕事を協力し合う同僚とはコミュニケーションを取らなければなりません。

そこで「この仕事のこういう部分が苦手です/得意ではありません」といったことを把握し、自分から周囲に伝えておけば、「あの人は、事務処理が苦手だから手伝おう」「コミュニケーションが苦手だから、分かりやすく話してあげよう」とサポートしてもらえる可能性が高くなります

「できる」仕事について能力を発揮し、自己肯定感を高められる

得意な仕事が分かっていれば、「それやります!」と率先して引き受けることができます。

得意なことなので当然その仕事はうまくいきやすく、成功体験を積むことができます。成功体験を積むと、自己肯定感が上がります。すると、もっと積極的に仕事に取り組むことができるようになります。

この好循環により、安定して仕事を続けられるようになります

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