5. 診断を受けるメリットやデメリットは何があるのか
状況にもよりますが、質問をいただくことが多いので、それぞれ整理してご紹介いたします。
5-1. 診断を受けるメリット
- 自分の障害について理解をすることができ、対策を講じることができる
- 職場に必要な配慮(合理的配慮)を申し立てることができる
- 公的な福祉サービスや支援(例えば、障害者手帳取得による税金の控除、障害年金の受給等)を受けることができる
- 障害者雇用枠求人の対象となることができ、障害に配慮を受けながら働くことができる。
5-2. 診断を受けるデメリット
- 障害があることを自己受容しなければならない
- 医療保険などの民間保険に加入できない場合がある(保険の種類による)
6. 診断を受けて良かったのか〜当事者としての体験談〜
筆者としては、診断を受けて良かったと思っています。
「子どもの頃から悩んできたことは自分の性格や努力不足のせいではなく、生まれ持っての障害が原因だった」と分かったときに、私は生まれて初めて、自分で自分を許せた気がしました。それほど、私の人生にとって診断を受けたことには大きな意味がありました。
先ほど “しくじり先生” として紹介したように、診断を受けた当時の私はまだ、障害を持ちながら社会のなかで生きていくためにどうすれば良いかが理解できず、勤めていた会社を退職することになってしまいました。
しかし、その後アルバイトの期間を経て障害者雇用枠で再就職することができ、配慮を受けながら働いて、生活の基盤を立て直すことができました。また、発達障害について勉強したことで、自分の特性や、それによる困りごとを防ぐための対処法も理解を深めることができました。
何よりも大きかったのは、「障害がある方を支援するための仕組み」が、実は身近にはいろいろ用意されていると知ったことです。自分一人で悩まなくても相談できる場所があると知ったことは、大きな心の支えになりました。
診断を受けるか受けないかは、人それぞれです。診断を受けなかったとしても、もしお一人で悩んでいてつらいことがあれば、ぜひ色々な相談窓口を利用してみてください。力になってくれる人が必ずいるはずです。
今回の記事が、働きづらさ・生きづらさを感じている方、そして、当事者のご家族や周りで支援されている方の「次の一歩を踏み出すためのきっかけ」となれれば幸いです。
お一人で悩んでしまったら、まずは相談を
診断を受ける・受けないに関わらず、自分が発達障害であることを受け止め、新しい一歩を踏み出すためには、大きなエネルギーが必要です。
- 「障害と向き合いながら、生計を立てて行くためにはどうしたら良いのか」
- 「家族や職場に、うまく相談するためには、どうすれば良いのか」
- 「自分にあった仕事に転職した方が良いのではないか」
……と悩んでしまう方も少なくありません。そんな方々のサポートを行っているのが、就労移行支援事業所ディーキャリアです。
就労移行支援事業所は、障害のある⽅が就職するための「訓練・就職活動」の⽀援をおこなう障害福祉サービスの一つです。(厚⽣労働省の許認可事業)
就職活動はものごとを段取りよく・計画的に進めて行く必要がありますが、発達障害の特性による「苦手」で上手く進まないという方もいらっしゃいます。
ディーキャリアでは、就職支援スタッフが一人ひとりの「働く」に寄り添った支援をおこない、就職活動の軸探しだけではなく、スケジュールを立てること、自己 PR(自分の強み・長所の発見)をすること、予定通りに行動をすることをサポートしています。
就職とは人生の目的を実現するための通過点です。自分の「なりたい」姿を見つけ、障害特性への対策と自分の能力を活かす「できる」ことを学び、社会人として長く働くために「やるべき」ことを身に付ける。
「なりたい」「できる」「やるべき」の 3 つが重なりあうところに仕事の「やりがい」が生まれると、私たちは考えています。
ご相談は無料です。フリーダイヤル、または、24 時間受付のお問い合わせフォームにて、お気軽にお問い合わせください。ご本人からだけではなく、「発達障害の疑いがある方が身近にいて、どのような対応をすればよいか分からない」と悩まれている方からのご相談も受け付けております。ご家族の方はもちろん、「職場に発達障害の疑いがある従業員がいる」という方も、ぜひ一度ご相談ください。
お電話(0120-802-146)はこちら▶
お問い合わせフォームはこちら▶
また、全国各地のディーキャリアでは、無料の相談会や体験会も実施しています。
全国オフィス一覧はこちら▶
就労移行支援事業所ディーキャリアは、「やりがい」を感じながら活き活きと働き、豊かな人生を目指すあなたを全力でサポートします。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。
執筆者
藤森ユウワ(ライター・編集)
ベンチャー企業の社員として働きながら、兼業で個人事業主としてもライター・Webディレクターとして活動。
これまで5社を転職し、営業、営業企画、カスタマーサポート、マーケティングなどさまざまな職種を経験。
子どものころから「コミュニケーションが苦手」「段取が悪い」「集中力が続かない」などの困りごとがあり、社会人になってからも生きづらさを感じつつ何とか働いていたが、あるとき仕事内容が大きく変わったことがきっかけで困難が表面化し、休職や離職を経験。
36 歳で ADHD・ASD と診断される。
診断後、「就労移行支援事業所 ディーキャリア」を運営するデコボコベース株式会社でアルバイトしたことをきっかけに自分に合う仕事や働き方を模索し、現在の形に辿り着く。
誰かの「なるほど!」を作るライティングがモットー。
さまざまな職種を転々とする中、苦手を補うため自分用の業務マニュアルを自作してきた経験を活かして、記事や企画書、プレゼン資料、製品マニュアルなど、幅広く執筆の仕事を行っている。
自分の凸凹を補うためにITツールを使って工夫するのが好き。