発達障害のある方への支援は広がってきている
近年は発達障害のある方を支援する体制の整備も進んでいます。2016年には支援の一層の充実を図るため、発達障害者支援法が改正されました。この改正では当事者本人への支援だけでなく、当事者を支える家族への支援や、自治体と企業・医療機関が連携して地域全体で支援をおこなう体制が強化されました。
画像引用元:厚生労働省|平成28年|社会保障審議会障害者部会(第80回)|参考資料5 発達障害者支援法の改正について
また働きたいと思う障害者の方への支援も強化されており、「精神障害者雇用の義務化」なども追い風となって発達障害のある方の障害者雇用も進んできています。
障害者雇用については、以下の過去記事もご参照ください。
発達障害の「正しい理解」については、まだこれから
正しく理解している人はまだまだ少ない
発達障害という言葉は知っていても、その中身について正しく理解している人はまだまだ少ないのが現状です。
この記事の冒頭でも述べたように、最近はインターネットだけでなく、テレビや新聞などの一般的なメディアでも発達障害について見聞きすることが増えてきました。しかし日本公衆衛生学会がおこなった調査* によれば、「”発達障害”を聞いたことがある人」の割合は 91.5% なのに対し「どのような対応や支援をおこなえば良いか」を具体的に知っている割合は 26.5% だったという結果が報告されています。
* 出典:「発達障害に対する成人の認知および情報源に関する現状」日本公衆衛生雑誌/66 巻 (2019) 8 号
特にインターネットの場合、国や支援機関、病院や製薬会社、当事者個人やメディアなど、さまざまな団体や人が情報を発信しているため、その中から正しい情報を見つけ出すのは簡単ではありません。
自己診断で決めつけないように注意!
インターネット上には発達障害の傾向があるかどうかを自分でチェックできるシートが公開されていることがあります。例えば「忘れ物が多い」「落ち着きがないと言われる」などの質問項目がいくつか用意されていて、自分が当てはまるものにチェックを付け、その数で発達障害の傾向の有無が分かる、というようなものです。
病院や製薬会社が公開しているチェックシートは、受診する際に自分の情報を医師に伝えるための「事前準備」として役立つ場合もあります。しかしこれらはあくまで簡易的なものであり、それだけで発達障害かどうかを診断することはできないので注意が必要です。
発達障害の診断は、医師により現在の状態・成育歴・行動観察・認知や知能等の心理検査の結果などを総合しておこなわれます。「なにかの機械で検査すれば、すぐに発達障害かどうか分かる」「病院を受診したら、すぐに診断がおりる」というものではありません。
かつては発達障害の情報そのものが少なく、原因も分からずに悩んでいた方々が多くいらっしゃったことを考えると、社会に広く情報が知れ渡るのはすばらしいことです。しかし簡単に手に入る情報を見て自分で決めつけず、病院や公的な支援機関に相談することが大切です。
なお「発達障害の診断」については、以下の過去記事もご参照ください。
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